評論家・山田五郎が語る「ノイシュヴァンシュタインと姫路城。白城対決は姫路城の勝ち 」

2015/04/30

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今回は2015年3月19日放送「荒川強啓 デイ・キャッチ!」
「デイキャッチャーズ・ボイス」山田五郎さんの回
起こしたいと思います。


荒川強啓(以下、強啓)
山田五郎さんの「デイキャッチャーズ・ボイス」
今日のテーマはこちら

片桐千晶
「白い城・白城対決は姫路城の勝ち」

山田五郎
これはあの3月18日の朝日新聞でね、日本の白鷺城こと姫路城と
ドイツの白鳥城ことノイシュヴァンシュタインが今月下旬に
「白城同盟」と呼ぶべき友好協定を結ぶことが決まったと報じたわけですよね。

これね、世界的な旅行の口コミサイト「トリップアドバイザー」って
ありますけれども、あそこの「死ぬまでに行きたい世界の名城25」
っていうのがあるんですけど

1位がノイシュヴァンシュタインで、2位が姫路城なんです。
だから1位・2位の最強タッグなんですけどもね。

具体的に何をどう協力し合うのか?が
今ひとつ見えてこないなんていう記事だったんですけれども。
この話は元々ドイツ側から持ちかけられたんですよ。

で、朝日新聞はノイシュヴァンシュタインが姫路城に
あやかろうとする狙いがあるのではないか?って分析をしてるんですけれども。

だいたいこの手の話って日本が欧米にあやかろうとして
こっちから持ちかけることが多いので、意外に思われるかもしれないんですけども。

ただ少なくともこの話に限っては、ドイツから話を持ちかけたのは
不思議でもなんでもないですね。



私はノイシュヴァンシュタインも学生時代に行きましたし、
姫路城は小学校の遠足に加えて、つい先日もこの平成の大修理後の再オープンに
先駆けてちょっとテレビの番組の取材のために再訪してまいりましたよ。

これ両方見た上で公平に判断して、贔屓目なしに公平に判断してもですね。
これはお城としての格は姫路城の方が全然上。

「トリップアドバイザー」の人気投票でこそノイシュヴァンシュタインの方が上だけど
見た目の好き嫌いを除けばですね、ノイシュヴァンシュタインが勝ってる要素ってね
周辺の自然環境ぐらいですね。

他はもう全ての点で姫路城の方が勝ってる。
まず歴史、これはもう姫路城って元々は鎌倉時代の1333年に赤松則村が
築城したのが最初って言われてますよね。

その後、小寺氏を経て黒田官兵衛が秀吉に譲って、
江戸時代の初めに家康の娘婿である池田輝政が入って今の天守閣が出来たのが
1609年ですよ、だからもう400年以上経ってるわけです。天守閣だけで。

一方のこのノイシュヴァンシュタイン、バイエルンの「狂える王」こと
ルートヴィヒ2世がですね中世の騎士に憧れて大借金して
国を傾けてまで建てた城なんですけども。

工事が始まったのが1869年、日本では明治に入ってるんですよ。
これどうにか住めるようになったのは1886年。

だけどもルートヴィヒ2世はこのお城を3つも作っちゃって
「頭おかしいんじゃないか?」って言われて軟禁されて
このお城に住んだのはたった102日。

で、その年の6月にこれ暗殺とも言われてる謎の死を遂げるわけですよ。
ちなみにその同じ年にミュンヘンに着いたのが森鴎外ですよ。

このニュースを聞いてヒントを得て書いたのが
「うたかたの記」という小説ですね。



だからつまりバリバリ明治時代の城なの。
よく「中世の城」って誤解されてるんですけれども。
実は中世に憧れた人が作った近代の城なんですよ。

既に電気も一部入ってるんですよ、ノイシュヴァンシュタインって実際行くと。
よくあのディズニーランドの「眠れる森の美女」のお城のモデルって
言われますけどね。

これノイシュヴァンシュタイン自体がルートヴィヒ2世っていう人の
ファンタジーを形にした夢のお城なんですよ。
だからいろんな様式のおいしいとこ取りでごっちゃになってるし。

アトラクション洞窟みたいなのもあったりして、
本家のノイシュヴァンシュタイン自体がテーマパークなんですよ、あれ。

よく言えば夢があって華やかななんですけれども。
悪く言えば作り物っぽくて安っぽいんですよ。
だから世界遺産にも登録されてないんですよね。

だから歴史と格では全然姫路城の勝ちと。
2番目に白さが違う!あのノイシュヴァンシュタインは白鳥城と呼ばれるのは
建ってる土地が湖が多くて昔からシュヴァンガウっていう名前の土地なんですよ。

日本語で言うと「白鳥郡」みたいな。
そこに古い城があってそれが「白鳥郡に建ってる石の城」ってことで
「シュヴァンシュタイン」っていう城があったんですよ。

新しくそこに作ったから、「新しいシュヴァンシュタイン」
→「ノイシュヴァンシュタイン」なわけですよね。

で、ルートヴィヒ2世っていうのは作曲家のワーグナーに心酔してて
自分がワーグナーの歌劇に出てくる「白鳥の騎士・ローエングリン」の
生まれ変わりだと思ってた人ですから

それでこの「シュヴァンガウ」っていう地名が気に入って
しかも立地が非常に良いっていうんで、そこに理想の城を建てたわけですよね。

で、自分が白鳥の騎士になって湖からこうやって城に向かって行ってみたりとか
そんなコスプレとかまでやってたっていう人なんですよ。

だからまあこの「白鳥城」なんだけど、それは地名であって石の城だけにですね。
外壁が石灰岩で出来てるから遠目には白ですけどね、
近づくとけっこう灰色とか黄色です、これ。で屋根は赤茶色です。

これに対して姫路城、「白鷺城」って呼ばれるのは
色じゃなくて形からだよとも言われるんですけれども。
実際に白いです、それも石の白さじゃなくて漆喰(しっくい)の白。

それもただの漆喰じゃなくて「土佐漆喰」と言われる
漆喰の中でも白い漆喰。まさに純白。

更に屋根瓦の継ぎ目も分厚い目地漆喰っていうね。
瓦の継ぎ目に漆喰を埋めていくっていうのをやってますから。
下から見ると屋根まで全部真っ白に見えるんですよ。こう白さが違う!

しかも2009年から6年がかりで総工費28億かけてね、平成の修理で。
この天守の漆喰全部塗り直しているから、もうピッカピカ。
もう新幹線から見てもね、光ってます。

地元ではね、「『白鷺城』どころか『白過ぎ城』やで!」みたいな
親父ギャグがもう飲み屋で飛び交って・・皆言ってます。

だからもうこのノイシュヴァンシュタインと格と白さで圧倒する白過ぎ城
これついにその6年に渡って平成の修理を終えて、3月27日から
一般公開されるんですよ。これエラいことになりますよ!

というのは、姫路城っていうのはお城もさることながら
桜の名所としても有名で、桜だけでもわんさか人が来るんですよ。
これに姫路城6年待った再オープンが加わりますから

どんなことになるのか?想像するだに恐ろしい。
今のところね、年間の約入場者数150万人ってことで
ノイシュヴァンシュタインよりちょっと少ないんですけれども。

たぶん今年あっという間に抜きますね。
行かれても入れない可能性すら高い。

入れなかったときはお城の中に「姫路市立美術館」っていうのがあるんですよ。
ここがすごく良いの。これ自体旧陸軍の兵器庫を利用した赤煉瓦の建物で
すごい良いんですけれども。

これね、コレクションが市立の美術館としては全国でも指折りに充実してるんですよ。
特に姫路がベルギーのシャルルロア市と姉妹都市っていうこともあってベルギー絵画。

特に日本でもファンが多いシュールレアリスムの画家のポール・デルヴォー
っていう人のコレクションは抜群なんですよ!
だから城にもし入れなかったら美術館見て帰って来ても損はない。

強啓
はい、短い時間でごめんなさいね。

(了)

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