2016/06/09

音楽ライター・ガモウユウイチが語る「昔の子どもは知らない間にワールドミュージックも触れていた」

今回は2016年5月3日「荻上チキ Session-22」
「ミッドナイトセッション」を起こしたいと思います。


南部広美(以下、南部)
今夜のお客様は音楽ライターでベーシストのガモウユウイチさんです。

ガモウユウイチ(以下、ガモウ)
音楽ライターのガモウです、よろしくお願いします。

荻上チキ(以下、荻上)
よろしくお願いします。

南部
では、ガモウさんのプロフィールを紹介させていただきます。1968年生まれ、神奈川県のご出身です。大学卒業後、出版社勤務を経て音楽理論などを学ばれて現在フリーの音楽ライターとしてCDのライナーノーツや解説のほか、音楽誌を中心に原稿を執筆中でいらっしゃいます。

一方、現存する国内最後のギターポップバンドの「ロコモーティブポップ」のほか、アイドルの「WHY@DOLL」など多くのアーティストやバンドでベースを担当していらっしゃいます。


共著に「ギター・マガジン ディスク・ガイド」馬飼野元宏監修「昭和歌謡ポップスアルバムガイド1959-1979」などがあり、先週末初の単著になる「解析昭和のテレビアニメ特撮主題歌大百科」をDUブックスより発売されました。


解析! 昭和のTVアニメ特撮 主題歌大百科 耳に残るメロディを牽引した匠のコード・プログレッション330

荻上
はい、会社を辞めた後に音楽理論を本格的に学ばれたということになるわけですか?

ガモウ
はい、そうですね。会社と並行していろいろなバンドをやっていたんですけど。まあ会社も辞めて時間もできたことですし、まあバンドを手伝っているうちにいろいろ要求に応えられないことが分かりまして、自分のスキルの問題で。で本格的に習おうかな?と思って、専門学校で。

荻上
じゃあ、いわゆる「楽典」なんかを読み解くような日々も続いたりしたんですね?

ガモウ
「楽典」というかポピュラー音楽なので、「バークリーメソッド」っていうジャズの方の音楽理論とかを学んで。



荻上
でも音楽理論って今考えると・・っていうのもあれですけど、よくできていますよね?体系立てられてちゃんとしていて、こういったコードを鳴らせばこんな気分になって、個々に転調すれば気持ち良く着地したっていう感じがあって、っていうものがちゃんと図式化で描かれていたりして、いやー音楽理論って本当によくできていますよねえ。

感動しました、最初学んだときは。その音楽理論をひとつアニメソングで今回読み解いていくっていうような本を出されましたけど、どうしてこの2つを掛け合わせたんですか?

ガモウ
昭和のアニメソングは今のタイアップのあるアニメのとは違って、クラシックの作曲家やジャズの作曲家が作ることが多くてですね。ちょっと音楽素養的にもいろいろ面白いんじゃないかな?と編集者の方と話してまして。

浜田孝史さんがやられている「月刊てりとりぃ」というフリーペーパーですとか、ウェブ版の「週刊てりとりぃ」というものにですね、ちょっと2曲分か3曲分書いたら評判が良かったので「じゃあまとめて書いてみようか」ということになりました。


荻上
じゃあ今はもう職業的にアニソンを作るとかポップミュージックの方がちょっと作るっていう方はけっこう多いですけれども、もっと幅広いジャンルの人が・・?

ガモウ
実際にはアニメの仕事が多いという人が多いんですけども。もともとはクラシック出身の人とかクラシックの専門学校を出た、音大を出たとかそういうことが多いです。

荻上
なるほど、いろいろアニソンを取り上げてみてやっぱり時代ごとに曲調なんかも変化を感じられるものですか?

ガモウ
時代ごとというか、作家ごと作曲家ごとに例えばこの本で一番取り上げられたのは渡辺宙明さんという方ですと、ブラスロックっぽいですとか、移調という技術があるんですけど移調が多いとか、そういうふうに作家ごとにいろいろ個性が分かれてます。

荻上
渡辺宙明さんは「マジンガーZ」とか「キカイダー」とかですね「グレートマジンガー」もそうなんですけれども。そういうググッと拳を握って上がっていきたくなるような力強い曲調が多いですよね?

ガモウ
そうですね、男の子向けのアニメが多くて。

荻上
確かに「ここぞ!」って言うときに今おっしゃったようにブラスが入ってきますよね?

ガモウ
そうですね。

荻上
盛り上がって行く感じ、あれもやっぱり作曲された方のルーツというのが大きく関わってくるわけですか?

ガモウ
当時ブラスロックが全盛だっていうのもあるんですけど、あとそのように流行を上手く取り入れるというか、海外の要素を上手く取り入れているアニソンが多いと思います。

荻上
渡辺宙明さんはあと「ギャバン」もやってますね。

ガモウ
そうですね、そのへんのシリーズ。



荻上
そっか、「スパイダーマン」もそうなんですね。「スパイダーマン」の東映版の。「駆けろ!スパイダーマン」の方ですね。いやー、熱いですね。この本は。



ということで、特撮からアニメまで幅広い当時の音楽なんかを音楽理論に基づいてキャラクターごとに分類しているということなので早速いろんな曲を聴きたいよという声もあると思うので後ほどちょっとお楽しみいただきたいなと思います。

(別コーナーのため、中略)

荻上
今日はいろんなアニメの主題歌を音楽的に解説していただきたいなと思っ手織りますけれども。ガモウさん、どんな曲から今日は行きましょうかね?

ガモウ
まずは国民的アニメの「サザエさん」のオープニングテーマなんですが、とりあえず聞きどころを・・実はこの曲、黒人音楽っぽいところがありまして。まずイントロのストリングスがモータウン系のフレーズでして・・。

間奏でもモータウンっぽいリズムパターンが出てきまして、エンディングのストリングスもR&Bの定番フレーズが使われているのでそのへんに注目して聞いていただければと思います。

荻上
モータウン系っていうのはどういったものだというふうに理解すればいいんでしょう?

ガモウ
えーと、まあ60年代後半の黒人音楽、まあスティービー・ワンダーとかジャクソン5とかがいたレコード会社を「モータウン・レコード」っていうのがありまして、そこでよく使われていた手法というか・・

荻上
ジャジーな感じっていうことになるんですか?

ガモウ
まあジャジーというか、定番のパターンがあったんですけども。モータウンっぽい編曲という。

荻上
なるほど、他にも注目点っていうのはどういうふうなところに注目すれば良い曲になるんですかね?

ガモウ
ベースが江藤勲さんっていう「ブルーライトヨコハマ」とかちあきなおみさんの「喝采」とかで弾かれている、当時おそらく日本で1番スタジオプレイヤーとして弾かれていた方が弾いてると一応言われております。

荻上
そういういろいろなルーツが実は入った曲なんですね。普段、よく聞いている曲ではあるけれども。

南部
全然意識したことなかったですね(笑)

荻上
そんなにジャズとかブラックミュージックのルーツがあるとは、なかなか。

南部
サザエさんでしょ?っていう。

荻上
やっぱりボーカルのあの調子に引っ張られていくので、アレなんですけど。バックのサウンドの方にちょっと注目して聞いた方が良いですか?

ガモウ
そうですね、今回は。

荻上
では曲の方を聞いてみましょうか?

南部
宇野ゆう子「サザエさん」



荻上
改めて聞くと確かにスイング感じのある裏拍でちゃんとリズムを取るジャジーな感じに冒頭のチャッチャッっていう感じが確かにご指摘あったようにモータウンサウンドのリズム感というものになるわけですね。

いやー、こうやって聞いたことなかったし、2番はじめて聞きましたよ。これ作曲家が筒美京平さんですよね。これは筒美京平さんがまだまだ・・

ガモウ
そうですね、最初期ですよね。作曲家として活動されているころの。

荻上
作曲家としての筒美京平さんの特徴とはどういうふうに考えればいいですか?

ガモウ
そうですね、まあ実は「サザエさん」の前に大橋巨泉さんの「俺は天下の百面相」っていう曲を出してまして、筒美京平さん作曲なんですけれども。それのブラスをほぼ引用している曲なんですけれども。

南部
大橋巨泉さんって曲を出してたんだなって。

ガモウ
それ巨泉さんの「巨泉のスター百面相」っていう番組の主題歌だったので、それが終わって翌週から「サザエさん」がはじまったんですけど。

荻上
じゃあブラスを引用するような形で引き継いでるっていう?

ガモウ
引き継いでますね。ちょっと聞くことが最近・・動画サイトとかにも上がってたのがなくなってできないんですけど今。

荻上
まあ四つ打ち感があるということになっているわけですね。これは実際にベースが手元にあって、ガモウさんベースとなのでどういうことなのか?っていうことを抜き出してちょっと解説していただきたいと思います。

ガモウ
今の間奏のコード進行がですね、こういうコード進行なんです。

荻上
ベースでコードを弾いている(笑)

ガモウ
本当は弾かないですよね。これラインをつけると普通の人だったら・・

(演奏のため、省略)

ガモウ
こんな感じなんです、今のを江藤勲さんが弾いた感じのフレーズだと・・

(演奏のため、省略)

ガモウ
こういう感じで、なんか推進力あるフレーズで弾かれていて、これが黒人っぽいというか。

荻上
しかもルート音おさえて、ただ音感を確認していくだけじゃなくてちゃんと動いていくことによって、曲としてのアップダウンというか・・楽しげな陽気な感じというのが演出されていますよね。

ガモウ
その通りだと思います。

荻上
確かにベースラインを抜き出すだけでも、ずいぶんとその曲の特徴というのも分かったりしますね。ちなみに今お持ちいただいているのはフェンダーのベースですね。

ガモウ
あ、フェンダージャパンなんですけどね。

荻上
ということでまずは「サザエさん」のオープニング曲から行きましたけれども。これはちょっと意外でしたね。

南部
モータウンなんて、言われなければこの先考えなかったですね。

荻上
で、作りが似ている曲がいくつかあるんですか?

ガモウ
はい、モータウン・・今の四つ打ち、スネアの・・スネアって小太鼓ですね。小太鼓の四つ打ちのパターンだったんですけど。もう1つモータウンビートっていうのが有名なのがあって「シャッフル」ってハネるリズムなんですけれども。

そのもうひとつの代表的なモータウンビート、スプリームスの「恋はあせらず」という曲のパターンがあるんですけれども。これもまあ黒人音楽のパターンですね。



まあ、この黒人音楽モータウンのパターンを使った有名な曲がアニメソングでは「エスパー魔美」のオープニングの「テレポーテーション」という曲があるんですけれども。

荻上
ほうほう、聞いてみましょうか?あ、本当だ!裏で指を鳴らしたくなるような。じゃあちょっとせっかくなので聞いてみましょうか。「エスパー魔美」オープニングで「テレポーテーション」です。



荻上
このドラムの感じですよね。この♪スッタスッタって1,2,1,2っていうこの裏で取っていくような感覚が先ほどの「恋はあせらず」のあの四つ打ち感をしっかりトレースして並べるとよく分かりますね。

ガモウ
だから当時のアニメを見ていた子どもたちは実は知らない間に黒人音楽を耳に・・

南部
ねえ、刷り込まれていたっていう。

ガモウ
日本人は日曜の18時半になれば黒人音楽を聴いていたということなんですよね。

荻上
アニメソングって意外といろんなルーツの曲がごっちゃになっていて、曲の教養として「えっ、こんな実験やってるの!」って今思うと、今のアニソンでもやっぱりすごいこといっぱいやってますよね?

さてというわけで「サザエさん」の話が出て来たところで、エンディングの方の曲についてもちょっと触れてみましょうか。

ガモウ
エンディングはですね、テレビとレコードだとちょっと構成が違ってですね、テレビだとAメロが終わった後サビまで間奏がすごい長いんですよ。普通はすぐ行くじゃないですか?

それが実はレコードだとセリフが入ってたんですね。セリフ部分がテレビではセリフがカットされてまして、だから変な間奏みたいになっていると。

そのセリフ部分がオーギュメント・コード(aug)が使われているんですけれども。それがちょっと気持ち悪いというか、ちょっと不安げな感じの響きのコードなんですね。

荻上
オーギュメント・コードっていうのは3和音だとすごい安定したコードですけど。そこの1音とかいろいろ音を足されることによって、ちょっと不思議な雰囲気になるコードのことをまあ・・

ガモウ
そうですね、3和音の1番上の5度の音がシャープする、半音上がるんですけどそこはなんか不安な気持ちにさせるコードなんです。

南部
おお、聞くと?印象としてね、ほお。

ガモウ
だから「サザエさん現象」ってあったじゃないですか?日曜日の夜に「サザエさん」を見ると不安になるって。

荻上
「もう行きたくない!」って。

ガモウ
それはまあやっぱりそのオーギュメント・コードの影響もあるんじゃないかという。そこでも不安に駆られて。

南部
曜日じゃなかったんだ!

荻上
エンディングソングのせいだと。

ガモウ
そういうこともあるんじゃないか?と思いまして。

荻上
じゃあそのちょっと不安げになるような部分があるのかどうか、そのコード進行とかに注目をして曲を聴いていただきましょうか。「サザエさん」のエンディングで「サザエさん一家」



荻上
いや-、確かにコードのちょっと不安感というかボヤッとさせられる、モヤッとさせられるような感じがありますよね。

ガモウ
今のセリフの部分なんですけど、そこはちょっとオーギュメント・コードで。それでテレビバージョンだとオーギュメントのコードの部分が今のは2拍なんですけど、4拍になっててより不安感を煽るという(笑)

荻上
なるほどなるほど、モヤッといえばちょっとセリフのキャラ設定がね・・初期のキャラ設定の感じになっていて。

ガモウ
カツオくんが大山のぶ代さんがやられてたりとか、サザエさん以外はもう声優さんが変わられているんですけれども皆さん。

荻上
そうですよね、マスオさんが「愛しているよ」って言ったりしているとね。

南部
ちょっとゾッと・・「知っているマスオさんじゃない!」って(笑)

荻上
サザエさんがお母さんを起こしていたんですね、この曲の感じですと(笑)

というわけでエンディングを聞いていただきましたけれども、やっぱりその曲のコード選びである感覚みたいなものが呼び起こされるというものを今の話で伺いました。

では続いての曲に行きましょうかね?続いてはどんな曲で?

ガモウ
次は「魔女っ子メグちゃん」のエンディングテーマの「ひとりぼっちのメグ」ですね。

荻上
これはどういったところに着目をすれば?

ガモウ
これはですね、タンゴなんですよね。なんちゃってタンゴなんですけど、当時はいわゆる今で言う「ワールドミュージック」世界のいろいろなジャンルの音楽を編曲に入れるということもよくやられていてですね。

この曲はタンゴ、途中の部分で8ビート、普通のポピュラー音楽のポップスとかで使われる8ビートっぽくなるんですけど、それがまた日本独自のジャズっぽい8ビートであまり海外では見られない感じのリズムなんですよ。

南部
そうなんだ、それとは知らずに聞いてたってことだ。

荻上
へえ、じゃあちょっと変わった融合がみられる、まあ聞かれるということですね。じゃあこれも曲をリズムに着目をしながら聞いていただきたいと思います。

南部
「魔女っ子メグちゃん」エンディングテーマです、前川陽子で「ひとりぼっちのメグ」



荻上
本当だ!タンゴと8ビートが交互にきてますね。

ガモウ
その8ビートも「シェイク」っていう独特の日本のジャズミュージシャンっぽいリズムでおそらくジャズのミュージシャンがやってたんじゃないかな?と推測されます。

荻上
今のさっきの曲をバックに流しながらいくと、この♪カッカカって鳴りながらタッタタンみたいなこのタンゴの独特な感じから、もうちょっと時間が経つとサビの部分になるんでしょうかね?

そこに行くと、♪ツッツタッツ、ツッツタッツっていわゆるドラムで刻むような8ビートサウンドに変わっていくということですね。ちょっと変わった融合がアニソンの中であるんですね。

ガモウ
他にマンボとかサンバとかいろいろなジャンルを・・まあなんちゃってなんですけど、ちゃんとサンバやっている人が聞くと「全然サンバじゃない!」って言われそうなんですけど。

でもまあ「なんちゃってサンバ」「なんちゃってマンボ」の曲がアニメではけっこうありまして、他にもポルカとかヨーデルとかそんなのも・・

さっきの「サザエさん一家」の曲は「アフロ・キューバン」っていうリズムだったりとか。実は子どもたちは知らない間にワールドミュージックも触れていたという(笑)

荻上
この「ひとりぼっちのメグ」はタンゴから8ビートに行くことによって、ちょっと寂しげなひとりぼっち感からちょっと陽気な「それでも・・」みたいな感じにスッとリズムで変えてくれますよね?

じゃあちょっと似たような曲というか、他の融合バージョンもあるということで、ガモウさんどんな曲行きましょうか?

ガモウ
融合と言いますか「なんちゃってマンボ」だけなんですが「魔法使いサリー」のエンディングテーマの「魔法のマンボ」



荻上
なるほど、確かにマンボ感出してますね。

ガモウ
マンボ感が出てるんですけど、まあ「なんちゃって」ですよね。

荻上
マンボ感とかサンバ感とかなんかちょっといろんな曲のアレンジが欲しいときにはやりがちですよね。

チョコボの曲だってね、ファイナルファンタジーのかわいげな鳥ですけれども。マンボバージョンとかもあったりとかしてですね。楽しくサウンドをアレンジするときにはやっぱりマンボ感の陽気な感じを拝借するという感じですよね?



ガモウ
そうですね、マンボは陽気ですからね。

荻上
次は別の?

ガモウ
じゃあサンバで行ってみましょうか?ブラジルですね。「うる星やつら」のエンディングテーマだった「宇宙はタイヘンだ」という曲を。



南部
サンバだー!テンちゃんがフワフワ踊っていた記憶がありますけど。

荻上
確かにサンバ感ある曲はアニメでも多いですよね?

ガモウ
あと「ときめきトゥナイト」の主題歌とか・・



南部
ああー、そうですよ!サンバと全然知らずに、サンバそのものを当時は知らなかったけど浴びているんですねえ。

ガモウ
そうなんですよ、実は。

荻上
「マツケンサンバ」を連想する方もいたでしょうね。このオープニングのあの感じで。

南部
思いましたもん、流し目を。

荻上
90年代の方だったらね「南国少年パプワくん」とかね。あれもやっぱりサンバ感ありましたからね。

というわけで、タンゴ・マンボ・サンバと続けてワールドミュージック感をエンジョイしていただきましたね。続いての曲はまたちょっとガラリと変わりまして別の曲の感じを味わっていただきたいと思うんですけど。

ガモウ
最後は、コード進行の話になるんですけれども。「ひみつのアッコちゃん」のエンディングテーマ、水森亜土さんが歌いました「好き好きソング」というのを解説したいと思うんですけれども。

この曲はブルース進行という進行でして、いわゆる日本の歌謡ブルースとは違ってアメリカのブルースですね。それと同じ進行なんですけれども。ブルースってコード進行が基本的にほとんど同じなんですよ。

これもそのコード進行でできてまして。実は日本で一番有名なブルースはこの「すきすきソング」なんじゃないか?と。ほとんどの人がたぶんこの曲は聴いたことがあると思うんですけれども。

ブルースということをあまり意識しないで聴かれているんじゃないかと思いまして。

荻上
じゃあブルースということは、これは特にコード進行がということですね。

ガモウ
コード進行がブルースなんですね。

荻上
じゃあそのブルース感を味わっていただくために、ベースの流れとかコード進行とかそのあたりに注意して聴いていただきたいと思います。

南部
水森亜土「すきすきソング」



荻上
本当だ!気づかなかったけど。

南部
「はあ、どうした」に持って行かれてブルースだなんて!(笑)

荻上
ブルース、12小節でだいたい進行して次のパターンってなるんですけど。せっかくベースがあるのでルート弾きでもいいので。

ガモウ
ブルース進行、キーが違いますけれどAでやってみましょうかね。



ガモウ
これ、ブルース進行ってやつです。

荻上
12小節で1セットで、例えばジャズセッションとかをするときにいろいろやるんですけど。この「すきすきソング」ぴったりそうでしたね!どストレートでした!

ガモウ
1番っていうか「♪すき すき」って歌ってるとこと「♪アッコちゃんがなにがし・・」って歌ってるところメロディが違うんですけど両方同じコード進行という。

荻上
そんなブルース進行に「はあ、どうした」みたいな感じのをつけるのがすごい組み合わせですよね。

ガモウ
今のオルガンがずーっとアドリブをしてまして、江草啓介さんっていうジャズミュージシャンの方が弾かれているんですけど。アドリブで最初から最後までずーっとアドリブという今だと考えられないアレンジですよね。

荻上
というわけで、ブルース進行の曲をもう1曲用意していただいたという?

ガモウ
はい、今のはちょっとファニーなキュートな感じのブルース進行の曲なんですけど同じコード進行で格好良いリズムにすると格好良い良く曲になるということで「カウボーイビバップ」の「TANK!」という曲を聴いていただきたいと思います。



荻上
いやー格好良い!

ガモウ
これは、マイナーブルースという形で。さっきのはメジャーで弾いたんですけどお手本で。これはマイナーなんですけど流れとしては同じ感じの。

荻上
ちょっと悲しげな大人感みたいなものが少しあったりしますね。南部さん分かりました?基本的なコード進行は、ルートが同じで12小節1セットで、12小節の最後のところで見得を切るような感じで。

アニメーションだと、そこにインサートでキャラクターなどがサッ!サッ!と。例えば2人の人間がいたら背中を合わせながらカメラ目線みたいな感じの格好良さとかあったりしますね。

南部
うんうん。

荻上
この基本的なものを使いつつも、またちょっと違うような曲調で楽しんでいただくのが、もう1曲あるんですね!

ガモウ
そうですね、「新オバケのQ太郎」2回目のオバQのアニメ化なんですけど。その主題歌の「オバケのQ太郎」という曲。

荻上
こちらもブルース進行、じゃあ12小節の流れも含めて注目して下さい。



荻上
これ面白い展開しましたね。

ガモウ
そうですね、2小節追加されてまして。

荻上
12小節のここまで本当にブルース進行の定番なんですけど。「♪だけど・・」で2つ足すんですよ!

ガモウ
おまけの部分ですね。

荻上
これがちょっと実験的な部分ですね。

ガモウ
これ演奏だけ聴いているとリズムが16ビートで「Tower Of Power」っていうアメリカのファンクバンドがあるんですけど。ほとんど「Tower Of Power」の曲みたいな感じなんですよ。

でも歌がすごいファニーというか、キュートな感じで。

南部
ボーカルが持って行く!(笑)

荻上
「すきすきソング」もそうですけど、いかにボーカルが立つとコード進行とか実は隠れたバックになるのかと。

だけどある曲の雰囲気とかをちゃんとコード進行とかが演出しているからそういうマッチング、雰囲気が出るというのはよく分かりますね。

今日はベースをお持ちいただいて、ベースで弾いていただいたのでラインが分かりやすくなりましたね。

(了)

解析! 昭和のTVアニメ特撮 主題歌大百科 耳に残るメロディを牽引した匠のコード・プログレッション330

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