2015/02/22

映画監督・村上賢司が語る「『秘宝館』は女性のために作られていた」

今回は2014年12月23日放送「荻上チキ Session-22」
「セッション袋とじ 村上賢司『秘宝館の時代』」
起こしたいと思います。


南部
では、村上さんのプロフィールを紹介させて頂きたいと思います。
村上賢司さんは1970年生まれ、群馬県のご出身です。

16歳から映像作品を作り始めセルフドキュメンタリー映画「夏に生れる」で
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞なさいます。
ロッテルダム国際映画祭、東京国際映画祭で招待上映されました。

その後、映画作品として「細菌列島」「ゾンビデオ」などを監督
また『森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』などのドキュメンタリー番組や

独自のサブカルチャーに着目した「工場萌えな日々」「デコチャリ野郎」
「ラブホテルコレクション」などの映像作品や書籍を精力的に発表し続けています。

また全編8mmフィルムで撮影された最新映画「オトヲカル」は、
山形国際ドキュメンタリー映画祭スカパー!IDEHA賞を受賞されるなど
映画界の鬼才として注目されています。

村上
何者だか全然分からないですよね。
もう意味が不明ですね(笑)

荻上
すごいですね、とにかく「ああ、なるほどこのポイントなんだ!」っていうような
ポイントを突いているなというのはよく分かりました。

というわけで、映像作品いろいろな種類撮ってますけれども
何に萌えながら映像を作ってるんですか?村上さんは。

村上
何に萌えながら?・・映像って伝えるっていうことも大事だと思うんですけど
もう1つはやっぱり記録に残すっていうのが大事だと思うんですね。

やっぱり後生にそういうものがあったっていうものを
残すっていうのが大事だと思いまして、

特にサブカルチャーに注目したっていう部分の「ラブホテルコレクション」だとか
あと今回ご紹介して頂く秘宝館のものっていうのは
もう明日にでもなくなってしまうようなもの・・

もうほとんどなくなってるものもあるんですけど・・ものばかりです。
ラブホテルなんかは特に昭和の時代に作られた回転ベッドがあるだとか
そういう豪華なラブホテルすごいデザイン的に凝っているラブホテルだけを集めたものなので

それがもう明日にでもなくなってしまうようなものを慌てて撮ってる
っていうような状況で。

荻上
ラブホテルってね、その例えば検査があるらしいというとガラリと変えちゃったりとか
時代ごとにもうどんどん内装って変わっていくじゃないですか?
時期ごとのトレンドってそのときしか撮れないですからね。

村上
それか、かろうじて残っているものを情報で調べて撮っているという感じですね。

荻上
面白いって感じるものをとにかくビデオで追い回すっていうことになるわけですね。
そんな中で今日は秘宝館、秘宝館もまた熱いテーマでですけど、
何故秘宝館なんですか?

村上
あのー、1970年生まれっていうことになると
深夜番組がすごく華やかなころじゃないですか?

南部
私、岩手なんですけど2局しか無かったんですよ。残念ながら。
ただ後でいろんな伝説や噂を聞き、
ちょっとアップデート出来る部分はしているっていう感じです。

村上
関東なんで、「11PM」とか「トゥナイト」とか見てて、
マセたガキだったのでそういうのを見てたわけですよ。
でそういうところで秘宝館っていうものは知ってたんですけど。

まあ撮り始めたっていうのはさっきの話じゃないですけど、
「元祖国際秘宝館」日本で最初の秘宝館っていうのは閉館になったっていうことを
聞いたときに映像ではほとんど残されてないんですよね。

それは知っていたので、これはもう壊される前に慌てて撮らなくちゃいけないか!
っていうことで現地に連絡をして撮り始めて、

ただそれは反響がすごく多くて
これは撮り溜めなくちゃいけないっていうふうに思って
撮ってるという感じです。

荻上
今日は秘宝館の話を後ほどたっぷりと。

南部
世代によっては分からないっていう人もいると思うんですよね。

荻上
行ったことないっていう人も多いでしょうからね。

南部
私、行ったことないんですよ。

荻上
あっ、私もです。

南部
行く直前まではあるんですけど。

村上
一番ダメ!そういうの。

南部
入口まで行って結局「熱川バナナワニ園」を選んでしまったっていう・・

村上
ああダメですね、あの時行けば良かったな!っていうのが一番ダメですよ!

荻上
子どものころとかは、秘宝館に行くと
エッチなことが出来るんだっていうように思ってました。

村上
半分当たりです。

南部
あの・・スカートがフワーッて風でまくり上がるっていう話は
みらうじゅんさんに聞いたことがあります。

村上
まさしくそれが秘宝館の一番典型的な展示物です。

荻上
今日はね、秘宝館は今どうなっているのか?
これから伺って行きたいと思います。



(中略)

荻上
はい、というわけで今日は村上さんに秘宝館の話をして頂くんですけれども
いろんな音源録っていますね、村上さん。

村上
そうですね、秘宝館っていうのは何が秘宝館か?っていう話を
ちょっとしようかと思うんですけど。

まあ性をテーマにした施設っていうのはいっぱいあるんですね。
真面目に地方にある性器の形をした道祖神だとかを集めた
日本と性の歴史みたいなものを教える資料館っていうのもあるんですけど

そういうもののだけの展示ではなくて、秘宝館っていうのはそれプラス
まあ要するに等身大人形、人間と同じ形をした人形があるっていうことと
あとはアミューズメント的なものですね。

先ほどちょっと仰ってましたが、CMのときに話してましたけど
ハンドルを回すとスカートが上がるだとか、
ボタンを押すとちょっと面白い動きをするだとかっていう仕掛けがある

遊園地のような仕掛けがある性をテーマにした施設のことを秘宝館、定義としては・・
私もその定義づけを信じてるんですけど、

で、そうすると展示物だけではなくて
そこの館内に流れている音楽も重要なんですよ。
記録すると言うことは。

だからやっぱり雰囲気作りとして
その音楽っていうものをいろいろその展示物を撮影するだけじゃなくて
スピーカーにマイクを向けて収録しているんです。

荻上
これは貴重ですよ。
だってその秘宝館の歩みとかを残した本とかはあったりするんですけど
音っていうのは本に載せられないじゃないですか?

付録でCD付けるわけにもなかなかいかないという中で
音が聞ける、だから今日は秘宝館に行ったことないというリスナーの方も
多いと思いますので、

村上さんに取材で録音された貴重な秘宝館の館内の音声を
たくさんお持ち頂いたんですよ。

村上
これ流していいんですかね?

荻上
ということで、村上さんでここから引っ張って頂きながら掛けたいんですけど。

村上
じゃあまず1つめっていうのが、「北海道秘宝館」
これは札幌市にある定山渓温泉の入口にある秘宝館で
もう無いんですけど。

そこの本当にこのシーズンに行ったら雪に囲まれた
山の中にある秘宝館なんですけど
そこの秘宝館の入口のお金を払って一番最初に入口辺りで流れていた音楽です。

村上
秘宝館っていうのは性をテーマにしたミュージアムっていうのはあるんですけど、
じゃあそのいろんな人がいる中で誰に向けていた?っていうところで
いろいろ調べたり自分も取材した中でいうと、これ実は女性に向けてるんですよね。

女性に向けて作っているっていうことがあって、
そのうちに1つですよねこれ。

要するに男性では引いてしまうかもしれないですけど、
女性に向けだったら何も思うものがあることがあるってことがあるので
その水子というものがあるということともう1つ

もう1つは、これを作った方にちょっと聞いたんですけどれも
これはやっぱりアミューズメントなので最初に緊張させたいんですね。
最初に緊張させてさっき曲流れて変わったんですけど

1番最初にあるのが道祖神のコーナーがあって、
性をテーマにした昔の日本の性の文化を真面目に語ります。
その後、他の場合によくあるのがこの水子供養のコーナーがあって

本当になんかおどろおどろしいことも含めてちょっと緊張になって
だんだんだんだん緩和させていくんですよね。

そういうふうな本当に物語性のある展示方法をちゃんと考えてる。
プロが考えたっていうのが秘宝館なんですよ。

荻上
見せる順番で緩急を付けてるんですね。

村上
ちゃんと計算していますよ。

荻上
そこでですね、先ほどちょっと23時台後半にトラブルで聞けなかった
「元祖国際秘宝館」のテレビCMなんですけれども。
その音源が復活しまして、なので聞いていただきたいと思います。

「元祖国際秘宝館」の「秘宝館小唄」テレビCM曲です。



荻上
いや、聞こえましたね。良かったですよ。

村上
これはあの「元祖国際秘宝館」っていうところの
日本で1番最初と言われている秘宝館のテーマソングです。

荻上
この秘宝館はもう閉鎖しているんですか?

村上
もう閉鎖していますね。

南部
伊勢にあったっていうことで。

村上
伊勢にありました、ものすごいデカいですよ。
展示物の量を真面目に数えた方がいらっしゃらないんですけど、
公称で1万点ですね、でこれ全然嘘じゃないと思います。

荻上
秘宝館ってそもそも何が飾っているのか?って気になる方がいると思うんですけど
さっきのやつだとね、人形とかディスプレイがあるっていうことですけど他には?

村上
他にはまず道祖神といわれている日本各地にある性を祀ったものですね。
祀った性的な信仰物のレプリカだとか、あとはあれですね1番凄いところは

例えば「嬉野武雄観光秘宝館」に行ったらハーレムっていうのが
1番凄いんですけど・・噴水ですね、噴水と人形が奏でるエロスの大空間って
言えばいいんですかね?そういうものがあったりだとか。

それだけじゃなくて、例えばそのちょっとエッチなゲームですね。
コルク銃で女の子のお尻を狙ってポンって打ってたりだとか
そういうようなアミューズメントなものもあると

秘宝館っていうのはどういうものか?っていうと、
やっぱり皆でこう友達同士だとか社員同士で行ってわいわいわいわいわい
楽しんだりするための施設なのでそういうための展示物が多いです。

荻上
さて今、秘宝館どんどん閉鎖しているってことなんですけれども
今日本の秘宝館ってどれくらい?

村上
2つです。わずか2つです。しかもそのうちの1つの鬼怒川にある
「鬼怒川秘宝殿」は今年(2014年)で終わりです。ですから12月31日の午後5時で閉館。
そうなると「熱海秘宝館」たった1つになります。

荻上
1番多いときってどれくらいあったんですか?

村上
20ヶですね。いやこれセックスをテーマにした展示館が
全国に20あるってすごいことだと思いません?

荻上
それが名物だったわけですよね?旅行の。

村上
伊勢は違うんですけど、他はだいたい温泉街とかにあったってことです。

荻上
だから仲間たちと行って「ちょっと遊びに行ってみようよ」
「うわーなんだこれ!」っていうねコミュニケーションの
大事なツールになっていたと。

村上
社員旅行だとか団体旅行の温泉に行ってそれで
「温泉にも入ったし、ちょっとお酒でもなんだけど宴会まで時間があるから。
『秘宝館』行ってみるか?」みたいな感じ。

荻上
しかも女性も入りやすいっていう。

村上
これはどういうことか?と言うと、1番最初に「元祖国際秘宝館」っていうのは
展示物としてさっき1万点って言ってましたけど、かなりエログロ、グロテスクな部分もあって
中には「医学展示」って言われている人間の解剖した模型だとか

あとは性病ですね、性病の模型だとかがあったんですね。
あとはSMとかのちょっと一部グロテスクな展示物があったんですが、

その後に作られた東京創建っていう会社が作られた
金沢にあった「北陸秘宝館」っていうところがあるんですね。
そこで妙に女性のお客が多いことに気付いたんですね。

それでカウントしてみたら、52%が女性だったんですね。
これ理由は何故か?っていうと、当時の「北陸秘宝館」っていうのは79年に出来たのですが、

当時の温泉街っていうのは他の温泉以外の娯楽施設っていうのは
だいたいストリップ劇場だとか、スナックだとか男性専科なんですよ。
で、時間を持て余した女性が行く場所っていうのは秘宝館しか行くところがなかったんです。

でまだ「北陸秘宝館」ではちょっとグロテスクな展示があったんですけど、
それ以降の秘宝館に関しては女性が来ても楽しめるし、
気持ちが悪くならないような展示に徹して作っています。

さっきちょっと曲を掛けていただいて「北海道秘宝館」に関しては
「女性のための秘宝館」というキャッチフレーズで始まっています。

だから元々今その最近「女性のお客さんが秘宝館に多い」みたいなニュースがあるんですよ。
元々女性のために作られているっていうことがあるんですね。

荻上
その秘宝館、今相次ぐ閉鎖これは何故ですか?

村上
これはもういろいろ言われています。複合的な理由です。
その1つ大きかったのはさっき言った秘宝館を支えていた
団体旅行、社員旅行というものが減っていて個人旅行になってしまったことです。

そうすると個人で行ってしまうので、皆でワーッと行くっていうことではなくて
個人の趣向に合わせた旅行のスタイルがあるっていうこと。

もう1つはまあ温泉地以外の娯楽施設が地方にいっぱい出来てしまったっていうことで
温泉街自体の衰退、鬼怒川は特にひどいですね。
鬼怒川はもう温泉地自体が衰退しているのでお客さんが来なくなった。

あとこれは秘宝館を作った関係者は行っていたんですけども。
やはり80年代以降、まあ90年代以降ですね。

アダルトビデオを中心とするエロスなものが
すごく安易に手に入るようになってきたということっていうふうには言われてますが、

僕はその旅行のスタイルが変わったっていうことが
1番大きいんじゃないかな?とは思ってます。

荻上
旅行行ってもね、他にも楽しめるところはいっぱいあるし。
カラオケとかそれこそ女性も入れるところなんてたくさんあるじゃないですか?

村上
だからそういうところで衰退していったっていうところが
やっぱり大きいんじゃないかな?っていう・・

荻上
逆に言えば、80年代までの当時の旅行っていうのは
いったいどんなものを求められてたのか?っていうのは秘宝館に注目すると
よく見えてきますね。

村上
そうですね、だから当時っていうのは象徴されているというか
パッケージされていて。リニューアルする力もなかったので

当時の80年代のころの昭和のころの空気っていうのが
まるで真空パックされているように残されているんですね。

だから逆にそれが今の若い人からすると面白い、キッチュで。
またすごく大らかな性が見れますので、等身大人形たちの。

荻上
レトロ感もありますからね。

村上
レトロ感がやっぱりたまらなくて、着てるんじゃないのかな?と思いますけども。

荻上
これは秘宝館の地域差と言いますか・・秘宝館ごとの違いっていうのはどうですか?

村上
秘宝館の展示物の最大の特徴っていうのは、
その立地している場所の風土のことをちゃんと描いているんですね。

例えば「嬉野武雄観光秘宝館」には「有明夫人」と言われている
女性が回転していって下半身が見えそうになると
ムツゴロウがピューッと飛んで見えなくなるとか

鬼怒川は特にすごいんですけど「鬼怒川秘宝殿」に関しては
その栃木県の歴史ですね、歴史に関するエッチな展示物が多い。

例えば道鏡だとか、エロのお坊さんで有名な道鏡さんが栃木県で亡くなっているのかな?
なので、その道鏡が幽閉されたところでエロ妄想しているをしている道鏡だとか(笑)
あとは、かんぴょう農家をテーマにした展示物なんですよ。

あと違いっていうと、大きな秘宝館っていうのは「元祖国際秘宝館」以降は
「東京創建」という東宝系から抜け出した方のやっている会社が作っているんですが

現存している「鬼怒川秘宝殿」(現在は閉館)だけは「東宝美術」っていう
まさに東宝のまんまが作っているんですね。
その違いっていうのはすごくあります。

荻上
じゃあそのセットとしてのというか、美術としてのルーツってものが感じられる?

村上
これ僕は映画作ってる人間なんですが、
映画美術に関してはちょっと専門家じゃないんで正確には言えないんですけど

まさに1つ1つの展示物っていうものが、セットの中で時代劇を作っているような
スタジオの中のセットのように作られているんです。
だから1つの映画史なんですよ・・っていうふうな見方も出来ますね。

荻上
ああ、じゃあ貴重なその例えばセット
映画が終われば壊されるものもたくさんありますから、
そうした技術がどうやって生きているのかっていうのが見える?

村上
本当はその辺に詳しい人に見て欲しい。
もう1つは「鬼怒川秘宝殿」に関しては人体からとっているんですね。
等身大人形を人体の型取りをしてそれで作っています。

だからもの凄い出来がいいです。
1つ1つ石膏で取ってそこに流し込むような形で取っています。
髪の毛1本まで精巧に作っていますみたいなその技術たるやもの凄いですよ!

南部
石膏で1つ1つって凄いなあ。

村上
その東京創建が作った秘宝館と東宝美術が秘宝館っていうのは
全く実はよくみると同じ秘宝館と言いながら多様性があるんですね。

だから12月31日に「鬼怒川秘宝殿」がなくなってしまうっていうことは
「熱海秘宝館」は残るかもしれないけれど、

多様性があってこその文化だと僕は思っているので
ある種これは「熱海秘宝館」は残るんだけれど、「鬼怒川秘宝殿」がなくなるっていうことは
文化としての秘宝館ってものは死んだと言ってもちょっと過言ではないかな?とは思ってます。

荻上
見比べて実感出来なくなるということですよね。

村上
だからそれだけではなかった。
要するに「熱海秘宝館」のようなちょっと猥雑なんだけれど
少しユーモアのある展示物だけでなくて

もの凄い精巧な当時の映画美術の粋をつけたものがあるっていうのも・・
それがなくなってしまうっていうのはやっぱり1つの文化の死なんじゃないかな?
っていう気はしますね、多様性がやっぱりなくなってしまいますので。

荻上
もう今年で終わり鬼怒川・・

村上
行って下さい、もうクリスマスどころじゃないですよ!

荻上
聖夜とか言ってね、あちこち盛り上がっているかもしれないけれど。
ここに行ってから盛り上がれば。

村上
盛り上がればいいんじゃないんですかね、鬼怒川で。
鬼怒川の最後の日12月31日は館長さんはちゃんとお酒と

あとは性器をかたどったチョコレートを配ると言って用意されてますので
記念になるんじゃないですか?

荻上
さて今スタジオにもいろいろグッズがありまして、
ドキュメンタリーとしても映像作品を残されているってことなんですけれども
これ本もありますし、DVDもありますよ。

村上
このDVDが私のものですね。
これもだからけっこう「元祖国際秘宝館」のものっていうのが
あんまり残されていないってことは知っていたんですけど作った後の反響が凄かったんですよね。

「元祖国際秘宝館」に関しては「よく撮ってくれました」みたいなことを
最近よく言われますね、特に若い人に。

荻上
そうでしょうね、もうだって行けなくなってるんですから。

村上
あとやっぱり写真は残ってるんですけど、そのスケール感ですね。
映像でしか残せない。必ず僕の秘宝館ものっていうのは
入口から出口までワンカットで撮ってる映像が入ってるんですね。

だから映像作品としては長いかもしれないけれど、
どのぐらいの長さがあったのか?っていうものを表現できるっていうのは
写真ではちょっと難しい、文章でも難しい。

数値で表すことが出来ても実感が出来ない。
でも映像では出来るんですよ。
そのワンカットの映像っていうのが1つの売りになっています。

荻上
中にはね、温泉とかに行って秘宝館とかで会社同士で同僚で男女でとかね。
いろんな組み合わせで秘宝館を観に行ってちょっと気分を高めて
「どうだい?」みたいなやりとりを・・

村上
それはね・・ないですね。

南部
いや、分かんないじゃないですか!

村上
いやーもう、いやでも「元祖国際秘宝館」に行った人には分かると思いますけどね。
もうあまりにも展示のアナーキーさにあてられちゃって、疲れますよ!

荻上
「君は秘宝館ベイビーなんだよ」みたいなのはないですかね?

村上
うーん・・あり得ないかな?
やっぱりものすごいアバンギャルドですよ。
だけど、例えばそういうエッチなっていうよりは・・

エッチな盛り上げというよりは例えば好きな女の子と行くとか同僚と行ったときに
自分の好きな女の子が・・まあ男性でもいいですけど、どんな反応をするのかな?
っていうところが楽しみじゃないですか?

南部
ほう、コミュニケーションツールとして。

村上
まさにコミュニケーションツールだと思うんですよね。
やっぱりその見知らぬいろんな人たちがわいわいわいわい楽しめる。

それはそのグループだけじゃなくて今はお客さん入ってないかもしれないけれど
当時は1日1,000人くらい入っていたので、雑多な見も知らぬ人たちが1つの展示を見て
わいわいわいわい楽しめるっていう

すごくコミュニケーションツールとして
良い展示だったんじゃないのかな?と思います。

南部
確かに言い訳無しで性を題材にコミュニケーションを測るっていうのって
なかなかやり辛いじゃないですか?設定し辛いし。

村上
あとはいろんな展示があるんですけど、何が共通しているか?っていうと
とりあえずこれは当たり前のことなんですけど、性を肯定しているんですよ。

どんなことがあったとしても性を肯定している。
グロテスクな展示があったとしてもそれは肯定しています。
だから「こういう性はよくない」っていう展示は1つもないんですね。

それはすごく良かったんじゃないかな?っていうと、
そういう大らかな性っていうものを教育って言っちゃあれかもしれないですけど、

とりあえず性を楽しみましょうっていうことを知らせるっていう
重要な施設だったんだなって思います。
あとやっぱり日本人ってこういうの好きですよね?

だって今年日本を性的な等身大人形が席巻しているじゃないですか?
流行語大賞にもなったじゃないですか!「ダメよ~ダメダメ」が。

荻上
さっきなんか「ダメ」っていうセリフが音源にも入っていたから
「ああ、ここから!」って。

村上
あれはだってね・・等身大人形じゃないですか!しかも性的な。
でもそれが子どもも楽しめる、それはでも考えてみれば
昔の加トちゃんの「ちょっとだけよ」とか

木久ちゃんの「いやんばかん」とかもあって
あういうものがやっぱり楽しい、お茶の間でも楽しめる風土であるってことだから
全然秘宝館っていうものが今であったとしても僕はおかしくないとは思いますけど。

(了)



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