ジャーナリスト・北丸雄二が語る「『クールジャパン』はアンクール」

2013/08/28

クールジャパン デイキャッチ 宮台真司 北丸雄二

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今回は、2013年7月12日放送「荒川強啓 デイ・キャッチ!」内
「デイ・キャッチ!ニュースクリップ」北丸雄二さん
の回の一部を起こします。


荒川強啓(以下、強啓)
これちょっと気になるんですが、
「『クールジャパン』はアンクール」って何ですか?

宮台真司(以下、宮台)
同感です。

北丸雄二(以下、北丸)
アンクールって「クールじゃない」ってことですけど。
実はこの間、茂木大臣が出る「クールジャパン」の
プロモーションビデオが9分だか10分だかのやつが

YouTubeで発表になったんですけど、
ご覧になりました?


宮台
あの・・椅子から転げ落ちました。



北丸
エヴァンゲリオン風のなんか・・
こうタイトルやなんかがあるんですけど。


宮台
100億倍ダサいですか・・。

北丸
すごくダサいです。
何がダサいかっていうかというと、
「狙っている」ということ自体がまずダサい。

そして「狙っていて、外している」ということが
もっとダサい。

強啓
何を狙っているってこと?

北丸
つまりその「クール」な感じを狙ってるんです。
若者たちの・・そのエヴァンゲリオンって言ったら
伝説的なアニメなんですけれども。

それのカッコ良さを狙っているんだけど、
外しているという2重に格好良くないんですよね。

強啓
「クールジャパン」って何を狙おうとしたものなんですか?

北丸
「クールジャパン」っていうのは、言ってみれば
ジャパニメーションを筆頭にしていろんな日本のクールなものを
海外にどんどんどんどん売り込もうじゃないかっていうような運動が

ずっと前からやってたんですけども。
それに最近は「食」やなんかの文化も加わってるんですけども。

はっきり言って、アメリカで「クールジャパン」なんて言葉
ひとことも聞いたことありません。

宮台
だからまあそれは経産省が自分たちの利権を拡張するための
新たな口実と見いだした・・

北丸
予算取りですね。

宮台
そうなんですよね、まさにそのことが
このプロモーションビデオに書いてるの・・
描かれているんですよ。

強啓
政府もお金を出してますわね。
政府が500億。

宮台
だからそれが変でしょ?
コンテンツ支援じゃないんだよ。

「事業展開する事業者が知恵が無くて失敗することが多いので」って
プロモーションビデオに書いてあった。
「だから私たちが助けるのです」とかって書いてあるんですよ。

「私たちが」って経産省がですよ。
これがまぁお笑い・・。

強啓
それで「日本のポップカルチャーの特性を活かした商品・サービスの
海外に向けて行う事業に対して支援するんだ」っていうことを
「クールジャパン」と。

北丸
って言ってるんですけどね・・。
まず例えばアニメーションだとかマンガであるとかっていうのは
これはニッチなんですよね。

アメリカ・・まぁ欧米もそうなんですけど。
とにかく「それがウケてる、ウケてる」っていうんですけど
実際問題として大人はマンガを読みません、アメリカは。

大人はアニメーションも見ません。
とにかくそれでそういうものを出したところで
所詮は本当の人口の何%、3%とか5%の人たちしかいません。

そこでマーケットがあるか?というと、マーケットはありません。
何故かというと、男の子たちっていうのはお金持ってないんですよ。
そういう青少年のオタクたちは。

女の子たちはお金持ってるけど、男の子たちっていうのはみんな
その日その日でコーラ買ったりなんかしたりドーナツ買ったりして食べちゃうので
持ってない。そこにマーケットとしてほとんど存在してないんですよ。


もっと例えばしっかりした日本の文学をどんどんどんどん翻訳させて
そういう予算も文科省も持ってますけども、そういうことじゃなくて。
マンガ文化にのっとったこれは、見苦しいとか言いようが無い。

「Cool」ってどういう意味か?って
英語で「カッコいい」っていう意味じゃ無くてね。
「Cool」って若者言葉の背後には「尊敬」があるんですよ、リスペクト!

尊敬してないものには、「Cool」って言わないんですよ。
だから尊敬されるようなものを出していかなくちゃいけないんですよ。

単に「カッコいい」とか「格好悪い」とか見て
表層的な部分でプロモーションしちゃうとしても
それは失敗します。尊敬されるような日本であるべきだと思いますよね。

(了)

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