2014/12/20

山田五郎が語る「『小学生なりすまし』問題にみるAOエリートには現実世界の挫折が必要」

今回は2014年11月27日放送「荒川強啓 デイ・キャッチ!」
「デイキャッチャーズボイス」山田五郎さんの回
起こしたいと思います。


山田五郎(以下、五郎)
小学校の4年生がインターネット上で
衆議院解散の是非を問うサイトを立ち上げたとかって話題になったら

実は大学生が小学校4年生になりますして運営していたということがバレて
謝罪するっていう事件がありましたよね?

これ、サイトを見るとたくさんの人が見てるように思わせる
アクセスカウンターとかがダミーなんですよ、インチキのカウンターだったりとか
なかなか高度な技が使われていて、

「子どもが出来ないんじゃないの?」ってすぐ分かりますし、
何よりもデザイン自体が典型的な大人が考える子どもの字とか
大人が考える子どものやりそうなことっていう感じでね。

あんまりデジタルクリエイションとしても月並みな感じだったんですけども。
これ何にもなければシャレで済んだのかもしれないですけれども、
時期が時期だけに騒ぎになって

安倍首相自らfacebookで「卑劣な行為だ」って批判したりとか
あるいは、民主党の陰謀説とかまで出る大騒ぎになってるんですけれども

個人的には、これは茂木健一郎さんがおっしゃってたんですけれども
まあ「若者がやらかした、それ以上でもそれ以下でもない事件だ」っていう
個人的には私もそう思うんですけれどもね。

この小学生になりすましてサイトを立ち上げたのは、
慶応の法学部の20歳の学生の子で、若者の政治意識を向上させるNPOの発起人
として非常に意識の高い若者としてつとに有名だった人なわけですね。

これが騒ぎが大きくなった理由の1つなんですけれども。
このサイトの構築とデザインを担当したのも、やっぱり慶応のSFCの学生で

この人は灘高時代から「天才プログラマー」とか
「スーパーIT高校生」として有名だった人なんですよ。
この2人のエリートが絡んでいたということで話題になったんですけれども

実はこの2人が今年の1月に「東洋経済オンライン」っていうサイトで
「日本を変える10代」として正月対談をしてるんですよ。




そこでね、ネットでの炎上を機会に若者の政治参加意識を高める計画を
熱く語り合ってるんですよ。

だからもしかしたら今回その計画を実践しようとした可能性もあるんだけれども、
結果は成功とは言い難いなっていう気がするんですよね。

これ今になって言うとちょっと後出し批判になっちゃうんですけど、
この失敗・・1月の2人の対談を読んでると、
ある程度予測出来たような気がしないでもないなというところがあるんですよ。

っていうのは、2人とも頭も良いし意識も高いですしやる気もあって。
もう言ってることは非の打ちどころがないほど正しい素晴らしい若者なんですよ。

なんだけど具体的な計画になると、そのさっき言った炎上して反論が来たら
「じゃあお前も政党を作れよ」と言うと「地域にいろんな政党が出来て盛り上がる」とか
割と具体的な話になるとやけにイージーで。

全般に世の中甘く考えてるんじゃないかな?みたいな感じで
妙にイラっと来る感じがあったんですよ。
なんかこれ懐かしい感じだな?と思ったら会社員時代にもけっこう感じた感じで。

90年代後半ぐらいから割とこういう自己PRとか
プレゼンは驚くほど上手なんですけども
実務になると驚くほど拙いっていう新人が増えてきてて、

一言で言えば言ってることとやってることの
ギャップが大きいタイプの人が増えてきたんですよね。

で、90年代に何があったっけかな?と思いながらこの2人の対談を読んでいたら
これがたまたまなんですけど、2人とも慶応に入ったのがAO入試で入ってるんですよ

それで「あっ!あーっ!」と思って。
日本のAO入試ってまさに1990年のこの慶応のSFCから始まって
90年代からAO入試エリートっていうのが増えてきたわけですよ。

だからこれもしかしたら、プレゼン完璧なのに実務がイマイチっていうのは
AOエリートの特徴かもなと思って。

荒川強啓
念のため、AO入試って何ですか?

五郎
アドミッション・オフィス入試っていうので、
論文と面接だけで入る入試なんですけども。

STAP細胞の小保方さんも早稲田のAO入試1期生だったじゃないですか?
そんなことでAO入試のことを調べてたら、このサイト運営者の方は慶応の・・
これまた今時ね、AO入試専門の予備校っていうのがあるんですよ。

AO入試専門で、慶応のAO入試合格者82名を誇る予備校の出身だったんですよね。
彼が立ち上げたNPOのメンバーも多くはここの予備校の出身なんですよ。

そのせいかそこの塾長って、その予備校の塾長っていう人?
この人もAOで慶応入った人なんですけれども、その人がなんだか分からないけど
今回の件で謝罪文を出してるんですよ。


この謝罪文がなんかまたこの2人と同じ匂いがするんですけれども。
この予備校のホームページっていうのがすごく良く出来ていて
AO入試に合格するのはどういう人か?っていうのが実によく分かるんですよ。

要するに一言で言うと、コミュニケーションとプレゼンテーション能力さえ高ければ
合格できるのがAO入試ってやつなんですよ。

だからこれ就活にも当然有利でしょ?就職にも。
だからAO組が就活に強いって言われる理由もすごいよく分かるんですよ。
もうなんかリア充感と勝ち組感がプンプン漂うホームページなんですけどね。

そのコミュニケーション力とかプレゼン力が高いっていう
それ自体は別に悪いことじゃないんですよ。むしろ良いことだと思うんですけども。
問題はね、そういう人ばっかりが大学や企業に入りやすいっていう風潮になることで

詰め込み教育に耐える地道な努力って言うのが
なんかただに無駄な努力みたいに軽んじられてしまうこと

これが社会全体にとってもそれから
AOエリート自身にとっても良くないことだと思うんですよ。

今回の問題を起こした2人は頭がいいから、AOじゃなくて
一般入試だっても入れるんですよ、慶応だとか東大だろうが。
でもなまじ頭が良いから詰め込み受験教育が馬鹿馬鹿しく見えるわけですよ。

他のことに時間使った方が良いっていうことでたぶんAOを選んだと思うんですけども。
それは確かに合理的で正しい選択かもしれないんですけれども、

その代わりに彼らは理不尽な努力を強いられることに耐える訓練
っていうのをやる機会を逸したと思うんですよ。

で、世の中の多くのことってもう不合理なシステムだとか
無駄な努力だとか理不尽な挫折っつうのを乗り越えないと実現できないでしょ?

でもAOエリートとか就活エリートはそれは世の中の方が馬鹿で間違ってるんだと
自分たちは頭が良いし意識も高いし、コミュニケーション力もあるし、
プレゼンもあるから華麗に世の中渡っていけるんだって思い込んじゃうんですよ。

実際はそうは問屋が卸さないわけなんですよ。
だからこの2人の対談を読んで思ってた世の中舐めてる感っていうのは

そのなんか挫折したことがないこととか、
地道な努力が無駄な努力にしか見えないところから来てるんじゃないかな?と。

で、またねIT技術っていうのがこの誤解の拍車をかけるんですよ。
簡単に成果が得られるからね、だけどもリアルの世界を動かすっていうのは
ネットを炎上させるほど簡単じゃないわけですよ。

だからそのリアルの怖さとかね、面倒臭さっていうのは肌で体感してね
自分たちが世界を動かしているつもりでも、

もしかしたらリアル世界での海千山千の大人たちに
いいように煽てられて利用されてるだけかもしれないよなんていうことを
今回の体験を通じてこの2人はよく感じて欲しいんですよ。

だからその意味で今回の2人のAOエリートは良い体験をしたと思うんですよ。
彼らが今回のことで自分たちは自分で思っているほど頭が良くなくて
世間は自分たちが思っているほど馬鹿ではないっていうことを肝に銘じて心から痛感して

一方、やたらポジティブだからこの人たち自己否定とか自己犠牲とか
そういうことを厭わない勇気っていうのを持って経験を積んでいけば

本当にこの人たち才能がある人たちだから
リアルに世界を変えられる人たちになっていくと思うんですよね。

やっぱりAO入試とか就活エリートとかってスーッて行っちゃって
非常にスマートに見えるけど実はやっぱりこういう人ばっかりになっちゃうと
国としては問題なんじゃないかな?ということを。

(了)

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