2012/09/11

ライター・藤木TDCが語る「『特撮博物館』と『ウルトラマン・アート!』展はウラオモテの関係」

今回は、2012年7月26日放送「ニュース探求ラジオDig」
DigTag「藤木TDCのCDT」を起こしたいと思います。

音声は配信期限が過ぎたため、ありません。

藤木TDC(以下、藤木)
先週、東京都現代美術館で開催中の『特撮博物館』っていう展示のことを
取り上げたんですけども、ちょっと話したり無いことがあって
今回も特撮に美術展について話したいと思ってるんですけども。

先週話したのは、『特撮博物館』の中にですね、
『マイティジャック号』だとか、『バッカス3世号』だとかですね。
『ウルトラホーク』だとか色んな素晴らしいミニチュアがですね、
ものすごい綺麗な形で展示されていて「すげー!」っていう話をしたんですけども。


あのまぁ、それは図録なんかの解説を読むと
元々バラバラに分解されて部分しか残ってなかったものを
心ある関係者とかマニアとか収集家とかがですね趣味でコツコツと修復して展示にこぎつけた。
それを思うだけでちょっと胸が熱くなるっていう話で終わったと思うんですけども。

江藤愛(以下、江藤)
はい。

藤木
じゃあ修復されてないものっていうのはどういう状態なんだろう?ということを考えた時に
東京都現代美術館ではなく、今あの埼玉県立近代美術館っていうJRの北浦和という
京浜東北線の駅にある・・すぐ駅前にあるんですけども。(放送当時に開催中)

これはあの「円谷プロ」の『ウルトラマン』特に『初代ウルトラマン』と『ウルトラセブン』に
ほぼ特化してるんですけども、その特撮美術に関しての展示をやっている
『ウルトラマン・アート!時代と想像』っていうですね、そういう展示があってですね。
これがまたマニアックで興味深いものがあるんですね。




そっちの方も『特撮博物館』を今回に見た人は、電車で1時間ぐらいなんで
地方の方から出てきたりしたら、ついでに見ると良いと思うんですけど。

この『ウルトラマン・アート!』っていう展示の展示物のほとんどが・・
ほとんどっていうか大部分が西村祐次さんていう
コレクターのコレクションだと言われてるんですね。

でまぁ『特撮博物館』でも西村さんのコレクションを
だいぶ修復して出したものもあるようだと・・
これまぁ明らかにはされてないんですけども。
『ウルトラマン・アート!』の方は西村祐次さんのものだっていうのは、
展示のタグに書いてあるんですよね、「西村さん所蔵」って。

で、西村さんっていうのは福島の郡山で『M1号』っていう会社をやってまして
これは怪獣のフィギュアとかですね、
例えば駄菓子屋で売ってるですね、昔僕らの世代なら知ってるんですけど・・
駄菓子屋で売ってた怪獣のブロマイドを20円くらいで
1枚ずつ袋に入ってるのを引いて当てるのが・・わかります?

江藤
わかります。
怪獣じゃないですけど、そういうのが駄菓子屋さんで・・。

藤木
あ、アイドルとかもありましたからね・・。そういうのを復刻とかをして、
あとは新しいウルトラ怪獣のソフビ・・ソフトビニール人形っていうのがありまして
この間、『メカゴジラ』見せたじゃないですか?
あういう感じの人形がたくさん出てるんですけども。

『ウルトラマン』の時代ではソフビ人形になってない怪獣もいるんですよね。
そういうのをわざわざ新たにコレクション全体の中で形とかバランスがおかしくならないように
当時のソフビ人形のかたちそっくりにしてですね、新しく作ってみたりとか。

あとは、もういま原型が無くなってしまって作れないソフビ怪獣なんかを
復刻して作り直したりするようなそういうなんか怪獣おもちゃマニアが非常に涙が出るような
仕事をやってるそういう会社の代表が西村祐次さんっていう方何ですけども。

その人がだいぶ「円谷プロ」とかそういうところに行って
色んなものを買い取ってきて、コレクションしているらしいと。
それがその『ウルトラマン・アート!』の中でかなり展示で大部分の展示が
西村祐次・贈っていうものが出てるんですよね。

これけっこうですね、『特撮博物館』っていうのは、
完全に直した形のものが出ているのでビックリするんですけども
元々じゃあコレクターの人が探し出したり手にした時っていうのは
どういうふうな形になってるか?っていうと。

実はその『ウルトラマン・アート!』を観に行くとですね、
ほとんどそういう形で出てるんですけども。
例えば、『ウルトラセブン』の靴とかですね、手袋がですね
もうボロボロの形で展示されてるんですね。

今ちょっと図録を江藤さんに見せてますけどね。
下の方にある赤い手袋と赤いブーツ。

江藤
もう使い古されたというか・・なんか・・。

藤木
ボロボロ・・・、これなんの珍しくもない見た限りは
ただの赤い手袋と赤いブーツが腐ってゴミ捨て場にあっても
おかしくないようなものですよね?

でもこれがその実際に『ウルトラセブン』で使用された
手袋だとかブーツだとかで展示されてるんですよ。

あと、ほとんどその怪獣の着ぐるみというのは残ってないんですけれども。
例えば西村さんの所蔵品じゃないかもしれないですけど。
有名な作品なんですけど、ゴモラの頭の一部で
鼻のところにサイみたいな角が生えてるんですけど、それはもぎ取られてるんですね。
それは何か別の怪獣に使ったんですね。


江藤
ん・・!使い回しってこと?

藤木
怪獣ってね、もう使い回されるの。
ほとんど『ウルトラマン』たぶん1960年代ですけれども。
その当時の怪獣って原型のまま残っているものっていうのが
ほとんど無いんですよね。

で、たぶんその僕は直接聞いてないから分からないんですけども。
おそらく円谷プロの倉庫なんかにですね、例えば引っ越しの手伝いとか
お掃除とかに行ってですね、倉庫の片隅にあるようなボロボロのものの中から
「もしかしてこれ○○じゃないですか?」
例えば、フック型の木のボロボロの形があったときに、
「もしかしてこれワイアール星人の手じゃないですか?」とか
そういうふうな形で1個1個ちょっとずつ集めて来たものとかですね。
そういうものが展示されてるんですよね。

あの『ベムラー』っていう『初代ウルトラマン』の第1回に出てきた
有名な怪獣がいるんですけども、こいつですねこのトゲトゲがいっぱいある・・。


江藤
この赤いのですか?

藤木
色は茶色ですね。
この怪獣はもちろん着ぐるみは原型で残ってないんですけども。
『ベムラー』の尻尾の一部っていうのが展示されてて、
もうそれただね茶色い雑巾みたいなものなんですよ。

つまり、茶色い雑巾の切れっ端。
ゴムウレタンで出来たボロッボロの腐ったものが出てきた時に
「これはもしかしたら『ベムラー』の尻尾じゃないかな?」と思って
それをたぶん当時のスチール写真だとか実際のフィルムだとか
そういうものと照らし合わせて、
「あっ!間違いないこれは『ベムラー』の尻尾だ!残ってたんだ!」って
保存されたものが『ウルトラマン・アート!』の展示に沢山出てるんですよね。

あと、『ウルトラセブン』に出て来る宇宙人の円盤がほとんど木で出来てるとかですね。
宇宙人の円盤って全部金属的で宇宙から飛んで来て格好いいと思うじゃないですか?
木なんですよね、ベニアみたいなのを削って作ってあったりとかですね。

ほとんどたぶん原始的な・・前近代的な伝統工芸ですよね?
昔の人が作った木彫りのこけしだとか、そういうものだとか。
あるいは土の中から得体の知れないものを掘りだしてきて、
例えば「これは昔の人間の骨だ」とかですね、
「昔の動物の骨だ」とかいうようなことをやるような
ほとんど考古学に近いような作業だと思うんですよね。


だからそういうのって現場で働いている特撮を作ってる人たちっていうのは
もう使い捨てのものだからどんどんどんどん捨てちゃうんですけど。
これを保存したい!と思ってる人はそういうものを本当に地層の中から
動物の骨を探すみたいに1個1個探してきて。
しかもたぶん結構高いお金を払って買ってきて自分で保存してると思うんですよね。

だからそういう本当に考古学みたいなアカデミックな作業の中に
特撮の美術の保存と展示というものがあって。
それを更に修復して完全な形にしたものが東京都現代美術館の『特撮博物館』だとすると、
本当、原型の部分っていうのは『ウルトラマン・アート!』っていう展示の中にある。

つまりそれがオモテとウラって感じになるんですよね。
『特撮博物館』は特撮の美術としての美しさっていうのを堪能出来るんですけど。
それが現実にどういう形で見つけられたものか?っていうのを知るためには
『ウルトラマン・アート!』に行くと非常に良く分かるということで、
『特撮博物館』行って面白かった人は、『ウルトラマン・アート!』も行ってみると
裏表、ビフォーアフターって感じで楽しめるんじゃないかな?と。

あとね、『ウルトラマン・アート!』はちゃぶ台に座っているメトロン星人と
記念写真が撮れるんですよ。
だから是非ね、特撮好きな人はそちらの方に行ってみると面白いんではないかな?
ということで見て欲しいなと思います。



今回も、『ウルトラマン・アート!』展に行かれた方の感想記事も
併せてリンクを貼ります。

【わりとチャイナなブログ】
埼玉県立近代美術館「ウルトラマンアート展」

【オタクな一口馬主】
ウルトラマン・アート展

(了)

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