ジャーナリスト・北丸雄二が語る「LGBTの流れというのは本当に急加速でしたね」

2015/08/11

LGBT デイキャッチ 荒川強啓 北丸雄二

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今回は2015年7月1日放送「荒川強啓 デイ・キャッチ!」
デイ・キャッチ!ニュースクリップ」北丸雄二さんの回
起こしたいと思います。


荒川強啓(以下、強啓)
北丸さんがこの時間クリップしたニュースをご紹介します。

片桐千晶
アメリカの連邦最高裁判所は同性婚が禁止されている州のカップルらが婚姻関係の認定を求めて起こした訴訟などについて「すべての州で同性婚の権利は認められる」とする判決を下しました。これにより現在禁止されている14の州でも近く同性婚が認められます。

強啓
北丸さん日本でも大きく取り上げられているニュースですよね。

北丸雄二(以下、北丸)
そうですね、これ聖書によって建国されたアメリカですんでね、戸惑いもものすごい渦巻いているんですよ。アラバマ州これ南部なんですけれども、ある郡の判事、郡の判事っていうのは結婚の許可を与えるんですけどもね。

同性婚の許可をしたくないので、結婚許可そのもの全部止めるっていうふうに宣言したりですね。ネット上ではものすごい罵倒や「この世も末だ」的なコメントも飛び交ってはいるんです。

ただこの問題現在18歳から34歳の若い世代で同性婚の賛成者73%にも上るんですよね。既に勝負はついているわけなんですね。なんでまあこれはしょうがないと言いますか、こういう社会の流れ・・

これを受けて2日後のこの間の日曜日にですねニューヨークやサンフランシスコで恒例の性的少数者LGBTのパレード「プライド・パレード」っていうんですけど。歩いた人がそれぞれ2万数千人で、沿道の支援者の動員とかは30万とか40万人ですからね。

フェイスブックの自分の写真をですね、LGBTのシンボルカラー虹色なんですがそれに重ねた人はアメリカだけで2600万人もいるんですよ。レオナルド・ディカプリオだとか、それからアーノルド・シュワルツェネッガーなどの有名人などもおめでとうメッセージを出してたし、

もちろんヒラリー・クリントンも「良かったね」っていう話ですよね。でね、これ同性婚の禁止は違憲と判断した論拠は何か?っていうとですね。これ法の下での平等なんですよ。これ日本でもありますよね?



法の下での平等を保障する、アメリカでは連邦憲法修正14条なんですけれども。それに反していると。これ実はね同じこと22年前のハワイでも言われたんです。というのもね、1993年にハワイ州の最高裁判所が一番最初に同性婚を認めたんですよ。

ところがそれはその当時、圧倒的な世論いわゆる「同性婚なんて時期尚早」といいますかとんでもないという世論とその州議会に阻まれて頓挫したんですね。

それから22年、同じことを言って連邦最高裁が結局「同性婚はOKなんだよ」っていう話。それを何が変わったか?っていう話なんですけどね。

で、一番最初にこの問題が起きたのが1969年にまで遡ります。これ46年前なんですけれども。ビレッジの「ストーンウォール・イン」というゲイバーで、ニューヨークなんですけど暴動が起きたんです。警察の摘発を受けて同時のお客さんが一斉に反乱を起こしたんですよ。

そのころのゲイたちって性的倒錯者だったんですね。周囲に5千人も集まって3日3晩も続いたそんな暴動もですね、新聞記事になったのは1週間経ってからなんですよ。つまりね、報道にすら値しないいわゆる変態たちの騒ぎだったんですね。

ところがその変態だと言われていたのが性的倒錯だ、性的異常だ、精神的異常だって言われていたのが1973年アメリカの精神学会が「同性愛は精神障害じゃない」とそういうふうに決議してこれで異常でも倒錯でも変態でもなくなった。

じゃあ何なのか?というとですね、単に性的な行動に関しては少数派なんだけど他は同じ人間なんだという考え方がそこで始まったわけです。

そのさらに20年後の1993年には今度は世界保健機関いわゆるWHOですね、これが同性愛はいかなる意味でも治療の対象にならないっていうふうに宣言して、それで世界的に流れが加速して実は1993年WHOのとき、これがそのときハワイの最高裁と同じ年なんですね。

そこから2000年以降にオランダだとかベルギーだとか、そういう欧州勢が続々と同性婚を合法化しはじめて、そしてアメリカも次に2003年6月にですね、今からちょうど12年前か、今度はですね、今までは「精神病じゃない」って言ったでしょ?次はでも犯罪だったんですよ!

「ソドミー法」っていうのがあって、同性愛行為を禁止していた州があったんです。それをプライバシー侵害だとして最高裁は違憲だと断じた。つまりここでやっと、犯罪でも異常でもなくなった同性愛者っていうことがでると。

そして同じ年にマサチューセッツ州がそういうことを受けて同性婚をはじめてアメリカで合法と決めた。そっから始まったんです。

強啓
うーん、長い歴史ですね。

近藤勝重(以下、近藤)
そうですね、いろんな流れを乗り越えて。でもこれ逆の判決だったらまた大騒動だよね。

北丸
まあ逆の判決でも時代といいますか・・いずれはなったでしょうね。ただ今年だったというだけで。でほら、本当にそのマサチューセッツ州のあとでなかなか現れなかったんですけど、2州目に現れたのが2008年の話で、

これ2008年っていうと何か?っていうと、オバマ大統領の誕生の年だったんです。つまりその原動力だった若い世代が世論を作り始めたっていうのですね。彼らの世界っていうのは性的少数者が普通にカミングアウトして。

つまり異常者でも犯罪者でもない生身の存在が身近で十分に知るようになった世代なわけですよね。だからそしてまた2013年には自分のここでも何度もお話したけれども、親しい同僚だとか家族だとか友人のLGBTの人がいると答えた人が57%もいて、それで同性婚を支持するという人が55%もいるという状況を作り出した。

近藤
これ大統領選挙なんかも影響しそうじゃないですか?

北丸
そうですね、僕はオバマさんのときの2008年のときも・・前回の2012年ですか?あのときも結局オバマさんの票のミット・ロムニーに勝った票差がですね、同性愛者たちの票と全く重なったんですね。だからこの流れというのは本当に急加速でしたね。

強啓
だけどようやく胸を張って2人の存在その人生っていうのを認められる。手にしたんですね。

北丸
そうですね、結局46年かけて。私も昔から「この話題は旬だ」って言ってるんですけど、昔は誰もこんなこと言う人はいませんでしたからね。

(了)

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