2012/12/16

評論家・山田五郎が語る「新米が豊作でも素直に喜べない事情」

今回は、2012年11月15日放送「荒川強啓 デイ・キャッチ!」
「デイキャッチャーズボイス」山田五郎さんの回を起こします。

音声はこちらから

山田五郎(以下、五郎)
新米の季節になってね、今年はなんか4年ぶりの豊作なんですって。
だから収穫量が820万トンくらいあって、
需要を20万トンくらい上回る見通しと言うことなんですけどもね。

そんなこともあって、ここのところお米に関するニュースが
いろいろと入って来てるんですけども。
いくつか気になるニュースがありまして。

まぁ1つはね、銘柄米の分野で
北海道とか九州の新銘柄が台頭してきてるっていう。

荒川強啓(以下、強啓)
そうなんですよ!

五郎
産地の勢力が変わってきてるっていうね。
日本穀物検定協会がやっている食味ランキングっていうのでね、
去年から全国販売を開始してテレビCMなんかでも
お馴染みに「ゆめぴりか」っていう北海道産のお米が
初登場いきなりで最高ランクの特Aになったとかね。


北海道産は他にも「ななつぼし」っていうのが
去年から2年連続で特Aになってますし、
あと他にもね、まだ全国販売する規模になってないけど
バカ美味い米がいっぱいあるんですよ!北海道!

強啓
北海道って私、生まれ育って
子どもの頃の北海道の米なんていうのは
ただデカくてね・・もう甘みもなければポッソポソ、パサパサ
美味しくなかったのよ!

五郎
昔は「二等米」の代名詞だったんですよね?
道産米っていうのは・・。

強啓
そうでした!

五郎
それがもう高級銘柄の代名詞になってきたと。
で、九州の方も長崎の「にこまる」とか
熊本の「ヒノヒカリ」っていうのはずーっとここのところ特Aですしね。

熊本はあと「森のくまさん」っていうのもあったり
佐賀の「さがびより」なんかも特Aです。


それで今年からは・・今年っていうか23年度になるんですけど
福岡の「元気つくし」ってやつも特Aを取ったってことでね。

なんか温暖化の影響で暑さに強い品種の開発が進んだ結果、
美味しいお米が出来てきたっていう事情が1個あるみたい・・。
山形の「つや姫」っていうのがそういうところから生まれた
特A米らしいですね。

あとはもう「コシヒカリ」、同じ銘柄の「コシヒカリ」を作っても
結局やっぱり新潟産に勝てないと。
だから独自のブランドを作っていかないといけないっていうことで
こういう新しい銘柄米が次々生まれて来てるって・・

その結果、もう驚くほど美味くなってるんですよ!日本の米!
だからもう外国産に負けないどころか
むしろガンガン輸出していった方がいいんじゃないか?ぐらいのね・・

あの・・中国の方が日本の炊飯器をガンガン買ってますでしょ?
あれで米は炊いた方が美味いってことをどんどん覚えて行ってるわけですよね。


強啓
は・・炊いてないんですか?



五郎
あの・・なんていうかちょっと蒸したりとか煮たりとか
米の炊き方が違ったじゃないですか?

美味しいお米っていうのも十分輸出出来るんじゃないか?
っていうくらいのあれなんですけれども。

にも関わらず、今年とっても不思議な現象が起きてて
それがもう1つのニュースなんですけどもね。

実は国内のお米が豊作にも関わらず、輸入米が値上がりし続けてて。
なんとちょっと前には中国産のお米が青森の銘柄米の「まっしぐら」よりも
高値になってるっていう。

強啓
輸入米が値上がり?

五郎
輸入米がものすごい値上がりして、「まっしぐら」抜いちゃったんですよ。
で、これは豊作すぎて国産米の値段が下がったのかな?と思いがちなんですけど、
そうじゃないんですよ!

逆に、豊作なのに国産米の値段が下がらないどころか
上がってるもので、外食産業用とか加工食品用に安いお米を求める業者さんが
外国産米に殺到したんですよ。

で、9月の入札では申込みが3.6倍にもなっちゃって
それで一時的に外国米がボーンと跳ね上がっちゃったっていう。
一時的な現象なんですけども、まぁ異常ですよね?

だから何で国産米が豊作なのに値段が下がらないのか?っていう
ところなんですけども。
これはですねJAの傘下の全農、米の集荷をする。
全農さんが農家への前払い金を1割から2割今年アップしたんですよ。
それが価格に反映しちゃってるんですよね。

なんで全農はそんなことをしたのか?っていうことなんですけれども。
いま、ネット販売とか直販とか販売ルートがすごい多様化してて
JA全農が全部の米を集められない状況になってますよね?

去年、震災の影響があったときに全農が十分にお米を集められなかったんですって
その反省で今年は前払い金をちょっと上乗せして確保しようということを
やったっていうんですよね。

十分に集められなくなっているとはいえですよ、
それでも全農は全国の出荷量の3~4割を独占してますよね?
だからそこの値段が上がれば、当然市場にも影響するっていうことで。

結果、4年ぶりの豊作なのにお米の値段が全然下がらなくて
外国産のお米が高くなるっていう珍現象が起きてるっていうことなんですよね。

これから新米が出回っていけばね、
値段も落ち着いてくるかもしれませんけども。
こういうところにも日本のお米の政策の歪みみたいなのが
見えてくるような気がするんですよね。

今もう人口は減ってきて、あとパンとか麺類とか他の主食も増えていると。
そういう中で、家庭用なんかだと量より質の米づくりが
求められてたりしますよね?


一方、外食産業とかはどんどんどんどん値段安くしていかなければいけない
状況になってますから、安いお米も必要なんですよね。

だから求められる価格帯っていうのが二極化してると思うんですよ。
「美味しい銘柄米」と「安いお米」
で、求められる味っていうのは多様化してきてますし、
流通形態も多様化してきてる。変わってきてるんですよね。

なんだけども、JAと全農が全部を集めて平均化した一元管理を
維持しようするっていうこのシステムには
やっぱり無理があるんじゃないかな?っていう気がしますね。

これ前、道路工事の時にも言ったように
高度成長期には有効に機能していてシステムが
もう役割を終えて機能しなくなっているのに
それが既得権益になっちゃってるから続けることで歪みが出ている
っていう気がしますね。

あと、農水省の補助政策っていうのも結構ひずみを生んでまして
例えば、家畜飼育用のお米にはね10アール当たり8万円の補助金がつくんですって
それに対して、おせんべいとかに使う加工用のお米には2万円しか
補助金が付かないんですって。

なんでエサ用のお米にこんなにたくさんの補助金を出したか?っていうと
農水省は食糧自給率の数字を上げたいでしょ?
外国産のエサで育った畜産物って国産とみなされないんですって。
だから国産のエサ食わして食糧自給率の数字を合わしていかなきゃいけない
っていうのがあるもんだから、エサ用のお米に8万円もの補助金を付けてる。


結果、飼料用のお米ばっかり増えて加工用のお米が不足したんですよね。
去年、震災でお米が不足したときには
農水省が備蓄米を4万トン放出しなきゃいけなくなったわけ。

それで牛や豚は国産の新米食ってるわけですよ。
人間用のおせんべいとか作る加工用のお米は古米や輸入米が使われてる。
これもどうかな?っていう・・。

だからこういうJAが全部集めて一元管理していくシステムとか
農水省が補助金でやっていくとかこういうシステム自体が
もうやっぱり現状に全然則さなくなってる。
なのに、そこにしがみついていつまでもやっていくっていうね・・。

強啓
だからね、こういった状況をね、
今ご指摘の通りにもう疲弊しきっているっていうこの制度を
メス入れないとTPPなんていう話なんて出来ないでしょ?

五郎
こんな状態のままでTPP参加を受け入れた日には
日本の農業と食糧事情はめちゃくちゃな事になりますよ。

JAもね、農協さんもTPPには反対してると思うんですけども
それは自分たちの権益を守りたいからですよね?

そういうこととは別に、あんたたちがそんな事をいつまでも言ってるから
TPPにもおちおち参加出来ない状況なんだよっていうところもありますよね?


強啓
そうなんですよ。
だからもう一度、米だけではなくて先週の道路の話もそうだけども
もう時代に合ってないっていうことをもう一度完全チェックしなくちゃね。

五郎
その高度経済成長期型のシステムっていうものが
根本から見直さなきゃいけないっていうのが
いろんなところで起きてるなっていう・・。

強啓
だから農家の方だって品種改良っていうのが
もう次から次へと努力してるわけですから、
それに呼応しなくてどうするの!ってことですよね?

五郎
豊作のときくらい美味い米、安く食わしてくれよ!
っていうのがあったんですよ!

(了)

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