2018/02/25

漫画家・沖田×華が語る「10代でアスペルガーって言われても何のことがさっぱり分からないんですね」

今回は2017年10月30日放送「大竹まことゴールデンラジオ!」
「大竹メインディッシュ」沖田×華さんの回を起こします。


倉田
本日のお客様をご紹介します。発達障害であるご自身の日常をコミカルに描いた漫画「とことん毎日やらかしています トリプル発達障害漫画家の日常」が現在好評発売中。漫画家の沖田×華(おきたばっか)さんです。



沖田
よろしくお願いします。

倉田
よろしくおねがいします、お久しぶりです。

大竹
漫画は面白いけどもどこから話せばいいのかねえ・・すごい経歴で、沖田さんは学習障害で注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群だよね?

沖田
はい。

大竹
それで看護婦をしてたんだけど辞めて性風俗で働き始めたんだけどソープランド以外のあらゆる風俗で働いたんだけど、あるとき「お前の考えていることは面白い、漫画家になれ。絶対向いてるから」って言われて26歳のときに漫画家になったんだよね?

沖田
そうですね、なんかすごいなこれ(笑)

大竹
ちょっと驚くよね?

倉田
でもそのいろんな経験が彼女の漫画にすべて活かされているんですよ。私、沖田さんの漫画のファンで割と著作を持っているんですけど本当にすごいですよ、すごい!なんて表現していいか分からないですけど。実は私、最初の沖田さんの「こんなアホでも幸せになりたい」の帯を書かせていただいたんです。

沖田
そうですよね、ありがとうございます。

倉田
一番最初の単行本。

大竹
いいタイトルだねえ。

倉田
本当にめちゃめちゃ過激な本だったけど、すごく面白くって。「あっこの子本当に面白い。絶対に売れそうだ」と思っていたらでも本当にいつの間にかすごく売れっ子に。

大竹
看護婦になったんだよね?それでやっていたら患者さんの顔とか名前が覚えられないと。自分は国家試験に受かって頭は悪くないはずなのに仕事ができない。先輩から「死ね」なんて言われちゃうんだよね。

沖田
それで本当に死のうとするみたいな(笑)

大竹
この自分の持っている病気の特性みたいなことはいつごろから分かってきたんですか?

沖田
小学校のときに学習障害と注意欠陥多動性障害っていうことを親に言われたんですけども。子どものときってよく分からないというか「学習障害って勉強ができない頭が悪い子どもなんだな」みたいなふうに考えていたんですね。

倉田
それは診断を受けたんですか?

沖田
そうですね。というのがあって、周りにそういう友達もいませんし・・そもそも人間の友達があまりいないっていうか(笑)いつも石とか木に話しかけてるみたいなそういうのがあって。

学生のときはまだ良かったんですけど、なんか社会に出てからが今度アスペルガー症候群っていうのがこれも中学生のときに診断されたんですけれども。やっぱり10代でアスペルガーって言われても、何のことがさっぱり分からないんですね。ただ私、血液型がB型だからずっと「これはB型の血液型だからいい加減なんだ」と思ってたですけど(笑)

実はそうじゃなくて社会に出て看護婦の仕事をやったときから、先生の言っていることが理解できないとか、婦長の言っていることが分からないみたいなのがすごくしょっちゅうあって。

「これは何かおかしいぞ?」と思ってたんですけども、それをまだ説明できるスキルがなくてですね。どんどんダメな看護婦みたいなふうに落ちていくと。

大竹
症状でちゃんと名前を言って「取って下さい」っていうのは分かるんだけど、「あれ、取って」とか言われちゃうと?

沖田
分からない。「ここにあるでしょ!」って目の前のものが分からないんですよね。

大竹
「ここ」が分からない?

沖田
これしかないのに「えっ、どこだろ?」みたいな、私の目に入るものすべてが「ここ」なので(笑)

大竹
「あれ」とか「これ」とか「それ」は全部あなたの中には全部「ここ」にある。

沖田
目の前に写るものすべてが「ここ」なんで。

大竹
「あれ取って」って言われたらどれを取ろうかな?と。

沖田
分からない。それで「ねえねえ」も分かりません。

大竹
「ねえねえ」はなんで分からないの?

沖田
名前を呼ばれないと素通りしちゃうっていうか・・誰に対して言っているのか。

大竹
沖田×華さんって言われないと、「おーい」でも分からない?

沖田
分かんない、無視(笑)

大竹
「おーい、こらこら!」分からない?

沖田
分かんない!「誰かがなんか怒っているぞ!」みたいなそういう感じで(笑)

大竹
沖田×華ってすごい名前なんだけど、このバツに華?これはいつどうやって付けたんですか?

沖田
これは私が付けたんじゃないんですよね。

大竹
誰か知っている人が付けてくれたんですか?

沖田
私の好きなフリーライターさんにゲッツ板谷さんって方がいらっしゃって。私その方のファンで会っているうちに前のペンネームがあまりにもダサすぎるって言って。前はちなみに「エレファントいじろう」っていう名前だったんですけど。

大竹
いやちょっと、それなかなかの名前だよ(笑)

倉田
インパクトはあります。

大竹
エレファントいじろうでしょ?いい名前だと思うけど。

沖田
なんか語呂が悪すぎるっていうので、それでなかなか決めてくれなくて結局ゲッツさんが寝起きのときに付けたから本当に起きたばっかりで「沖田×華」になっちゃったっていう。

大竹
まあそんな名前でもね、俺はアスペルガーでもなんでもないけど沖田×華とその「いじろう」のダサさの違いは俺には分からないな(笑)

倉田
まあ性別の区別はなんとなくつくじゃないですか?

大竹
漫画に出てくるんだけど、好きな人の概念・・好きな人はどんな人ですか?

沖田
えーと、声が良い人です。

大竹
それはどんな声?

沖田
なんて言うんですかね?あんまり響かないというか・・

大竹
アナウンサーみたいな声じゃダメだと。

沖田
森本レオっぽい声質の人が好きです。優しい感じが。

倉田
こもった感じですかね?それは男性に対して?

沖田
そうですね。

大竹
森本レオは好きですか?

沖田
いや声は好きなんですけど、顔がよく分からなくて。なんかメガネかけてる人かな?とか。

大竹
「こんな話があったんですよね・・」みたいな喋り方だよね。

沖田
もう声だけみたいな。

大竹
声だけでいいんですか?

沖田
あとは字が綺麗な人が好きです。

大竹
声と字?顔とかの認識は?

沖田
よく分からなくって、太っているのか痩せているのか?ぐらいしか分からなくて。写真とかは分かるんですけど、動いているとどういう顔か分からない。

大竹
それは年が取っているか若いかも?

倉田
じゃあ相貌失認的な感じもあるのかな?

大竹
なんで字が綺麗な人が好きなんですか?

沖田
自分が字がすごく汚いからです。自分の持ってないものを持っている人がすごく好きなので、今まで付き合った彼氏が全員顔もバラバラなんですけど字は一貫して綺麗なんですよね。

大竹
それは見つけるわけ?何かで、手紙が来たとか?

沖田
なんか最初は気が付かないんですけど、例えば友達の結婚式のご祝儀で書いている名前とか見てドキドキしちゃうとか、急に(笑)

倉田
文字萌えなんだ。

沖田
「すっごい男なのに綺麗な字!」とか「素敵!素敵!」とか。

大竹
俺も字が汚いから字が女の人で字が綺麗な人見るとちょっと「おっ!」とは思うけどね。

沖田
やっぱり逆は嫌ですよね?字の汚い女は嫌ですよね?

大竹
字の汚い女?もう嫌だよ!字が下手なのはもう嫌!

倉田
私も字が下手だから・・まあ気持ちは分かるけど。

大竹
俺は自分の書いた字も読めないからね。

沖田
私もですよ!私も読めないんです(笑)

倉田
そんなことないですよ!

大竹
それは持ってる病気っていうのかね?それもなんか近年分かってきたことで。昔はそんなことを言われないから、そういう症状が出たとしてもすごい「なんでそれが出来ないんだ!」って言われすぎちゃったわけだよね?

沖田
そうですね。

倉田
忘れ物とか多くて苦労されたっていう。

大竹
若いころの忘れ物?

沖田
もう・・ランドセル(笑)

大竹
ランドセル忘れるの!?

沖田
うち北陸なんですね。北陸で雪の降る日とかなんかジャンパーを着込むじゃないですか?そしたらランドセルを背負い忘れてて学校に行ったらもう何もないみたいな(笑)ジャンパー脱いだら何もなくてまた帰っちゃうとかもありましたし・・。

倉田
何回もあったの?

沖田
うん。

大竹
先生に「沖田、明日から絶対に忘れちゃダメだよ!」って言われたんだよね。それでどうしたの?

沖田
「それはできない!」って言いました!(笑)

大竹
なんで?

沖田
私の中で「絶対」っていうのは、なんかもう地球が滅びでも明日学校に来いみたいな勢いなんですよね。

大竹
100%、絶対。

倉田
なんとなくの「絶対」っていうのがあり得ないんだ。

大竹
「絶対に忘れるなよ」って言われると「そういうことはできない」と。

沖田
うん、って言ったら怒られる。それで嘘ついても怒られるじゃないですか?だから結局何が正解なのかが分からないというか・・。

倉田
なるほどね、言葉に対しても割と融通が利かないんだ?

沖田
そうですね。

大竹
それで看護婦の時代があって、今度その風俗の方に行くわけだよね?それはなんで?

沖田
えーと、私の中であまり変わらないというか・・その看護婦時代のときもバイトでよくちょっと軽めのおっぱいパブとかのバイトをしてて(笑)・・大丈夫かな?

そのナンバーワンの子が名古屋に行っちゃったから「あなたも来ない?」っていうので「すっごい稼げるから!」って「えっ!」ってその一言で次の日に行っちゃう。

倉田
なんかすごいなー!決断早いなあ。

沖田
すごい衝動的に動くタイプみたくって。

大竹
そのときそういう風俗関係はお金は貯まったんですか?

沖田
そのときになんかそのお金を貯めて何かをするっていうのではなくて生活はあまり変わらないんですよね。なんでその風俗しているときも行き来は自転車で行ってて、帰りも自転車で帰っててって全く金のかからない生活をしていたので面白いように貯まっていって。

「わあーどこまで貯まるんだろう!」みたいな感じで「じゃあとりあえずマンション帰るぐらいの金額まで頑張ろう!」みたいな。それで目標ができたからもっと頑張る!みたいな。

倉田
辛いこととか無かったんですか?

沖田
お客さんはみんなお金なので、みんな諭吉なので。

大竹
みんな何?ユキチって何?

倉田
福沢諭吉ですよ。

大竹
ああ、諭吉ね。みんな諭吉なんだ。

沖田
だから怒られても嫌なことがあっても、その時間内の中の話なので「どんだけでもいいですよ」みたいな感じで。「そういうところ大好き!」とか心にもないこと言って(笑)

倉田
そんな割り切れるものなの!

沖田
すごい割り切ってました。

倉田
へえ、面白いなあ。

大竹
それでたくさんお金貯まりましたか?そこで金が貯まっちゃって悪かないじゃない?失敗はそんなしてないわけでしょ、だって?

沖田
ただなんかそれがルーティンになってしまったので、やっぱり年を食うとだんだん落ちてくるんですよね。その稼ぐ金額みたいなやつが。

倉田
そういう仕事だとねえ。

沖田
身体も疲れてきたし「ああ、どうしようかな?」ってときにたまたま漫画家になれって言われた人と会うことがあって。そこからすぐに漫画にはならなかったんですけど。「へえ、漫画家ってなんか面白そうだな」っていう感じで最初は・・。

大竹
いや分かるけど、漫画って描けるもんなの?そんなに簡単に?

沖田
私もそれがすごく謎で・・私、そのときに自分の顔しか描けなくって。それで身体も描けないし。最初4コマ漫画を描いたんですよね。それで同じ人を描けなかったんです、だんだん痩せていく(笑)

大竹
だって同じ人がいろんなことをしないと分かんないもんね。顔が違っちゃったら。

沖田
ただエレベーターに乗っていくっていう4コマ漫画なんですけど、次のコマはどんどん10kgずつ同じ人が痩せていっちゃうみたいな(笑)最終的にはすごい別人になっているっていうオチが全然関係ない話になっていたりして。こんなん漫画家になれるわけないじゃん!って言ってたんですけど、なんか不思議なことに・・

大竹
そのへんは漫画にも出てくるけど、友達と一緒に旅行に行ったときにお金の計算はできなくても「このパンは3ユーロで何グラムで売ってた」とかそういうことだけはものすごく覚えられるんだよね?

沖田
でもなんか覚え方もちょっと人とは違うみたいで、まあ道後温泉に行ったりとかしたらその歴史みたいなのもアナウンスしていくれているんですけれどもその内容は全部入って。

倉田
ええー、素通りしちゃうよね。

大竹
何年何月何日とかここでどんなことがあってどうなったとか全部入っちゃった。

沖田
全部入ります。

大竹
なんとかっていう温泉の難しい字も全部覚えちゃう?

沖田
そうですね。

倉田
だって別に興味があるわけではないんでしょ?道後温泉に特に?

沖田
ないですね。

大竹
まあでも必然的に頭に全部入っていっちゃう?

沖田
入っていきますね。

倉田
その覚えるものと覚えないものの差はどこにあるの?

沖田
えーと、なんか自分がすごい興味があるものとか「なんだろう?」っていうものに対するものだとブワーッと入ってくるんですけど。それ以外は全く1ミリも入ってこない。

倉田
道後温泉は興味があったの?

沖田
なんか天皇陛下が最初に入った温泉がありますよっていうのとかでなんかスイッチが入って。一緒に行っていた友達がfacebookにアップしたいんだけど「もう全部忘れちゃった」って言って。

私がこれこれこういうのだよって言ったら、そのときに「記憶力いいね」って言われてはじめて「私ってすごい物忘れがひどいんだけど、なんでだろう?」っていう違いが。今日も名刺入れも台本も忘れてきて(笑)

大竹
今日も!今日も忘れてきたの(笑)

沖田
すいません、本当に。渡そうと思ったのに(笑)

大竹
でもその病気みたいなことはさ、いろんな症状が出るじゃない?この間来た先生には2つあるんだって?両方あってその両方あるのはしんどいっていうふうにも先生はおっしゃってたんだけど。それはもう解消しているんですか?

倉田
生きづらさ的なことですね?

沖田
漫画家になってからは対人関係がすごく限られてきているので。あとは基本仕事は1人でやるので、そんなにトラブルもないんですけど。まあアシスタントですかね?今ちょっとコミュニケーション的にやっぱり上手くいかないなと思うときもあるので。そのときはどういうふうに言ったらいいのかな?っていうのを常に勉強したりはしますけど。

大竹
アシスタントの顔はちゃんと覚えてる?

沖田
覚えてない・・あの・・(笑)

大竹
これね「相貌性障害」とか言ってね、顔の認識があまりできないんだよね。アシスタントはどうやって覚えるの、手の動きとか?

沖田
背が高い人と低い人とかです。背が高いのはヤマザキ君つって、低い子はヒロタ君みたいなそういう感じで。

倉田
身長かー!丈の長さで覚えるんだ!

大竹
はい、短い時間だったけど。俺の顔もたぶん認識してくれてないんだろうな・・。

倉田
いや、分かりますよね?なんとなく特徴的だし。

沖田
メガネをかけていれば・・はい(笑)

大竹
メガネをかける人は全部大竹と思って下さい!

沖田
分かりました(笑)

(了)



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