今回は2014年8月25日放送
「コロッケのラジカントロプス2.0」
を起こしたいと思います。
植竹公和(歌う放送作家・以下、植竹)
はい、それではご紹介しましょう。
ものまねタレントのコロッケさんです。
どうも、こんばんは。
コロッケ
どうも、こんばんは。
植竹
あのね、コロッケも・・まあ後で話しますけど
もう34年前からの知り合いなんですけれども
コロッケ
「お笑いスター誕生!」の。
植竹
よく芸人さんに聞くんだけど、誰が自分の前に出るとやりにくいか?
っていう質問をする場合、ケーシー高峰さんかコロッケさんなんですよ。
コロッケ
えっ!なんで?なんで?
植竹
いやつまりもう無理矢理全部持って行くっていう感じの(笑)
言われるでしょ?コロッケの前って。
コロッケ
いやあんまり俺はそんなに意識はしてないんだけど、
ただやっぱりそのなんだろう・・あのね、笑いの中で1つだけ
僕がどっちかだと思ってるんですけれども。
喜んでもらおうと思ってる人と自分がウケようと思ってる人の
違いだと思うんですよ。
だから自分がウケようと思ってると、やっぱり空回りするしウケないし。
「これウケるはずなのに、なんでダメなんだろう?」って思っちゃうんですね。
でも俺もケーシーさんも自分で楽しみながら
「楽しんでもらえるかな?」ぐらいの感じで
やってるからいいんですよ。
だからまず基本的な・・俺34年間やってくると、
営業でもいろんな人といっぱい一緒になったりするじゃないですか?
やっぱり自分を押しつける人ってやっぱり基本芸人は、
地方に行けば行くほどウケなくなります。
植竹
特に地方に行くと?
確かに、この本にも書いてあったけど
「いかに下らないことを堂々とやるか?」みたいな。
コロッケ
いやもう絶対そうですよ、だって自分が舞台に立ってるから
テレビに出ているから、ステージに出ているからって偉いわけでもなんでもなく
たまたまその仕事をしてるだけで
だからそこっていうのは、僕は笑いっていうのは
お伺いを立てるものだと思ってるんですね。
「どうよ?」じゃないんですよね。
「大丈夫ですか?」っていうところで、
僕は一貫してそれは昔から変わってないです。
植竹
気持ちの問題ですね。
「これでよろしいでしょうか?」みたいな感じ・・。
コロッケ
「よろしいでしょうか?・・ダメ?じゃあ他のやるけどいいですか?」っていう。
なんかそういう気持ちでいると何だろう?受け側もね
そんなに嫌な感じにならないですよね。
それを「いや、客が悪いんだよ」とか。
お客さんのせいにするっていうのは
俺の中では「ウケなかったのは何がダメだったんだろう?」と思うことが大事だと思う
そこで「分かんねえんだよ」って言っちゃう人がいるから
俺はそれを横で見ながら、あういうふうにはなっちゃいけないな
っていうふうに昔から思ってましたね。
植竹
談志師匠までいっちゃうとね、そういうスタンスでも・・
コロッケ
いや談志師匠はもう皆さんが受け入れてるじゃないですか?
それで逆にそこで言われることが最もだし、
正論じゃないように聞こえているものも
「あっ、それもやっぱり正しいんだ!」とか正論に聞こえるし。
やっぱ正論だって思えるし、もう談志師匠は別格ですよね。
植竹
談志師匠と仕事したことってあるんですか?
コロッケ
前・・あの営業というか、その回ったりするところでご一緒したことはあります。
でも僕らまだ若かったんでお声もご挨拶だけですね。
ちゃんとお話もしたこともないです。
植竹
そりゃビビりますもんね。
コロッケ
そりゃそうですよ。
でも全部理に適ってるし、言ってることが「ああ、なるほど」っていう
理由があるじゃないですか?
「これ俺が言ってるからこうなんだよ」って「だからこうでって分かる?」
「でもこれはこうでね・・」「でも俺はそう思わないんだよ」
だから聞いてる人が分かりやすい、お客さんとか見てる人の立場になって
言ってくれるから、たぶん良いと思うんですよね。
植竹
先ほどお話ししましたけども、実はコロッケさんとは
1980年の「お笑いスター誕生!」の稽古場で会ってるわけですよね?
コロッケ
はい、もう懐かしいですね。
植竹
まあ当時、イッセー尾形さん、とんねるず、
マギー司郎さん、桂竹丸さんとかですね(笑)
コロッケ
ハハハハハ(笑)
植竹
そこなんで笑うんですか(笑)
コロッケ
いや久しぶりに聞いたなって。
名前も変えちゃってるし。
植竹
いや桂竹丸ですよ。
コロッケ
そのままですか!あのころが違ったんだ。
いや俺忘れちゃったな・・。
植竹
本名は徳永っていうんですよ。
シティーボーイズ、ブラザートムちゃん、轟二郎
コロッケ
うわっ懐かしいな、「コント百連発」
あとは青芝金太・紋太でしょ?
もうみんなあの頃ですよ。
植竹
だから当時ね、演出が日本テレビの赤尾健一さん
あの稽古場、コロッケって怒られた?
コロッケ
いや俺バリバリ怒られてますよ。
植竹
えっ、何が悪いって?
コロッケ
いや要は・・例えばちあきなおみさんの「喝采」を
ワンコーラスやってたんですよね。
そしたら「長いよ!」って怒られて、
「あっ、はい・・」っていうなんか
「どうすればいいですか?」っていう
ただ赤尾さんは・・これ笑い話なんですけど。
オカマが大嫌いなんですね。俺ってその頃・・
植竹
ああ、俺もう絶対そうだと思ってたもん。
コロッケ
みんなそう思ってたでしょ?普通のスケベなんだけど。
だからまず俺を見たときに赤尾さんが小声で言ったのは、
「誰だ、あいつ入れたの」って
植竹
オカマちゃんだと思ったんでしょうね。
コロッケ
だと思ってるからです。
周りもみんな思ってるから、俺に話しかけてこないんですよ。
植竹
いや当時ね、ほとんどイッセー尾形さんでさえまだ素人なんですよね。
私らゴーストライターみたいなのでちょっといろいろな・・
コロッケはちょっとね、近寄りがたかったの。
でねなんかね「4・5年やってるんじゃないの?この人」って
あのいわゆるお水系スナック系で
我々ブラザートムちゃんにしろ、みんな素人でしたよ。
コロッケ
みんな師匠がいなくて頑張っているメンバーですからね。
植竹
だからこの人ちょっとね、空気違うぞっていう。
コロッケ
いや俺だけだから水商売ですよ。
周りは昼間なのに俺だけ夜の匂いがする。
新宿二丁目から来たんじゃねえか?とか
植竹
だけどいわゆる熊本かなんかでスナックでちょっと・・
コロッケ
ショーをやってて、で東京に出て来て芸能人になりたくて
それで「お笑いスター誕生!」のオーディションがあって
それを受けないか?っていう人に誘われて
太田プロさんのセナさんっていうんですけどね。
セナさんに声を掛けていただいて、それで出てなんかこう
皆さんに覚えてもらって。
だから東京に出て来て半年ぐらいでテレビに出てるんですよ。
すごいラッキーだった。
ラッキーだったのはちょうど漫才ブームの前で
B&Bさんがグランプリをもうちょっとで取るっていうときに出たんで
それはもう「お笑いスター誕生!」を皆さんが一番見てるときですよね。
それで初代グランプリがB&Bさんじゃないですか?
そっからB&Bさんの怒濤の快進撃が始まって
その後、ぼんちさん、のりお・よしおさん、紳助・竜介さんとか
皆さんどんどん出て来て、もう何ですかね?
とにかく笑いでも漫才・コントはたくさんあったんですが、
ものまねがいなかったんですよ。
だからね、僕はすごいラッキーだったんです。
植竹
だから妙に目立ってたもんね。
芸人さんのオーディションで入ってきた人の
あまり友達もいなかったんじゃないですか?
コロッケ
いや、いなかったですよ。
だからあのとき、とんねるずとかトムぐらいかな?
あと、ギャグシンセサイザーの長谷川とか
あそこらへんは一緒に飲んだりとかしてたんですよ。
だからそれくらいですよ。あとはブラザーコーンちゃん。
よく一緒に飲んで新宿で騒いでて。
それで一番最初に声かけてきたのが貴明で
それで貴明が楽屋のところにみんな俺の周りに集まらないんですよ。
オカマだと思って、それで話し方もちょっと柔らかいし
「なんかアイツおかしいよ」みたいな。
植竹
こっちが口説かれるんじゃねえか?と思ってね(笑)
コロッケ
あ、そう?なんか「面倒くせえんじゃねえか?」みたいね。
それで貴明がそのとき初めて興味を持ったみたいで
寄ってきて「オカマ?」って、最初に。
植竹
あいつも高校生なのに。
コロッケ
だからもう何だろうな・・?
まああういう時期だったからラッキーだったんです。
今だったらいっぱいいるじゃないですか?
だからタイミングといい、ものまね芸人がその前の堺すすむさんとか
はたけんじさんとかも、桜井長一郎さん、
その後はちょっとクロベエが出て来てたくらいで
「スター誕生!」のコーナーで野口五郎さんやったりとかしてて
あと、ものまね芸人っていう芸人がそんなに若人さんくらいじゃなかったですかね?
植竹
若人あきらさん?
コロッケ
あと片岡鶴太郎さんとか、だからそこにあてぶりで
今でいう「エアものまね」ですよね。
だからなんかけっこう「変だね」っていうんで、
最初はだからみんな「何だ、あれ?」っていうんで見てて
覚えてもらったパターンですよ。
まあラッキーだったんですね。
植竹
当時赤尾さんが厳しかってね、だけどあういう演出家っていませんよね?
つまりあの人って軽演劇かなんかをやってらして、
パイプ椅子に座りながら動き付けるでしょ?
あういう演出家の方ってもういない・・
コロッケ
いや赤尾さん以外見たことないですよ。
植竹
いや僕はこうやってましたよ、
こういうふうに身体でこう・・ういうふうに。
あのね当時ね、フジテレビ「とびだせものまね大作戦」とか
「お笑い大集合」とか関西で「びっくりショー」とかね。
僕なんかも素人だったんで、出たんですけども(笑)
これ一応私チャンピオンになったことあるんですよ、変な話。
コロッケ
本当に?
植竹
コンちゃんなんかと一緒に出てね、そういうのに出なかったんですか他の?
コロッケ
他のはだって、熊本やってなかったから分からなかったです。
で、「お笑いスター誕生!」も最初は熊本やってなかったんですよ。
だからそういう番組があるっていうのも噂で「ぎんざNOW」にしても知ってて
熊本放送してなかったんです。だからただ歌番組ばっかりで
なんかそういうオーディションっぽいやつもなかったし。
東京出てったら「お笑いスター誕生!」をやってて、
「あー、すごいな」と思って見てたらその話が来てって・・。
だからそれ以外は何だろう・・「あそこ出たい」とか
「これ行きたい」とかっていうのは分からなかったの。
植竹
例えばね、鶴太郎さんだと鶴八師匠とかね、
そういうどっかに弟子入りするとかそういうあれはなかったんですか?
コロッケ
いや俺、弟子入りするその師匠と仰ぐところの場所がなかったですよね。
だって自分がやっているこの「エアものまね」っぽい芸風っていうのは
唯一ピーターさんくらいですよ。
ピーターさんが「象印スターものまね大合戦」であてぶりで
最初の「エアものまね」ってピーターさんですからね。
で、ちあきなおみさん、朝丘雪路さんとかの真似をしていたんですよ。
だから唯一師匠と言えばピーターさんしかいないかな?
でもピーターさん弟子入りしたわけじゃないし、
どこかに入りたいっていうのもなくて。
自分で全部考えて・・未だにそうですけど、
全部ずーっと自分で考えてますよ。
植竹
だけどね、その師匠がいない芸人さんって孤独じゃなかったですか?
コロッケ
あんまり俺ね、そういうのって何とも思わないんで
全然1人で・・まあ血液型B型なんですけど、
全然1人で平気なんですよ。
誰かいないとダメだとか、
まあ飲むときはみんな一緒にいたいっていうのがあるんだけど。
普段1人でプラップラしているし、1人でボーッとしていても全然平気なんで。
だからそういうのは一切なかったんですね。
「寂しい」とか「辛いのどうしよう」とか
植竹
それはやっぱり、心強いね。
やっぱりよく師匠がいる人の羨ましいところはね、現実にはよく多いですよ。
今の芸人さんってあまりいないじゃないですか?
コロッケ
なんかでも師匠がいて、師匠が「ダメだ」って言われたら
それが出来ないんで。ということは自由なことが出来ないんです。
野口五郎さんの早送りとかやっても「それよくないよ」って言われたら
それ言われたら「あっ、ダメなんだ」で終わっちゃいます。
だから未だに俺自分で考えているのはネタを、誰にも頼ってないのは
みんなと飲んでる席で「こういうのどうかな?」って言ったときに
「それ面白いじゃん」とかなんかそういうノリですよ。
リサーチしながら作ってる感じですよ。
植竹
ああ、そうか師匠なんかいると逆に足かせになっちゃいますよね。
コロッケ
俺はね、きっと違うんじゃないかと。
他の師匠の話を聞くと「あれ、ダメ」って言われたんだよ
とかっていうのを聞いたりすると、
「ああ、ダメって言われちゃうんだ」と思って
だから自分勝手に作ってきたから・・
まあそういう意味では怖さはありますよね。
自分でこれやって大丈夫かな?と思っていて
だからこそいつもそういう感覚でやってるから
「次に何をやろうか?」っていうのも一瞬に考えてやっていけるんですよね。
「大丈夫かな?」っていつも思っているんですよ。
師匠もいないし、バックボーンもないんで、
いつもちょっとビクビクしながら。
植竹
ちょっとね、これからネタ作りに関する技術論をお聞きしたいんですけども。
ネタを今回コロッケさんの「マネる技術」っていうご本が講談社新書からね
コロッケ
アルファ文庫で・・ありがとうございます。
植竹
にも書かれていたんですけども、
ネタは作ろうと思って作ってないっていうふうに書いてましたけどね。
コロッケ
そうやって作ったことないですし、
僕は唯一皆さんに不思議がられるのが俺今までやってきたネタ帳とか
みんなあるじゃないですか?俺1冊もないんですよ。
植竹
1冊も1行もないの!すごいな。
コロッケ
走り書きなんか書いたのはあるけど、もう俺の中では終わってるんですよね。
「あれこうだったかな?」とか「あれ引っ張り出してきてこれやろう」とか
っていうのはないんですよ。
植竹
全部覚えているの?
コロッケ
いや覚えているのもあるし、忘れているのもあって
俺のファンの人が「あのネタやらないんですか?」って言われたときに
「ああ!やってたね!」ってね。
植竹
それは何故?
コロッケ
まあ面倒くさいっていうのもあるんだけど、
書いてどうなるんだろう?っていうそこはある意味いい加減ですよ。
何にもないです。なんかだから自分の
例えば年のスケジュール帳あるじゃないですか?
あういうのの後ろにちょっと書いてたりとかはあるんだけど
それは今度のネタを何やろうかな?っていうんで
ちょっと軽く思いついたのを書いているくらいで
それでもほとんど開かないですからね。
植竹
この間、柳家喬太郎師匠来て下さって、
やはりあの人も全然・・例えばネタを作ろうと思って作らない。
なんかこう寄ってくるというか感覚として
コロッケ
あっでもなんか気持ち的に分かりますね。
だから街歩いてて自分の中で視点をちょっと変えてだけで
「あれどうだろう?」「あれどうなんだろうな?」って
例えば「ここにこの人がいたら?」
「これをこうした時にはどうなるんだろう?」っていうのを
普段ボーッとして考えてるんですよ。
自分では考えているつもりじゃなくても、
よくよく考えるとそうやって思っていることが多いなと思って。
だから例えばファーストフードに入る、飲み物頼む
S/M/Lどれにするか?それでダブルチーズバーガーにするのか?
普通のチーズバーガー、フィレオフィッシュって
1つこう決めていくじゃないですか?
じゃあ決めていくときに店員さんが誰だったら?とか
そのお客さんが誰々だったら?とか
それを見ている誰々とか、その奥にいる店長が誰々
油でポテト揚げている人は誰々っていうのを頭の中で想像しちゃうんですよね。
そうするとそこの空間が別の映画の物語みたいなってっちゃう。
植竹
それノイローゼみたいな(笑)
コロッケ
妄想ですよ、妄想!
だから俺はよく後輩にも言うんだけど、
俺3割似てればものまねはいいと、7割は妄想だよって。
そんなね、8割9割似ているのを見て
見ている方だって「あれ良かったよね」って言って
そのあと会話なくなるようなのは1つ方法としてはあるんだけど
それを俺の中ではコロッケ流としてはやりたいとは思ってないから
俺はもう3割似てればいいと、野球で3割つったらイチローだよ!っていう
7割はいいんだって、自分でっていう感覚ですよ。
植竹
確かにね、ものまねの芸って全くコピーしてもつまんない。
だったら本人見りゃいいわけだし。
コロッケ
だからそのつまんなくてもそのやってる人が
格好良かったり綺麗だったりするとね、納得するんですよ。
それが不細工で浸られてやられる方が視聴者としては
「何やってんだよ」ってことになっちゃうんですよね。
そこの違いもあるし、あとものまねやりたいのか?
歌をやりたいのか?でもやり方が違うし。
で、ものまね芸人の中でも歌のものまねをやりたいのか?
しゃべりのものまねをやりたいのか?でも違うし。
基本やっぱりコピー派とパロディ派、それからソング派としゃべくり派に
分かれるんですよ。いっぱい分かれるんですよ。
植竹
じゃあコロッケさんは何派になるんですか?
コロッケ
俺は全部です、卑怯だから(笑)
植竹
確かに、欲張りですね(笑)
で、コロッケさんのものまねは完全に似ているのか?と思ったら
全然違うように見えるのも(笑)
コロッケ
違うものも多いですよ。
でも実際じゃあご本人と比べて聞いたらそんなそっくりな子っていうのは
正直ほとんどいないですけどね。
感心するのは青木隆治とか荒牧陽子あたりは歌はかなり
音程もブレないし完璧ですよね。だからそういう子もいるんだけど。
俺がやってるのは、音程が合ってるとか合ってないとかって
いうのも関係ないんですよ。
だから最初合っていれば次ズレててもいいし。
植竹
ああ、俺なんかね・・テクニックとしてワザとズラしたりしてない?
コロッケ
いや、ワザとズラすっていうのも、このズラし方があって
そのワザとが見えた瞬間にいやらしくなるじゃないですか?
だから例えばトシちゃんのまねをするとしたら、
「♪悩み事を隠すの」ってここまで歌うのに、
最初から「♪な~や~みご~・・」って言うといいんだけど
それは本当にただ自分がフザけているだけなんですよ。
だから「♪悩み事をかくーすの↓」っていうそれだと
なんか聞いてる方が「うわあぁっ」ってなるじゃないですか?
それでそのズレたから次もズレるとか、1つの方程式を作ってるんです。
「♪あーんがーい 下手だね」「あっ!戻った!」とか。
ただやればいいんじゃないですよね?
そこはやっぱりズラすのでもなんか自分なりにですけどね、
それが正しい正しくない、フザけ過ぎてるフザけ過ぎてないか?は別として
自分なりのセオリーをちゃんと持っておくってことですよね。
そうしないとものまねってみんなそれぞれやるんだけど、
やっぱりみんな誰かのまねになってちゃう。
植竹
その・・今聞いてすごいおかしいんだけどね。
そのズラすって自分の論理的にやってるの?
それとも勘ですかね?
コロッケ
勘です、最初は。
それでやってて「やっぱりこっちだな」とか
「こっちの方がいいかな?」とか
だったら今すごいアーティストの人が
最後の音だけズレるのはどうなんだろう?とか
調子悪いときだったら?人間だからあるわけじゃないですか?
例えばEXILEでも「♪初雪にざわめく街でー↓」っていう
そうするとガッカリするっていうね(笑)
だからこれが俺の中で言えば、たまたまトシちゃんのやり方を
EXILEに置き換えている。
でも初めて聞く人は新しく聞ける、要は応用だと思うんですよね。
でも応用の中に大事なことはそのEXILEっぽい声を
出さなきゃいけないっていうことなんですよね。佇まいとか。
植竹
そのベースはちゃんとあってね。
コロッケ
これがただ「♪初雪にー」とかって歌ってもダメじゃない?
そのやっぱりそれっぽい感じを出してそこらへんで
「あっ、ぽいぽい!」って思わせてズレたよっていう
そこのやっぱり、何て言うんですかね?
自分の中のわびさびみたいなものっていうのは
誰かに教えてもらったわけでもないので
自分で長年やってきている中での勘で
「こんな感じかな?」「ここらへんがいいかな?」っていうところでの・・
時代によってもまたこれが違うんですよ。
バブルのころってのはもう最初っからフザけている方がウケるの!
今は最初はちょっと聞きたい、最初からフザけられると
「あー、ちょっと歌ってよちゃんと」ってなっちゃうんですよ。
だからそこらへんは時代と共に自分がいろんな笑いの人たちとか
今流行っている若手の笑いとかを見ていくと、「あっ、こっちの方がいいんだな」
「これぐらいの方がいいんだな」「じゃあこっちか」って。
で今「細かすぎる」ということがあるので、
1つの理由付けをすることによってその相手に想像させた上で
今度は笑いを取るっていう。
全部「そんなわけねえだろ」とか、
見ている人がツッコむというパターンですよね。
例えば美川さんで「♪いいえ私はさそり座の女 アアーン!」とかって
「いや『アアーン!』は言ってないから!」っていうその
「言ってなかったっけ?」っていうことの話なんですよ。
そうすると「なんか言ってるような気が・・」って
初めて見た人は・・
植竹
それちょっと待って、それ言ってるような気がしてやってるんですか?
コロッケ
そう。俺はそれね「じゃあここで『アアーン!』って入れよう」じゃなくて
もうノリに乗ってコンサートやってるときに出ちゃったのが
それがそのままネタになってってるパターン。全部そうです。
だから机に向かって「こうやってやろう」とか
「あれはこうしよう」っていうのは一切無いです。
植竹
そのライブでやってるうちに自然に「アアーン!」が出ちゃって
「これ、イケるぞ!」と。
コロッケ
「受けるんだこういうの」とかって
楽しんでやって出て来たから自分の中で飽きが来ないんですよ。
真剣に机に向かって「これはこうでこうしてだから・・」
「1小節のところで『アアーン!』って入れようとかって」
考えてたらダメですよね。
だから俺「アアーン!」っていうタイミングも毎回違いますから。
その「アアーン!」っていうタイミングもこれ細かい話をすると
音楽的な分け方をすると・・
表で「アアーン!」って入れるのか、裏で「アアーン!」って入れるのかで
お客さんの押し引きが出てくるんです。
だから「♪いいえ私はさそり座の女 アアーン!」(表)っていうのと
「♪いいえ私はさそり座の女アアーン!」(裏)っていうのと
そうするとビクッとするんですよね。
それによって聞いている方が「ああ『アアーン!』って言ったよね」っていうのと
「何、何?今の!」っていうのとかいろいろあるんですよ。
今度はそれを自分で言ったことを楽しんでいくことが楽しくなっちゃう。
植竹
あの噺家さんが寄席に出て、こうあまり詰めないで噺を練ってこないで
そうやって慣らしていくのとちょっと似てますね。
コロッケ
だから今「ものまね楽語」っていうのをやってるんですよ。
植竹
「文七元結」やったりしてるんでしょ?
歌舞伎でもやってるネタですよね?人情噺!
コロッケ
もうこれはね、あの自分で言うのもなんですけど面白いと思います。
だってお父っつあんが田中邦衛さんでお母っつあんが市原悦子さんで
娘が松田聖子さんで、置屋の女将さんが淡谷のり子さんで、
旦那が武田鉄矢さんでっていうふうに全部決めていくんですよ。
植竹
もう設定聞いただけでおかしいわ(笑)
コロッケ
だからこう映画を見てるわけじゃないんだけど、
俺を通して映画を見ている感覚になればいいと。
で一番「ものまね楽語」でものまねやる子たちに1つ気をつけて
この間ちょっと言ったことがあって、
噺家さんの間でやると絶対そんなの俺らがたどり着けるわけないんだから
そのものまねをやる人の間でやんなきゃダメだよって
だからこうやって「おお、お前どうしたんだ羽織りだしてくれよ」
「あらどうすんのよ、あなたどこ行くの?」「いいじゃねえか、黙ってろよこの野郎」
ってこういうポンポンポンポンいくのも
ちゃんと例えば田中邦衛さんと淡谷のり子さんでやるとしたら
「おぅ、羽織出してくれよ、いいから羽織出せって言ってんじゃねえかよ」
「あらどこ行くのよ、あんた?こんな朝早く?」「どこだっていいじゃねえか」
要はそういうことで間を入れることによって、
より違う感じで聞いてもらえる。
植竹
噺家さんの間とは違いますわね、今のね。
コロッケ
全然違います、だって噺家さんの間はそんなの自分たちが
そこにたどり着こうと思ったら、10年20年かかりますから
だったら大変申し訳ございません、ものまねで
だから「ものまね楽語」の「らく」っていうのは
楽しい方の「楽」で「ものまね楽語会」っていうのを
ちょっとものまね芸人だけで作って
1年に1回できるようつうんでちょっといろいろ動いてますね。
植竹
面白いな、しかしさっきから聞いているとコロッケすごい考えているね。
びっくりしちゃった!
コロッケ
考えてるんだけど、楽しんで考えるから
「考えている」っていう感じはしてないですよ。
「ウワーッ」とか「ああーっ!」とかっていうふうには思ってない
「ああ、そうかなー」とかって、だからたぶん続くんだと思うんですよね。
あと冒頭で言ったように自分がウケたいとか
俺を分かって欲しいっていう感覚はないんです。
だから続けられると思うんですよね。
そう思ってたら自分のやったのが分かんねえかな?とかっていうことで
愚痴になっちゃうじゃないですか?
僕は笑いって愚痴になったときに終わってると思うんですよね。
だからそこらへんが自分の中では
今の精神状態がそっからズレないようにしなきゃいけないな
っていうのは思います。
植竹
さっきもおっしゃってましたけど、毎日ものまね芸をやる。飽きない?
よくね、シンガーソングライターとかステージでやってて
「なんかこの間は面倒くさくてね、歌うのすごく嫌だった」って
「飽きている」っていう人もときどきいますよ、
それも一流のアーティスト・ミュージシャンでも
そういうことはないですか?
コロッケ
ないです。例えば五木さんのロボットやるのでも
僕、毎回動き全部違いますから。微妙に変わっているんですよ。
首の動き1個でも。
細かいこと言うと90度右に向くのか?
85度くらいでちょっと右向いたり、60度にしたりとか
その日の気分によって変わるので
その日の気分でロボットの重さが「ああ、今日は200kgぐらいだな」とか
「今日は300kg」とかそうすると沈み方が変わるんですよ。
膝とか腰にバネが入っていてそのクッションのあれが変わるとか
だからそれを全部組み立てていくと楽しんで
またちょっと今、今度は「ものまね楽語」をロボットで出来ないかな?とか。
植竹
なんかそのロボットのものまねのマイクロチップを付けさせてくれ
って言われたことがありですって?
コロッケ
はいはいはいはい、そう研究の人に。
植竹
あの理化学研究所みたいなのですか?
コロッケ
そうです、あのなんかすごい全身にいっぱい付けて
その動きの?僕がやる顔の動きがその1秒間に30コマだったかな?
割って撮るやるハイスピードカメラみたいな。
割って撮るのがあるんですよ、そのうちの1コマがブレてたんですよ。
普通はどんなに速く動いてもスポーツ選手を撮ってもブレないんですよ。
植竹
どういうこと?
コロッケ
1秒間の30カットなんですよね、カメラで。
そうすると1秒間に30カットっていったらもうとんでもない数じゃないですか?
0コンマ0何秒の、それの中の1枚だけがブレてたんです。
ということは僕はそれ以上に速く動いているってことなの。
だからもう研究者の人たちが「これ何だろう?」みたいな話になって
いや俺からすれば別にそんなに「えっ!」っていう感じなんで
それを全部撮って研究してそれで俺のロボットの動きを研究すると
それを俺と同じような筋肉を持ったロボットがもしその動きが出来たら
それを当てはめればこの動きが出来るとかって
1つの研究材料になるらしいです。
ただすごい時間がかかるって言ったから「えー、やだー」って言って(笑)
植竹
いやだけど調べたら面白そうですね。
コロッケ
まあ確かに今となっては「それもいいかな?」と思うけど
でも俺のテーマっていうのは、ロボットを例えば30年後とか50年後に
誰かがロボットで誰かのまねをやりだしたときに
「もうやってるよ、先に。あの動き」ってことなんですよ。
エンターテインメントってここ1年とか、ここ2・3年とか5年じゃなくて
もう自分が亡くなった後に「ちょっともう先にあの人やってんじゃん!」
っていうのが俺の中ではテーマなんですよ。
植竹
壮大な夢を持ってますね。
コロッケ
はい、だから今はロボットの動きもCGの動きをやってます。
もしかしたら「楽語」もゆくゆくは何か形を変えて
歴史的に残っていくもんなんですが、
その中で別の「楽語」が出てくるかもしれないじゃないですか?
新しいやり方、その時代によっての。
もしかしたらロボットの「楽語」も出てくるかもしれない。
だったら先に俺がロボットの「楽語」をやっておけば
「先やってんじゃん、あの人!」ってことになるので。
だからそういうことを今考えてCGの動きをちょっと練習してる。
植竹
いやもう既にね、「コロッケ」という存在は誰もいないですよ、他には。
あの「コロッケ」に似ている芸人っていないですよ。
コロッケ
なんかでも来たら嬉しくなってどんどん教えますけどね。
いやなんかね、どっかで他の後輩たちってあれなんですよ。
「コロッケさんがそこはやってるから、
俺らはそこに行かないようにしよう」
って思ってるんですよ。
植竹
それもあるし、出来ないっていうのもあるのよ(笑)
コロッケ
うーんでもね、それはね俺「出来ない」っていうのは
俺だって踊りは出来なかったんですよ。
でも練習を諦めないんです。
植竹
えっ、もともとあういうの好きだったわけじゃないの?
コロッケ
ダンスは好きですけど、あのロボットの動きっていうのは
自分でやっててもそんな「ワーッ」っていうほどのものじゃない
ただ踊りが好きで踊ってたとか、それぐらいなんで。
やっぱりそれは練習なんですよ。
諦めないでやると、やっぱりたどり着けるものってあるんだろうなと
俺思ってるんで、自分の身体が動く間は諦めない。
植竹
けっこう稽古好きなの?練習好き?
コロッケ
かといって、そんなに練習はしないです。
あのー、無駄に動かないっていうんですかね?
植竹
例えば、集中してやるわけ?短い時間で?
どうやってやってるんですか?いつ?
コロッケ
例えば1時間あるとしてじゃあ今から音をかけて稽古しようと思っても
実質僕がやってるのって20分ないですね。
植竹
へー、あとは何しているんですか?
コロッケ
お菓子食ったり、コーヒー飲んだり(笑)
植竹
なんか考えている時間の方が長いってこと?
コロッケ
分かんないですね、普段も歩いてても車に乗ってても
「アレなんだろう?こうなんだろう?」「ああ、こうなんだ!」
「ここ何が出来た?」って勝手に思っているんで
それが1つのクセになっているのかな?
だからその人が前から歩いてくる、アベックが・・
アベックっていう言い方も古いけど(笑)
カップルが歩いてくる。女の子が不機嫌そうだけど?
男は嬉しそうだけど?あっ、これは女の子は嫌なんだなこの男の子のことを
とかそうすると自分で勝手に会話が出来てくるんですよ。
(男)「今日は嬉しいよ」(女)「あ、ほんと?」って
軽くいなそうとしてる女の子の空気とか一生懸命な男のどうにかしようと思って
今日の夜どうにか出来ねえかな?と思っている男のズルさと切なさ
それに引っかかるもんか!と思ってる女の「バーカ」と思ってるね
その面白さみたいなものと、あとその代わり歩いてて他のイケメンが横を通ると
その女の子がそっちを見てたりするとか
そうするとね、会話がどんどんどんどん増えて来るんですよ。
こういう感じなのかな?これこうなのかな?じゃあこうしたらどうなんだ?
じゃあこうなのかな?とかっていうのが
そうすると自分で見て普通に公園とかでボーッと座ってても楽しいし
普通にホコ天歩いてても楽しいしって感じですね。
植竹
人生楽しくていいですね。
コロッケ
俺、異常なプラス思考ですからね。
コケて怪我して捻挫したときに「あー良かった、骨折らなくて」
っていうタイプなんです。
それでいいんじゃないかな?
なんかあんま「うわーなんでこんななったんだろう!」と思うと
もうそれしか考えないじゃないですか?
「あっ良かった!これぐらいで」と思ってると次を考えられる。
植竹
ただね、その流石にご自分のライブとか、稽古するでしょ?
コロッケ
はい。します、します。
植竹
それはいつどこでどうやってやってるんですか?
コロッケ
これね、うちのマネージャーも稽古見たことないんですよ!
植竹
あのー、名人上手っていうのは噺家さんもそうだよね?
見せないんだよね、なかなか。
コロッケ
だからホテルの部屋だったり、1人でちょっといるときに口ずさんでたり
まあだからこういう言い方変だけど、歌本番ちゃんと覚えてなかったりするんです。
植竹
それワザと見せないんですか?
コロッケ
いや何も意識してないです、何にも意識してない・
植竹
本番覚えてないって何それ?(笑)
コロッケ
覚えてないときありますよ、歌。
「あれ?忘れちゃった!」とか、だからうちの周りはよく知ってますよ。
「あっ、歌詞間違えたまんま覚えてる!」とか。
植竹
根詰めて練習しないの?
コロッケ
根詰めて練習を・・ダンスとかロボットの間とかそういうのは全部・・
僕も音入れには全部立ち会って、自分で「ここは0コンマ何秒くらいで入れて」
とかってやるんで、それを覚えるのはすごい根詰めますけど
そんなに覚えなくていいようなものっていうのは
意外と軽くしか覚えてないですね。
本当に軽くしか覚えてないと、そこの間におかずが入るんで
そのおかずを自分で埋めていくんです。
そのときに何かが生まれたりする。
植竹
やっぱり新作落語の作り方に似てますね、昇太さんもそんなこと言ってた。
コロッケ
面白い!だから新作落語でもちょっと今いろいろ考えていることがあって
そのすごいちゃんとした例えば「ゼロの焦点」とかあるじゃないですか、映画の?
あれの配役を誰かに変えてやるっていうのは?
植竹
もう、おかしそうだわ(笑)
コロッケ
でもあれなんですよね、僕思うのがいつの時代であれ
命を賭ける時代であれ、平和な時代であれ、やっぱり楽しいこと
面白いこと愉快なことって絶対あるので
その人情がそういうものの中に入ってきて
何かそこの人情の中に触れることによって生き方が変わった
そういう生き残ったことによって方向性を見いだしたとか
そういうことがもしものまねでもしそういう形の違う感動があれば
だから「文七元結」やらさせていただいて「大銀座落語祭」で。
小朝師匠に声をかけていただいて、
最初は「自分なんかは落語なんてやったことないし、それでも良かったら?」って
でも声かけていただいたことが嬉しいので、
これどうにかしてなんかやろうと。
植竹
小朝師匠に「ものまね楽語」をやって下さいって言われたんですか?
コロッケ
いえ「落語を」って言われました。
植竹
古典落語?
コロッケ
いえ、何でもいいからって。
で、僕がそこで思ったのが僕がもしお客さんだったらどうだろう?と。
やっぱりものまねやらなきゃガッカリするよと。
だっから誰かで落語をやるのもあったんですよ。
でもそれだとなんか今ひとつ自分の中で落ちない。
武田鉄矢さんで落語やるとか、これも1つアリなんですよ。
植竹
武田鉄矢でずーっと落語を押し通すってことですよね?
コロッケ
でもそれだと気持ちが入れない。なんか違うんですよ。
「羽織を出してくれ、いいから羽織を出せって言ってるんだ」
「どこ行くの、あんた?」なんか気持ちの落ちどころがないんですよ、俺の中で。
植竹
これはこれで面白いけどね(笑)
コロッケ
で、配役を変えてやって、それで僕そのとき落語って本当に分かってなくて
短編でいっぱい書いてあるじゃないですか?物語、
こんな落語ありますよっていう・・
それで「文七元結」だけ僕は食いついたんですよ、人情で。
「なんてこんないい話あるんだろう!」って
ちょっとしか読んでないのけっこうグッと来ちゃって
で、じゃあこれをやりたい!と思ったら50分くらいになったんですね。
そのときに初めて言ったときに小朝師匠に言われたのが
「なんで『文七元結』選んだの?」って言われたんです(笑)
そうすると誰もにみんなに言われたんですよ。
それで「えっ!」と思って、よくよく調べたら
これは名人中の名人しか出来ないものをなんでコロッケは選んだんだ!って
もう全部、キッチュにもナベちゃんにもみんなにも聞かれて
「いや、物語がいいから」っていうだけの理由なんですよ。
でもこれはお客さん、こう一応ちゃんと配役を変えて全部やって
やっぱりそのおとっつあんが娘が自分の身体を売ってお金を作ってって
そういうシーンでも、
(邦衛)「ありがとよ、うちの娘が・・本当悪かったよ」
(聖子)「お父っつあん、何で来たの?」
(鉄矢)「おい、お前は娘の気持ちが分かってない」
(淡谷)「そうよ、この娘はね・・」
ってそういうふうにして、それで・・
植竹
元をしってるだけにおかしい(笑)
コロッケ
それで橋のところで悩んでいる文七が志村けんなんですよ。
(邦衛)「何やってんだよ」
(志村)「なんだうるせえな、この野郎。
私、今考え事してるんだからこっち来るんじゃねえよ」って
(邦衛)「ちょっと待てよ、おめえ今飛び込もうとしただろ?」
(志村)「そんなわけねえだろ、あっちいけうるせえな。あんた何なんだよ」
(邦衛)「いや、お前飛び込もうとした!俺は見たら分かるんだ
いろいろ人の様子をずっと見てきた」
(志村)「分かったから、あっち行ってくれよ。飛び込むのに・・」
(邦衛)「ほら、飛び込もうとしたじゃねえか」
こういうふうに。
植竹
ハハハ(笑)
これ落語知らない人も面白いけど、
落語ファンも元を知ってるからなおおかしいよ、これ。
コロッケ
もうそのときに気持ちが盛り上がっていくと、
セリフをちょっと変えてもうちょっと人情っぽくしたくなるんですよ。
そうするとだんだんだんだん、田中邦衛さんと志村けんさんで
笑ってるのがお客さんが笑わなくなってくるんですよ。
シーンとしてくるんですよ。
だからそうなってきたときに俺の中での別のものが芽生えたんですね。
植竹
ちゃんと、じゃあ最終的に人情噺になったんだ。
コロッケ
はい、もちろん。
植竹
そりゃだってコロッケさんの今までのものまねではないでしょ?
泣かせるっつーのは。
コロッケ
ないです、ないです。
だからその淡谷のり子さんが女将でお父っつあんを怒るときでも
(淡谷)「あんたね、この子の気持ち考えたことあるの?」
(鉄矢)「私も本当に辛いよ」
(邦衛)「えっ、何が?」
(鉄矢)「何がじゃねえよ・・」
ってそういうふうにやっていくと
だんだんだんだん入り込んで行くんですよね。
だから「ああ、これもあるんだな」っていうんで
それで「初天神」とかもこの間、劇場では長くやれないので
やっぱり7~8分、
10分かかっちゃいけないので
「初天神」をやってたんですけども。
それは最後、おっ母さんも出店に現れるんですよ。
植竹
あれ、落語ではないでしょ?
お父さんと子どもだけですよね?
コロッケ
最初モメて、ちょっとあれで終わり・・
でも最後にその団子を蜜につけた食べたりするじゃないですか?
食べているうちに子どもが志村けんさんで
(志村)「おっ母さんにも食べさせてあげてえな」
(邦衛)「そうだな・・でもちょっと家に置いて来ちゃったからよ」
(志村)「えー、でもじゃあおっ母さん連れて来ようよ」
(邦衛)「いや今から帰ってきたら日が暮れちゃう、ダメだろ」
「じゃあ今度明日連れてくるから」っていうと
(志村)「あっ何だおっ母じゃねえか」
(淡谷)「あらここにいたの?何?」とか言って
(邦衛)「これ美味しいんだ、お前も食べるか?」
(淡谷)「あらいいじゃない?」って言ってるうちに
最後にお父っつあんとおっ母さんの会話になる。
その会話の中で最後に志村けん、お子さんが
(志村)「またこうやって3人で来ようね」って終わる。
植竹
なるほど!
コロッケ
その子どもの思いを僕は伝えたい。
生意気な子なんだけど、本当は一番夫婦のことを
考えてたってことにしたかったんです。
そういうふうにこれが僕が噺家さんじゃないんで
勝手に物語を変えても要はやりっぱで逃げれるじゃないですか(笑)
これが噺家さんだったら
「ちょっとそこまでズレたらおかしいだろ!」
って噺になるじゃないですか?
だから師匠がいないから、噺家さんの師匠もいないので(笑)
勝手にやれるわけですよ。
植竹
確かに、普通だったら噺家さんがさっきの「文七元結」
小朝さんに「これ、やります!」って言ったら
「お前ふざけんじゃねえ!」ってなりますわね?
コロッケ
もう最初で終わりですよね。
出した時点で終わりです。
植竹
まあコロッケならいいか?と。
コロッケ
もうそれしか僕が作って来てないんで、
しょうがないかってことになるじゃないですか?
まあでも落語だけで
「もうちょっといろいろやればいいと思うよ」っていうふうに
言っていただいたんですけど
「いや、僕に求められてるのはものまねなので、
やっぱりものまねでやらさせて下さい」っていうふうに・・
植竹
「子別れ」とかどうですか?
コロッケ
ああ、いいですね!
そうなったら誰なんだろうな?
でも説得力ある感じで行くと、武田鉄矢さんとか・・
いや武田鉄矢さんって急に「コラー!」って言ってるのが
(鉄矢)「あなたたちには分からない大人の世界があるんだ・・」
こういうふうにしていくと・・
植竹
コロッケさんの他の人の武田鉄矢さんのものまねとそこが違うんだよね?
コロッケ
はい、武田さんが本当にドラマとか映画でやる
ちゃんと持って行くときの間とかを僕は僕なりに研究して
それが全部ではないんですけど、やってるんです。
だから他にもネタいろいろあるんですけど、
そば屋のメニューを武田鉄矢さんで言うと、とても高級なそば屋になる。
植竹
例えば?
コロッケ
(鉄矢)「かけそば」
・・あっ、高いんだな!っていうそんな感じなんです。
で、トシちゃんとやると、ちょっと安い感じになっちゃうとか。
なんか自分の中でいっぱい膨らんでいるんで、
それがどこだ?って言われると逆にファーストフードでもいいわけだし
家の中でもいいわけだし、
なんかじゃあ説得力ある人ってどの人とどの人とどの人かな?とか
そういうふうにして考えていくと、なんかやっぱりこっちかな?
こっちもいいな?
今だったら阿部ちゃん、やっぱり「テルマエ」でこう・・
阿部ちゃんの方がいいかな?っていう
必ず驚く役で出てくるとかね。
(続きはこちらから)
コロッケが語る「いいなと思う人のまねをした方がいいと、一番手っ取り早いし」
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