今回は2016年2月27日放送「ジェーン・スー相談は踊る」
20時台オープニングを起こしたいと思います。
スー
それでは20時台最初はTBS熊崎風斗アナウンサーからの相談「仕事への熱意が周りに伝わらない」ということなんですが?これどういうことですか?
熊崎
いや、もうまさにこの通りなんですけど。自分の中では例えば将来オリンピックに行きたいとか世界陸上に行きたいということもけっこう周りに言ったりもして、そういうアピールもしているつもりだし。
そのために自主練とか、いつもけっこうやってるっていう気持ちはあるんですけど。ふと先輩と飲み会とかで話していると、
「お前から『やりたい!』という気持ちを感じたことは4月で4年目になるけど、1回もない」とかそういうことを言われたりするんですよ。
スー
けっこうガツンと来るね。
熊崎
それが1回だったら、その方だけのご意見なのかな?っていうこともあるんですけど。何回もあるんですよね。だからもしかしたらその熱意の伝え方が下手なのか、自分が思っていると思っているだけで思ってないのか?とか。
なんでこう伝わらないのかな?っていう解決策が僕の中で見つからないんですよ。
スー
どういうふうに会社の人にはアピールしているんですか?何がやりたいっていうのを?
熊崎
えー、まず一番として将来的にオリンピックに行ってリポーターそして実況がやりたい。これがまず第一。
スー
今年の?
熊崎
これはもう将来的な目標ですね。
スー
じゃあ4年後とか見て?
熊崎
そうですね、今回はないんですけど。あとは面談とかあっても情報番組でこういうプレゼンやりたいとか、もっとニュースを読みたいとか言ってはいて。やってはいると自分の中では思ってしまっているんですけど・・伝わらない。
スー
本当に何がやりたいか?っていうのを自分では明確にあるって言ってたよね?さっきね。
熊崎
明確にあります。
スー
それを明確に話してる?
熊崎
明確に話しているんですけど、もしかしたら周りにこれもよく言われるんですけど話し方的に情熱がこもってないんじゃないか?と僕のしゃべり方が。あとなんか雰囲気とかそういうのも相まってこういうこと・・
熱意が周りに伝わらないっていうことになってしまってるんじゃないのかな?とも思うんですよ。
スー
周りの人に言っているんだけど、周りのみんなから「お前が何をやりたいのか、熱意が伝わらない」みたいなことを言われてるってけっこうヘコみません?
熊崎
めちゃくちゃヘコみますよ!解決策とか明確な理由があるんだったら分かるんですけど、自分の中でそれが見つかってない。だから「なんで言われているんだ?」っていう。
スー
聞いた、それ?
熊崎
それはですね・・聞けないですね。
スー
なんで聞けないの?
熊崎
そのとき聞けなかったっていうことですね。
スー
何回か言われているでしょ?で、「あ・・はあ・・」で終わっているの?
熊崎
「はい・・はい・・・はい、そうですか?」「頑張ります」みたいな。
スー
もう1歩食い下がればいいのに!
熊崎
食い下がりが足りないんですかね?やっぱり聞いてそこから解決するっていうところの方がいいんですかね?
スー
なんだろうね?なんか言わんとしていることは分かるけど、その人たちの。
熊崎
いま対面をして情熱がなさそうですか、僕って?
スー
っていうかね、壁が厚い!
熊崎
壁が厚い?それはどういう意味ですか?
スー
本当に何を思っているのか見せない方法っていうのをすごいパターンで手練手管持っている感じがする。
熊崎
怖いのかもしれないですね。
スー
なんか相手に踏み込ませないで、上手くツルツルツルって流していくための油はさっきからジャンジャン出てるね。
熊崎
ああ、だからもしかしたら自分を出すのが怖いのかも?「ザ・トップ5」とか半年間やらせていただいて、その感じをちょっとずつ剥げてきたのかなと、メッキをね。
剥がして自分を出せるっていう方向性に向いてきたのかな?っていうところもなんとなくちょっと手応えあったりしたんですけど、まだまだですか?
スー
いや、あのーなんでさっき話を聞いててちょっと「あっ!」と思ったかっていうと、
さっきの20時前の放送で子どものころからご両親が転勤が多かったっていう話をしてたじゃないですか?一緒になって転勤してたっていう。だから転校が多いっていう話をして・・
そういえばこの間、小林麻耶さんがテレビ出てたなと思って。なかなか八方美人で嫌われちゃったみたいな、なかなか難しい話を正直にしててすごいなと思ったんですけど。麻耶さんもけっこう転校が多かったんだよね?
(参考)
小林麻耶が語る「それね!出ました、自己肯定!やり方が分からない!!」
熊崎
だからそういう感じになったっていうことですか?
スー
麻耶さんの鉄壁と似てる!出方は違うけど、本当に何考えているかは見せないっていうところの360度のバリアみたいなのはちょっと似ているかな?と思ってて。
転校が何か自分に及ぼした影響とかっていうのはあるんですかね?ちょっと誘導尋問になって申し訳ないですけど。
熊崎
本当に小学校のときとかは1年生と2年生は群馬県、3年生・4年生神奈川。そこから5年生・6年生・中学と千葉だったので、仲良くなり始めるかな?ぐらいのところで転校して悲しい思いをするみたいなことが多かったので。
それでもしかしたら、当時はそんなこと考えてなかったけど無意識で仲良くなり過ぎても「うちは転勤族だから引っ越す可能性あるよな?」みたいなことを・・。
スー
私、転校したことがないので分かんないんですけど・・仲良くなり過ぎてもつらいだけだしな・・みたいなことってそんな小さいころから思うんだ?
熊崎
当時は別にそれを思ってそういう行動を取っていたわけじゃない。そのとき毎日毎日を楽しく生きてたつもりなんですけど、結果的にいま考えたらどうだったのか?っていうのを考えたら・・
スー
君、すでに私に対して身体が正対してないんだよね。いま完全に横を向いて肩が私にむかって向いているんですよ。すごい防御反応に入っていて、めちゃめちゃ面白いなコイツ!と思って。
さっきまで前を向いてしゃべっていたのに、どんどんどんどん横を向いてめちゃめちゃ防御しているなと思って。
熊崎
別に何も怖い思いをしているとかいうわけじゃないんですけど。ちょっとこれね、変な汗をかきそうな自分が今いるんですよ!スーさんと対面で面と向かって話のはちょっとなんかこう・・
スー
いい子のフリしていろんな人に踏み込ませないでやってきたんだろ?・・あ、ごめん蹴っちゃった、今。テーブルの下で蹴るって一番パワハラみたいなことしちゃった!ごめん、ごめん(笑)
熊崎
でも僕は踏み込んでもらいたいというか、もっともっと自分を出して行きたいんですよ。どうすればいいのか?・・はい。
スー
出している?
熊崎
出して行こう!っていう気持ちはあって、それを出すつもりでいます。
スー
出さないっていう方法もあるよ、でも。
熊崎
でも僕は出していきたいんです。
スー
なんで?
熊崎
結局、自分を出した方が自分のやりたいことがやれると思うんですよ。
スー
そうかなー?どうかなー?
熊崎
これ甘いですか?いやでも自分を出さないことには、自分で言わないことには仕事とかも降ってこないんじゃないですか?
スー
もちろん。でもそれと自分を出すのは全然関係ないからね。やりたいことを言うのと。
熊崎
でもやりたいこと言えない。
スー
なんだそれ!言えよ!!何がやりたい?
熊崎
オリンピック行きたい。
スー
言えてんじゃん、それは。
熊崎
そうなんですけど、その・・「言ったとしても上辺だけだよ」みたいに思われたりもするんですよ。
スー
うんうんうん・・上辺なんじゃないの?
熊崎
上辺じゃないです。
スー
ツルツルツルっと行く感じっていうのを指摘されるのは分かります?自分でも思い当たる節はあります?別にこの文脈読まなくていいですけど。
熊崎
そんなにないです。
スー
そんなに思い当たる節はないと。彼女から怒られるときなんて言われます?
熊崎
怒られないです。
スー
あ、本当!?なんか「人の話、聞いてるの?」とか「いっつもこうじゃない!」みたいなことを怒られることはない?
熊崎
ないです。
スー
あ、そう!?じゃあ全然ケンカしない?
熊崎
ケンカしないです。
スー
歴代の彼女も全然ないですか?
熊崎
それはないです。ケンカはします。
スー
今の彼女とはケンカはしない。歴代の彼女にはなんて言われてきた?
熊崎
たし・・・・でもまぁ・・・そうだなぁ・・「何、考えているのか分からない」とか。全然、話が変わってきちゃうかもしれないですけど「本当に私のこと好きなの?」とか「私のことを思っているの?」とか。まあ自由にしちゃうタイプなのかもしれないけど。
スー
違うよ、バカ!同じことじゃん!上司が言っていることと。だって上司はなんて言ったの?あなたに。
熊崎
熱意が周りに伝わらない。
スー
で、上司はお前は口で言っているけどやる気が見えないってことでしょ?今までの歴代の彼女は本当に私のこと好きなの?とか何を考えているのか分からないって同じじゃね?
熊崎
うーん、だからそれを同じとして僕は理解できてなかった。はっきり言うと。
スー
何キャラ!?(笑)今ね、腕を組んで古畑任三郎的な手の動きっていうんですかね?私をちょっと卵を持つような手で指差しながら、その手を返して自分の胸に置くみたいな。古畑任三郎みたいな動きをずっとしているんですけど。
熊崎
でも伝えたい!熱く・・熱い人間でありたいんですよ!
スー
どうして?
熊崎
どうして、先輩に松岡修造さんに似ている石井大裕アナウンサーいるじゃないですか?あそこまで自分ができるか?と言えばできないですけど、先輩の熱さって素敵だなって思うんですよ。
スー
系譜として似ているなと思って話を聞いてたんですけどね。1回しかいらしていただいていないんですけれども。
熊崎
そういう方向性も自分の中で取り入れていきたい。
スー
自分を人にどう見せたいかっていうことばっかり考えているんじゃないですか?
熊崎
それは往々にしてあります。自分本位な人間なんです。
スー
自分が大好きなんですよね?まあ、それはみんなそうだからいいですけど。自分が大好きな人って自分以上に自分のことを好きになってくれる人はいないので・・良くも悪くもね。
熊崎
自分が自分のことを一番好きでありたいって僕はそれを思っています。
スー
もちろん、もちろん。だけどその人たちに対して「こうある自分」が自分の中の理想みたいな状態を見せること・・
私よくその「Fake it till you make it! 」って「できるようになるまで、嘘でも良いからやってけ」って言葉はすごい好きなんですけど。
ただどこまでフェイクかな?っていうところはちょっと気になるよね。だって前の彼女もそうだし、上司も「本当はお前そう思ってねえだろ?」っていうことだよね、言いたいのは?
熊崎
まあ、たぶんそう・・。
スー
「口ばっかり」っていうことでしょ?行動が伴ってないっていうことなわけじゃないですか?
熊崎
そうですね、自分の中では伴っていると思っても結果的に伴ってないんですね。行動が変われば・・・だから僕のしゃべりに真実味がないというか現実性がないんですか?
スー
うん、ないと思う。
熊崎
アナウンサーとして大丈夫ですか?
スー
別にそれはどうにでもなると思うんだけど。それよりも本当に自分が何をしたいのかをゆっくり考えた方がいいんじゃないかな?と思うけどね。
熊崎
今の段階で「これやりたい、これやりたい」とか言うのは逆効果ですかね?
もしかしたら?
スー
そんなことない・・だからもうそのノウハウとか、どうやってアプローチするっていうの置いといて・・
熊崎
マニュアル人間なんです、僕。
スー
そうだねえ。だから自分で考えるクセを付けたら?オリンピックをやるとかなんとかっていうのは、もちろんぜひ目指すべき目標だと思うんですけど。本当に自分がやっていて楽しいこととか?
だってそれって完全にさ、まあ私の見立てだけどオリンピックに行ってオリンピックから熱いレポートしている俺、カッコいい!とか、イケてる!とかそういうことじゃん?
熊崎
まあ・・それ言いたくないですけどね。皆さんにお伝えしたいっていう気持ちが大前提にありながら、今スーさんがおっしゃったところもありますね。
スー
例えば、オリンピック今回この種目が増えるんですけど僕はこの種目に関しては前から注目してたので、それを絶対実況したい!って言ってその種目について詳しかったら、みんな「おっあいつやる気だな」って思うと思うんだよね。
熊崎
そうか、そういうところがないのに・・
スー
それマニュアルとして受けるなよ!そういうことじゃないからね。就職試験じゃないんだから。
熊崎
受け取りそうになっちゃいました。
スー
気をつけて、マニュアルじゃないから(笑)そうじゃなくて、そういうふうに夢中になれるものは何なんだろう?っていうことをハウツーではなく考えると何なんでしょう?
熊崎
陸上は一番中継をやりたいんですよ!
スー
どうして?
熊崎
ずっと陸上をやってきまして、長距離をやってきたんですけど。トラックの5,000mとか10,000mとかマラソンとかそういった競技の実況を自分の言葉でやりたいなっていう気持ちはですね、これはもう嘘偽りなく入社する前から思い続けてきたんですよ。
スー
5,000m・10,000m・マラソンって言ったけど、ほとんどの人は5,000mと10,000mってどういう競技だか分からないよね?
マラソンは42.195kmっていうのは分かるし、だいたいどのへんから盛り上がってくるのか?とか。どういうふうにダンゴになって人が離れていったりとかこういう劇があるっていうのはみんなだいたい分かってる。
5,000mと10,000mの見所って全然分かんないですよね?
熊崎
今いいですか、お伝えしても?
スー
はい、どうぞ!
熊崎
男子10,000mだとすると、だいたい世界だと9,000mくらいまでは日本人もつけるんですよ。で、9,600mぐらいになってきてから本当に強い選手5人くらいに絞られて
9,600mそこまで走ってきたにも関わらず、ラスト1周400mは女子の短距離選手並みのスピードで走り切るわけですよ。
スー
10,000mっていうのは、トラックを何周するゲームなの?
熊崎
えー、ちょっと待って下さい・・
スー
400で割るの?
熊崎
25周です。
スー
問題は最後の1周、25周目からだ。
熊崎
その前にも揺さぶりが、ペースをいきなり遅くしたり早くしたりっていうので本当に早い選手じゃないとつけないようにしておいて、最後はもうガチンコ勝負になるんですよ。
スー
うん、5,000mは?
熊崎
5,000mも最後1周っていうのもあるんですけど、5,000mは最初っからハイペースで行って・・揺さぶりですよね。
スー
同じじゃん!なに?「揺さぶり」って何?What is「揺さぶり」?
熊崎
結局ですね・・だから金メダルを取るような選手が後ろの方にいても、そのレースを支配するんですね。
スー
どうやって?
熊崎
他の選手はその選手がラストスパート強い選手。強い選手だからこそ自分は最初っからハイペースで行かないといけない。ラストじゃ絶対に勝てないから。
っていうことを言って早めに行ったりっていうこともありますし。結局自分はその選手に勝つにはラスト100mでどうにかするしかないと思ったら、その選手の後ろにピッタリとついてマークするとか
全部がその選手が前にいても後ろにいても、その選手1人の走りによってレースっていうのがガラっと変わっちゃうんです。そういったドラマ、これを伝えたい。
スー
確かに42.195kmよりは時間が短いから、けっこう仕掛けられるのは1回とか2回しかないよね?
熊崎
そうですね、だからこれはラストスパートがない選手は残り1,000mでいきなりペースを上げたりしますし。
スー
残り1,000mでペース上げるってどれぐらい?もうヘロヘロでしょ?9,000m走ったあとだったら?
熊崎
それが余裕しゃくしゃくなんですよ。
スー
どこの国が強いの?
熊崎
ケニア・エチオピア
スー
やっぱそのへん、マラソンと一緒なんだ。日本の選手で強い人って誰なんですか?
熊崎
大迫傑(おおさこすぐる)っていう早稲田出身で日本の実業団に入りながら日本の実業団のシステムじゃ自分は強くなれないとアメリカに渡ってっていうサムライがいるんですけど。
彼が1番日本で強くて、それでも5,000mで世界陸上で決勝には残れないんですよ。予選で落ちる。
スー
おー!あ、そう?けっこう日本の人でも短距離とかで残っている人とかいるじゃない?
熊崎
長距離そこは日本じゃ、今は絶対に行けないって言われているところで・・
スー
なんで?
熊崎
やっぱり心肺機能と言ったらそこまでなんですけど・・だからその心肺機能じゃないっていうことを証明したくて大迫はケニア人に勝つためにアメリカでアメリカの練習をしているんですよ。
日本の練習はとにかく長い距離を走ると。そういう練習は5,000m・10,000mじゃケニア・エチオピアのスピードには対抗できない。
スー
だから実業団を辞めたの?
熊崎
辞めてアメリカに言って、アメリカでケニア・エチオピアに勝てるスピード練習をガンガンやっている。でも現状予選落ちだった。
ただその予選落ちの質が今までの日本人とは全然違って。ギリギリあと0.5秒とかで予選落ちだったんですよ。
スー
ああ、惜しいね!
熊崎
だから予選落ちながら、夢を見せてもらったっていう。今度のオリンピックでは夢の決勝進出を目指してやってほしいっていう気持ちはあるんですよね。
スー
ああ、なるほど。楽しかったよ!今の話。
熊崎
ですかね?今、熱が・・
スー
あったと思うし。
熊崎
でも今、熱があるとかないとか考えなかったんですよ。
スー
このへんがまた嘘臭くなる。お前一瞬にして嘘臭くなるな(笑)すげーな!
熊崎
自分の話したいことをしゃべった。
スー
とにかく5,000mと10,000mのことを注目している人がそんなにまだいないのであれば、今のことをブログやってる、会社の?
熊崎
やっておりません!
スー
そしたら会社のブログを始めて4年後までにとにかく5,000mと10,000mのことをひたすらずーっと書いて勝手にナレーションでもつけなよ。
その最後の1周のことを何か上手く言いなよ。「魔のなんとか」なのか「ラストの断末魔の叫び」なのか。
いろんな選手に全部あだ名つけるとかさ、やって構築していったらもっと盛り上がると思うし。周りに人も見てくれると思うよ。頑張って下さい。
熊崎
頑張ります、ありがとうございました!
スー
すぐ嘘臭くなるとこは、注意な!
(了)
余談:2016年12月現在、熊崎アナのブログを検索してみましたがヒットされませんでした。