東京ポッド許可局が語る「肩書き論」

2014/07/30

サンキュータツオ プチ鹿島 マキタスポーツ 芸人 大輪教授 東京ポッド許可局

t f B! P L
今回は2014年6月14日放送「東京ポッド許可局」
「肩書き論」を起こしたいと思います。


タツオ
マキタ局員!この間見ましたよ。
「スタジオパークからこんにちは」

マキタ
まあ、あのNHKのお昼の顔として

タツオ
顔になっちゃった!(笑)
MCの座になっちゃったね。

鹿島
いや俺に本当にね、並びに行こうと思ったんです。まじで。
でもオムツ替えなくちゃいけないから、家で見てましたけど。

タツオ
やっぱり肩書きね、「俳優・ミュージシャン マキタスポーツ」
って書いてあったんですよ。

これあの「マキタスポーツ 芸人」っていうのは
どこに行ったんだ?っていう話からちょっとしたいなと。



鹿島
っていうか、そういうなんか言ってくる人多いでしょ?

マキタ
うん、いるいるいる。
たぶん僕は単純にですよ、「芸人」っていう肩書きで
実際にあんまりお金は稼いでないんですよ。

自分の中での言い訳はある。
俺はミュージシャン的な活動と俳優で主に生計を立てて
活動の基盤ってそっちにあるんですよ。

鹿島
しかもこのマキタスポーツ縦軸の年表から見てもそうだよね。

マキタ
そうなんですよね、だからそういうふうにしていいだろうということで。

タツオ
だから収入順ってことだよね?

マキタ
収入順ということで、ってことなんですけど。
もう一方で自分の出自としては一番最初に芸人として
キャリアをスタートしてるのは間違いないので。

で、その芸人というところから自分がこう抜けちゃったか?っていうと
精神的にはそんなに抜けてるわけじゃないんですよね。

自分の経営的な戦略上、これは芸人っていう肩書きっていうのは
なくてもいいんじゃねえか?っていうことが俺が判断するわけ。

タツオ
経営ってことだよね、例えばねその「芸人・俳優」とか名乗ってたときに
「邪魔だな『芸人』っていう肩書き」みたいなことってあるわけ?

マキタ
ネタとかはやらされるよね。

タツオ
芸人だったら「ネタやって下さい」って言われるね。

マキタ
でも一応、なんか組合に我々途中から入っていくみたいなところあるじゃないですか?
「エンタメ組合」みたいなものが厳然としたものじゃなくてあるわけじゃないですか?

タツオ
まあだから「ご挨拶」みたいなね。

マキタ
だから「ご挨拶」はそういう周りはしなくちゃいけないっていうところは
どっかあるんだよね?だからこの間だってスタジオパーク出たときは・・

タツオ
ネタやってたよね。

マキタ
ネタはやるんですもん。
で、プロデューサーから直々に「是非ともお願いします、見てみたいんです」って

だから番組ではほとんどやったことのない「愛しのエリーに乾杯」っていう
ネタのフル尺のやつをやったんですよ。
まあ自分の中でもやる意義が感じられて・・

タツオ
そうだね、あれはだから良い感じになってました。

マキタ
ただね、もう一方で俺「タレント」って名乗ることにすごく抵抗もあるんですよ。

タツオ
まあ分かりますよ、ぼんやりしちゃうしね。

マキタ
だけどこれも経営戦略上タレント化させていくっていうことを
やっている事務所もあるじゃないですか?芸人ではないと。
そういうことやっていく人はいいんですけど。

やっぱそれに対してもやや抵抗がありましてですね。
だから一時期本当に「ハイパーメディアクリエイター」と名乗ろうかみたいな

そういうオリジナルの取って付けたようなやつを
インチキ臭くやってしまおうかな?と思ったこともあったんですよ。

タツオ
まあだから世に出たときは「音楽研究家」だったしね。

マキタ
そうなんですよ、タツオ良いこと言った!
俺、一番最初に「金スマ」に出たときに「音楽評論家」っていう肩書きだったんですよ。
それですごく面白かったわけ、自分の中で。

「なんで?」って一瞬思ったんだけど
まあその方が視聴率が逃げないからって判断。

鹿島
だからその話を当時マキタさんに聞いて
芸人っていう肩書きが良い悪いとか別で「如何に邪魔なのか?」っていう
送り手の方のね、そういう事情があるんだなっていうので

それを極力なくしていくっていうのは、
アリだなと思ってたんだよね。

マキタ
だってさ、PKさんにしたってさ、タツオにしたってさ
「何者なの?」っていう話で世の中からしてみたらね。

タツオ
もう辺境の人ですからね、我々。

マキタ
だってタツオ、漫才コンビ(米粒写経)があるけど
漫才コンビよりも明らかにあなた1人での需要ですよね。

タツオ
まあまあ漫才もやってますけどね。

マキタ
もちろんやってるのは当然知ってます。
で、「学者芸人」でしたっけ?

タツオ
そうですね、今のところメディア出るときはそうしてますけどね。
指導教授からは「お前『芸人学者』だろ!『学者芸人』って何だ!」って
怒られましたけども。まあどっちでもいいですけど(笑)

マキタ
「学者芸人」ってちなみに誰が付けたの?

タツオ
いやもう自分でいいんじゃないですか?
たぶん自分で付けた。

マキタ
あ、自分でやったってことね?それに関してはね。
それはどうして?

タツオ
何だろう?「大学院生芸人」でももうないし
かと言って教授っていう役職でもないし、
「非常勤芸人」じゃあね・・

マキタ
ハハハ(笑)
「非常勤芸人」っておかしいな。

タツオ
普通の人なんか「非常勤」っていうもののイメージが
ちょっとつかめないと思うから・・。

マキタ
芸人は非常勤ですしね。

タツオ
だからまあ普通に「学者」でいいかと思って
アカデミックなところに訴求したいなっていうところがあって
やっぱり戦略上ですよね。

鹿島
まあ分かりやすいレッテルですよね。

タツオ
だから自分で考えた末のことですけど、
何て言うかやっぱり「芸人」って言う言葉を取ろうとはなかなか思えなかったわけ。
これマネージャーと相談したわけでもない、マキタさんって相談した?

マキタ
相談しました。

タツオ
それでどういう議論になった?取るべきか取らないべきか?っていうところで。
割と意見は一致したっていう感じ?

マキタ
なんかやっぱそれがあることによって・・そのスピリットの問題だし、それって。

タツオ
こっちがね、「俺が芸人だ」って思ってるかどうかの問題で・・

マキタ
・・とかの問題だから、「芸人感」とかっていうかその・・
エンターテイナー感っていうのが自分の中での問題なので
人が肩書き付けることで成り立つんだったら俺はおまかせしたいって

タツオ
外側から見られるものに寄せたいってことだよね。

マキタ
っていうことでいいんじゃねえかな?っていうことは話しましたね。
PKさんは最近なんて名乗ってるわけ?

鹿島
僕はでも「時事芸人」とは呼ばれてますけど、
それは書籍を出したときに編集者が付けてくれて
まあこそばい・・くすぐったいですよ。

だけどそれは「第三者が見た自分っていうのでいいじゃん」
それに自分で赤ペン入れることないなと思って
それはありがたいことにそれでやってるんですけど。

僕なんかでももっと何者か分からないっていうのは
あると思うんですよね。

だけどもうそこは腹をくくって、「肩書きなんかどうでもいいわ」
もう「面白いおじさん」でいいじゃん、「面白い人」で。

タツオ
「時事おじさん」これからじゃあ肩書き「面白い人」?

鹿島
「面白いおじさん」でいいんじゃないの?っていう。何者か分からない。
そしたら自分が面白いと思ったことを発信していって
それで仕事が増えてくってなったら、じゃあそれで正解でいいんだと思ったんですよ。

だって結局さ、やっぱりもうその「○○芸人」ってもう
名乗ったもん勝ちとかもあるじゃない?
今「バーベキュー芸人」っていうの知ってます?

タツオ
何それ?

鹿島
バーベキューのインストラクターの資格を持ってて
「バーベキュー芸人」つって名乗ってる。

でもそうやって名乗ったからにはバーベキューのイベントとか
これから夏で呼ばれる、でそこで仕事が発生してると思うんですよ。
それはやっぱり彼の引き受け方というか覚悟ですよね。

タツオ
とはいえね、肩書きってやっぱりミスリードもあると思うんですよ。
だから取れる仕事の可能性と取れない仕事の可能性両方しちゃうじゃない?

例えば、鹿島さんを「時事芸人」と言ったときに
鹿島さんが持っているそもそもの身体性のポテンシャルというか
本当の芸人性っていうところ出ないじゃん?そこが悔しい。

鹿島
そうそうそう、あと変に尖ってる感じが誤解を与える感じはあるよね。
なんかキッツキツのことを・・なんか放送コードに・・
俺そんなこと一切やらないけどね。

タツオ
いわゆる漫才とかで要求される時事ネタみたいなものをやるのかな?
みたいなふうに思われたりとかね。

鹿島
もう一切そんなことをやらないからね。
むしろどれだけ自分のあれで分かりやすく伝えるか?だけの問題で。

タツオ
そうなんだよね、で「芸人」って言っちゃうと
「じゃあネタやって下さい」っていうことになっちゃう。

鹿島
そうそうそうそう、そうなると俺はマキタさんと違うところはやっぱり
1分、2分で披露出来る「ご挨拶ネタ」っていうのを持ってないから

じゃあもうそこすらも捨てて自分でコツコツと汗掻いていろいろ集めて
例えばそれは文章でもいいかもしれない、しゃべりでもいいかもしれない。

タツオ
あるいはもう平場で出て行ってそのままなんか最近のことで笑いを取ればいいわけですよね。

鹿島
だから労力がすごく、タツオもそうだけど
それはもう宿命だからそれが自分にとっての芸風で、しょうがないよ。

だってそりゃイベント行って30分でものすごい笑かして帰ってくるっていう
そういう系の芸人とは明らかに違うし、もうそこはないと俺は思ったから

じゃあもう自分で汗掻いてコツコツやってそれを発表するっていう
そういう芸をやるしかないと腹をくくったからね。

タツオ
お笑い芸人ってどうなんですかね?「お笑い芸人」っていう肩書きって
「果たしていいんだろうか?」っていう今ほとんど食えてないじゃん、みんな。
はっきりいって「お笑いイズデッド」って俺ずっと言ってるんだけど

鹿島
だからあれでしょ?そのいわゆるコンテスト系の決勝戦とか出た・・

タツオ
R-1、キングオブコント、THE MANZAI出た人でもバイト辞めれない。
優勝したってなんだったら仕事すぐなくなっちゃうとかね。
どうしたらいいの?

マキタ
俺さ、その前に何て言うのかな・・?
芸人ってじゃあ逆に言うと、芸人って辞めるものなの?とかって思う
考えもどっかあって

タツオ
やっぱスピリットの問題だからね。

マキタ
そうなんです、スピリットの問題なので
つまり芸人って何か国家試験があってとかではなくて
自己申告で始めるでしょ?

鹿島
自称ですからね。

マキタ
で、いつごろからかどっか信用される人たちが増えてって
そこにお金が生まれてみたいな感じになるし

まあそんなに綺麗なものじゃなくても、さっきも言ったみたいに
なんとなくこのオーバーグラウンドのところである
なんとなく組合じゃないけどさ、そういうメジャーシーンみたいなところもあるけど

基本的には自分で勝手に始めて
自分で勝手に終わっていくというか
そういうもんじゃないですか。

タツオ
今や学校はあるけどね。

マキタ
学校あるけどさ、それだってちゃんとした資格があるかどうかなんて
別にそういうわけじゃないよね?
どこが始まりでどこが終わりだかもさっぱり分からねえようなもんじゃないですか?

だからそれは自分の中で持ってればいいっていうだけの話で
早く信用されろよって思うんだよね。

で、信用されるところにお金が発生したりとかするってことで
「食える」ようになるという、でひとたびエンターテインメントっていうのは
芸人に限らず不必要なものだから。

不必要なもので自分で勝手に始めるってことがほとんどなので
基本的にはね、その国に守られてる芸能とかっていうわけじゃないからさ。

で、自分で始めて自分で終わっていくというかそういうものだから
勝手にやってるものだから。

で、「お金を稼ぎなさいよ」って俺は思うわけですよ。
だからその分、人に信用されなさいよっていうんですよね。

俺がその肩書きのことでもやっぱりこだわりたいのは
自分の中で「これは芸人だな」「俺は芸人だな」っとかってことは
思ってればいいけど、

「俺は芸人だな」と思って自分の芸人感を押しつけていたら
全然仕事に恵まれなかったという自分の歴史観があるんですよ。

タツオ
ある程度やり尽くしてここにはもう水がないということだよね?

マキタ
まあそうだね。で、人に請われてそれに変に抵抗することなく
乗っかってみて人のディレクションを受けたところが・・

タツオ
そうだよね、そこ変に芸人ロマン持っちゃって
抵抗しちゃうと結局変わらないから。

それ1,2年目だったらまだしも10年やって何も結果変わんなかったら
やっぱり自分の方が間違っていると思うのは妥当なことだよね。

マキタ
であと最近、大輪教授が・・古くから僕も知り合いだし
もちろん自分のやってたライブに出てもらってたこともあったんですけど
彼が芸人を引退するっていうことがヤフーニュースになったりとかしてたんだけどね。

その中でインタビューを受けてて彼が面白いことを言っていて
これからの若手芸人に何か言いたいことはありますか?みたいなことを
インタビュアーに言われてですね、彼が答えてたのは

この世界っていうのは巨大なカジノであると、
カジノに入って無傷のまま出て来られると思うなと、

俺は全賭けしたと。全賭けしてスッテンテンになったから、
このカジノから出て行くんだみたいなことを言っていたんですね。

それを全賭けする気概もないのに、
ちょっとしたことで騒いでんじゃないよと。

タツオ
30になってもダメだったら辞めるとか、そんなこと言ってんじゃねえよと。

マキタ
とにかく持ち金全部ありったけベットしちまえよって。
俺はそれをやって無一文になったから傷だらけになったけど
そこから出て行くんだ的なことを言ってたんですよね。

だけど俺はそれを聞いたときにね、
「だからこの人辞めることが出来たんだ」とかってことも思ったわけ。

タツオ
ちょっとロマンチシズムですよね。

マキタ
ちゃんとロマンもあったということだし、
ちゃんと冷めることが出来たというか。

だから好きじゃなくなったものに
いつまでもいられないとかっていうことがあるんですよ。
ところが好きだかなんだか分からないけどダラダラダラダラ続けている人もいる。

俺は大輪教授みたいに急激に熱が冷めて辞めていくというか
そもそもこの世界というのがカジノのような賭場みてえないうようなことでいたら
俺もうそんなところ怖くていられないよ。

鹿島
それぐらいの悲壮感を持ってやってたんだというのを聞いて今
俺すげえビックリしてるね。
じゃなきゃ、俺そんなこと考えてたら入ってないよ。

マキタ
全くその通り。

鹿島
だから俺が別に自惚れてるわけじゃないよ。
だけど、俺はすごいなと思うのは5年やって

例えば実家の親にね、「5年やってダメだったら帰ります」とか
でもその5年目に売れたんですみたいなエピソードとかがあって
偉いなと思うけど、それ区切ってやるものなのかね?っていうさ。

タツオ
そういうもんじゃないよね、まず。
区切って辞めるもんだったら最初からやんない方がいいわ。

鹿島
だからそれはもう1つの職業じゃない?
考え方としてはすごく清廉潔白、正しいのかもしんないけど。

タツオ
だったらこんなコストパフォーマンス悪い職業
絶対選んじゃ・・

鹿島
まずコストパフォーマンス考えない(笑)

マキタ
コストパフォーマンスで考えないし、
その職業感がないんですよ、我々やっぱり。
とどのつまり自分のやってることに。

職業として関わってるっていう感じがしないんですよ。
俺、例えば結婚して間もなかったときに子どもも出来てたし、
あのとりあえず芸人だけの収入じゃ食えないから放送作家の仕事をしたんですよ、ちょっと。

ある程度そこで稼ぎというものを持っていた時期がややあったんです。
そしたら横のつながりでこういう仕事もってあったりとかしたんですよ。

でもよくよく考えてみたら食えるんですよ。そっちの方に行ったら。
で、そのまま「放送作家兼芸人」みたいな。

タツオ
だからけっこう放送作家行った方が
ちゃんと生活できてる人たち多いもんね、引退して。

マキタ
だからこのまま横滑りさせていくことで、
「こうやって芸人って辞めていっているのか」みたいな気分とかもあるんだけど

タツオ
元芸人さんの作家さんなんていっぱいいますもんね。

マキタ
で、俺そのとき思ったのは「こうやって辞めていくんだろうな」とか思ったんですけど
その稼ぎのある方向に顔を向くことが完全に出来なくて
それは何故か?っていうと、職業っぽさが自分の中ですごく出来ちゃうんですよ。

タツオ
そもそもそれやってるんだったら、普通に就職してるわ!って思う・・

鹿島
芸人関係なく、面白いことっていうのをすぐ数値化してお金をいただけるという
その分かりやすさと裏腹に「そういうことじゃねえんだよ」っていうのもなんかすごい分かるよ。
そっちに行ける人って本当にすごいなと思うんですよ。

マキタ
だから大輪教授をおとしめているわけじゃなくて、彼はそういう・・熱く
ちゃんと好きになって、好きなものを一生懸命やってちゃんと冷めて
「ここではない」と言って辞めることができたから、それはそれでいいと思うし。

それよりも人生どうなんだよ、ご機嫌に生きてるかい?っていうことを
俺は一番重要だと思うので。

タツオ
格好良いじゃん!まあ要するに
「もうこの女と付き合えないんだったら、この土地にいません」っていうぐらい
ずっと1人の女を口説いてて

いや別の女の人だったら全然一緒に生きていけるけど、
でもそんな思いまでしてこの土地にいたくないってことだよね?

マキタ
まあそうだよね、そこではないというところで
実際問題として彼みたいに実力のある人はその作家力みたいなものとかを活かして
転身すればもっとご機嫌に自分の人生を生きて

かつ信用されてお金も生まれて面白おかしいことを
芸人でやってたことを応用させちゃえばそれでいいからってことで・・

タツオ
芸人スピリッツはそこでも保持出来るよね、考えようによっては。
面白いことに携わるっていう。

マキタ
そう、面白いことに携わればいいんだよ。
だから俺は別に大輪教授が辞めるってことに関して人から何か言われたときに

「何かかける言葉はありますか?」って言われたときに
「何もないです」って、何もないんですよ。

だから大輪教授に限らず、辞めていく芸人に対して
特に言うことは何もないんですよね。
「で、いいんじゃない?」っていうことが1番なんだよね。

彼みたいに実力がある人はそっちの方向を選べたっていうのが
またすごいなって思うんですよね。

でも肩書きにずっとこだわったりとか、
「芸人たる者もうあるべき」みたいなことに縛られている人もいるよね。

タツオ
いっぱいいると思うし、俺はなんか逆に利用したいなと思ったんだよね。
やっぱこう・・どうなんだろう?世の中の銀行員とか先生とか公務員、おまわりさんとか

やっぱりその肩書きに縛られる生き方を想像されるよね。
「銀行員だから堅いね」とかさ、「なんか今の先生っぽい」とかさ。
言われるとそれってたぶん嫌じゃん?

俺だったら嫌だよ。でもある意味でミスリードしてくれるから
例えば「銀行員とはこうあるものだ」とか
「公務員だったらこうあるものだ」とかっていう

芸人にももちろん「芸人ってこういうものだ」っていうのがあるから
それをマイナスじゃなくてプラスに出来る方向はないかって考えたときに
やっぱり芸人らしからぬ方向の存在を思考した方がいいんじゃないかなと思ったんだよね。

「はい、どうもー」っていう感じで出てくる感じじゃなく
ちょっと小難しい話もするような芸人っぽくない方が
「芸人」っていう肩書き生きるじゃん。

だからまあ「学者芸人」っていう一番相性悪そうなのをくっつけたみたみたいなね。
そういう感じ。だって芸人っぽくないもん、俺。

鹿島
まあでもね、そのマキタさん今「ミュージシャン・俳優」って名乗ってますけど
むしろだからこそ俺は芸人っぽさを感じてるのもあるんですよ。

というのはやっぱり極端なことを言うと、
やっぱり芸人って売れてからの方が芸人じゃないかなっていうのがあって
売れた人は芸人なんだろうなっていうのもあるわけ。

というのは最近あるタブロイド紙でね、千原せいじさんの連載やってて
それがすげー面白いんだよ。要はあの方居酒屋やってますよね?
なんで自分が居酒屋を経営したか?それがどれだけ儲かってないかっていう連載なんだけど

それが元々売れてない芸人を助けるために「じゃあ一肌脱ぐか」って
「脱いで下さい」っていうその話に、いつの間にか神輿を担がれて
「まあしょうがない、やってやるわ」つったけど

で、「すごく儲けてるんでしょ?」みたいなことを言われるけど
こんなもの全然儲からんと。

タツオ
神輿総崩れだ、すごいな。

鹿島
普通の従業員より如何に芸人従業員が気を遣わないかっていうところに愕然とした。
で、売れてない芸人ほどプライドが高いから、
周りに自分に対して仕事をしない言い訳しかしないから全然お客に向いてないんだと。

それはすごく「芸人とは何か?」っていう本質の話じゃないですか?
で更に驚いたのは、芸人従業員の日記帳があるんだって。

それを見たら「今日は(近所の商店街の)○○の肉まんが美味しかった」
って誰かが日記書いたんだって
それをせいじさんが見て「何でお前はこんなことを書くんだ」

「これをお客さんが見たら、ここ以外にも肉まんを売っているお店があって
 気を悪くするやろ」っていうだからもう特定の名を挙げて肉まんを褒めることを
ダメだぞっていうそのせいじさんの発想はこれは売れている人の発想だなと思って。

タツオ
スポンサーのこととかちゃんと気にした発言出来る人。

鹿島
例えば芸人居酒屋だからちょっと近所の商店街と折り合いが悪かったときだから
「尚更、お前こんな1つの肉まんだけ・・」それってやっぱり売れた人の発想だし
プライドが高くて余裕がない人はそこまで回らないよね?

タツオ
スポンサーこの企業とこの企業とこの企業だから、
これに関しては言わないで下さいって言ったら
そのルールの中でちゃんと笑い取れる人だよね。

鹿島
っていうことは、せいじさんくらいの今のポジションでも
如何に周りのことを考えて気を遣っているか?

でもそれがもし芸人だとしたら、
やっぱり売れた人しか芸人じゃないっていう結論に
僕は思ったんです。

だからマキタさんの最近の肩書きはそうですよ、
だけど、芸人然としているんですよ。「俺を見ろよ」っていうこの感じから何からね。
俺はそれすげー、そのせいじさんの連載で分かったんだよ。

タツオ
いいねー、せいじさん最高じゃん!

鹿島
ビックリするでしょ?

タツオ
出来ればマイナスの存在というよりはプラスの存在にしたいよね、肩書きをね。

マキタ
でもさ、人は見た目が100%みたいな話もしたけどさ
世の中の人はもう肩書き大好きだよね。見た目と肩書きはね。

タツオ
だからそれくらい大事だよ、やっぱ。
むしろそれ9割、10割みたいなところあるよね?肩書きと見た目だけで。
だいたいこういうことするんだろなってイメージできるものをさ、やっぱり求めるし。

マキタ
あと世の中イコール使う側の人たちも
「お前何者なんだよ」っていうことを言ってくるんだよね。
ディレクターの方の人たちもね。

だからそこに抵抗するのは、なんかつまらんことだなとかって
思ったりしたんだよね。

「ネタやって下さい」って言われたら確かにネタをやるとか、
つーのは、「ネタやって下さい」って言うことは僕のことを芸人だと
思ってらっしゃるということなので、そこに乗っかってやる。

で、結果を出す「面白かったね」って言ってもらうと。
だからそれでいいのかな?ということ・・だよね。

タツオ
でも確かにそうだよね、「マキタスポーツトークショー」みたいなのが
例えば地方であったとして、マキタさん行ったとして「俳優・ミュージシャン」だったら
握手してトークするだけでいいけど、

「じゃあ今日は芸人ということで、是非ここでネタを」みたいな感じでさ
また熊本の成人式みたいになっても嫌じゃない?
そのときに「芸人」っていう肩書きは邪魔だよね、そうなると。

マキタ
そうだね、確かにそう。
そこはもう、本当にそう。

タツオ
それだったら呼ぶ方も呼ばれる方も肩書きが邪魔になっちゃうもんね。

マキタ
だからそこはもうしょうがねえからさ、俺も営業行ったら
それなりに単価もらえるから欲しいけど、
やっぱり切り捨てるってことだよね。

「芸人」って名乗らなかった以上、
そういう営業の仕事は発生しないけどね。
それはもう諦めないとね。

鹿島
俺だって本当に自分からは言わないけど、
もうむしろ5年前、6年前より全然今の方があの頃はコンビでよくやってたけど
芸人然として舞台でやってたけど、

今の方が何でもすぐネタになっちゃうっていうのが
自分の中では「一番芸人っぽいじゃん、俺」って過去の中でしょ。

タツオ
今一番働いてるもんね。

鹿島
自己最高芸人、自分の中でよ。
自己最高芸人をやってるなっていう自覚はある。
それは例えば書きネタにしろ、しゃべりネタにしろ何でもいろいろ別だけど・・

マキタ
自己最高芸人ね(笑)

鹿島
何でもネタになっちゃうんだもん、だって。
ダービーとかもネタだけこうやったら、それが当たっちゃったりとか。
この間の寿司のあれとか面白おかしく・・あれも面白いじゃん。

タツオ
頭使って身体使ってる分、なんか働いている感じが・・。

鹿島
自己最高芸人・・。

タツオ
それ気に入っちゃった?

鹿島
瞬間風速出てますよ(笑)

(了)

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