2017/05/15

コラムニスト・深澤真紀が語る「今じゃ毎日どこかの局で日本すごい!って外国人が言ってる番組が放送されてる」

今回は2017年3月14日放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」
「大竹紳士交遊録」深澤真紀さんの回を起こしたいと思います。


深澤
今回も森友学園問題の背景のひとつだなと思うことをお話したいなと思うんですが、それはここ数年ものすごく「日本がすごい」っていう礼賛番組増えていて。

愛さんも出てませんか?「ああ、日本すごいわあ」って、外国人が「本当だ!シャワーのトイレがすごい!」とか。

はるな
そういう番組、ありますね。

大竹
森友とどういう関係があるんですか?

深澤
それは何でか?っていうと日本がどういう国か?っていうことを国がどう考えているかっていうことが分かる背景があるんですけど。

例えばこういう番組って1980年代から2000年代にはほとんどなかったんです。「日本すごい!」っていう番組は、それどころか20年前は大竹さんも出てましたけど「ここがヘンだよ日本人」とか「日本は遅れている」「日本はヘンだ」って言って。

まあテリーさんがブレイクしたのもあれが原因でしたけど、まあそういう番組があって日本を批判する番組もそれなりに人気もありましたし・・

大竹
俺、出てたかな?

深澤
大竹さん、出てたはずですよ。でもまあありましたよね?たけしさん司会で。

大竹
出てたと、たぶん推測される(笑)

太田
でも記憶にはない!(笑)

深澤
あとは「世界まるごとHOWマッチ」とか「なるほど!ザ・ワールド」とか。これは世界を知りたいっていう番組だったんですね。

それがもう今じゃ毎日どこかの局で「日本すごい」って外国人が言ってますとか。「日本がこんなことやってます」っていう番組が放送されているわけですね。

一方で厚切りジェイソンさんが先日、日本人がすごいっていう番組で「アメリカにも四季がある」っていうとカットされちゃう。

「日本の四季がすごい」って言わないといけないっておっしゃっていて。四季は世界中にあるんです、当たり前ですけど温帯の地域にはだいたいあって。

紅葉だってもちろんあるし、なんなら桜のある国だってヨーロッパにもアジアにもアメリカにもあるんですね。それで「日本の四季はすごい」って言ってしまうのはちょっと恥ずかしい。

一方で「YOUは何しに日本へ?」ってテレ東の私も大好きな番組ですけど。ここのディレクターが自分の番組が日本礼賛番組ブームの元祖に言われるけど、自分たちは「日本すごい」って言いたいんじゃなくて、「日本のそんなヘンなところを発見するYOUがすごい」って。

つまりは日本がすごいって言ってるんじゃないんだ、YOUがわざわざ日本に来てヘンなところに行くわけじゃないですか?私たちも知らないようなところに、それがすごい。

あれが面白いんで自分は外国人が「日本をすごい!」って言わせる番組が嫌いだから、あの番組を作ったのであって自分が作りたいのは「日本すごい」っていう番組じゃないんだと。

「YOUがすごい」っていう番組なんだっておっしゃっていたんですけど。でも基本的にはやっぱり今、残念ながら「日本ってすごいね」「こんな国、日本しかないよ」っていう。

はるな
でも海外から帰ってきたら「やっぱり日本すごいな」って思うことが多いんですよ。「いやーキレイだな」とか「道もキレイ、トイレの便座温かいな」とか。

深澤
まあね、もちろんそうで。海外に行けば海外に行ったで日本とは違う良いところがいっぱいあるから私たちは海外に行くわけじゃないですか?

「タイはいいな」とか「パリはいいな」って思うから海外に行くわけで。それはなんでも良いと思わなければ外国行かないわけですからね。

実は経産省が2010年から「クールジャパン」っていう事業をずっとやっていて。日本の魅力が海外に発信しますということで安倍政権になってからは「クールジャパン戦略担当大臣」初代はいま話題の稲田さんがお務めになったんですけれども。

昨年からなんとこのクールジャパン事業を経産省自らが「世界が驚くニッポン研究会」・・国がですよ!これね「世界が驚くニッポン」っていうテレ東の新番組ならいいんですけど。通産省が自ら「世界が驚くニッポン研究会」っていうのを作ってしまって。

先日それをもとに「世界が驚くニッポン」っていうコンセプトブックを発売して、これPDFでもダウンロードできるのでぜひご覧いただきたいんですが。


デザインとかはすごく素敵なんですけど、でもね「あなたが日本がこんなにも注目されていることを知っていますか?」って自分で書いちゃって。

ちょっと恥ずかしいのは「流氷と珊瑚礁が両方見られる国は日本だけだ」って書いてあるんですけど、アメリカも見られるんですね。そりゃだってアラスカがあるし、サンゴのある海もある。アメリカあれだけ広いから、なんならもっと砂漠とか瀧も見られますけど(笑)

大竹
ハワイだってあるしね。

深澤
そうなんですよ!だからね、こんな小さい国なのにいろいろあるって言いたいんだろうけど。なんかそんな恥ずかしいことを自分で言ってしまって・・そもそも「クールジャパン」っていうのも国が言うのも恥ずかしくて。つまり自分で自分のことを「クール」っていう時点でもうクールじゃないじゃないですか!?

大竹
でもなんかあれでしょ?観光事業をちょっと柱にしようっていうような思惑もあるわけでしょ?それでオリンピックに向けて外国の人に旅館業界が儲からないところもあったし、外国から来て日本の「おもてなし」とかね。

俺ら普通に泊まってよっぽど高級じゃないと「おもてなし」なんか受けたないよね。「ここに集まってごはん食べてくださーい」なんて言われてさ。「お風呂はこっちですよ」なんて言って、言われて行ったらイモみたいになっててさ「何がおもてなしだよ!」って思うよね。金かけなくちゃダメなんだよ、あれ!(笑)

深澤
昔はひどかったですからね、女の人なんてもっとヒドいお風呂しかなかったですからね。

太田
おれは誰向けに作っているんですか?

深澤
日本人と外国の人と・・だから英語版もあるんですけど。

太田
じゃあ外国から日本に来る人に対して「日本こんなところがいいところいっぱいあるから、お金使ってください」っていうような?

深澤
あとは日本の人は自分のことをプレゼンするのに使って下さいっていうことなんですけど。もちろん日本を観光してもらうこともすごく大事。日本のものを買ってもらうのもすごく大事で、PRは大事なんですよ。

だけどそのPRに国が自ら「日本すごい!」「世界が驚く日本」って言われたらちょっと行きたくないでしょ?もし海外で「もう私たちほど、微笑んでいる国はありません!」って言ったらちょっと・・

私たちが「微笑みの国・タイ」だと思うから行くのであって「私たち微笑んでます!」って言われたら「いや自分で言うな!」ってなるじゃないですか!

だから国が言っちゃ・・せめて民間が言うのはいいけど、国みずから言うのはちょっとシラけるんですね。どうしてこういうことになってしまったか?っていうと確かに日本人はここ20年ぐらいで他の国民に比べて非常に優れているって考えている人がすごく増えているんです。

だけど一方では自分の国に誇りを感じている人は少ないんです。すごく矛盾がありますよね?「日本人は優れているんだけど、誇りがない」っていうのはやっぱり私たちは明治維新からこっち欧米人に対するコンプレックスとアジア人に対する優越感この間の中をずっとさまよって来ているわけなんです。

大竹
まさにそうだよね。ヨーロッパ行ったりアメリカ行ったりすると、ほんのちょっと萎縮するし。アジアに出かけて行くとほんの一回り大きくなっちゃうしね。もう俺なんか典型だよ、本当だよ!みっともないくらい(笑)

深澤
でも私たちってそうですよね。やっぱりヨーロッパに行くときは気が張るけど、アジアに行くと自由になれるみたいな。

大竹
「チップいくらにしたらいいんだよ、これ?」ってドキドキしながらさ(笑)

深澤
ちょっと冷たくされたら「あっ、差別されてる!」とかね。いろいろドキドキして。

大竹
カードで払ってそれ以外のチップってどこに置いておくのよねえ。

深澤
だからつまり私たちはずっと「日本は後れている」という自虐と「日本すごい」っていう間でずーっと揺れているわけですよ。で、とうとうアジアのトップの地位ももう危なくなってきているわけですよね。経済的にも文化的なインパクトからしてみても。

だからすごく自分に自信を失いつつも「だけど少なくとも他のアジアよりもマシなはずだ」っていう気持ちがあるので、結果白人に自分を褒めてもらう番組が増えている。

日本って9割ぐらいがアジアの方が来ているんだけど、日本すごいっていう番組で褒めている人はほとんど白人の人ですよね。

本当にそれを繰り返してきて、それは日本人みんなが思っていることですよね。やっぱりちょっと白人には気後れするけど、アジアには強く出られるっていう。

例えば編集者の早川タダノリさんの著書に『「日本スゴイ」のディストピア』っていう本があるんですね。これによると、戦前にも同じように「日本すごい」っていうブームが起こって。



「日本は特に優れた国だ!他の国よりも素晴らしいんだ!」って本が・・その前の時代はやっぱり明治維新の後なので日本はアメリカやヨーロッパより後れている・進んでいないっていう本がいっぱい出たそうなんですけど。

今度はだんだんロシアとか中国とかと戦争して勝ったりすると「日本すごい」っていう本をたくさん作って、今と同じような「日本すごい」ブームがやっぱり戦前にあったそうなんですね。

でね、もし100歩譲って今の日本がもし本当にすごいのなら、このままでいいじゃないですか?だけど今、さっきの稲田大臣が「道義国家目指す」とかね。森友だって「日本がダメになったから『教育勅語』が必要だ」って言ってるわけですよ。

それで安倍政権は「美しい日本を取り戻す」。つまり保守の人たちは「日本すごい」って言いながら、「日本はダメだから、道徳を増やせ!」って矛盾してますよね?おかしいわけ。

一方で確かに日本が自信を失った理由の中に私たちのような左派とかリベラルが日本を叩きすぎたのも、もちろんあると思っていて・・よくない。私はこんなことばっかり言ってるから「日本嫌い」と思われるんですけど、日本好きですよ!もちろん。

大竹
大好きだよね。

深澤
好きじゃなきゃ言わないしね。あと、誰しも産まれて育った国は言葉も通じるし気候も食べ物も合ってるから好きに決まってるわけ。だからこそ、よその人の愛国心も尊重するべきだと思うんですけど。

だから今リベラルの一部はね「日本はもうダメだから、貧しくなるのを受け入れろ」って言ってる人もいるわけ。でも私それもダメだと思っていて「日本すごい」でもないし「日本ひどい」でもなくて。

まさに今日のテーマの若者でいうとね、私は日本をメンテナンスして少しでもマシな日本を若者に渡したい。だから「日本すごいね」って言うのも疲れちゃうし「日本ダメだ」っていうのも疲れちゃうじゃないですか?

いいところもあるし、悪いところもあるし。私はこのコーナーはね、悪いところをなくしたい。少しでもマシにしたいと思ってやっているんですよ。そうしないと極端なものもできてしまうし。

安倍政権がバックアップしているところも「日本はむかし美しい時代があって、それを失ってしまった」っていう妄想があるわけですよね。どんな時代にも美しい部分もあったし、汚い部分もあったわけですから。

今から新しい美しさとかを探していけばいいので、やたら「日本すごい」って国が言うのはね、恥ずかしい。

はるな
でもタイに行ったら言ってました。リオのオリンピックのあのショーあったじゃないですか?引渡しのときの。「あのショーは日本人のスマートなところだ」ってみんなすごい感動してた。

太田
まああの原発のプラントとか防衛装備を移転して儲けるぐらいだったら、こっちで儲かるんだったら「クールジャパン」とか観光で儲けて欲しいなと思いますね。

深澤
そうなんですよ!だから自画自賛じゃなくて向こうに探してもらえばいいんですよ。だからまさに「YOUは何しに日本へ?」はそうで、それを勝手に探してくれればいいわけで。

はるな
YOUがすごいってことね。

深澤
私たちが自分で自分を褒めちゃダメで、来てくれる人が偉くてすごいんだから。そういうふうにしておくことが大事かなと思います。

(了)

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