矢部浩之の兄・矢部美幸が語る「部屋から出るためにとりあえずパチンコしよう思った」

2012/09/22

矢部浩之 矢部美幸

t f B! P L
今回は、2012年8月16日放送「大竹まことゴールデンラジオ」
「大竹メインディッシュ」矢部美幸さんの回を起こします。

音声は配信期限が過ぎたため、ありません。




矢部浩之の兄は雨上がり決死隊と同期のNSC大阪7期生

光浦靖子(以下、光浦)
今週のメインディッシュはゴールデンラジオ初登場ナインティナインの矢部浩之さんのお兄さん・矢部美幸さんです。よろしくお願いします。

矢部美幸(以下、矢部)
どうも、矢部美幸です。よろしくお願いします。

光浦
ナイナイのやべっちのお兄さん。

大竹まこと(以下、大竹)
お兄さんが本を出された?

光浦
そしてラジオにゲストで来た(笑)

矢部
いつも弟がお世話になります、すいません・・。

光浦
もう本当にお世話になってますよ!弟さんに。

大竹
これはどういう理由で本が出るようになったの?

矢部
えー元々コラムを書かせて頂いて、それがもう6年くらい前なんですけど。

雑誌の方で書かせて頂いたのをいつか「1冊にまとめましょう!」という話で

タイミング的に今回になったっていうのが1番理由としては・・はい。



大竹

そのコラムを書く理由はどうだったの?お兄ちゃんでしょ?

光浦
お兄ちゃんの経歴を、どうしよう・・?簡単に途中まで言いましょうか?

1969年生まれ・43歳。大阪府吹田市出身です。矢部家3兄弟の長男です。そして吉本NSC7期生として芸人を志す。ちなみに同期には雨上がり決死隊がおります。

そして22歳で芸人を廃業。目標を失いひきこもりになる。そっからはお兄ちゃんからの説明で。

大竹
そうしたら芸人志望だったの?

矢部
元々はそうです。高校卒業してNSCに高校の同級生と行ったんですけど。

大竹
それで芸人志望だったけど、廃業しちゃうの?22の時に。何があったの?

矢部
結局7期生で入って、当時あの・・2丁目劇場っていうのがまだあって。

そこでまぁいろいろやってたんですけど、なかなか若手で上手いこといかなくて。

自分らで自主イベントを当然雨上がりとかと他4組ぐらいとやってたんです、ずっと。

でもチケットノルマがあって売らないといけないと。

その時に、高校の時にサッカー部でけっこう怖い先輩やったんですよ。僕自身が。

だからその高校に行って練習終わりの後輩捕まえて、「お前ら、観に来い」と無理矢理チケットを買わせて見に来てた中に岡村と弟もいてて。

それを見てるうちに弟が、高校3年ぐらいの時に「俺も吉本行く」って言い出して弟がNSCに入ったっていう。

で、ちょうどコンビとして当時コンビってよく「両方同じや」って言われるじゃないですか?

立った時にキャラが無くて、一緒に観てるって。ただ弟らは片方が小っちゃくて片方がでっかくて、コンビとして成立してて・・見た目が。

大竹
見るからにこういうコンビという形が出来てた。

弟の勢いが増してきた時は都庁を作っていた

矢部
もうその・・漫才師みたいだったので。けっこうもう名前が来てたので、「こりゃあかん」つって組んでる相方と逃げるように東京に来て。

大竹
なんていうコンビ名だったんですか?

矢部
「パンチライン」っていうコンビでやってたんですけど。

それで東京に来て、しばらく芸人やってたんですけどバイト三昧になって

ちょうど品川とかビルすごい経ってるじゃないですか?当時その辺を埋め立ててて、新都庁とかも建て替えわる時で。全部現場で僕、仕事で入ってます。

大竹
都庁建てたの?

矢部
はい、建てました。

光浦
都庁建てた男!

大竹
ちょっと建てづらかったでしょ?あれ背高いしね(笑)

矢部
「何してんねん!」ということで都落ちして帰ってもう辞めてしまったんですわ。

その時にちょうど弟が大阪でナインティナインが・・。

大竹
その弟の脅威も感じてたんだ。

矢部
もう感じてましたね。

大竹
で、弟が大阪で伸して来てる頃、都庁作ってて。「都庁なんか作ってる場合じゃねぇぞ!」と思って

それで引きこもりってどういうこと?



ナイナイ全盛期に小さい弟は3、4歳のときに兄引きこもる

矢部
コンビもその時に別れてしまって。一人でこの世界に残るっていうのもあったんですけど。なんかそこまで考えられなくて。

モヤモヤしてる中で弟らはバーッてくるしけっこうワーキャー言われ出して・・。

当時、「天然素材」に同期の雨上がりも入ってるし。

「もうこれはアカンわ」つってガツンってやられた感じですね、若いですし。

大竹
それで引きこもっちゃった。

矢部
引きこもりましたね、完全に1年くらいはもう丸々出なかったです。

光浦
家から?

矢部
家から。

大竹
あーそう!それで3兄弟だよね?

矢部
その時は一番下が3歳か4歳ですね。

そこには普通に接してやったんですけど、もう自分の部屋に入ったら。ずーっとテレビをずーっと。

光浦
その時にやべっちとは喋ったりしたんですか?

矢部
その時は忙しくてほとんど帰って来なくて接点が無くて、その1年はほとんど会ってないですね。

大竹
でもその間、ナイナイはもうガンガン!テレビ出てない日がないくらい・・。



光浦
すごかった!ビューンですよ!

矢部
だからテレビも見れなくなるんですよ。

光浦
なんだろ?悔しいというか思い出しちゃうから?モヤモヤを。

矢部
なんでしょうね?だからもうビデオを借りるんですよ。

光浦
何のビデオを?

矢部
普通の洋画とか。最初、俳優別にまず。

例えばロバート・デニーロだったら、ロバート・デニーロばっかり端からずーっと。

毎日3本ずつ見てましたね、ずーっとビデオ見てました。

大竹
それでロバート・デニーロのモノマネして出てきたらまたすごかったけどね。

デニーロのモノマネは他にいるけどね。

光浦
どーよ!どーよのテルさん。

大竹
でもこもってる時は、お金にも困ったんじゃないですか?

矢部
はいあのー、お金には困りましたね。

ただ実家やったんで、食べる物は大丈夫だったので。

今と思えば「すごいな」って思うのが、母親というか家族が何も言わなかったんですよ!

全くごく普通に接してたんです。普通に「ご飯食べやー」とか言って。

大竹
でもこの本にも後々出て来るけど、矢部家はど貧乏の真ん中で

それでお兄ちゃんが帰ってきて引きこもっちゃったわけだよね?

それで食い物は出て来るだろうけど、けっこう壮絶な感じも外からあったでしょう?見てたら・・。

矢部
うちの母親はけっこう世間体を気にするんですよ。

「うちは貧乏とか言うな!」とか「ちゃんとしてるよ!」っていうのをちゃんと言いなさいと。

大竹
でも貧乏なんだろ?

光浦
どれくらい貧乏だったんですか?よく貧乏っていう話は聞きますが。

矢部
単純に分かりやすくいうと、普通のカレーはシャバシャバなんですけど。

大竹
なんでシャバシャバなの?

矢部
5倍薄めたカレーですよね。スープカレーみたいになってますけど(笑)

大竹
スープカレーのはしり!!


矢部
あともうおかずが決まってますよ!

カレーと卵焼きと赤いウインナーだいたいその3点が回ってる感じでしたね。

大竹
そのこもった時期は何歳の時期?

矢部
ちょうど22くらいですね。

大竹
それで今ここにこうしているわけだから。

1年のその家を出る・・何も言わないでくれたオカンが居て、相変わらずのそんなに裕福ではない中で1年過ごした後

どうして今度社会に出てこれる・・これはどうしてだったの?

矢部
これがね・・きっかけは弟なんですよ。

当然そうなってる自分も「おかしいな?」って自分では認識してて・・

大竹
例えばそれどんなふうにおかしい感じってある?

矢部
あの何でしょうね・・思考が停止してる感じなんですよ。

時間が止まってる感じ!ずーっと。

何か考えても考えきれないというか・・止まってしまうんですよ、どっかで。

「そんなん考えても一緒やわ・・」って。

大竹
ああ、「俺はここにいるわけだから、これをああやってこうやってこうしよう」みたいな事は考えてもしょうがないと。

矢部
目標があって進めれば一番良いんですけど。そこまで行かないんですよね。

「そんなん立てたからってなんやねん!!どうせまたあかんようになるんとちゃうか?」とか勝手に。

大竹
彼女は?東京でもいなかった?

矢部
いなかったです、東京でも。それどころじゃなかった。

光浦
まぁ都庁立てるのに忙しかったもの・・。

大竹
まぁ都庁はね・・ありがとうございます立派なふうに建てて頂いて、

それは嬉しいんだけど・・。で、どうやって出てきたの?

矢部
それで、自分でも「絶対あかん!」って分かってても

どうしても頭が止まってしまう時に弟が帰ってきて。

「自分、ちょっとおかしいで!!」ってズバッと僕に言ってきよったんですよ。

で、「やっぱりそうやんな!」って。

「とりあえず何でもいいから外でたら?」って、「何でもいいやん!別に!」って。

大竹
弟のやべっちはどういうところがおかしいって言ったの?

矢部
たぶん目を見て思ったんでしょうね。

よく言う「魚の腐った目」というか・・もう何見てないドローンとした感じ。

大竹
生気がないっていうかね・・。

矢部
ああ!まさにそういう感じで。

大竹
それで弟にそれ言われて。

でも稼いでる弟にそんなこと言われたら「うるせーな!」ってことにならないわけ?

矢部
いや、ならなかったですね!

「やっぱ、そうか!」つって、「やっぱ、おかしいよな」って思って。

何しか外に出ようと思って・・。

大竹
でも、出るのも勇気が要る・・

引きこもりからの勇気の一歩、パチンコ

矢部
もう要りました!要りました!

だからあのとりあえずパチンコしようと思って。

大竹
まーた良かったね、目標が低くてねー。

まぁでも低い目標だけど外に出るっていうのは(笑)

とりあえずパチンコしようっていうのはやっぱすごいよ!

矢部
一歩なんか出て・・(笑)

光浦
パチンコ選んだか・・。

大竹
「パチンコしよう!」っていう気も起こってなかったわけだから、その前は。

光浦
普通の人なら「散歩しよう」とか「公園行ってさ、空気吸って花を見て」

みたいなところから始めるかと思ったら、一気にパチンコ行くとこは、

「おお!ちょいちょい聞く矢部家の血っぽいな!」と思って(笑)

矢部
当然、軍資金が無くって当時お金を借りまして・・。

光浦
どちらから?

矢部
俗に言う「ミナミの帝王」的な?で、ほんのちょっとだけ借りて。

すぐに打たなかったんですよ!「絶対勝ったろう!」と思って。

1週間まず打たんと店に通ったんですよ!


大竹
すごいね。

矢部
当時まだカードじゃなくて現金なんで、シマを見て。

1週間でだいたい流れがあるんで、ここの台が出てる・出てないっていうのを1週間見てそれでパチンコ行きだしたんですよ。

それで1年間パチンコするんですよ!

大竹
ひきこもりの後は今度パチンコ打つ?

それは儲かったの?

矢部
それは最終的に借りたお金を返して、預金で50万。

大竹
おかしい!!俺はこの事に対して矢部氏と同じで

「そのこと自体おかしい!」って言う!すごいよ!

矢部
その時はまだ「一発台」っていうのがあって、1発入れば1万3千円くらい出る台があって、

それが最後残ってた時期なのでそればっかり打って。

大竹
トータルで普通負けるけどね、負けなかった?

矢部
負けなかったです。

絶対ルールで決め取ったのは2万円しか持って行かなかったんですよ。

2万円負けたら帰ってたんですよ。買った時はやってたっていう。

これが上手いこといったのかな?と。

大竹
じゃあお店の人なんかは来られたら、「ああ・・来た・・」と。

矢部
もうだからそれが止める原因にもなるんですけど。

大竹
もうプロ級の人が来られたら店が上がったりになるわけだから、でもいつも稼がれたら店は敵わんとなるわけだよね?

出禁みたいな・・外の目が厳しくなってくるわけよ。

矢部
「なんかしてないのか?」とか見られるようになるのがすごい嫌で。

大竹
ただでさえ人に注目されるのが嫌な時期だよね?

パチンコだけやっていたいのに。

「何で俺のパチンコの横でみんなずっと俺を見に来るんだ!」と。

「俺はこの間まで引きこもってた男だぞ!俺を見るな!」ってことだもんね。

光浦
その前まで芸人目指してた人ですよ!

「俺を見ろ!」って言ってた人ですよ、ややこしいね。

矢部
毎朝、開店前に行くんですけど。

同じ顔なんですよ、いるのがね。

「今日どこ打つの?」「おばちゃん、あそこ打つで」「ああ、あそこ行くん?」みたいなのがずっとあったので、

これもちょっと「なんかイヤやな」と思って。

パチンコの醍醐味って出た時に「やった!」って思うから打つわけじゃないですか?

やったと思わないですよね?「ああ、この時間にきたか」みたいな。

ある意味、仕事になってる。

パチンコのそもそもの面白さを感じてないからもう止めようと思って止めたんです。

止めて、ちゃんとバイトを探し出したんです。

行くバイト先では弟・矢部浩之の話に

大竹
ああでも勇気がいるだろうね。

それでバイトを探してバイトに就くわけだ、それじゃあ。

何のバイトか聞いてもいいですか?

矢部
まぁいいです。一番最初は普通に工場ですね。

工場のラインの流れ作業みたいな。

大竹
何があったんですか?そこは。

矢部
そこはお菓子を袋詰めする・・のチェックですね。

大竹
破れてないか?目の前に流れてくるお菓子が上手く袋詰めされてるかどうかを。

矢部
これすぐ辞めるんですよ。もう見てられないんですよ(笑)

数秒を終わる仕事を8時間出来ないんですよ。

逆に頭がおかしくなると思って・・。続かない。

大竹
でもバイトしたらそういうのもあるんだよね。

矢部
だいたい当時、僕けっこうバイトやってるんですけども。

工場系はけっこう多かったですね。あとは、現場はすごい行きましたね。

それこそ二十何個はやったんじゃないですかね?続かないんですよ、バイトが。

大竹
1番続いたのは何?

矢部
トラックの運転手です。

何故バイトがコロコロ変わったかというと、バイト先で弟の話になるんですよ、どうしても!



大竹
顔似てるし!「あれー?似てるねー」って話になって。

矢部
それでもう僕、遮断するんですよ(笑)

大竹
シャッター下ろすんだ、ザァーっと。

「うわっ!この話来たか。コイツはもうダメだ」と。

矢部
続かなくて、最後に1人で全部完結出来るのは何か?って時にトラック。

積むのも1人、下ろすのも1人、乗るのも1人。これがやっぱり1番長続きした。

大竹
それでこの本は悲喜こもごものことが沢山載ってるわけね。

光浦
それはどこらへんまで?

矢部
それが書かれてあるのは小学校までなんですよ。

大竹
じゃあこの次の編を狙ってるわけね?

これがもし売れたら?ガンガン来たら、次があるぞ!と。

光浦
2人の関係ってどんな関係だったんですか?幼少期は?

憧れのお兄ちゃんっていう関係なのか?どっち・・。

矢部
なんか今思えば、友達に近かったように思えます。

周りに同じような同級生のやつがいて、弟も同級生がいて同じ構図の兄弟がいたんですけども。

けっこう変わってるって言われました。

「関係がおかしい」って、でも自分たちは分からないんで。

大竹
この本の中で車の前で着物着てひょうきんな格好してる2人の写真があるけど、

見ていてなんかひょうきんな他と違う感じが漂ってるね、この2人にはね。

でもあれだよね?やべっちのお兄さんが名前がヨシユキさん・・。

美幸さんが本まで出してお父さんとかお母さんとかこいつがトラックやってて1人前になってきて本まで出してて。

この本、父ちゃんと母ちゃんに見せましたか?

矢部
いや、見せましたよ。「こういうの出そうと思ってんねん」つって。

大竹
泣いたでしょ?

矢部
安心したと思いますよ。

とりあえずずーっとふらふらしてたんで、「良かった」と思ったとは思います。

大竹
そのパチンコってのが良かったね。

引きこもりから出てった時のね。

もっと大志を抱いて出ていかなくてもいいんだよね?部屋から出て行くのはね。

矢部
もう絶対そうですって!はい!

だから今はその時の反動で何でもやろうと思います。

言われたり自分で何か話があった時に、まず考える前にまずやってみようと思いますね。

「やってあかんかったら、それでええやん」とでもやらへんかったら、ずっと残るなと。

「あの時やっとったら、どうなんねん?」みたいなのがすごい嫌。

大竹
あれだな。なんか最後いい話になったな。

光浦
私はじめて見た!こんなお兄ちゃんをちゃんと持ち上げる人。

「めちゃイケ」でいつも扱き下ろされとるもんで。

いつもボロクソな感じで「めちゃイケ」では扱っとるもんで(笑)



(了)

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