今回は2016年3月22日放送「荻上チキ Session-22」
ミッドナイトセッション・大森靖子さんの回を
起こしたいと思います。
南部
今夜のゲストはシンガーソングライターの大森靖子さんです、よろしくお願いします。
大森
よろしくお願いします。
荻上
よろしくお願いします。というわけでですね、先月大森靖子さんにお越しいただいてそのときニューシングルの話をうかがったんですけれども。
(前回分)
大森靖子が語る「自分もファンのファンみたいな気持ちなので『あの人に会いたいなー』みたいな」
そのときにですね、大森さんがハロプロが好きだと。ハロープロジェクト(Hello! Project)が好きだというのは以前から知っていたんですけれども。
是非ともラジオで曲と共にプレゼンをしてくれないか?という話をしたら「喜んで!」という反応だったので。
大森
緊張してます。
荻上
普段自分の話をするより緊張される?
大森
はい、自分の話はいいんですけど。
荻上
やっぱり公共の電波で愛の告白するもんですからね。
大森
そうですね、魅力をちゃんと伝えていかないと!という。
荻上
というわけで、アイドル好きでその中でもハロープロジェクトが大好きなハロヲタとして知られる大森さんに今おすすめのハロプロのアイドルを紹介していただきたいと思います。
まず「ハロプロって何?」という方も中にはいらっしゃると思いますので南部さん簡単な説明をお願いします。
南部
ハロプロ(ハロープロジェクト)は主にシャ乱Qつんく♂さんが総合プロデュースを務めてきた女性アイドルたちの総称でテレビ番組「ASAYAN」のオーディションで選ばれた平家みちよさんとモーニング娘。のファンクラブとして1998年に発足したのははじまりです。
モーニング娘。を筆頭に松浦亜弥、Berryz工房、カントリー娘。など90年代末から2000年代前半の日本の音楽シーンをけん引。
その後、AKB48やももいろクローバーをはじめとするアイドル戦国時代をつくるきっかけとなり、現在も新陳代謝をしながら新たなファンを獲得し続けている。
荻上
ももクロは今は「Z」、それから48グループもいろいろと出て来ていますけれども。そうした中でハロープロジェクト(ハロプロ)どうですか?発足18年目の勢いというのは?
大森
やはり歴史のあるグループなので、このグループの先輩に憧れているこの子がまた育っていって、その子を見たまたこの子が育っていってとか。そういう面白さもありますし。
やっぱり楽曲がもう本当にたくさんあるので、今までの楽曲がね。モーニング娘。だけでも何百曲とあるので、その中からその子のイメージに合った曲をまたコンサートで歌ってもらえたりとか。
今度はこの年齢になったからこの曲歌えるかな?とかそういう楽しみ方もありますし。
荻上
ある意味、継承していく受け継いでいくっていう面と・・
大森
野球みたいな感じですかね?
荻上
背番号を・・みたいな。
大森
それを見ている感覚と一緒ですね、たぶん。
荻上
今回いろいろと選曲もハロープロジェクトの中でしていただきますけれども、今でも新しいユニットが出て来ているということなんですか?
大森
去年からBerryz工房が活動停止したこととか、けっこうたくさん卒業されて。そこから新人の新しいグループがどんどんどんどん結成されていったんですね。
そこと、つんく♂さんがちょうどガンの手術をされてことでちょっとお休みしていて。プロデューサーからは退かれたというのがありまして。
新しい作家さんもいっぱい入ってまして、その新陳代謝が良い現象をまた起こしている。最近の面白さがあります。
荻上
今、つんく♂さんはどういった立場でハロプロに関わっているんですか?
大森
主にモーニング娘。の作詞作曲に関わったりとか。あともうほぼ外部の仕事なんかもされてますね。
荻上
プロデューサーという立場は変化したんですね。でも、モー娘。などの部分的に関わりながら、でもつんく♂さんの魂は受け継がれていくという格好になるんですね。
大森
そのまた新しい作家さんがつんく♂さんの良いところ、キャッチーなフレーズだとかあとはダンスミュージックのノリを出すとか。そういうのを活かしながら作曲をしていたりだとか、そういうことがけっこうおもしろいですね。
荻上
モーニング娘。の中でも同じ楽曲を代を越えて歌い続けているんで、例えばモーニング娘。’14とかになると、ちょっとダンサブルなアレンジが変わったりとか。アレンジが代によって変わっていくのも見どころだったりしますね。
大森
はい、ダンスとか変わったりして。
荻上
他にもアイドルはいろいろいると思うんですけど、ハロプロの魅力って大森さんにとってはなんですか?
大森
なんですかねえ・・?やっぱりそのキャッチーさだと思いますね。つんく♂さんがずっとおっしゃっていたのは「ちょっとダサいのが一番カッコいいんだ!」っていうのをずっとおっしゃっていて。
やっぱりステージの衣装って、ちょっとキラキラしているので街で見かけたらちょっと「ウッ!」って思うような衣装も多かったりとか。あとダンスもちょっと変な振り付けが入っていたりとか。
荻上
そうですね、なんか「抜け感」というか・・
大森
「抜け感」ありますよね?で、みんなの知っている曲だったら「Yeah!めっちゃホリデイ」とか「セクシービーム」とかちょっと「ん!?」って思うような単語をすっごいキラキラした顔でやってくれるところ、そこですね!そこがもう格好良い!やりきっている!
荻上
ネタを本気でしっかりとやることによって、それにメロメロになってしまうという。
大森
あとステージもちゃんとしていますし、やっぱり。
荻上
MCにも物語がありますよね?
大森
ありますね。
荻上
昔、モーニング娘。の警備員をしたことがあるんですけど。バイトでね(笑)
南部
コンサートの?
荻上
1度だけモー娘。を守ったことがあります。そのときもライブを見たし、それから’14のころもライブを見させてもらったりして。
やっぱりMCでちゃんとファンの方をすごく大事にされますよね?ハロプロの方々は。で、妹分となるユニットをモー娘。のライブで次々と紹介して。
大森
オープニングアクトで。
荻上
そういう何か連帯感っていうのがいいですよね。とりあえず今日はおすすめのハロプロアイドルをいくつか紹介をしていただこうということで。まず大森さん、最初に紹介していただけるユニットはどなたですか?
大森
「こぶしファクトリー」というユニットです。もうユニット名からけっこうキャッチーということで。
「こぶし」は辛夷(こぶし)という花と「握りこぶし」の意味もあると思うんですけれども。Berryz工房さんが活動停止を発表されたあとに、そのスピリットを引き継いでいこうということで
研修生とTNXってつんく♂さんのところでちょっと見ていたアイドルから結成されたアイドルグループで。ユニットの名の通りちょっとこぶしを効かせる歌い方だとか。
荻上
ちょっと和な感じを強調していますよね。これはあの・・Berryz工房のもともとの特長というものはどういった特長だったんですか?
大森
そうですね、Berryz工房さんは結成されたときが小学生のころだったので大きくなってからすごく個性ももともと豊かだったんですけど。身長もバラバラだしキャラクターもバラバラだし。
「なんでこの子たちが一緒にいるの!?」っていう、それが楽しくてしょうがないグループだったんですね。それでネタも本気でやるっていうのが、一番強い特性だったグループだったように思うし。
でも歌唱力もすごくあったしっていう、そういうグループで。それを「またイチからやるのかな?」と思ったんですよ。イチからバラバラになっていくのかな?と思ったんですけど。
そのBerryz工房のたどり着いたところからやっているんだと思いますね、こぶしファクトリーは。
荻上
その場所で培った魂みたいものを受け継いでいると。
大森
だから「あの子のキャラはこの子かな?」とか、そういうのも見えてきたりとか。
南部
そこもちゃんと。
荻上
でも惜しまれつつの活動停止っていうことにBerryz工房はなると思うんですけど。この「こぶしファクトリー」は今聞いていただいたようにこぶしを効かせる歌い方。曲調としてはどうですか?
大森
曲調は、「元気」と「強め」ですかね?あとヒャダインさんも今回も参加されていて、シングルで。
で、ヒャダインさんがやっぱりハロプロの形式みたいなものを守って『チョット愚直に!猪突猛進』という曲で。「♪チョット!チョット!チョット!チョット!猪突猛進!!!!」っていうその「チョッ」っていう。
たぶんその「チョッ!」とか「カッ!」でリズムをとることが多いんですけどハロプロが。そういうのとを踏んでいろいろ考えて考えて作っているんだと思います。その曲も相当良いですし。
あとシャ乱Qさんのカバーなんかもされていたりとかして。(「ラーメン大好き小泉さんの歌」)
荻上
その「おっとっと」とか小さい「っ」を大事にしてリズムをとりながら、歌舞伎の見得を切るときの移動みたいな格好で客席に対して煽るみたいなそういった曲調は確かに多いですよね。
では、その「こぶしファクトリー」の曲を聞いていただきましょうか?では、曲紹介も。
大森
これはKANさんのカバーになるんですけれども。KANさんが桜の曲ってこの季節たくさんあると思うんですけど。桜の木の気持ちになって書いたという斬新な視点の曲で。80年代ディスコ調のアレンジ。
これ新しい桜の曲だと思うので聞いて下さい。こぶしファクトリーで「桜ナイトフィーバー」
荻上
うん、キラキラしていますね。これでヲタ芸すると気持ちよさそうですね。
南部
これ、ライブはすごい盛り上がるでしょう?
大森
盛り上がりますね。
荻上
ちなみに「こぶしファクトリー」の中で推している方というのはいらっしゃるんですか?
大森
広瀬彩海(あやか)ちゃんっていうリーダーの方で。もう頭が良いんですよね。すぐコメントを言えるっていう。「こぶしファクトリー」っていう名前を聞いただけでそれは「握り拳のように強い心を持って・・」みたいなコメントをすぐに言えたんですよ!
いやー、この子はすごい!と思って・・私できないですからね、なんか難しいですよね(笑)
荻上
瞬発力っていうのはアイドルに求められてきますからね。やはりファン対応で握手会とかいろいろな場面で瞬発力命ですから。
最初に「こぶしファクトリー」を紹介いただきましたけれども、続いて紹介していただけるアイドルユニットはどなたでしょうか?
大森
「カントリーガールズ」っていう・・まあ昔から「カントリー娘。」っていう里田まいさんが。その里田まいさんがスーパーバイザーというのに就任されまして。何をやっていらっしゃっているのかはちょっと分からないですけど(笑)
それが「カントリーガールズ」っていう新しいユニットを作りまして。新しいっていうか継続かな?Berryz工房にいらっしゃった嗣永桃子さんが。
南部
ももちさんですね。
大森
ももちさんがプレイングマネージャーっていうんですかね?
南部
これはどういう役割なんだろうか?
大森
だから育てていきながら、監督をしながらプレイもするんですね、踊る。それですごいですよ!嗣永さん以外の6人若い子がいるんですけど、全然浮いてないというか全然年を感じさせない動きを嗣永さんがしてて。
嗣永さんがアドバイスをしているので、ももちの世界観ですよね「かわいい」「女の子らしい」。
荻上
はーなるほど。じゃあももちさんリーダー的な仕方でちょっと引っ張っていきながらっていう格好になるんですね。
大森
ちょっと位置も後ろにいて背後から見守るみたいな位置ですね。すごく格好良いですよ。
荻上
カントリー娘。はもともとちょっとその田舎っぽさというか、そうした感じを出そうとしていたユニットですよね?
大森
そうですね。北海道出身のメンバーもいますし。
荻上
一方でそのももちさんのキャラクターの個性がそこに加わってミックスされたような?
大森
そんな感じだと思いますね。で、去年すごく期待されながら急に辞めてしまった子がいるんですけど、そして新しいメンバーが2人。
こんな子が研修生から!この2人をカントリーガールズに入れて下さるんですか!みたいなすごい期待の2人。梁川奈々美という子と船木結ちゃんという子が入りましてですね。かわいいの強度が今MAXになっております。
荻上
わお!新鮮なとれたてということになるというわけですね。
大森
やっぱりね、このグループがいかにして面白くなっていくか、ももちをいかにイジれるか?っていう。行けないじゃないですか?やっぱり大先輩に。そこにどうやって行っていけるか?というところを、ガンガンいける後輩が入ってきているので。頼もしい感じになっております。
荻上
確かに鍛えられますよね。ももちさんだってこういった「ひな壇トーク」とかでもどんどん前に出ていく方じゃないですか?アイドルにやっぱりトーク力問われますもんね。
大森
トーク力もありますし、やっぱりアイドルとしての世界観の出し方がダンスにしても歌にしてもピカイチなんですね。なんでそこのところも。
で、ダンスがすごい上手い子も入っているんですよ。稲葉愛香ちゃん(現在は卒業)っていうとってもダンスが上手なんですけど。
荻上
その中でも推しの方はどなたですか?
大森
もうその稲葉愛香ちゃんが大好きで、その後輩が2人入ったことによってこの子の「あざとい」というキャラクターが盗られそうになったところで「ブラックまなかん」という新しいキャラクターを身に付けまして。
肌が真っ白でぷにぷになのに、ちょっとヤサグレたことを言うっていうキャラクターで(笑)
南部
それはちょっとたまらない!
大森
たまらんですよね!
荻上
やっぱりキャラクターがグループの中でどう変わっていくのか?っていうのも・・
大森
変わっていくんですね、化学反応を起こして。
荻上
見どころですよね。道重さんもそうやってキャラクターを獲得していってからのブレイクというのがすごかったですからね。では、曲紹介をお願いしていいですか?
大森
はい、カントリーガールズで「恋はマグネット」
南部
めちゃくちゃ良い曲ですね、カントリーガールズで「恋はマグネット」。80年代のアイドルソングだなーって思う、アルバムの中に入ってるめちゃくちゃ良い曲みたいな。
荻上
ひとりずつがスッと集団の中から出てきてマイクをとって歌っていく見たいな姿が浮かびますわね。
南部
こういうイメージなんですか?
大森
他の曲も、かわいいかわいいですけど。基本80年代を踏襲していると思います。
荻上
そのあたりの継承感・踏襲感っていうものを楽しんでいくというのも聞き応えのあるポイントになるわけですね?
では、続いてのアイドルはどちらでしょうか?
大森
「モーニング娘。’16」(当時)ですね。
荻上
これ年代が変わっていくんですよね。
大森
はい「’14」から付くようになっていきましたね。
荻上
こういうふうに年代が付くようになったのは、どうしてなんですか?
大森
つんく♂さんが言い出しただけですけど(笑)
もうなんか付けたくなりますよね?やっぱり、私も「大森靖子’14」「大森靖子’16」ってサインに書いちゃうようになりましたもん(笑)
でもこれはつんく♂さんが「道重さんがいたのが’14」でみたいなのが分かりやすくなるようにって言って付けて下さったのですね。
荻上
今の「モーニング娘。’16」の特長というのはいかがですか?
大森
特長は、「’14」はやっぱり道重さんがとりまとめていたっていう。「’15」はそのあとに鞘師さんがダンスでエースを張って卒業までされてダンスを作ってきたと。
で、「’16」はもうこれからどうなっていくかな?っていう楽しみなところですね、ちょうど。
荻上
ここからどう育っていくのか?という、今から注目しても遅くないという格好なんですね。注目している方とか注目している動きというのはありますか?
大森
佐藤さん、小田(さくら)さんあたりですね。佐藤優樹(まさき)ちゃんがやっぱり今までのハロープロジェクトになかった行動をしているんですよ。
それが、すっごい天然な子なんですよ。まずドラムと英語と乗馬が特技。ブログとかの発言とかでもちょっと天然っぽくて面白いっていうのもあるんですけど。
今までのなかった一番すごいところっていうのが、自分で家とかで曲を作ったりしちゃってるっていう。音楽のソフトを使って練習のときにリズムとかを強く出したりとかして。
ダンスのときとかってそういうリズムの方がいっぱい聞きたかったり、クリック聞きたかったりするじゃないですか?そういうのを大きめに出したデータを作って後輩にあげたりとか。そういうことをしているメンバーで。
荻上
じゃあけっこう積極的に、創作そのものにコミットするというか・・?
大森
その流れが新しいなと思って、それを誰に言われるわけでもなく自分でやり始めたんですね。それでこの子は田中れいなちゃんがすごい好きだったので、その子に憧れていたんですけれども。
卒業されてから「私はちゃんとしないと!」っていうことで、いろいろ何をやろう?何をやろう?っていうので、それで後輩も入ってきてそういう活動をしていき始めて。その流れが今までに無かったなっていう。
何かソフトを使ってだとか・・みんなオリジナルな練習法はいろいろやっていると思いますけれど。そんなことをしていた人はいなかったので、これは面白いことになるぞ!っていうのは佐藤さんにはすごい希望を持っています。
荻上
「モーニング娘。」の中でどう輝くか?だけじゃなくて、「モーニング娘。」にどう貢献できるのか?っていうね。じゃあその中からまた1曲選曲していただきました。お願いします。
大森
モーニング娘。で、この曲は「’15」のときに発売されています。「冷たい風と片想い」
荻上
ユニゾン感がやっぱりモーニング娘。ならではの感じというのが出ていますね。さて、ハロプロのユニットを3つ紹介していただきましたけれども。改めてどうでした?ハロプロらしさとかハロプロの愛の根源はここにあるというのは?
大森
大丈夫かな?語られたか大丈夫かな?という感じです。
荻上
いかがですか?どこにあるとお感じになりますか?
大森
どこだろう?・・「個性」ですね。個性を大事にしてくれるところですね。それでメンバーを見て歌詞を買いたりだとかしてくれるので。
荻上
じゃあこれからも追い続けていきつつ、大森さんの曲の中でもまた愛が語られることが出てくるかもしれませんね。
大森
勝手に書くので、曲を書いても使用料とか取られないので「曲を書く自由」っていう(笑)
荻上
恋文をしたためるようなね。
(了)