2015/12/25

芥川賞作家・西村賢太が語る「過去の歴代の芥川賞受賞者の中でも恩恵を受けた中のベスト3に入ると思っています」

今回は2015年11月2日放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」
「大竹メインディッシュ」西村賢太さんの回
起こしたいと思います。


大竹
ようこそ、いらっしゃいました。

西村
どうも、こんにちは。

大竹
ご無沙汰しております。えーと、西村さんはもうテレビにもたくさん出ていらっしゃって・・

辺見
出ていらっしゃって、面白いです。

大竹
相変わらずね、やっぱり壊れた人間って面白いもんね。

辺見
いや本当にね、面白いです。

西村
ハハハハハ(笑)

大竹
なんだろうね?この壊れ方は。

辺見
そう見えないんですけどね(笑)そこがすごいですね、ギャップというかね・・。

大竹
そうですか?でもあれだよね、近ごろというよりは前々からいろんなことを思うんだけど。この芥川賞取って「芥川賞作家」っていうことを一番武器に・・(笑)

もう、すごい武器手に入れちゃったぞ!みたいことでもうなんか・・で、俺たちもテレビを見ていてやっぱし「芥川賞作家がこんなこと言うのか!」っていうそのギャップ?

辺見
そうです、ギャップ。そこのギャップなんですかね?

大竹
もう取ったのいつですか?2011年くらい?

西村
2011年の・・もう4年、5年ぐらいになりますね。

大竹
4年ぐらいでしょ?未だに!

西村
ハハハハハ!過去の歴代の芥川賞受賞者の中でも僕、恩恵を受けた中のベスト3に入ると思っています(笑)

辺見
いや、素晴らしいですよ!大事なことです。

大竹
いやなかなかでもここまで芥川賞の恩恵を受けた人は少ないよ!

辺見
そうですね、上手に。

大竹
上手だね!まあその代わり編集者とケンカしたり、偏屈なところもね、たくさんあって。いや今度出す本だってこれあれでしょ?本を読めば「東京者がたり」この編集者はどこですか?


西村
これは講談社ですね。

大竹
講談社でしょ?これめいっぱいケンカしたところですよね?

西村
そうです、ええ未だに一部出禁状態が続いているんですけども(笑)



辺見
入れるところもあるんですね、ということは(笑)

西村
あの・・この部署だけ大丈夫なんです。この本を出した。

辺見
すごいですね、そこにあえて行くっていう。

大竹
何そのなんかこの・・潔くてしかも要領の良い生き方って何それ?

西村
いやいやいやいや、やっぱり捨てる神あったら拾う神っているもんだなと思いましたね。今回久しぶりに講談社から、それこそ7年ぶりぐらいに本を出していただいて。

大竹
こんな話が来ると思っていたんですか?

西村
まあ雑誌連載だったので、いつかは本になるかな?と。

大竹
「群像」ってやつですか?

西村
いや、じゃなく「小説現代」です。

大竹
それは講談社系のやつ?

西村
そうです、あの「群像」が全くダメなんです。完全に出禁です。

辺見
そこは入れない、そこはダメなんだ。

大竹
いやね、分からないけど。ただ俺なんか思うけど俺もけっこう嫌われて、仕事どんどん干されたりいろんなことして。もう17年間出禁だったとことかね。まあいろいろあるんだけど。

あれですよね、いま西村さんが言ったようにこんなバカでも変な言い方だけどね、その局に1人ぐらいは変わり者がいるんだよね。それがやっぱり大勢を押しのけて使ってくれたりするのよ。

その人は後で聞くと、まあずーっと見ているとね。最後ロクな処遇にならないのね(笑)今日もいらしている、あの方。

西村
けっこういい歳なんですけど、未だに編集長にもなれず。ヒラ部員として頑張っております(笑)

大竹
お名前うかがってもいいですかね?

西村
シバザキと申します。

辺見
シバザキさん頑張って!

大竹
でもシバザキさんは西村さんのことを「すごい!」と。

西村
いやもう講談社から干されている間も彼だけが7年、8年唯一付き合ってくれていた・・講談社の中では。

大竹
一緒に酒飲んだり?一緒にソープランド行ったり?

西村
ソープランドは行かなかったです(笑)

大竹
そこは1人で?そこはせっかく芥川賞で貯めた金でね。西村さんはそういう金は人のためには使わないの!

辺見
そうです、そうですよね。

西村
一銭も使わないです、人のためには。

大竹
あのー、その生き方もとっても憧れますけどね。だけどそこは居心地としてどうなんですか?今どんな暮らしですか、そんな大したところ住んでないんですか?

西村
いや、3LDKに住んでます。

辺見
あっ、すごい!

大竹
でも1人でしょ?

西村
1人です。

大竹
他の人入れないでしょ、だって。

西村
まあ入れたくないですね・・汚れるし、掃除が大変だし(笑)

大竹
あんた、風呂10日も入らなかった人が「汚れるし」って、なんでそれ裏返して潔癖症になんですか?

西村
今もう潔癖症になっちゃったんです。風呂付きの部屋に住むようになってから日に3回・4回入るのがザラで。

辺見
だから若干乾燥しているんですか?(笑)入りすぎですよね?顔パサパサなんですよ(笑)

西村
外で入るときもあるので、そうすると1日6回くらい入るんです。

大竹
外って、どこの外で入ってるの?

西村
あの・・行為の後と前に1回ずつ、シャワー使うじゃないですか(笑)

大竹
大の風呂好きになっちゃいましたけども。でも、若いとき家賃は払わなくても、そのお姉ちゃん関係に使うお金だけは貯金していた。素晴らしい。

西村
積み立てで、1日1,000円と決めたんですけどもなかなかどうしても「ワンカップ買いたい」とか「缶ビール飲みたい」で貯まらなかったんですけれども。でもまあそういう目標があると、小銭貯金ってするもんですね。

大竹
ご本にも書いていらっしゃいますけれども、やはり自分のお父さんと自分との関係はお父さんのやっていたことは全てやらない。相反することになっていますよね?ご本の中にも書いてありますけれども、お父さん犯罪者なんだよ。

辺見
もう笑うしかない(笑)

西村
性犯罪者です(笑)

辺見
危険ですね(笑)

大竹
でもまあそのお父さんにも趣味があって、洋楽をいつも聴いていたり。ちょっと粋なところもある方なんだけど、それ見て育ったものだから一切音楽聴かない。

西村
あと父親が外車マニアでしょっちゅう買い替えてたんですよ。カマロだのクーガだの1年おきぐらいに。それだから僕一切もう車に興味を持たず、免許すらも取らず。

大竹
免許すら取らないんだけど、フォークリフトの免許は持っている。

西村
それは前にこの番組に呼んで下さったときに、ついつい・・。

大竹
前に「苦役列車」っていう本があってその「苦役列車」の本の中で友達関係があって大学出のそいつはちゃんと免許を取ってね、フォークリフトもあってちゃんと行くんだけど。僕はそこを取ってないって本に書いてあんだけど。

実は西村賢太さん本当はフォークリフトの免許持っているですよ。そこはしっかりしている(笑)それはいくら15歳で家を飛び出したって、その辺はしっかりしている。

西村
日給が変わってきちゃうんですよね。免許持っているとやっぱり優遇されるので。

大竹
そういうところはちゃんと押さえつつも壊れていくっていう。それはやっぱり小説を書き始めたのもお父様があまりそういうことに興味を示さなかった?

西村
いや全く興味がなかったっていうのが1番の理由ですね。父親はもう酒もタバコもやらなかったんですよ。だからその反動で全て逆、逆をやっていたらいまこういう感じになっちゃったんですけど(笑)

大竹
いやでも酒はお父さん飲めないとなると、アセトアルデヒドの関係でそう簡単に飲めるようにならないでしょ?

西村
もう体質的に一切ダメだったんですよ。だからもう本当に訓練に訓練を重ねて毎晩飲んで吐いて、必ず吐いてました飲むたびに。それで3年くらいかけてようやく少し飲めるようになって、更に更に・・

大竹
そこまでして飲まなくたって!それどっか反発が?

西村
そうですね、「やっぱり酒ぐらい飲めなきゃ」っていうのもありましたし。

大竹
その吐く場所決まってたんですよね?

西村
「吐きスポット」っていうのを何カ所か用意してありました。

辺見
「吐きスポット」なんか格好良いですね(笑)

西村
人目につかない、ついたとしても咎めるような人間が付近にいないところ。つまりあんまり風紀の良いところじゃないんですけどね。路上に寝ている方たちがいっぱいいるようなところで、ちょっと遠慮がちにゲーとやって。

辺見
遠慮したんですね、自分のタイミングでガーッと行かれたということで、良いですね「吐きスポット」

大竹
まあご本の話はもう1回戻ることになって、後で聞き直すことになるんですけれども。今いろいろ現象を見ていて、又吉とかいろんな人がこういう賞を取っている、そのレースの展開はどんなふうに写っていらっしゃるんですか?

西村
それはよく聞かれることでもあるんですけども、僕の場合は本当に他人のこと一切興味がないんですよ。だから自分と関係がない、自分に利益がない限りもう一遍の興味もないんで。だから「はあ・・そうですか」くらいの。

あとまあ本当に「おめでとうございます」という気持ちあるんですけれども・・それぐらいですね(笑)

辺見
興味ないんですね(笑)

大竹
じゃあもうその辺の話は今の状況は止めて、手っ取り早く本の方に戻らしていただきます。こっちも面白くて「又吉のこんなところが良い」とかね「こんなところはダメだ」とか言うんだったら、

我々芸人仲間でもあるし、ただ俺たちの今の間では公な話じゃないけど。「又吉はあんなものを書いちゃって、芸人にちゃんと戻って来れるのかな?」っていうかなんか・・

こっちとしてはさ、芸人もやって欲しいじゃない?だけどなんか粋な雑誌の表紙とかもやっちゃって。

辺見
なんかファッション誌とかも、出てたりしますからね。突然モデルさんになっちゃったりして。

大竹
まあ意見同じだと思うけど、腹立たしい限りですよね?

西村
ああ・・いやーそんなこともないですけどね(笑)

辺見
だって興味ないんだもん!興味がないから腹立たしさもないですよね?

大竹
そこは乗ってこないんだ。

辺見
残念でした。

大竹
はい、じゃあ本に戻らしてもらいます。1回じゃあ本の説明をしてあげてくれる?その方が話しやすいから。

辺見
ちょっと待って下さい・・あれ、これで良いんですか?

大竹
それでたぶんいい。たぶん大丈夫だと思う。

辺見
中身を紹介するんですか・・ご自分でしゃべってもらっていいですか?どんな本なのか教えていただいていいですか?

西村
まあ要するにタイトルの通り、僕は東京で生まれ育ったんですけれども。その生まれ育った街の記憶を今48歳になった時点で過去の記憶を街に重ね合わせて、脳内散歩っていうんですかね?

その思い入れのある街、思い入れのない街、好きな街、嫌いな街を頭の中で散歩をして巡っていくというエッセイ集なんですけどね。

大竹
そういうエッセイ集を講談社で1人だけ西村さんのことを買って下さった方が今回講談社から出していただいたということですね、分かりました。

本文の172ページあたりにですね、ここ(文化放送)はすぐ出るとそこが増上寺で左に行くと東京タワー、その手前には芝公園。そしてその横にテニスコートがあって、ボウリング場もすぐ脇にはあります。

ここにはずいぶん思い入れがあるとこのご本の中でお書きになっていますが?

西村
そうですそうです。あのまあこれは長くなるんですけど話すと。僕の場合、大正期の私小説家の藤澤清造という小説家をものすごい敬意を表しておりまして。

まあ敬意を表するなんてレベルじゃなく、もう本当に危険な状態までのめり込んでるという感じなんですよ。この人は昭和7年に死んでるんですけれども、その死に方というのがすぐそこの芝公園で野垂れ死にしたんですよ。文字通りの、行路病者の状態で。

大竹
何歳くらいのときにですか?

西村
44歳です。しかも1月29日ってものすごい寒い時期ですね、1年の中で。だからその作家に思い入れがあるもんですから。

僕自身もそのしょっちゅうしょっちゅうその終焉の地、藤澤清造が死んだその位置に行ってたという、ちょっと過去形なんですけれども。

最近ここのところあまり行ってないんですけれども。まあ行っていたんで、1番思い入れがあるんですね東京都内の中で。

大竹
藤澤清造さんっていう方はやっぱし明治39年、18歳のときに上京してそのあと製麺所に勤めたり、沖縄歌手になったり、弁護士の玄関番などをしながら役者を目指してたんだけど、足がちょっと悪くて文学に変わるんだよね。

それで文学で室生犀星とか徳田秋声さんですか、これで雑文を書いていたり、いろんなことをするんだけども・・だんだんやっぱし評判がよくなくなってくるんですよね。

それであんまり仕事がなくなっていく、その中で娼婦の早瀬さんと一緒に住む。仕事も雑文ぐらいしかなくなってくる最後。でもこの方の書いた・・なんかちょっと賢太さんの過去もちょっと被るような・・そんなことはないですか?

西村
いや僕は娼婦と同棲したことがちょっとないんですよ(笑)

大竹
そこは言ってない!そこじゃなくて、沖縄歌手とかいろんな職業を転々として。しかも18歳で上京して、西村さんも15歳で家飛び出して。その辺も全部ちょっと被ってませんか?

西村
そうですね、清造も学歴がないですしね。そういうところで最初やっぱり惹かれて自分もこの重ね合わせて読んでいた部分はあるんですけれども。

大竹
文章はやっぱし、ものすごい影響を?ものすごい以上の?

西村
いやー、ほとんど最初はこの人の文章の模倣から入ったような状態なんで。だからもう影響は受けまくりですね。

大竹
それででも生き方なんかもずいぶん影響されているんですか?今、独身でいらっしゃいますよね?

西村
ええ、相変わらず独身です。

大竹
3LDKにはあんまり人を入れないような・・ちょっと失礼ですけど、過去はあれですよね?お父様とは26年、お母様とは21年、お姉さんとは28年間会っていない。「互いにどこに住んでいるのか知りません」今でもご存じないんですか?

西村
この間、実はパスポートを取るときにそういう役所に行ったときに附票がちょっと付いていたんです、住民票の。それでチラっとどこにいるかっていうのは分かっちゃったんですけど。

辺見
それで知った感じ?

西村
はい。

大竹
えー、結婚もしてないですよね?・・良いんですよ、ものすごい憧れるんですけどそういうのにね。だけどその逆に寂しくないのかだとか、将来のこととかどこの墓とかいろいろ考えないかとか思っちゃうんですけど。それは悶々とはなさらない?

西村
全くないです。

大竹
スッキリ?太いんですか、西村さん?

西村
いや、もうちゃんと全て用意してこの藤澤清造のお墓っていうのが石川県の七尾市にあるんですけれども、菩提寺が。そのお墓の隣に僕自分の墓建ててるんですよ。

辺見
嘘でしょ!!

西村
いや、本当に。もう既に。

辺見
すごーい!!そこまで!

西村
それもう10年ぐらい前に建ててるんですよ。

辺見
隣にもう行くと。

西村
隣です。だからもうお墓の心配とかもう一切ないんです。

辺見
これはこんなに愛されたら!

大竹
そこ(芝公園)の六角堂の横で凍死ですよ。その辺はどうなんですか?

西村
いや僕はそこまでどうしても苦しくなったらば、たぶんどこかに駆け込むだろうしその辺に歩いている人に「お金貸して下さい」とか割と平気で言えるタイプなんで(笑)なかなか野垂れ死にはできないかな?と。

大竹
女はじゃあどうするんですか?

西村
いやもう・・女は買・・(笑)

辺見
そっちの方で・・すごいこと言いましたよ(笑)

大竹
いやいや、ダメだ!ダメダメダメ!ダメダメダメ!上野千鶴子聞いてるんだから、この番組。

西村
ハハハハハハハハ(笑)

辺見
だから恋愛とかそういうことの興味はもう全くないということですよね?その部分は。

西村
そういうのはもういらないです。

辺見
興味ないから、人に。

大竹
本当ですか?

西村
本当です。

辺見
寂しくないんですね?

西村
全く寂しくないです!

辺見
すごい!

西村
逆になんかこう寄り添うものとか寄りかかるもの、もたれかかるものがあるとなんかそれに甘える感じになって自分の小説が書けないというか。

大竹
甘える感じももちろんありますけれども、でもあれですよ背負うっていう感じもあるんですよ。

西村
あーなるほど。だから僕は背負いたくないんです。

大竹
説教したくはないけども、背負うとかそういうことは一切考えない?

西村
いやもうそこは放棄したんです。

大竹
アウトロー?

西村
いやそんな良いものではなく。

大竹
いやでもそういうことでしょ?

西村
一切の責任が・・

大竹
そういうのをアウトローって言うんですよ!レールの外にいるってことですよ。

辺見
そっか、でもすごいですね。徹底してそういうふうな思いになるというのは。でも昔からっていうことでもないんですよね?

西村
いやでも昔からそういうところがありましたね。だからなかなか、さっきも言ったように父親がそういうことをやっていたもんで格好良く言えばそういうのが空しく感じちゃうんですよ。

大竹
でも逆に言えば、お父さんと反対のことをしようとして来たわけで。小説もそうやって選んだわけだから真反対の家庭環境の生活の・・そっちに行ってもおかしくないじゃないですか!

西村
あっ、そう言われればそうですね。

大竹
いやだってそうですよ、業界に来ている・・昔ですけど今じゃないですよ、若いタレントの方とか演歌歌手の方なんかも全部その一身に

両親が離婚をしてどうのこうのとかそんな不幸があるから「私だけは!」っていう意味で幸せになるっていうふうに心に決めている人たちたくさんいますよ。そうならないじゃないですか?

西村
いやもう僕は都合の良いところだけ真逆のところに行って、都合が悪くなると「同じことやっているんだな」っていうところが・・いや今はじめて指摘されて(笑)

大竹
だってそうだよね、これとは違う作り方をしようって。西村先生全部止めちゃうっていう話でしょ?「俺は違う方に行く」ってそれお父さんの性にしている感じがちょっとするからね。

そうじゃなくなって良いはずじゃない?

西村
そう言われれば、確かにそうですね。

大竹
明日からあれですよ、3LDKに娼婦でも入れましょうか?そういうことして欲しいなと思いますよね。


(了)

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