2017/10/23

元UWF・垣原賢人が語る「あの大根がなければ、今の僕はなかった」

今回は2017年6月11日放送「真夜中のハーリーレイス」
「vs垣原賢人(延長戦)」を起こしたいと思います。

前回の
元UWF・垣原賢人が語る「進学校の柔道部で腰の骨折ったけどUWFに入りたかった」
の続きとなります。


清野
それでは垣原賢人さんをお迎えしての延長戦でございます。よろしくお願いします。

垣原
よろしくお願いします。

清野
もう本当にあっという間に試合が時間が過ぎ去りましたので。

垣原
あっという間でしたね、はい。

清野
けっこうやっぱりあのスパーリングの話が面白いですね。スパーリングであっても命懸けじゃないですか?先輩が本気でやってくるし。自分も下手したら動けないわけでしょ?

それで「終わり」っていうのは誰が決めるんですか?「スパーリング、はい終わり」っていうのは?

垣原
いやもうその先輩ですよね。その先輩が「終わり」って言うまでは。

清野
それは日によって違うんですか?早い日もあるんですか?

垣原
まあ早くても30分くらいですよね。ただ長いともうそこから40分、50分・・それこそ1時間越えるときもありましたよね。

だから「いつ終わるんだ?」っていうぐらい、本当にもうボロボロですよね。

清野
それは相手が変わることはあるんですか?

垣原
えーと、変わるというか・・だから結局、先輩の方が数が多くて新弟子なんてもうドンドン辞めて行くから。最後なんかは僕と冨宅(ふけ)さんしか2人しかいなかったんで。

先輩の方が多いですから当然1回先輩と終わったあとに他の先輩とやるということもありましたよね。

清野
ですよね、そうするともう1人目でボロボロじゃないですか?そうしたら2人目なんてもう立ってられないですよね?

垣原
それぐらいのこともありましたね、無茶苦茶でしたもう。

清野
でも中にはやっているうちに、ちょっとガーンと先輩にパンチなんかが当たっちゃって「ああ、先輩がキレる!」みたいなこともあったりするわけですよね?

垣原
あります、あります。これはよくありましたね。必死に逃げようとすると、その逃げようとしたあれで肘とかちょっと顔に当たっちゃったりすることもあるんですよ。そうしたらもう大変ですよね。

清野
もうマウントから・・素手で?

垣原
素手が上から振り下ろされますよね(笑)

清野
早すぎたマウントパンチが・・あのときまでグラウンドパンチっていう概念がなかったですもんね。グレイシーが出てくる全然前ですからね(笑)

垣原
これ僕ね、練習生のときもそうですけど。選手になってやられたことが1度ありまして。それがまあ藤原組長なんですね。

名古屋で僕と高田さんが組んで、相手が藤原組長と藤波(辰彌)さんがタッグでやった。

清野
あのUインターと新日本の対抗戦の?

垣原
だいたいそのぐらいの時期ですね。そのとき僕は組長にかかと落としをやったら、それが見事に顔面に入って組長の顔がお岩さんみたいになったわけです。

清野
目ですか?

垣原
目ですね、「あちゃー」と思ったんですけども。そのあとマウント状態になったらまさかまさかの鉄拳が上からアゴにグーで。

清野
アゴに入ったら意識飛びませんか?

垣原
飛びます飛びます、もちろん。パーンって飛ぶし、アゴがグラグラになりましたね。だからその試合後の打ち上げで焼肉食べれなかったですもん。もう本当に柔らかいものしか、レバ刺しぐらいですよ(笑)

清野
いや、怖いですね。だからやっぱり藤原さんの中でプチンっていうのがあったんでしょうね。「お前、何してくれてんねん」みたいな。

垣原
だから僕にとってね、そういうトラウマがあるんで今回の組長とのスパーリングマッチは何してくるか分からないっていうのをね、非常に緊張感があるんですよ。

清野
これ周りの人はね、垣原さんも病気されていてよくなったから、ちょっとご祝儀的なものというふうに考えている人もいるかもしれないし。

あるいは、藤原さんも病気されていたから、まあそうは言っても藤原さんもやっぱり一時ほどのあれじゃないって思っている人もいるかもしれないけど。これ決してそうじゃないってことですよね。

垣原
それを証明したのは、この間NEW後楽園大会がありまして。そこのロビーでパッタリ組長に会ったわけなんですよ。(NEW=IGFが立ち上げた新ブランド)

僕、今度8月にやるんで挨拶しようと頭を下げた瞬間にみぞおちにパンチがガンッ。いや僕もう本当に膝から崩れ落ちましたね。

清野
あっ、そうなんですか!

垣原
本当にもう「ええっ!」っていう感じで、一言「やるぞ」って言ったんですよ。

清野
っていうかやってますよね、もう(笑)

垣原
まあだからみぞおちパンチは予告編で8.14カッキーライド(垣原賢人復帰戦)やるぞというような・・もう鳥肌立ちましたね。これはもうタダではリングから降りられないなというそんな気がしまして。

清野
これ相手に藤原さんを選んだっていうのは垣原さんの選択ですか?

垣原
そうです、さっきも本編で話しましたけれどもUWFの忘れものがあったと。とあとは原点回帰というのと、

あともう1つ僕が業界に入るきっかけというか・・3度目の正直で道場に行ったときにそこに藤原組長がいらっしゃって、そこで背中に大根乗せるというテストをやってもらった。

清野
ああ、熱々のやつを!!

垣原
あれがきっかけでこの業界に入れたので、テストを受けられた。だから大本のきっかけを作って下さったのは藤原組長(藤原喜明)なんですよ。

清野
あの熱々の大根は聞いたことあるんですけど、あれ乗せたって藤原さんなんですか?

垣原
藤原さんなんですよ。

清野
藤原さんだったんですか!

垣原
そうなんですよ、3度目の正直で行ったんですよね。そのときにもう3回目だから僕もなかなか道場には入れずにモジモジしていたら

藤原組長が「おお、入ってこい」ってそれで「ちゃんこ食べろ」っていきなりちゃんこをご馳走になったんですよね。

それをついだのが鈴木みのるさんなんですけど。それでちゃんこを食べ終わったあとに僕が藤原組長に意を決して「入門したいんです」って行ったら

「よーし分かった今からテストやってやるよ、Tシャツ脱げ」って「筋肉見るのかな?」と思って僕もちょっと胸を張っていたら

「バカヤロー、お前背中見せろ!後ろだ!」って言って、「なんでだろう?広背筋でも見るのかな?」と思ってまた背中に力を入れて・・

清野
力を入れて広背筋をグッと膨らませて。

垣原
そしたらなぜかさっきまで食べていた鍋にフタをし始めて火を付けてグツグツ煮始めた。それで嫌な予感しますよね?

フタ取って中から大根を取りだして「今からこれを背中に乗せるからな、耐えたら入れてやる」っていう・・嘘みたいな(笑)

清野
藤原さんだったんですね、それ!

垣原
藤原さんもたぶんスポーツドリンクという名の何かをね、気持ちが良いものを飲んでたんでしょうね。だから本当に遊びというか・・だったんでしょうね。

清野
それはどれくらい我慢したら許してもらえたんですか?

垣原
いや僕の中ではものすごい長い時間に感じたんですけどね、本当に大ヤケドしたわけなんですよ。

清野
そりゃそうですよ!

垣原
でも僕はここで「熱い!」って言ったら入れてもらえないと思ったんで、もう全くのーリアクションでグッと耐えたんですね。もう身体じゅう電流が走るくらい。

清野
それはうつ伏せになるわけですよね?

垣原
いや、うつ伏せというかちょっと腰をかがんだ状態で僕はもう「熱い」と言ったら落とされると思ったんで、そのテストに。

だからもう全く「熱い」と言わずにグーッと耐えたんですよね。

清野
大根は1個だけですか?

垣原
1個だけ、それを見て藤原さんがこれは火が通ってなかったのかと思ったのか、そのときの練習生の田村さん呼んで

「おい、田村こい!腕出せ」って僕の背中に乗せた大根を田村さんに乗せたら田村さんがダチョウ倶楽部ばりのリアクションをやったんですよね(笑)

それを見て藤原さんが「これは熱かったんだな、お前根性あるなあ」ということで「おお、高田」って近くにいた高田さんに「今度、テストいつやるんだ?」って言って

そしたら高田さんが「えー、10日後ありますよ」って。

清野
本当に当時そう言ってました!?高田さんそんな言い方でした?(笑)

垣原
それで10日後のテストを受けて今があるということなんです。僕はあの大根がなければ、藤原組長がいなければ今の僕はなかった。

清野
ちょっといいストーリーじゃないですか!

垣原
だから僕の病気をいま克服してこれからまた熱く生きていくためのリスタートは藤原組長しかいねえなみたいな。

清野
なるほど、その話はよくできた話というか。つまり垣原さんの人生のテストにおいて、テストをしてくれるのはいつも藤原さんというか。

垣原
だからね、本当は僕は3月26日に桜庭選手とやろうとしたんですね、新宿中央公園で。

でもこれが雨で流れたので、やっぱりプロレスの神様が「垣原、違うぞ。藤原組長だろ?」ということだったんでしょうね。

清野
よくできてる。

垣原
もう避けたかったんですけど、なんかやっぱり原点回帰というか避けて通れないのかな?みたいな感じで行きましたね。

清野
これはちょっと大根も用意しといた方がいいんじゃないですか?(笑)

垣原
アツアツの大根!

清野
負けそうになったら、それを持って背中にグーッと押しつける(笑)大根デスマッチ!

垣原
別にUWFじゃないんですね、これ(笑)

清野
そうですか・・いいですね。なんかいい話だなとも思うし、そういや団体が3つに分かれたときにそれで藤原さんに付いていこうというのはなかったんですか?

垣原
えーとですね、僕は人というよりもUWFというものをもう1度やるなら・・僕ね、高校も辞めてUWFに熱狂してUWFに入った。

僕は人というよりもUWFにこの3文字に付いていこうということだったので、その文字が残っているのは「UWFインター」だったからということですよね。

清野
まあでもそのあとUWFのあとに全日本行ったりとか新日本行ったりとかってありましたけど、それはまた全然違う世界だったんじゃないですか?

垣原
そうですよね、新日本なんかもう水と油というか全然スタイルが違いますから。

清野
だから垣原さんけっこうUWFでキャリアを積んだあとにそういう世界に行って・・

新人で行くならいいですけど、ある程度もうレスラーとして確立されたものがあるのにあういうところに行って

また1からみたいなのはけっこうキツかったんじゃないですか?

垣原
うーん、まあでもどうですかね?なんかキツいのはキツかったですけど、ワクワク感の方が多かったかもしれないですね。

けっこう僕そういうのは平気なんですよね。今まで築いたものをぶっ壊してまた新しいものっていうのは意外と好きかもしれないですね。

清野
なんか馬場さんにはよく怒られていたっていう話を?

垣原
あー、そうですね。あんまり楽しい思い出ではないですけども。でもそのときにいろいろ厳しく教えて下さったからこそ、その後新日本でもスーパージュニア取れたりもしたわけなんで。

そういう意味ではやっぱり馬場さんのおかげというか。

清野
なんかそういうUWF的な動きっていうのは全然歓迎されなかったですか?全日本では?

垣原
うーん、そうですかねえ・・。

清野
特に馬場さんには?

垣原
まあそんなところはあったんでしょうかねえ・・。

清野
なんかあんまりレガースとか好きそうじゃないですもんね、馬場さんね。

垣原
というよりも、やっぱりプロレスは受け身なんだっていうところで。どうしてもUWFって攻めに走りがちなところがあって。

そこがまず「プロレスは『受け』だろ!」っていうところなんですけども。その受け身というか『受け』というのは当時の若い僕にはよく理解できなかったというか。そこを言われていたと思うんですよね。

でもやっとそれがだんだん後になってきて「そうか!プロレスは『受け』が一番大事だ」というのを分かるようになったわけなんですけども。

清野
でも本当にプロレスって「Uインター」とかも「UWF」とかもそうですけど。いろいろUWFって言われたりしますけど、外から。

これは本当に僕はすごいことだと思っていて、やっぱりその中で何が起こるか分からないっていうのがいっぱいあるじゃないですか?

これは普通のスポーツみたいに止めてもらえないし、すごく大変なことをやっていると思うんですよね。

だから身の危険があってもやらなきゃいけないし、そういうスリリングさっていうのはあったんじゃないですか?

垣原
そうですね、僕はあの19歳のときにはじめてメインで後楽園でゲイリー・オブライトとやったとき、前の晩に母に電話しましたもんね。

「もう何があっても、俺は全然後悔しないから」みたいな、明日どうなるか分からないよみたいな感じのことを母に告げたのを思い出しますね。

清野
えーっ、お母さんはどんな反応でした?

垣原
いやーもうあれですよ、不安で不安で仕方ないっていう感じで。

清野
ですよね、気が動転しますよね。

垣原
「もうずっと祈るからね」みたいな感じで。まあそれぐらい怖い選手でしたよね、ジャーマン(スープレックス)もそうだし。だからすごく緊張感がありましたよね。

清野
それが試合に出てましたよね。

垣原
Uインターだけじゃなくて、全日本に移ったあともそのゲイリー・オブライトとタッグで東京ドームで戦ったとき。まあそれが彼の中で爆発したんでしょうね。

僕は全十字靱帯ブチ切れられましたからね。だから少しでも彼に隙を見せた自分が悪かったなと思って。

だから本当にこのプロレスっていうのはすごく緊張感を持ってやらないといけないなというところですよね。

清野
全日本プロレスのリングでもそういうことがあるわけで。向こうはもうやる気っていうか・・

「垣原は何をやってくるか分からないな」みたいな。けっこう警戒していたんでしょうね。

垣原
だから僕も上がるリングが違うからちょっと何か自分の中で隙ができていたんだと思うんですけれども、そこを突かれてグイッと見事に全十字靱帯を切られちゃって。

清野
あれで欠場ですもんね。どれぐらい休みましたっけ、そのあと?

垣原
何ヶ月間か休みましたよね。だからもうその試合のあと立てなかったですから、もうブランブランで。だからプロレスは怖いんですよ。

清野
もう本当怖いんですよ!北尾さんだって1発でやられたわけじゃないですか、あれだってね。もうそれは高田さん的には「勝ちは勝ち」ですもんね。

向こうはたぶん引き分けに持っていくっていうのがあったんだと思うんですけど。関係ないですよね、当たってしまったらおしまいと。

垣原
それがUWFなんですよ。

清野
「UWFとはいったい何なのか?」って最近いろいろ話題になっていると思いますが、もう今のが全てだと思います。


垣原さんの考えるUWFっていうのが聞けてよかったです。という感じで今日いろいろお話をうかがいましたがそろそろお時間でございます。

(了)

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