フリーライター・武田砂鉄が語る「『俺の注いだウーロン茶が飲めないのか?』ってあんまり言わないじゃないですか?」

2018/01/13

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今回は2017年7月25日放送「大竹まことゴールデンラジオ!」
「大竹メインディッシュ」武田砂鉄さんの回を
起こしたいと思います。


はるな愛(以下、はるな)
本日のお客様は1982年にお生まれになりました、東京都のご出身です。雑誌やウェブ媒体などで多く連載を持ち、著書「紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす」では2015年のドゥマゴ賞を受賞。

昨年発売した「芸能人寛容論 テレビの中のわだかまり」も話題になりました。そして現在「コンプレックス文化論」が文藝春秋から好評発売中。今日のゲストはフリーライターの武田砂鉄さんです。こんにちは。

武田
よろしくお願いします。

大竹まこと(以下、大竹)
こんにちは、よろしくお願いします。今回のご本は「コンプレックス文化論」なんかいろんなコンプレックスを持っているのがその人に影響を与えたかっていうことだよね?

武田砂鉄(以下、武田)
だから僕も根に持つタイプなので「あのときこうだったな」っていうことをずーっと覚えているので。でもやっぱり何か表現をする方とかってそういう昔の何かっていうのをすごい覚えているんじゃないかな?っていう。

大竹
まあとりあえずビールで。これは下戸の話で、下戸が出てくるんだけどね。とりあえずビールってどういうことだ?とりあえずファンタでいいだろって、ウーロン茶でもなんでもいいんだよ。とりあえずってことは本当に好きなものはその先にあるってことだよ。

武田
そうです。

大竹
だったら嫌いなものから先に飲むのか?って話になっちゃうもんね。

武田
「まず許可取れ」って話ですよ、個々人に。全体で「とりあえずビール」っていうのはおかしな話ですね。

はるな
そういうのも載っているんですか?

武田
そういうことも載っております。

(中略)

はるな
でもいっぱいこの本にはご自身以外の人のコンプレックスの言葉もいっぱいあるんです。

大竹
今回は普通いわれているようなコンプレックスじゃなくて、ちょっと焦点がもうちょっとマニアックというか・・「天然パーマ」だったり「背が低い」であったり「下戸」だったり「遅刻」だったり「親が金持ち」だったりこういうコンプレックスが本人にどういう影響を与えていくのか?と。

それで世間はそういうコンプレックスをなぜ平気で与えるのか?と。例えば「下戸」、僕なんかも下戸なんだけども。

はるな
「下戸」ってどんな意味でしたっけ?

大竹
お酒が飲めない。それでお酒飲めないときにね、過去を振り返ってみれば今は俺が酒を飲めないのを知ってるからこうやってみんなで打ち上げなんかがあっても、一番最初に俺が言うわけだ「ウーロン茶の人?」と。

武田
あっ、正しいですね。

はるな
ない!

大竹
俺が飲めないから、だから「ウーロン茶の人?」っていうと2人か3人手を挙げるわけだよ。「ここはウーロン茶だから、あとビールの人は適当にやって」って先にまあでもそうじゃなかったらこんな言葉は言えないよね。

武田
それだから、その組織の中で大竹さんが一番仕切ってらっしゃるからそれが言えるんですけど。

大竹
まあそうかもしれない。

武田
最近だとその「ビール以外の人?」みたいなすごい吊し上げるみたいなね。もう「誰が飲めないんだ、この中で?」みたいなこともあったりしますけどね。

はるな
それ、考えすぎじゃないの?(笑)やっぱり飲めた方がいいってことですか?

武田
僕も10年間サラリーマンをやってましたけれども、2,3回「俺のついだ酒が飲めないのか?」ってね、飲めないですよ別に。「俺のついだウーロン茶が飲めないのか?」ってあんまり言わないじゃないですか?

大竹
俺はTBSのプロデューサーの有名な桂さんっているんですけど、あの人に「俺のついだ酒飲めないのか?」って言われて「飲めません!」って(笑)

はるな
炎上商法!

大竹
扇子で頭をコンコンやられながら「お前、俺のついだ酒飲めないのか?」って「飲めません」って言ったことあるけどね。

はるな
でも今、飲まない人が多いから。

大竹
でもねやっぱり上から下に「酒も飲めないで」みたいな・・

武田
そうなんですよ、人生に絡めてくるんですよ。人生とか人間性みたいなものに絡めてきて。あとお酒の場で話した話は面白いみたいな前提があるじゃないですか?さほど面白くないと思うんですけどね。なんていうか・・その場のテンションだからこそグルーヴ感で「面白い!」ってなってるかもしれないけれど。

大竹
夜中に考えたギャグはつまらない!

武田
さて冷静になって考えてみようと「あれは一体なんだったんだ!?」と。

大竹
でも酔っ払う人ってさ、同じ話を繰り返して最後はどんどん声がデカくなってくるんだもん。そのときちょっと面倒くさいなって思うんだよね。

武田
声のデカさでなんとか振り切ろうとしているんですかね?ダマされないぞ!っていう。

大竹
うちのきたろうに言われて腹が立ったことが1つだけ下戸に関して。「あのね、酒を飲めないということは人生を半分失っているようなもんだ」って言いやがったんだ、あいつ。

武田
あらま。

大竹
はらわた煮えくりかえって、でも逆に酒を飲めないってそんなに悲しいことなのかな?っていうのもちょっと・・

武田
それはもう、きたろうさんご自身が言い聞かせているんじゃないですか?それぐらい酒の価値を高めようとしているんじゃないですか?

大竹
俺ね、きたろう酒を抜く日が多かったらね。あいつものすごい男になってると逆に思ってるの(笑)

武田
そうですだからこの本の中にも書いたんですけど下戸の人は悶々と悩む時間が多いんですよ。みんなが夜な夜なウェーイ!乾杯!バンザーイ!ってやってるときに1人で家でジュース飲んでるわけですから。「さあ、これでいいのかな?こんなことやってていいのかな?」っていろいろな悩み事を考えたりするわけですから、それが表現活動とか。

この中にもその下戸のミュージシャンの人に話を聞いているんですけど。ほらバンドマンってライブが終わったら「飲みに行こうぜ」ってなるけど、飲みに行けない人はもう家に帰るから。そしたら「あの曲はこれで良かったのかな?」とか「あのときはもっとこうするべきじゃなかったのかな?」っていうふうに考えるわけですよ。

大竹
かなりマイナスな(笑)

武田
マイナスなんですよ!この下げといて自分で頑張って上げるみたいな。それをみんなで「今日の良かったね、乾杯!」っていうふうにやったらそこから発展性がないじゃないですか?

大竹
近頃の若者は酒を飲んでなくても、この間渋谷の街を歩いててこっちに座った若者がいて。道路越しに横断歩道じゃないところをパンパンッて渡ってきた若者が「イエーイ!」ってやったんだよ。そしたらこっちの若者がグーで「イエーイ!」って返したんだよ。こいつら酔っ払ってるのかと思ったよ。

武田
いやいや、正気なですよ。

大竹
正気でやっているの?おかしいよ絶対。

武田
けっこうやっぱり日韓ワールドカップ以降だと思うんですけど、平気でハイタッチするようになりましたよね。

大竹
ハイタッチするね、平気で。

武田
僕は平気でハイタッチはしないですよ「ちょっと待った!」って。

大竹
酒飲んでるときにたまーに「ハイタッチしちゃった・・」ぐらいのことだよね。

武田
5年に1回ぐらいですよね、ハイタッチするなんてね。

大竹
それを平気でやってるね、何の罪悪感もなしに。

武田
ハイタッチできますか?

はるな
私はすごいやりますね。

大竹
店入ってきた客にハイタッチだろ?

はるな
もう、それ言われたら「イエーイ!」ってやっちゃうし。でもお酒はやっぱり飲んで、この料理とこのお酒で「うわー、美味しい」ってそこにもし何かの景色とかあったら「人生でこんな瞬間を迎えてる」って、いろんな悩み事があっても一瞬はここに対して美味しいと思えるって幸せの時間ですよ。

大竹
武田さん、こんなこと言ってますよ!

武田
いやでもそれ酔いが覚めたら、また悩みが戻ってくるんですよね?

はるな
そうだけど!!でもちょっとはプラス・・

武田
解消されてるんですか?

はるな
そう!「いいや、クヨクヨやってもしょうがない」って。

大竹
でも武田さんで言うとさ、酔うのは逃避だよね。だってこの世がキツいから酔って忘れたいわけだろ?

はるな
逃避ってそっち?頭皮から酔うと思ってた(笑)

武田
今回「ハゲ」っていうテーマもありますからね。

はるな
あっ、逃避するってこと?いやでもね・・向かい合って何か答え出ますか、そのとき?人に関わらないで1人で家で悩み事と向き合ったときにもちろん自分の中で1個1個ダメなところとかは解決するけど。人の意見とかエッセンスで「うわー、あの人すごく短絡な感じで生きてるな」とか、そこで救われたりとか。なんか動き始めません?

武田
・・・・始めませんね(笑)

はるな
絶対付き合えない、私。

武田
付き合えないですよね。いやだからそのお酒を飲むのは別にいいんですけど、それを飲まない人に強いるのだけはやめていただきたいと。「飲めないと人生が分からない」とか「俺のついだ酒が・・」みたいなことっていうのは、キチッと別のところで会話をしましょうよということです。

大竹
世の中は今までの流れとしてはそういうふうに日本では慣習的にそういうことが行われきたと。それは若い人たちが・・この局でもそうだけど「今日終わったらみんなで行くぞ」って言ったら「ちょっと待ってください、僕は別の用事があるから行きません」って断ると。それはいいことですよね?

武田
そうです。もしくはドリンクバーのあるお店に行きましょうよ。そしたら何でもいいじゃないですか?お酒も飲めるし、ファンタも飲めるし、ジンジャーエールも飲めるんです。そこの自由が与えられる場所がいいなと思いますよね。

大竹
俺も1回腹立って「みんな酒のんでどうのこうの・・」って言うから「デニーズ行こう」って言って。そこに行ってチョコレートパフェ8個頼んで「全員でこれ食おう」つって全員に食わせたんですよ・・帰りの電車で4人吐いた。

武田
同じことですよ。

大竹
でも同じことだよな?だから居酒屋行ったあとはチョコレートパフェなんだよ。その順番で行くなら。

はるな
えっ、あらちょっと。ダメですよ押しつけは。それはいいの押しつけは?

武田
だから同じことやってるってことですよ。

大竹
価値観としてね。

武田
8人そろってファミレス行ったときに「じゃあいちごパフェ8個」って頼んだら、みんな「えー、なんでなんで?」って言うじゃないですか?それと同じですよ!ビールを頼むって。

大竹
最初はビール1杯飲んで、飲んだ途端にいちごパフェ8個食えばいいわけだよ。もう何言ってるんだか俺だって分かんねえ!(笑)

武田
極論過ぎますよね。

はるな
続きは居酒屋でやりましょう。

(了)

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