2013/11/29

春風亭昇太が語る「8月31日は浅草で噺塚の法要とサンバカーニバルを」

今回は、2013年9月4日放送「春風亭昇太と乾貴美子のラジオビバリー昼ズ」
オープニング部分
起こしたいと思います。


昇太
8月31日って寄席がやってない日なんですよ、お休みの日なんですよ。
お休みっていうか別の興行をやってるんですよ。

だいたい寄席って10日間興行なんで、とうきゃかん・・
とうきゃかんだって(笑)

10日間、例えば落語協会がやったら、次は落語芸術協会
次は、落語協会、落語芸術協会ってこうやってるんで
31日の日って1日こうなんていうか余るわけですよ。

だから別の興行やってるんで、
その日にですね協会の寄り合いとかをやると
寄席の出演に迷惑がかからないからやってるんだけど。

この間、8月31日にね「噺塚の法要」っていうのがあったんですよ。
これは昭和16年に、まだもう中国とかと戦争してるころですよ、日本が。

で、これからいよいよ太平洋戦争に突入しようかってころに
落語をね・・だいたい内容くだらないじゃん?落語って(笑)



はい!
大きい声で「はい!」って言っちゃった(笑)
・・そうですね。

昇太
ねえ。なんかさ、日本中が「さあ戦争だ!」って言ってるときにさ。
なんかくだらないじゃん、落語って。


「笑ってる場合か!」と。

昇太
っていう話ですよ!で、浪曲とか講談って勇ましい話が出来るのよ!
楠木正成の話とかそういうふうに尽くした、忠信の思いをその表現できるような
そういう話があるんだけど。


落語は極端に無いわけよ!
無いから、じゃあそのなんかちょっと廓噺(くるわばなし)とか、
花魁が出てくる噺とか浮気しちゃった噺とか、
そういう噺をもうやめよう!と


なるほど!「そう場合じゃないだろ!空気読めよ!」って(笑)



昇太
そうそう、元々そういう勇ましいネタ無いんだから
せめてくだらないネタだけ排除しとけ!と。
「僕たちやめます!」お国のために頑張りますよ!っていうのを示すために。

で、台本とともにそういう名作と言われる噺を塚に埋めたわけよ。
それが「噺塚」っていうわけですよ。

だから昭和16年から「明烏」とかあういう名作の古典落語
あれは廓噺ですからね、あういうのが演じられなくなったの。


それでずーっと来たんだけど、まぁ終戦でもって
それで21年に慌てて掘り返して(笑)


そろそろいいかー!って(笑)

昇太
「もうそろそろ笑ってる場合か」みたいな感じで(笑)


けっこうすぐ掘り返しましたね(笑)
21年にもう掘り返しちゃったんですか!

昇太
21年の9月に掘り返したのよ。


ほとぼり冷めてないと思うんですけど・・。

昇太
そこがいいですね!落語のね、世界のね。


早いっ(笑)

昇太
早いんだよ!慌てて掘り返して!


「まだ残ってるから!残ってるから!」って(笑)

昇太
「よしっ!これも出来る、これも出来る、みんなやろう!」って言って
そっからまた解禁になって、またやったわけですよ。

でもそういう・・言ったらさ落語みたいなね、世界でもね
そういった「禁演落語」みたいなのを作らなきゃいけないような
そういう不幸な時代だったわけです。

あと、戦争で亡くなられた方もたくさんいらっしゃるんで
そういった方を一緒にですね、そういう思いを込めて法要しましょう!っていうのが
その「噺塚の法要」なわけですよ。

これ我々、公益社団法人 落語芸術協会でやってるわけですよ。
それをやるのにみんな浴衣を着て集まるわけね。
で、浴衣で田原町のあたりに宝泉寺ってお寺があるんで、そこでやるんだけど。

そっから、ビューホテルで研修会があるわけ。
研修会って言ったってね、まぁお酒とか飲んだりなんかして
楽しく過ごして、みんな落語のことを研究する研修会があるんだけど。

みんなそっからぞろぞろ歩くわけだよ、浴衣姿で。
で、8月31日っていうのはちょうどね、浅草のサンバカーニバルの日なんですよ。
だから観光客もいっぱい来てるわけなの。

そこにさ、浴衣着たニヤニヤ笑ったやつらがさ、
ぶらぶらぶらぶら歩いてるじゃん?
そうするとじゃあ昇太だってことも分かるでしょ?

だけど、所詮この間本当に分かったんだけど、
僕とかなんかザックリとしか覚えられてないっていうのが
この間やっぱり本当によく分かって。

なんか「笑点」とかに出てる真ん中へんにいる奴だみたいな
そんな感覚しか無いはず。



白っぽいけどクリーム色だったかな?みたいな。

昇太
「何色だったかな?あいつ」みたいなそういう感じで
ザックリ覚えられてるわけ。

だから「昇太」とか名前出てこないわけよ。
道行く人たちがみんな浴衣着てるからすぐ分かるからさ
「おーっ!おーっ、ほら!おーっ、おーっ、おー」って

俺、「ほら!」か「おーっ!」なんだよね、僕ね。
でたまにさ、ものすごい熱烈に握手とかしてくる家族とかいるわけよ。

バーっと握手されて「うわっもうほら、いつも『笑点』見てます、毎日!」って
毎日なんかやってないじゃん!たい平くんのマクラじゃないけどさ。
本当に「毎日見てます!」って毎日やってないですよ、これ。

で、「うわーっ写真撮っていいですか?」とか言われて
「もう、どうぞどうぞ」って言うけど、
とうとう名前は分かんないわけよ。

ただ、ギリギリの情報が分かってるだけで
なんか「早く結婚して下さいね」とか、「なんでモテないんだろう?」とか言われて
俺「モテない」ってことになってんだけど、そうなの?

結婚はしてないけどさ、いつの間にか転化されてるわけ勝手にさ。
「モテない」になってるわけね。


そんなキャラ付けしてないのに(笑)

昇太
そう、俺そんな気なかったのに!「えっ、モテないんだ!」と思って、
「すいません結婚してないけど、モテないわけじゃないですよ」って言ったら
「えーっ!えーっ!」って言われて(笑)


そこはこだわりたいんですね。

昇太
それで終わったあとさ、小遊三師匠がさ。
「じゃあ昇太ちょっと一杯飲みに行こうか?」ってね
鰻屋さんにスーッと入って、この辺カッコいいですよ。

で、鰻の白焼きかなんかさで冷酒かなんかで飲んでたの。
そしたら鰻屋の下にちょっと降りてったらさ鰻屋の奥さんがさ。
「見ました?昇太さん!ブラジル!ブラジル見た?ブラジル!本場見た?」とか言って


何のことか全然分かんなかったんだけど、
浅草サンバカーニバル、あれ日本に一般の人たちもサンバ隊の人たちも参加するんだけど
ブラジルの本場の人たちも来てるわけよ!

それがすごい!ってことをその女将が訴えるわけよ、俺に。
「すごいのよ、もう!」「本場って違うわね!」
「全然大きさがちがうのよ!」「もう熱いのよ!」
「それがなんかね内側から出てくるものが全然違うのよ!」って(笑)
何言ってるのか全然分からないけど、なんとなく・・


すごいんだなってことは伝わってくるんですね。

昇太
そしたら、小遊三師匠が「そうなんだよ、昇太!すごいんだよ!」
「もうパンパンナンだよ!」って、同調してさ(笑)


見たんですか!小遊三師匠!

昇太
小遊三師匠見たんだよ!
「あれは敵わないぞ!あれは敵わない」って
何にどう敵わないのか全然分かんないんだけど。

で、俺も見にいったのさ。慌ててどんなものかと思って。
そしたら本当にすごいのよ!


えーっ!どうすごいんですか!

昇太
なんか細胞一つ一つが大きいんじゃないか?って思うくらい
で、こう・・輝きみたいなものが違うのよ、もう!


そんな違うんですか?

昇太
全然違う!で、その後に日本の人たち来るでしょ?
なんかほうすんごいホンニョリしてるのよ。


単純に身体のサイズの問題ですか?

昇太
サイズの問題と、あと細胞の内側から湧き出るようなパワーみたいなものが!


なんですか、それ?
スターのオーラみたいものが!

昇太
スターじゃないんだけど・・
なんか顔は汚らしいオバさんなんだけど、体全体から湧き上がるような
細胞一つ一つの強さみたいな・・

それがもうムンムン発散して、♪ザンザンザンザンザカザカ~
向かってくるわけよ!


敵わないって感じでした?

昇太
もうそれをさ、カメラ小僧じゃなくてカメラ爺さんたちが
定年退職かなんかでさ、きっとお金たくさんあるんでしょ?

プロカメラマンが持つようなものすごい一眼レフの、望遠の!
それでもって血走った目でもって、爺さんたちがバチャバチャバチャバチャって。
すごいんだよ!もう目が違うのよ!



熱いですね、浅草。

昇太
そのブラジルの内側から湧き出るようなパワーを持った人を
もうお爺さんのヒョロヒョロに干からびてるんだけど、
目の輝きだけはランランと輝いたパワーとパワーのぶつかり合いなのよ!

すごかったよ!
もうちょっと浅草サンバカーニバルいっぺん見た方がいいよ!
いや本当に、その写真撮ってるお爺さんたちがすごいんだよ!みなぎるパワーが!!


やっぱり枯れてると、そういう場には行けないんですかね?
負けちゃうから。やっぱり風景とか撮りに行っちゃうんですかね?

昇太
だから普段はきっと、町田ダリア園とかさ、それは分かんないけどさ(笑)
そういうところ行って撮ってるんじゃないの?
なんか薔薇撮ったりとかしてるんじゃないの?


だけど、サンバになると!

昇太
「よーし!」って輝いて。
「もう3ヵ月長生きできます」みたいな感じでもって・・


すごいですね、本場はそんなすごいんですか。

昇太
盛り上がってるんですよ、まぁねもう是非来年。
「噺塚の法要」と共にサンバカーニバルも
ブラジル人の本場を!

(了)

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