今回は、2012年4月3日放送「大竹まことゴールデンラジオ!」
「大竹紳士交友録・山口一臣さん」の回を起こしたいと思います。
音声は配信期限が過ぎたため、ありません。
山口一臣(元・週刊朝日編集長:以下、山口)
えー、実はですね私ども朝日新聞出版からですね
「福島原発の真実 最高幹部の独白」っていう本が出たんですけど。
今日はちょっとそれを紹介させて頂きたいと思うんですけども。
要するに、福島第一原発に事故直後からですね
その事態の収拾のために指揮をしていた現場の最高責任者の方が
ジャーナリストの今西憲之さんの取材に応じて長時間の聞き取りを元に
この本が書かれていて。
これまでも原発の事故の検証の様々な書物が出てるんですけども、
やっぱり当事者がここまで赤裸々に語ってるものは、
今回が初めてということで。
まぁこれは現場サイドから見た一つの視点なんですけども、
一端がよくわかるということですね、興味があれば是非読んで貰いたいんですけどね。
真鍋かをり(以下、真鍋)
その最高幹部っていう人はお名前は出していらっしゃるんですか?
その人も匿名で・・。
山口
一応は匿名を条件で。
これは何で?かと言うとまだ実は東京電力の中にいらっしゃる方で
幹部でもある立場があるのでですね、
いずれは自分の名前でも発表したいと仰ってるんですけども。
それよりも前に一刻も早くこの現実を知って欲しいということで
今回、今西さんに中身を語ってそれを本にしたという内容なんですけどね。
大竹まこと(以下、大竹)
でも現場の最高責任者と言えば、だいたい想像はつかないでもないですね。
山口
この事件をずっとウォッチしてフォローしていた方は、
おおよそ分かると思うんですけどね。
私どもの方としては匿名を条件ということで。
真鍋
じゃあ見る人が見るとわかっちゃう?
山口
まぁ読んで頂けるとですね、誰なのかな?っていうのは
だいたい想像がつくかもしれませんけどね。
それも是非読んで頂ければと思います。
大竹
すごいですね、最高幹部の独占というのは。
山口
そうですね、色々な事情があるんですけども。
やっぱり何でこの人は東京電力の社員であり、現場の責任者という立場がありながら
メディアに対して話をしたか?というとね、
自分たちが正に目の前にしているこの事態と状況と
実際に政府や東京電力本社が発表してニュースになっていることが余りにも違うと。
「違いすぎる!」と、もう大本営発表どころじゃないと!
で、この人自身はね、あらかじめ最初に申し上げておきますと
東京電力の人ですから、「脱原発」とか「反原発」の人では全く無いんですね。
今でもですね、原子力を有効に利用して日本のエネルギーの支えにしたいというふうに
本人は思ってるんです。
ただ、「このままでは絶対に駄目だ!」と。
今回何が起きたか?というのをありのままに
一人でも多くの国民の人に知って頂いて、
その上で「どうしたらいいか?」っていうことを
やっぱ考えなきゃいけないというのが一つの大きな動機で。
読んで驚くのが、当時語られていた発表される状態と
現場で実際何が起きていたか?というとギャップですよね。
この人自身も何回も死を覚悟したと。
「本当に今度こそ駄目だ!」と思ったと。
ここにも書いてありますけど、実際にメモを残していたんですけれども。
メモの中にも「いよいよ駄目だ」とか「ここで死ぬのか」とかですね、
そういう走り書きのメモがたくさんあって、
今振り返れば、自分たちが上げていた情報の百分の一くらいしか
実は発表されていなかったっじゃないか?っていう事をおっしゃっていて。
これだけの事故を起こしていながら、
未だに「安全神話」を守ろうとしている姿勢が
やっぱり自分としては社員でありながら忸怩たる思いがあるということで。
当然この人自身も「自分にも責任がある」と言うことをおっしゃっていて、
社内の会議などでも「もうちょっときちんと広報活動をすべきじゃないか?」って
何度も発言しているんですけれども。
そういうふうな事を言う度にですね、
この本からちょっと読ませて貰うとね
「そんな情報や保安院や政府に伝わったら大変なことになるだろう!」と
「私の立場や出世はどうなるんだ?君は分かってるのか?」と。
大竹
うわーっ・・・保身だ。
目に見えた保身!
山口
「と言うんだから、呆れてしまう」っていうふうに。
これを読んだ人はね、この人じゃなくても
やっぱね呆れちゃうんじゃないかな?と思うんですけどね。
それとね、もう一つ。
これも現場にいないと分からないなぁと思うのは、
政府の介入が如何にとんちんかんであったか?というのですね。
如何にマイナスに作用されていたか?
菅さんがいきなりやってきて、怒鳴り散らしていたみたいな話は
既に新聞なんかにも書いてあるんですけども。
それをこの人自身は菅さんの訪問を受けた側の人なんで、
生々しく書いてあるわけですよ。
やっぱり巷間伝わっているようにですね、
1時間怒鳴って帰っただけ!!
真鍋
やっぱり本当にそうだったんだ・・・
山口
そうなんです。
当然、現場の所長さんなんかも対応しなきゃいけないですから
結局、所長さんが対応してるってことは1時間指示が止まってしまうって事で、
その事は悔やんでも悔やみきれないって事をおっしゃっていたり。
あと僕はこの本を読んではじめて知ったんですけど、
ひょっとしたらもう伝わってる話なのかもしれないですけど。
ヘリから3号機に散水してた事ありましたよね?
大竹
テレビの映像でなかなか水がかからない映像が、風で。
山口
あれ見てどう思いました?
大竹
「何やってんだろうな?」って思いましたね。
あれもう絶対無理ですもん。
山口
そうですよね!
「何かなるんだな?」って思ったでしょ!
当然現場の人たちは「こんな事やっても意味が無い!」と。
「いったい何を始めるんだ!」と思ってんですけれども、
この人の解説によると・・・
大竹
あのヘリコプターは茶番だよね?
何の役にも立たない、真上にいったらヘリコプターだって
放射能浴びちゃうんだろうし、近づけないだろうし。
山口
まぁそういう意味で言うと3号機の上なんですけど、
当然線量が高いわけですよ。
あういう事をやらせて。「申し訳ない気持ちで一杯だった」って
この方はいってるんですけど。
要するに、3月17日の朝なんですけど、
官邸からの強い要請があって、
3号機にヘリで放水する作戦を敢行してくれという話があって、
自衛隊はそれに応じてくれたんですけど。
この直後に菅さんとオバマさんの電話会談がセットされてたんですよ。
で、アメリカに対してちゃんと日本はやってるんだということを
アピールするためにこれをやると。
大竹
やってますよパフォーマンス!
山口
パフォーマンスです!
それをこの人自身も後で知って、自衛隊の人たちにはね、
申し訳ないことをしてしまったって事を
この本の中で振り返ってるんですけど。
それからね、ツッコミどころ満載なんで
覚えてるだけで話をしますとね。
今、建屋カバーっていうのを作ってるじゃないですか?
あれの何のために作ってると思います?
大竹
あれは何のため・・
放射能が外に漏れないためじゃないの?
山口
そうですよね!!そうですよね!!
僕もてっきりそうだと思ってた。
で一応そういうふうな説明をされているんですけれど。
これも現場の専門家の人たちに言わせると、
あんなカバーをしたからといって放射性物質が外に漏れなくという・・
まぁ若干は漏れなくなるんですけど、大して効果はなく
実際に線量を測っても大きくは下がってないと。
じゃあ何のためなんですか!と、これがビックリですよ!!
要するにね、これは東電の本社と政府が話し合って決めたことらしいんですけども。
Google Earthで見られないようにするため。
見られて天体写真が出ちゃうじゃないですか!
大竹
建屋が傾いていたり、プールがむき出しになっていたり・・
真鍋
ただ入っちゃいけないから、google Earth側は・・
ああ、衛星なのか・・
大竹
言われてみれば、「ああ、そうか。」って思うけど、
チェルノブイリは石棺で覆ってるんだもんね。
それを建屋カバーで覆ったってそりゃ駄目だよな!
よく考えりゃ、ああそうか。
山口
そのことをゼネコンにやらせるわけですよ。
大竹
お金もかかってね・・。
山口
で、カバーが掛かった段階でようやくマスコミを中に入れて、
一応見せて、見栄えのいい所だけ写真を撮らせてですね。
ニュースとして流すと言うことを未だにやってるっていう話とかね。
それから、いま冷却循環装置回ってるんですけども。
あれは東芝が作ったんですけども、これ覚えてらっしゃると思うんですけど、
あれ一番最初にやったのが、日・米・仏の3カ国の
日立とアメリカのキュリオンだったかな?あとフランスのアレバ、一番有名な。
との共同のスキームなんですけど、これがやっぱり上手く行かない訳なんですよ。
これも何で、日・米・仏か?と言うとですね、
政府間の貸し借りというかね、商取引というかね、
「アメリカのものを使え!」「フランスのものを使え!」ということで
政府が受け入れてしまったんですけども。
現場は最初から「こんなものはオールジャパンじゃなきゃ駄目だ!」って
いうふうに言っていたにも関わらず、その3カ国の組み合わせで、
案の定上手く行かなかったわけですよ。
で、聞いたらね。当たり前なんですけど・・
アレバの機械の仕様書っていうのは基本はフランス語で書いてあるわけですよ。
フランス語だけだったらいいんですけど、何故かイタリア語のやつもあって。
でまぁ英語までくらいだったら、なんとかかなりの職員が対応出来るんだけどね。
フランス語・イタリア語の仕様書渡されて、「これ、どうしろって言うんだよ!」っていう
状況も一部であったとかですね、そう言うような話を読むと、
「何で最初から、現場からものすごい一杯の意見具申をしてるんだけども、
色々な形でメンツであったり、保身であったりそういう政府の立場みたいなことで
潰されてどんどんどんどんどん対策・対応が後手後手に回ったと。
その一方で、消防・警察・自衛隊の人には本当に頭が下がったと。
大竹
まぁそれから今もやってらっしゃる現場の作業員の方々にはね、命がけですものね。
いやーしかし、昨日は高橋哲哉さんという哲学者の方にお話し頂いて、
その事件が起こってからのこと、何故原発が必要だったか?ということ、
それと起こってからの放射線量の学者の方々の・・
要するに原子力ムラの人たちの言ってることの不具合の事をおっしゃってたんですけど。
今日はこの本は原子力の福島第一の中の話。
「中で何が起こっていたか?」というお話しですよね。
今日も頭でチラッとご紹介したんだけど、
未だに「決死隊」は72,900ミリシーベルトというところの線量を測るために
3人が10組5分交替で仕事をして、あそこに穴を空けるわけですよね?
そっから線量計を差し込んで、それも簡単にできる作業ではないのに!
未だに現場ではそんな決死の作業が続いているわけですよね?
山口
つい最近も73シーベルトっていうね、
これもうほとんど6分で死んじゃうくらいの光線量が見つかって、
今週号の週刊朝日なんですけど、もう一回この幹部の方に聞きにいって
どういう状況が起きているのか?っていうのを解説してもらってるんですけど。
「この線量が出るっていうことは、圧力容器の中から燃料が外に出ている以外考えられない」と。
そうすると、出てしまった燃料をどうやって回収して、
どうやってその安全なところへ持っていくか?
もう人の作業じゃ無理なわけですよ。
大竹
でもロボットも新しいの開発しないと、今までのロボットじゃ・・
山口
放射能にやられちゃうんです!
大竹
その放射能にやられないのを開発するのってこれまた大変な作業じゃないですか!
本当にやられないのか?すらわからない。
山口
それで終息しているかどうかよく考えてみて下さい。
(中略)
太田
でも色んな発表とか証言とか体験談とか
複合的に読んだり見たりしていかないと真実ってなかなか
組み合わさっていかないですね。
山口
そうだと思います。
実際の政府関係者のヒアリングを元に作った本とかもたくさんありますし、
この本は現場の目線の本なので、「現場からこういうふうに見えた」というふうに
読んで頂けると本当に全体が立体的に分かってくると思います。
大竹
でも私たち一般市民は、どの方の発言を信じるか?っていうことに
なってくるんですよね、こうなってくると。
山口
やっぱそれを読んで組み立てるっていうね。
真鍋
多角的に自分で真実を・・
ただ希望は持てないですよね、なかなかこの状況を見てると。
ありがとうございました。
(了)
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