今回は2013年8月26日放送「荻上チキ Sission-22」
「Sission袋とじ」大槻ケンヂさんの回を
起こしたいと思います。
荻上チキ(以下、荻上)
今日のお客様は大槻ケンヂさんです、よろしくお願いします。
大槻ケンヂ(以下、大槻)
よろしくお願いします。
南部広美(以下、南部)
はい、ということで今夜はチキさんにとっての「神」ですよ。
大槻
いや本当、CM中も言ったんですけども
最近そういうふうにね、若い人がリスペクトしてくれるんですよ。
そういう人はね口座を教えるから一月に1000円振り込んで来い!
って俺は言ってんだけどね・・。
荻上
振り込みますよ!みんなきっと。
野菜とかいろいろと、お米とか・・
南部
ということなので、まぁいろいろとお話を
うかがっていきたいと思うんですけども。
荻上
先ほどね「トンネルラブ」(特撮)をかけたときに
僕と妻の仲良くなったきっかけの曲だって話をしたんですけど
twitterにて
「何で感動したのか、分からない!」ってあるんですけど。
大槻
これ最後まで聴かないと、ちょっと分からないんですよ。
荻上
そうですよね、最後まで聴くとこれ
掘ったらブラジルに着くんですよ!
で、そのときにまた曲調が変わって
サンバが聞こえてくるんですよ!
南部
ブラジルに着いたから!
荻上
このアルバムが「ヌイグルマー」で
その「ヌイグルマー」っていうのは
ぬいぐるみになって・・
ぬいぐるみだから好きな人を見守ることしか出来ないんですね。
で、目の前で好きな人が別の男に抱かれているのも含めて
見守るという曲から出発するアルバムの中に入っている
「トンネルラブ」で当時僕は失恋をしていたので
「あっこれからは『ヌイグルマー』としてね、見守るしかないのかな?」
って思っていたところ・・。
大槻
ハハハ(笑)
いや、笑っちゃいけないけど。
荻上
いや、笑ってください、笑ってください!
ところを途中で「トンネルラブ」がかかってきて
「あっ、掘り出した!」と
そしたらブラジル着いた!っていうことで
励まされたわけですよ!
大槻
ああ、本当に!
人って何で励まされるか分かんないねー!
本当分かんねえな、それは!
南部
掘りゃいいんだ!っていう気づきがあったようですから!
大槻
それいくつの時ですか?
荻上
これね、20歳の時です。
大槻
20歳くらいでそういうガツンと来ちゃうんだよな・・。
南部
えーとメールを頂いているので・・
「僕は高円寺で生まれ育ち、年齢的にも近いので
大槻ケンヂさんにはシンパシーを感じます。
高円寺を歩いてて見かける芸能人は
大槻ケンヂさんと森本レオさんが断トツに多かったです。
オーケンのインタビューや著作物を見ると
高円寺の阿波踊りを見たり、古本屋巡りをしたり
阿佐ヶ谷や中野に足を伸ばしたりと僕の青春と全く同じです。
違うところと言えば、オーケンがバンドでインディーズからメジャーへと
ステップアップしたのに対し、僕はバンドを投げ出し
女の子の尻を追いかけるようになったことくらいです。」という
南部
別の方から、
「こんばんは。昔、名古屋のラジオ局で大槻さんがDJをしていた
『タングショー』という番組がとても面白くてファンになりました」
大槻
うん、やってた!
本当にくだらない番組だった!
南部
「その後、大槻さんのバンド、個人の楽曲から小説・エッセイまで
一時期大槻ワールドにずっぽりハマっていた時期がありました。
名古屋の本屋のサインかで『またラジオ番組やって下さいね』と
話しかけたら『そうだね』と目を逸らしながら素っ気なく返され
『大槻さんらしいなぁ』と思ったのもいい思い出です」
大槻
そう?そうかな・・?
荻上
あの先週ね、あそこにもいる常見(陽平)さんですね。
大槻さんのラジオに出会ってショックを受けたという・・
ラジオはもうやらないんですか?っていう事に目を逸らしたとあるんですけど
大槻
いや僕ねラジオ得意じゃないんですよ、実をいうと。
アワアワしちゃうんですよ、本当に!
荻上
オーケンでも!
大槻
うん、だから「コラムの花道」っていうのを昔やらせてもらってて
吉田豪ちゃんとかオーケンとかいろいろやってたんだけど
その後、俺だけ外れたもんな(笑)
そこから、なんか拾われなかったもんな。
まぁまぁいいんだけどね。
荻上
いろんな実験的なことも出来るじゃないですか?
常見さんの話にもあったけど、テレホンセックスをしたりしていたという
話を聞きましたんで。
大槻
あれね、いやあれね何て言ったのかな?
そんな大したあれじゃなかったんですけれども。
だから88年、9年オールナイトニッポンの1部に突然大抜擢されて
本当にただの大学中退したばっかりの22歳がそういうのをやることになって
どれだけ怖かったか!ちょっとトラウマになってる未だに。
荻上
22歳ですもんね。
大槻
その時にさっき高円寺で見かけて、人生が変わっていったなんて
言ってる人いたけど、あの時にね僕ね、
確か1部が僕で2部が伊集院光さんだったの。
僕は結局ラジオの方は全然やってなくて、
伊集院さんはもう「ラジオ王」じゃないですか?
だからそういう意味ではいろんな人生変わっていくよね?
荻上
同じところにいても・・ということですよね。
でも大槻さんは人生のね応援歌をこう何だろう・・?
「ダメだなぁ・・」とか「生き辛れえな」とか
思ってる人たちに届けるというものにかけては
もう世界No.1だと僕は思うんですが?
大槻
いやいやいや、そうもだから「がんばれー!」みたいなことを
歌う人は世の中にたくさんいるから、そういう方法じゃないやり方で
「がんばれ!」とさえ言われない人々に対して
上手い具合に励ますと言ったらあれだけど・・
してあげたいなっていうそういう曲が多いですよね、僕のはね。
荻上
最近やっぱり若い人でも「神」と呼ぶ人が
増えたっていう話があったじゃないですか?
大槻
いやいやいや(笑)
荻上
いやこれ実際そうだと思うんですけど。
そのきっかけのひとつで、ニコニコ動画が始まって
その頃に「絶望先生」のオープニング曲になって大ブレイクしていって
やっぱ客層がネット経由でも
ガッと特にアニメ層とかサブカル層
今までの層とは違うタイプのサブカル層にも広がったと思うんですよね。
大槻
この前、家の裏でマンボウが死んでるPとコラボしましたよ。
「ニコ動」の。
荻上
いろいろなコラボも生まれてますもんね。
大槻
なんだけどその当人がスマホすら持っていないから
まず「ニコ動」を見れないんだよね(笑)
荻上
普段から見れないわけですか?
大槻
あのこの間すごい笑われたんだけど・・。
まず、「パスワードって何?」って思うから(笑)
「ログイン」っていうのが分かんねえだよな。
ぐらいにアナログなので(笑)
神様置いてかれたっていうね・・。
荻上
あのー、「大正九年」の・・
大槻
ああよく「大正九年」なんて名前をよく知ってますね!
荻上
「ネットで叩いてやる!」って曲作られたじゃないですか?
大槻
よくご存じで!
荻上
僕、はじめて人生でラジオに出た時にリクエスト曲をかけた時に
この大正九年の「ネットで叩いてやる!」をかけたんですよ。
その時に「ネットに対する恨みは強い人なのかな?」って
大槻さんに思ったんですけど。
そもそも使い方が分からんと。
大槻
っていうかそのネットっていうものが評判になってきて
ネットいうのが、僕はネットをしないもんだから
ネットの人々の意見っていうのがさ、集合知とか言われるけれども
どっちかというと、俺あんだよな
「300」とかあういう映画のCGの裏の方で死んでんのか生きてんのか
分からないうようよしてる人みたいな自分にしてしまうっていう気持ちよりも
なんか霊の世界に見えるんだよね。
昔、「英国心霊主義」みたいな「残留思念」つってさ
死んだ人の思念が残ってそれが霊となるということが言われたんだけども
ネットとかって過去ログとかいろいろ残るじゃない?
恨みつらみとかいろんなのがさ、嫉みそねみが。
あれつまり「残留思念」だよな、だから霊なんだよね。
亡くなった後も残るでしょ?
それであれさパソコン小っちゃいからそれ背負って歩いたら
もうあれだよ、背後霊になるよ。そのままね。
荻上
ああ、ログがいっぱいみたいね。
でもそのネットからちょっと離れたとしても
「ネットではどう書かれてるんだろうな?」っていうふうに
気にしちゃうような自分がいたりするわけですよ。
特にブログに一番ハマってた時期はネットで
なんか書き込まれると自分のところにメールが来るようになってたんですね。
そうすると、ネット空間に戻らなきゃ!っていうことで
なんかあちら側の世界に引き戻されるみたいな怖さはありましたね。
大槻
あれね、壊れるといいよ!
パソコン壊れると!
壊れた時に直そうとしないことっていうのが重要
それだけでいいの!壊れればいい!
荻上
無理ですね、今twitter見ながらね番組やってるし
ネットについてのコラム書くのも仕事ですし、
原稿書いたらメールで送るじゃないですか?
原稿のやりとりどうしてるんですか?
大槻
FAX!FAX!
もうだから家のFAXも・・家の機械が壊れたら
そのまま放置して2年3年経つタイプなんですよ。
だから一時期さ、俺原稿書いてコクヨの400字詰めに書いて
コンビニ行って流してたの。
そうするとコンビニによって色の濃さが違うの!
そうしたらもう編集の人が
「そこのコンビニは薄いので、違うコンビニ移って下さい!」って(笑)
南部
コンビニ指示を!
荻上
アナログですね。
今でも手書きなんですか?
大槻
今も手書きです(笑)
だって今、「HOT STUFF」っていうサイトでやってんだけど
そのタイトルが「このエッセイは手書きです」っていうタイトルだから
それこの間、本になりましたけど。
しかも僕、字がものすごい下手なんですよ。
だから本当に迷惑をかけてると思うんだけどね、編集の方に。
荻上
でも昔ならね、原稿読む編集者っていうのは
汚い字をちゃんと読む能力っていうのがあったわけですよね。
大槻
僕ね、まずそのワープロ的機能っていうかさ、それに失敗したのが
最初にね、パソコンを買った時があってね。
それで書こうと思ったんですよ。
それがよりにもよってローラン・ボックっていう選手に
アントニオ猪木がちょっとメタメタされた
「シュツットガルトの惨劇」と呼ばれているプロレスの事件があるのですが
それについて書こうとした時に
「シュツットガルト」っていうのが打てなかったの。
どうしても打てない!と「シュツットガルト」が!
それででも腹立っちゃって、「いいよもう俺手で書くよ!」つって
それで止めちゃったんです。「シュツットガルトの惨劇の惨劇」つってんの。
荻上
ギターの「F」の壁みたいなもんだったわけですね、あらあら。
でもこの「オーケンのこのエッセイは手書きです」発売したての
エッセイ集でございますけども。
この本の中でつい付箋を貼ったところがありまして
「僕は常に社会的弱者や異端にあるものの立場・視点から作品を作ることに決めている」
っていう言葉が書かれていてですね。
「そうだな!」と、例えばいわゆる弱い者のためにっていうと
いわゆる弱い者とイメージされがちなものの見方に立つっていうような
番組とか物語づくりっていうのがあったりするわけじゃないですか?
大槻さんの場合ってそうじゃない場合の
クラスの片隅で誰にも理解されない趣味をもっているその趣味の特殊さとか・・。
大槻
あのね、「クラスヒエラルキー」からも外れているようなやつね。
多分ね、今「クラスヒエラルキー」とか「スクールカースト」っていう
言葉があるんですけど。
あれ多分、割と我が国で気づいて早く作品に取り上げたのは僕なんですよね。
「グミ チョコレート パイン」っていうのは全くそのことで。
それはアメリカの青春映画を見てたから、
そこで「スクールカースト」「クラスヒエラルキー」が
すごい明確に描かれてたのでそれの影響があったんだけれども
それを日本で割とみんな書かなかったんですよ。
それをバッと書いたってところがあって。
でも自分は「クラスヒエラルキー」のそれにも入れない
ちょっと外されたやつっていう青春時代だったので
もう抜けないですよね。
だから常にそういうような立場の人の気持ちっていうのかな?
に立って書いたり歌ったりしたい気持ちはありますね。
荻上
乾杯の音頭とか得意ですか?
大槻
乾杯の音頭!?なんで?
荻上
はい、「スクールカースト」とかに外れて、
中心で「いえーい!」とか言えなかった方なので
今でも「乾杯の音頭をじゃあチキさん」って言われることあるんですけど
あういうの本当に苦手なんですよ。
南部
あの、打ち上げ的なところとかで・・。
荻上
それはもう絶対子どもの頃のその記憶があるので
「いえーい!」とか無理だわ・・みたいな
大槻さんもライブで「いえーい!」とか言ってるんだけど
不器用に言っているのを見て、「ああ!」って励まされるんですよ。
大槻
そう!不器用に言ってる・・不器用に言ってる!
荻上
「いえーい!」って言い終わるまでに2回ぐらい
ためらいがあったりするじゃないですか?
大槻
うん・・で、いろいろ考えてるんですよ。常に。
MCをしながら、この間「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」っていう
夏フェスに出たんだけどもその時もWOWOWで生放送があるっていう聞いて
きっと夏フェスに来たいんだけど、家でゴロゴロして寂しくしてるやつが
いっぱいいるはずだ!と思って、そのカメラに向かって
徹底的にアジったんですよ。
それで来てる人はポカーンとしたんだけど、その後、家で録画を見た人が
「あっこういうふうに来れなかった人を対象に夏フェスをしてる人をはじめてみた」つってね
結構面白がってくれましたね。
荻上
それもまたね、何か目線だと思いますけどね。
うん、ありがたいことですよ。本当に。
(了)
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