今回は2016年1月31日配信
「渋谷らくごポッドキャスト『まくら』」より
スポーツライター・村瀬秀信さんとの対談部分を起こしたいと思います。
サンキュータツオ(以下、タツオ)
それではトークゲストお呼びいたしましょう。スポーツライターの村瀬秀信さんです、どうぞ。どうでした、落語?
村瀬秀信(以下、村瀬)
いやー面白いっすね(笑)月並みですけどね、ちょっとびっくりしました。
タツオ
前半の記憶とかあります?大丈夫ですか?
村瀬
大丈夫です、ノートとってます。
タツオ
今日かなり濃かったです。
村瀬
濃かったですね。
タツオ
あのー、珍しい話も出ましたし。まあ講談のお噺「天保水滸伝」ありましたし。そうですね、なんか小痴楽さんがベトナム行ったときの話すっごい昔のように感じるんですけど。
村瀬
そうですね、もう何がスタンダードなのか分からないんで、僕。ベトナムがスタンダードとかじゃないか?っていうね(笑)そういうふうに思ってしまいますね。
タツオ
さあ、まず全体としてどんな印象を持たれましたでしょうか?なんかこう新たな発券と言いますか・・?なんかちょっと思っていた落語のイメージ通りだったなというのと、そうじゃなかったなみたいなところあったと思うんですけれども。
村瀬
うーん、いやとにかく4人ともまた全然違った味わいがあって。
タツオ
今日は特に違いが。
村瀬
面白かったですね。いやーだか誰に例えようっていうのをすごい考えてたんですけど、けっこう楽でしたね。
タツオ
あっ、そうですか?誰に例えるか?っていうのは。
村瀬
出番っていうのも、順番っていうのも野球と同じで打線的な組み方っていうのがあるんだなって。
タツオ
おっ、確かにそう考えると今日はもう最後4番打者が。
村瀬
そうそうそうそう!
タツオ
しっかり・・まあどこの球団の4番打者かは。
村瀬
4番もタイプはいろいろあるんですけどね。いやただ本当「1番、2番、3番、4番」っていうこの出番っていうのがすごい効いているんだなとか。
タツオ
確かに松之丞さんも3番目っていうことに対してやりにくさみたいなことをおっしゃって下さってましたけれども。まあ確かに難しい位置なんですよね。
村瀬
「3番最強論」っていうのが野球にはありますからね。
タツオ
あ、なるほど。「3番最強論」そうですね、確かにね。
村瀬
長嶋が打つか、王が打つか?っていうのはけっこうありますからね。
タツオ
確かになるほど。じゃあどうでしょうか?まず小痴楽さん、スポーツライターから見て、まずどんなタイプの選手でしょうか?
村瀬
えー、小さく痴漢を楽しむ方ですね(笑)いやーとにかく僕は、この方平成生まれなんですよね?
タツオ
そうですよ!もうこの「渋谷らくご」の中でも1番年齢の低いというか若いね。けれどもキャリアは他の二つ目さんよりも早いという、もう高校生で入門しているんで。
村瀬
いや、ですからもうなんかそのスピード感と迫力とっていうのに圧倒されたというか。すごくよく似ているのが今、西武ライオンズの森っていう・・
タツオ
すげー新鮮な落語会だな、これ(笑)小痴楽さんが西武ライオンズの森?
村瀬
ええ、まあ金髪で藤浪とか年上の人にタメ語を平気で使っちゃうような感じなんですけれども。
タツオ
ああ、ベイスターズでいう石川的な存在な感じですね。
村瀬
そうですね。今また金髪になってますけど。その西武の森くんっていうのがやっぱりその1発の魅力っていうのと、勢いと。あとフルスイングなんですよね全体的に。それであの・・やられた演目が古典になるんですね?
タツオ
古典ですね「宮戸川」っていうね。
村瀬
だから昔いた門田博光っていうですね、小柄なフルスイングをする。あれによく似ているんですよね、森くん言われている。その古典を新しい形で体現をしている。
タツオ
ああ、鋭いですね!村瀬さん。
村瀬
いやいや、呼んでいただいて光栄です。
タツオ
いや確かに、小痴楽さんはやっぱりフルスイングの魅力がやっぱりあるわけですよ。全力でやるという。
村瀬
それでいてやっぱりですね、ホームランバッターに一番大切な「下半身の粘り」っていうのが一番大事なんですよ。
タツオ
ハハハ、誰が「上手いことを言え」って言ったよ(笑)「下半身の粘り」確かにね、ありましたけど。
村瀬
下半身の粘りがかなり最後の方までありましたので。
タツオ
別に落語家みんな座っているから下半身の粘りありますけれども。噺の方もありましたし。
村瀬
ベトナムだとか、ちんちんだとか。
タツオ
確かに・・あっそうか!西武の森。入船亭扇里師匠はいかがでしょうか?
村瀬
いや扇里師匠は本当に噺に惹き込まれますね。面白いというか・・
タツオ
またこのなんていうか・・皆さんの中にどれだけ入船亭扇橋師匠のあのころにイメージがあるか分かりませんけれども。その画が浮かんでこない人の思い出話を聞くっていう不思議な感覚ね。
しかもおじいちゃんじゃない人から思い出話を聞くという、あの不思議な感じから「紋三郎稲荷」っていうちょっとおとぎ話みたいなお噺に入っていきました。
村瀬
本当ですね、なんか紙芝居屋さんに昔子どものときに聞いていたような雰囲気で。
タツオ
そうなんですよ、だから扇里師匠は絵本も出されてる。絵本の原作もなさっているっていうそういう方なんですよ。
村瀬
で、ベイスターズファンなんですよね?
タツオ
ベイスターズファンなのでまあ分かんないですね。最終的には6位みたいなところになるんでしょうね。
村瀬
いやでもちゃんと落ちたときにも、なんかほんわかした感じで。良い気持ちになって落ちたっていうベイスターズファンの(笑)
タツオ
これはじゃあ選手でいうと、どんな選手になりますか?
村瀬
でもやっぱり噺の組み立てだとか構築の仕方とかいうのもどんどんなんて言うんでしょう?試合巧者というか・・魅せていく。ある意味、三浦大輔のピッチングを見ているかのようですね。良いときの三浦大輔。
タツオ
エー!三浦?マジっすか!?組み立てでいうとっていう感じだ、ああなるほど。
村瀬
もう気がつくと討ち取られているっていうような感じですか?
タツオ
いや扇里師匠ね、今日だからいつもよりもちょっとライブ感重視というかお客さんの反応に合わせて思い出す徒然なるままに思い出トーク見たいな感じで。
村瀬
「ああ、思い出しました!」ってやりましたもんね。
タツオ
今日けっこうだから最初から配球を決めてない三浦大輔だったんですかね?
村瀬
だからたぶんバッテリーとの呼吸でその三浦大輔はバッターを見て呼吸を決めていますから。だから打ち気があると思ったらちょっと内側に曲げたりしますから。そういうことができる人だと思います。
タツオ
うわっ、楽しいなこういう話(笑)
村瀬
ベイスターズファン以外、大丈夫ですか?(笑)
タツオ
落語会を聞いて別のジャンルに置き換えるっていうね。あっそうか!扇里師匠はそうですね。
村瀬
やっぱり良かったです。
タツオ
まあ誤解を恐れずに言うならば、誰しもの目を惹いて目立つようなタイプではないんですけれども、じっくりと自分の網に掛けていく感じ?
村瀬
まさに三浦大輔だと思います。横浜ベイスターズなんて誰も見ないですね。その中である意味エースとしての実力を・・
タツオ
待って下さい!その自虐的だっていうベイスターズあるある止めましょう(笑)もうベイスターズファンみんな自虐ネタになっちゃうから。まあでも三浦大輔、そうですか。そして3番目、まずは講談というものに?
村瀬
ビックリしました!
タツオ
あっ、そうですよね?
村瀬
いやーまさに助っ人外国人っていう感じでビックリしました。
タツオ
そっかー!助っ人外国人か!落語が日本野球だとしたら講談はベースボールだったんですね。新鮮!超新鮮!
村瀬
もうビックリしました。いやー面白かった。いやだから始めで笑わしにかかってじゃないですか?大笑いしていたんですけれども。あの本気になったときのあの感じ、気がついたらもうね。あの迫力とあの語り口と。
タツオ
まあ「天保水滸伝」ね、松之丞さんも1人でやられてるのチラシ入っていると思うので良かったら観に行っていただきたいと思うんですけど。
その複雑な話というか構造というか「アウトレイジ」みたいな話っていうか「巨人対阪神」みたいな話というか、そういう感じじゃないですか?
村瀬
ええ、確かに。何?上州の長岡?あれが出てきたの・・「上州って言ったら国定忠治じゃないの?」って思ってたら、まさに国定忠治!
タツオ
国定忠治、超怖かったっすね!
村瀬
緊張しましたね!
タツオ
いやー本当ちょっと今度「アウトレイジ」出てもらおうと思いますよ、推挙したいですよ。
村瀬
それで一番最後にまたね、古老から聞いた話みたいな、これも併せてね。あの感じっていうのはもう助っ人外国人の3番打者でブライアントっていうのがピッタリですよね。
タツオ
ブライアント!
村瀬
ブライアントは本当に普段は陽気な・・
タツオ
ちょっとラミレス寄りの人っていうかね。
村瀬
あれが本気モードに入ったときのあの鬼気迫る感じ。89年の西武との最後の。
タツオ
しかも「如何にも打つぞ!」っていうね。
村瀬
4打席連続ホームランっていうのがあって、西武を逆転して近鉄が優勝した年があったんですけど。あの年、キャッチャーの伊東勤さん・・
タツオ
流れるようにしゃべってますね(笑)
村瀬
すいません(笑)
タツオ
自分のフィールドで「こんな饒舌な人だったんだ!」って。そうですよ、ありました4打席。
村瀬
あのときに「光が差していた」っていうくらいブライアントが、それぐらい神がかっていたっていうくらいですね。
タツオ
なるほど、松之丞さんにこれから「ブライアント芸人」を名乗っていただきましょうね。
村瀬
もうなんかね、申し訳ないですけどね。
タツオ
でもこの文脈だとそうかもしれませんよね。確かにね。
村瀬
いやだからそれで「そうなんだなぁ」と思って。はじめて講談ってものを。
タツオ
こういうテーブルみたいなのを置いて。ちょっと講談と落語の違いもあったりとかね。
村瀬
なんかテーブル出てきて、名前も出てこないし。
タツオ
そうですね、それでなんかちゃんと泥棒といっても偉いやつが講談に出てくる。泥棒だと全然ダメなのが落語に出てくる。落語disりが凄かったですけどね(笑)
「あなに落ちたー!」みたいな、そういうの言ってましたもんね。確かに間抜けな泥棒多いんですけどね。
村瀬
面白かったです、そのへんも含めて。
タツオ
いやでもそうなんですよ。ダメな人たちが出てくるっていう「業の肯定」ですよね。罪のない人たちが出てくる。じゃあ文左衛門師匠、まあ4番打者。
村瀬
いや4番ですよ!ブライアントが「次のバッターに託す」って言った存在ですよ!
タツオ
そうですね、「どれを選択しても正解です」って言ってましたもんね。
村瀬
これは僕もう落合しか考えられなかった!
タツオ
落合!
村瀬
いやまあ風格なんですよ!出てきたときの。なんか雰囲気っていうのが大打者ってやっぱりあるんですよね。そういうものが出てきたときにすごい身のこなしが柔らかい感じじゃないですか?
はじめ声も小さくて、なんとなくみんな笑わせに行ってなくて自分が納得するのが笑いみたいにおっしゃっていて。「ああ、なるほどこれは聞かせるな」と思って、ネタに入っていったらどんどんどんどんまた行くじゃないですか?
またね、内容が面白かったというかね。左甚五郎ですか?
タツオ
左甚五郎っていう名工のお話、いくつか落語にも残ってますね。その中でも「竹の水仙」っていうのはお噺で。
村瀬
あの宿屋の親父とのやりとりがまさに落合と中日の今の年俸を上げてくれって言っている選手と落合が「何を怒っているんだ」っていうのと同じように聞こえてしまって(笑)
タツオ
えっ、ちょっと待って!じゃあ落合が無一文っていうことですね、左甚五郎。
村瀬
そうです、そうです!ちなみに落合は大学を卒業して社会人を入る前に中退しているんですけどね。そのとき浮浪者やっているんですよ。
タツオ
えっ!あの東北の方の?
村瀬
東北から出てきて、東洋大学に入って野球部で途中で合わずに辞めてるんですよ。そのあとプロボウラー目指すとかいろいろあるんですけど。その過程で浮浪者をやっている時期があるんですよ。
タツオ
えーっ!浮浪者やっていたんですか!?じゃあもう落合じゃないですか!
村瀬
そう!落合なんですよ!
タツオ
「あなたがあの3冠王の!」みたいなことですよね。落合が「このボールなんか宿屋の前に置いといて」みたいな、そういうことですよね?「バット売れた?」みたいな。
村瀬
そうです、そうです!えっちゃんは長嶋茂雄ですよね。
タツオ
「何故バット?あれ買ってきなさいよ」みたいな。「いわゆるひとつのバットですね」みたいな。
村瀬
そういう感じです。で、使いに行ったのが元木みたいな感じです。
タツオ
元木ね、くせ者(笑)与太郎みたいな。いろいろ失礼ですね(笑)
村瀬
あのー、落合さんのパシリやってたって言ってましたから(笑)
タツオ
そうか、でもそういう意味では風格も含めて文左衛門師匠。
村瀬
そうですね、だからこの1番・2番・3番・4番っていうのは本当に面白かったですね。
タツオ
扇里師匠、ピッチャーですけど大丈夫ですか?バッターじゃなくて。
村瀬
いやでもベイスターズファンなら三浦大輔以上に例えられて嬉しいことはないというのが僕の中のポリシーではあるので(笑)
タツオ
もう僕らの精神的支柱ですから、三浦大輔は(笑)神ですからね、皆さんも今年横浜スタジアム観に行って下さい!
村瀬
そういう話ですか(笑)
タツオ
三浦大輔登板試合、観に行って下さい!もう本当、泣くしか・・涙しかない!
村瀬
あと28勝で200勝ですからね(2015年終了時点)
タツオ
もう50歳まで投げてもらわないとね。このあと飲みに行きましょうか?
村瀬
行きますか!(笑)
(了)
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