2013/07/15

町山智浩が語る「あの洋楽ヒット曲、本当はこんな歌」

2013年5月25日放送
「マキタスポーツラジオはたらくおじさん」
を起こしたいと思います。


マキタスポーツ(以下、マキタ)
さぁ今週はですね、以前番組オンエア中に
twitterで参加して頂いたのがきっかけでですね、
早速ゲストに来て頂きました。

映画評論家の町山智浩さんです。
よろしくお願いいたします。

町山智浩(以下、町山)
よろしくお願いします。

マキタ
ラジオ日本来られたのは初めてですか?
いかがですか?この放送室みたいな雰囲気は?

町山
いや、物々しいんでね入口のところで(笑)
びっくりしましたよ。

マキタ
ということでござまして町山さんね
以前もtwitterの方とかでですね、元ネタのこととかいっぱい
音楽も造詣が深いですからね。

町山
その元ネタのことでね、最近発見したんで
今ごろみんな知ってるよ!って言うかもしれないですけど
僕は最近ギターいじって、「あっ!」と思ったことがあるんで

ちょっと是非マキタさんに弾いて欲しいんですよ。
えーとね、ギターのコードでBありますよね?
B/B/C/Dと弾いてもらえます?

これなんだと思います?

マキタ
これ聞いたことあるな・・

町山
これ聞いたことあるでしょ?
これ浜省の「MONEY」のイントロ
♪ダーンダンダダーンって、あのリズムで。

これポール・マッカートニーのウィングスの「JET」と
同じなんですよ、イントロが!
♪ダーンダンダダーンでしょ、あれ?



ほら同じ何ですよ。
まさかポール・マッカートニーの「JET」と
浜省の「MONEY」が同じイントロだったって最近気づいて(笑)



マキタ
はーー、すごいこと発見してますね。

町山
元ネタということで、みんな弾き比べてみるといいと思いますけど。

マキタ
ポール・マッカートニーとあんまり結びつきは無いですよね?

町山
結びつき無いでしょ?浜省と。
だって普通みんなブルー・スプリングスティーンから拾ってると思うじゃないですか?
浜省って、意外なところだったですよ。

マキタ
ウィングスだったんですね、意外とね。
あのころの「MONEY」を歌ってるころ実はウィングスを
結構聞き込んでたんじゃないか?という説でございますけど。

面白いですね、それはまたそれで今度是非やらせて頂きたいと思うんですけどね。
あの町山さん、まだ22歳の若い女の子がいるんですけども・・

橘美緒(以下、橘)
はい、よろしくおねがいします。

町山
浜省も何も分からないよね。

マキタ
そうなんですよ、おじさんたちの会話がどうもピンと来てないんですよね。

町山
「はましょう」って聞いて何だと思います?


「はましょう」?人ですか?

町山
いやなんかほら老舗の乾物屋みたいじゃないですか!「はましょう」って。
人なのかどうかもよく分からないでしょ?


・・そうですね。

マキタ
いやいやいや、老舗のロックアーティストですよ!日本のね。
覚えてください!浜田省吾、略して「浜省」ですから。

もうだからね2個くらい分からないんですよ。
「浜省」も分かんなければ、「ウィングス」もやっぱり分からないですから。

町山
むかしはいろんな「はま・・」なんとかもいっぱい居たんですよ。
略しちゃうから分かんなくなってくるんですけども。

マキタ
うん、そうそうそう。まぁ「ハマコー」が抜けちゃったりしながら・・
「ハマクラ」がいたりとかね、居たんですけどね。
もう全部亡くなっちゃいましたけどね。




じゃあ、あなたも町山さんのプロフィールを
ちょっと紹介してあげてください。




紹介させて頂きます。1962年東京都出身の映画評論家。
編集者として雑誌「映画秘宝」を創刊します。
その後、渡米し現在はカリフォルニア州バークレーに在住されています。

「週刊文春」「anan」「クーリエジャポン」など多数の連載を持つ
コラムニストとしても活躍されており
先日「週刊アスキー」の連載コラムをまとめて「本当はこんな歌」が発売されました。



マキタ
いやね、本当にあなたは分からないかもしれないですけど
もう日本の映画評論で新たな風穴を開けた人ですから。

町山
そんなことない、そんなことないですよ。

マキタ
いや本当そうなんですよ。
だから意外とあなたも女優さんですから、
親しくしといた方がいいですよ(笑)

町山
そんな、そんな力無い!!

マキタ
今、日本の映画界は町山智浩を敵に回すな!っていう・・(笑)
女優は町山さんと寝とけ!っていうね。

町山
みんな回してこいっていうね・・
何にもしなくて「なんだ折角回したのに!」って言われると思います(笑)
「何の意味もなかったぜ」って・・。

マキタ
いやいやそんなことない、そんなことないっていうのもおかしな話ですけど。
今回はですね、その町山さん「本当はこんな歌」という連載物がまとまって
本になるということなんですけど。

僕ね、割と音楽を構造的に考えたりとか、今までの洋楽から
僕も影響を受けてるんですけどコード進行とかメロディとか
ばっかりそっちの方ばっかりだったんですよ、基本的に。


だからそもそも英語が分からないからあんまり調べようともしなかったし、
英語の歌がどのようなことで歌われていたのか?ってこともあまりピンと来てないし
未だに歌詞に対しての執着度っていうのが優先順位的に低いんですよ、僕って。

だから他のことが気になるから、なんか作詞作曲モノマネみたいなネタとかも
やるのかな?なんてことも思ったりするんですが。

だからこの文章を読ませてもらったら、もう目からウロコどころじゃなくて
「えーっ!」って全く想像もつかなかったんで、

それこそポリスの「Every Breath You Take」なんて
「えーっ!」ですよ!「そういうことなのか!」って思いましてね。

町山
何だっけ日本語タイトルは・・「見つめていたい」
あれはね、アメリカやイギリスでもね、歌詞の意味を勘違いしている人は
すごく多いんですよ。



マキタ
そりゃ本国でもそんなことが起こってるんですか?

町山
そうなんですよ、それで作詞作曲をしたスティングが
「ラブソングだと思われてるけど、俺そんなつもり無いんだけど」
っていうふうに言ってるんですよ。

マキタ
いやーだからその辺、後でねたっぷり聞かせて頂きたいと思ってるんですけども。
この番組でも以前ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」
これを取り上げたことがありまして。



これまぁちょっと詞がけっこう難解だと言われていて
あんまりまともな詞を翻訳されたものとかってものは
あまり日本人に伝わっていないと思うんですよ、これ。

町山
これはね、カート・コバーン自身もインタビューで
すごくアメリカで聞かれたんですよね、生きてる時に。
「どういう意味なんだ」と、「分からない」って言ってるんですよ本人が(笑)

マキタ
なんかそうなんですよね。
「分からない」とかぼやかしたようなことを言ったりとか。

町山
そうなんですよ。で、他の歌に関してはけっこう説明してるんですけど、
この歌に関しては「俺もよく分からないんだ」ってふうに言ってるんですよね。

マキタ
あとこの曲って本人あまりにも売れちゃったから嫌っちゃったじゃないですか?
途中ですごく・・。

町山
そうそう、やらなくなったでしょ。
これギターがさ、イントロのギターがけっこうポップで
BOSTONのヒット曲のギターとそっくりだったりするんですよ。



マキタ
あ、そうですか!

町山
で、「パクリじゃないの?」とか言われたりして
それで本人も嫌になっちゃったんですよね。
♪ジャーンジャカジャンジャカってやつですけど。

ただね、これは僕がアメリカに着いたときに
十何年前にアメリカに暮らし始めたときに
すごくこの歌に関してはショッキングな記憶があるんですよ。

この「Smells Like Teen Spirit」っていうのは、
「10代の魂の匂いがするぜ」っていう意味ですよね?

けっこういい歳になっても思春期の匂いがするぞみたいな歌なのかな?と思っていたら、
スーパーに行ったんですよ、薬とか売ってあるところで。
そこ行ったら「TEEN SPILIT」っていう商品が置いてあるんですよ!


マキタ
えっ、何ですかそれは?

町山
それね、10代の女の子が身体に付ける制汗剤なんですよ。

マキタ
えっ、コロンみたいなものですか!

町山
そうそう、日本では何が使われてます?
スポーツした後とかに・・


8X4?


町山
8X4みたいなやつ。

マキタ
あ、そういうことなんだ!!

町山
そういうことだったんですよ!!!

マキタ
何だよそれ!

町山
本当なのかな?と思って、「えっ、これ関係あるのかな?」と思って
最初は「Smells Like Teen Spirit」っていう歌が売れたから、
それを商品化したのかな?と思ったんですよ。

マキタ
ハハハ(笑)
後で便乗して!

町山
便乗したのかな?と思ってアメリカ人の友達に聞いたら
「いや昔から『TEEN SPILIT』っていうのあったんだよ!」って。

マキタ
じゃあ本当に文字通り日本だったら
「8X4のうた」みたいな・・。

町山
「8X4の匂いがするぜ」みたいな・・本当は。

マキタ
ハハハハハ(笑)

町山
でなんかカート・コバーンはそれを女の子の使うものだから知らなくて、その商品名を。
友達の女の子から「あなた『TEEN SPLIT』の匂いするわ」って言われたときに

「俺はもう20歳過ぎてるのにまだ10代臭いってこの女に言われたぜ」と思って
この歌を書いたんだって。
で、すごく精神的な意味に捉えちゃったらしいんですよ、カート・コバーンは。

マキタ
はああ。なるほどもうそこでちょっと変な齟齬があるわけですね。

町山
そうそうそうそう。
そしたら単にその女は「『TEEN SPILIT』って商品の匂いがあんたからするわ」って
言ったんですって。そういうことだったんです!

マキタ
そのカート・コバーンのある種の勘違いというか早とちりって
彼の才能なんでしょうね、精神的なもので捉えちゃったんだよ。

町山
「あなたいい歳こいてるのにちょっと思春期っぽいわね」って言われてたんだと思って
ちょっと嬉しかったんでしょうね。

マキタ
もっと言えばちょっと童貞臭いって言われちゃったようなもんですよね。

町山
そうそうそう、そっから想像力を膨らまして作った歌だったんですよね。
本当は勘違いだったっていう真相でした。

マキタ
そういうことだったんだ・・面白いですねー。
だって世界的に大ヒットしたわけですから、あの曲っていうのは。
ほとんどのそういうことの意味だって分かってないですよ。

町山
だからアメリカ以外ではその商品が売ってないから
アメリカ人以外は全員「10代の魂」だと思ってるんですよ。

マキタ
そうですよね、どっちかっていうと。

町山
でもアメリカ人は「ああ、あれのことか」っていう話ですよね。
これ面白いですね。

マキタ
すごいな、それはね。
で僕が勝手にですね、いろいろ興味のあるところからですね選ばせて頂いて
いろいろ聞いていきたいと思っております。

選んだのがですね、エアロスミスの「Walk This Way」です。
これはちょっと僕も意味はまったく分からないまま

まずこの曲を意識したのがRUN DMCがこれを取り上げて
ヒップホップにしてやってところからなので
本当に1980年代ですよね、これを聞いてちょっとショックを受けて


で、「Walk This Way」という曲があるのか、まぁその程度の認識でした。
これ何を歌っているのか分かってなかったんですよ。

町山
僕も分かってなくて、RUN DMCが1986年かなんかにライブやってるんですよ、日本で。
NHKホールかな?忘れたんですけど。

マキタ
「いいとも!」に来ましたよ。

町山
僕ライブに行ってて、みんな「Walk This Way」のところしか知らないから
全員日本人の観客「Walk This Way!」って言うんですけど、
意味分かって無いんですよ、歌詞の意味。

マキタ
そりゃ分かってないですよ。

町山
僕も分かってない、で最近分かったんですよ!
全然一緒にみんなで歌うような歌じゃ無かったんですよね、これ。

マキタ
っていうか、ちょっと恥ずかしい?

町山
恥ずかしい歌なんですよ!
これ童貞の歌だったんですよ!

マキタ
これは童貞!じゃあ曲聞いてみましょうね。



マキタ
いや、ゴキゲンなナンバーですよ。
もうリフとか最高じゃないですか!!

町山
もう最高ですよ、ドゥクドゥクってやつですよ。

マキタ
この子も迷わず「さんま御殿」って言ってましたけど。
日本ではもう今そういうことになってしまってますけどね。
これは町山さん、どういうことを歌ってる・・?

町山
これね、僕最初にエアロスミスが日本で売れ始めたとき、俺もファンなんですけども。
アルバムの中に入ってる曲名なんですよ、「お説教」っていうタイトル何ですよ。

っていうのは「Walk This Way」っていうのは「こっち来なさい」っていう意味なんですよ。
「この道を来なさい」っていう意味ですよね。

だから日本のレコード会社の人が勘違いをして
お説教をしてるんだと思ったんですね。

マキタ
ハハハ、こっちに導いているっていう(笑)
「こっちに来なさい」って・・。

町山
「ここ、こういうふうにしなさい」
「こういうふうにしなさい」とも聞こえるんですよ、「Walk This Way」っていうのは。

だからそういう意味だと思って「お説教」っていうタイトルを付けたんですけども、
実際そういう内容じゃ無いんですよ。

マキタ
どういうことなんだ・・。

町山
実際はね、オナニーばっかりしてる小僧に向かって
「セックスしなきゃだめだよ」って言ってるんですよ。

具体的にはあの「Backstroke boy」っていう言葉が出てきて
「Backstroke」って背泳ぎのことなんですけれども、
それってベッドの上でオナニーしてる状態を言ってるんですね。


マキタ
「Backstroke boy」っていうのは、そういうことなんだ!

町山
「Backstroke lover」って言ってて、
オナニーばっかりしてる子はまだ本当のことは分かっちゃいないと。
「本当にマフィンの味を知らなきゃいけない」って言うんですけど。

マキタ
マフィン(笑)

町山
「マフィン」っていうのはスラングで
女の子のあそこのことなんですよ。

マキタ
未緒ちゃん、聞いときな!
今、高尚な話をしてるんだからね、町山さん。
バークレーからやって来て高尚な話をしてるんだから!言っとくけど。


・・・・はい。

町山
でね後はいろんな童貞を捨てるパターンを次々と並べているだけなんですよ。

マキタ
そういうことなんだ!

町山
そうなんですよ、「Walk This Way」っていうのは歌詞の中で途中で
3番目くらいに出てくる女の子に導かれて、童貞を捨てたときに女の子が
「そうよこっちよこっちよそうするのよ」って言ってるんですよ、実際は。

マキタ
そんなエッチな歌なんですか。
でもこれねスティーブン・タイラーってねボーカリストがいてるんですけど
あの人じゃないとたぶん歌えないでしょ?

町山
歌えないですよ、あの人だって16歳のグルーピー妊娠させてる男だからねぇ。

マキタ
超ヤリチン野郎なんだよ!とんでもないヤリチン野郎ね。
だから娘さんとかも高名な女優さんですから。


町山
あれお母さんグルーピーですね、有名なね。

(中略)

マキタ
でもすごいあれなんだよ、モテそうなオーラが出まくってるんですよね。

町山
ただね、TRUN DMCのライブの時もそうだけど
エアロスミスのライブの時も歌詞の意味全然分からないのに
みんなで合唱してたんだけど。

それ「童貞捨てろ」っていう歌だったってのを知って(笑)
ちょっとびっくりしましたね。

マキタ
「♪Walk This Way」 って言ってるのが
ギャグのブリッジって言ってるやるあるじゃんか?

それこそ「ワイルドだろぉ」ってスギちゃんが言ってるような
まるでそういうシステムに聞こえるよね。


町山
でもそういうことですよね、実際はそういうことなんですよ。

マキタ
いろんなパターンを説明していって「♪Walk This Way」
「こっちへ来なさい」っていうことだからね。

町山
そうそうそう、「こんな感じよ!」って言ってるんですよ。

マキタ
面白いですね。いいですか続いて・・もうどんどん聞きたい!
マリリン・マンソンの「The Beautiful People」っていう曲があるんですけど
これ美緒ちゃんもたぶん聞いたことのあると思いますけど、まず聞いてみましょう。



マキタ
これ、美緒ちゃんパッと聞いたらどういうことを歌ってると思う?


えーなんか怒ってるのかな?

町山
おー、正しいですね。正しいですね。

マキタ
怒ってるのはわかるんだ。
だからもうなんかさ悪魔的なメイクをした人が
こんな黒いサウンドに乗せてね。ドス黒いねそれで「The Beautiful People」だって。

なんかすごいアイロニーをね、効かせてるんじゃないか?
そんなイメージだと思うんですけど。
町山さん、これは何を歌ってるんですか?

町山
これ「美しい人々」っていう歌なんですけども。
「美しい人々になれ」とか「美しい心になれ」とかすごく言うでしょ?

でテレビを見ると、「美しくなりませんか?」とか
「美しいっていいですね」とか美しいものはいいものだって
全てのものがなってるじゃないですか?広告からテレビから。

このマリリン・マンソンって人は
「それは恐ろしいことだ」って言ってるんですよ、この歌の中で。

そういうこと言ってるのは最終的にファシズムになっちゃうよと。
ナチスドイツは昔、美しくないからっていう理由で身体障碍者の人たちを
殺したんですよね、沢山。

そういうのを同じになっちゃうから、
これ怖いことだぞというふうに言ってるんですよ。

マキタ
それも全然ナチとかそういうものよりも平和的なことを
むしろ歌ってるんではないか?と。

町山
そうそうそう逆にこの歌が感動的にアメリカで歌われたのは
身体障害者の子どもたちのためのコンサートで彼はこれを歌ってます。

最終的に「美しいもの」「美しいもの」って言ってると、
身体障害者の人を排除することになるぞ!っていうことを彼は言いたかったんですね。

マキタ
でもこれほら悪名でちょっと轟いてしまったのは、
コロンバイン乱射事件の犯人がこのマリリン・マンソンを聞いてたっていうことで
「これはやっぱりヤバい音楽だ」っていうレッテルを張られてしまったんですよ。


町山
そう、僕はその時にちょうどコロンバイン高校のある地域に住んでたんですよ。
コロラドの。で、そこでマリリン・マンソンみたいなメタルであるとか
パンクだけをかける放送局があって

そのコロンバイン事件の直後のその放送局っていうのは、
ボイコットをくらって潰れちゃったんですよ。

マキタ
ああもう潰れちゃった。
放送局自体が潰れちゃった。

町山
だからマリリン・マンソンの歌に触発されて大量虐殺を学校でやったんだと
要するにモテない2人の高校生がスポーツとかでもモテる子たちを皆殺しにしたんですよ。
銃を持って、1999年に。

その地域ではそのマリリン・マンソンの曲だけじゃなくて
そのような曲を流すラジオ局自体を閉鎖されたんですけども。
まさにこの歌が歌ってるようなことが逆に起こってるというね・・。

マキタ
皮肉だなぁ。

町山
そうなんですよ、だから学校でもスポーツが出来る子とか明るい子とか
そういうビューティフルなピープルばっかりもてはやしてるけども
「それ恐ろしいことだぞ」って歌ってるんだけど、まさにそういうことがあったと。

マキタ
うわー、これ今話聞いててゾクゾクしちゃったな。
いやこれは意外、意外。本当びっくり。
もうこれ以外にも聞きたいことがあるので続いていきたいと思います。

続いてはこちらです僕も冒頭言いましたポリスで「みつめていたい」



いや懐かしいですね。
「Every Breath You Take」という曲ですよね原題はね。
これ何故「見つめていたい」というタイトルになったのか?ちょっと僕も分からないですけど。

町山
これは「I'll be watching you」って言ってて
「watching」っていうのはウォッチするっていう「監視するよ」っていう歌なので
「見つめていたい」という歌詞に。

マキタ
「監視するよ」?

町山
「君を監視するよ」っていう歌なんです。

マキタ
そんな強烈なんですか?「見つめていたい」じゃないんですか?
「watching you」っていうのは。

町山
いやこれタイトルが「Every Breath You Take」なんですけど
「君の息する1個1個の息を全部聞いてるぞ」っていう歌なんです。


いやっ、怖い!

マキタ
監視、「君の息1個1個聞いてる」ってヤバくねぇ?
女目線で聞いたら超ヤバくねぇか?


ヤバい!怖い!

町山
そう!「君のやることを全部見てるぞ」っていう歌なんですけど。
で、付き合ってるのかな?って思うじゃないですか。

この2人付き合っててすごくそういう彼なのかな?と思うと
途中でギターがジャーンって入ったところで、
「Since you've gone I been lost without a trace」って言うんですよね。

「君が去ってから僕はもう君のことしか考えられないんだ」って言うんですよ。
この2人もう付き合ってないんですよ!別れてるんですよ、この歌の2人は。
要するに別れた元彼がずーっとそのフラれた彼女を監視し続けてるっていう歌なんですよ、これ。

マキタ
それストーカーじゃないですか!!


町山
ただのストーカーなんですよ。
これ普通のストーカーの歌なんですよ。

マキタ
この大ヒット曲が「見つめていたい」っていう
ロマンティックな邦題になってるものがストーカーの!?

町山
普通のストーカーですね、これただの。

マキタ
めちゃめちゃ怖い歌じゃないですか!!

町山
みんなよく分かってなくてラブソングだと思ってるんですよ。
ただ君が好きだから「見つめていたい」だと思ってるけど

そうじゃなくておそらくは窓のところからこうやって双眼鏡とか
あとはすごく変な歌詞で「君の息まで聞いてる」とか言うから
天井とかに隠れて・・

マキタ
そうだよ!天井だよ、だって!江戸川乱歩だよ!


町山
天井裏に隠れているとしか思えないような
すごい怖い気持ち悪い歌なんですよ。

マキタ
ちょっとある種の猟奇の臭いがしますけど。
すげーこれはあれですよね、スティングが書いてるんですよね?

町山
そうなんです、スティングこのときね離婚のあれで
この人カミさんの親友とできちゃったんですよ。
で、そのときになんかあったんだと思うんですよ。

奥さんが自分のことを監視しようとしてたのかもしれないですけども・・
その時に書かれた歌なんですね。
それも面白いんですけどね。

マキタ
これね美緒ちゃんねこれも世界的にヒットしたし、
模造品もいっぱい出回ってるんですよ、実は(笑)

でもねこれはすごく汎用性が高くて
コード進行も超ベタ中のベタなんですよ。
で、メロディーとかコーラスとか綺麗でしょ?

でシンプルなんですよ、シンプルだからそれだけ流行ったと思うんですけど。
だからこれが音楽のマジックだよね。
だってそんな怖いこと歌ってるとは思いもよらないもの。


うん、思わない。

町山
これアメリカ人も最初の方だけ聞いてると
「まぁ好きだから見てたいのかな?」と思うと途中で「君と別れてから」って

「別れてるのか、この2人!」っていうオチみたいなのがついてるんですね。
で。怖くなってるんですね、後半が。

マキタ
すごい作品性だなー。びっくりだな。

町山
しかもポリスはこの後これがラブソングだと勘違いされてるところに関して
「これはマズいな」と思ってソロになってから「ブルー・タートルの夢」っていうアルバムを出した時にその中で「If You Love Somebody Set Them Free」っていう歌を入れてるんですけど


それは「君は本当に人を愛するんだったら、放って置きなさい」
「監視しちゃいけないよ」っていう歌を書いてるんです。

マキタ
あ、アンサーしてるんだ。

町山
そう「If You Love Somebody Set Them Free」っていう歌を歌って
「自由にさせなきゃダメだよ、それが愛するってことなんだ」っていう歌を歌ってて

それは自分に対するアンサーソングですね、だから面白いですよ。
それ互いに知らないと面白くないですよ。

マキタ
併せて是非聞いて頂きたいなと思います。
さぁそしてこれはもうキッズたちは興奮して大好きだった
レディオヘッドですけども、「Creep」もうお馴染みの曲ですよ。

これも大アンセムと言ってもいいんじゃないですか?
聞いてみましょう。



マキタ
これは「Creep」
そもそも「Creep」なんて僕は・・
コーヒーに入れてるものしか想像できないです。

町山
今コーヒーに入れてる人いるんですか?
クリープ知らないですか?


あのミルクみたいなやつですよね。
(注・こちらのつづりは「Creap」)


町山
そうそう、あれはアメリカだとかヨーロッパだったら
すごく変な商品名なんですよ。

マキタ
何なんですか?それは。

町山
「Creep」っていうのは虫が体を這いずり回る感じなんです。
「Creepy」っていうのは「虫唾が走る」っていう意味なんですよ。

「キモい」とかあるじゃないですか?
うわっとゾクゾクッとする気持ち悪い感じ。
オヤジとかに電車で触られる感じ。

マキタ
俺最近娘に言われるようになんだけどさ、「キモい」って。

町山
そのオヤジの頭がテカテカで禿げて、
髪の毛をこっちからこっちへ持って来てたりするような簾だったりすると
「Creepy!」って言うんですよ。

ゾクゾクするとき、体を虫が這ったような感じがするじゃないですか?
ゾクっとしたとき、するでしょ?
あれのことを「Creep」って言うんでうしょ、「Creepy」とか。

マキタ
そうなんだ。

町山
だから「Creep」っていうレディオヘッドの歌は
「キモい」ってタイトルですよ、だから日本語にすると。

マキタ
キモメンの歌?

町山
そう、キモメンの歌なんですよ。
でもラブソングみたいに聞こえるでしょ?

そうじゃなくてトム・ヨークっていうリードボーカルで歌詞書いた人が
生まれたときの障害で目の片っぽが形が違うんですよね。

今も手術を繰り返しててかなり良くなってるんですけど。
でもやっぱり瞼の形が現在も違うんですよ。

それ本人がすごくコンプレックスに感じてて
これでは絶対モテないと思ってたんですね。

で、大学に行ったときにすごく彼が好きな女の子がいて
でもって好きなんだけどもちょっとストーカーみたいにして
いつもその女の子のいるところ追っ掛け回してたらしいんですよ。

遠くから見るだけで話もしないと。そのことを歌ってるんですね。
「君は綺麗だ 僕はずっと見てたけど今日も声掛けられなかった」と
「だって僕は『Creep』だから」、僕はキモいからって。

僕はウィーアード(weirdo)、ウィーアードっていうのは、
ちょっとオタクみたいにウジウジしてる感じのことを言うんですけど


「僕はキモいから、僕はオタクだから」みたいな
「だから君をみてるだけなんだ」っていう歌なんですよ。

マキタ
すげートム・ヨークに会いてえ。
仲間じゃんある種の!

町山
だから悲しい歌ですよね。

ただ今は大ヒットしたんで、日本でも世界でもライブをやるときに
「僕は『Creep』」僕はキモいっていうところで
観客全員が「僕もキモイ」ってやるんですよ!!

「♪But I'm a creep」でみんな「♪I'm a creep」って
やるんですよ!
だからこれはいいことかなと思いますね。

マキタ
いいじゃないですか!みんなで「キモい」大合唱してるんですから!

(了)

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