2012/06/26

立川談笑が語る「立川談志 傾向と対策」

今回は、2012年5月25日放送大竹まことゴールデンラジオ!
「大竹メインディッシュ」立川談笑さんの回を起こしたいと思います。


音声は配信期限が過ぎたため、ありません。


大竹
ようこそいらっしゃいました。
今日はアロハを着ていらっしゃいますけども。
テレビでは背広をよく・・

室井
私ずっとテレビでご一緒させて貰ってたんですけど
背広以外見たことない。

談笑
基本スーツですよね、あっちはね。
だけど落語のお客さんは和服ばっかりご覧になってますから、
「テレビ見てるとちょっと感じが違うね」って。

室井
相変わらずデカイっすね(笑)

談笑
これでも痩せたんですよ、一時より。
15kgくらいやせましたかね?今日もね15キロくらい走ってから来たの。

大竹
走った!15キロも!

談笑
午前中なにも無い時にはやってますよ。
歩いたり走ったりすると痩せるんですよ。

大竹
そういうふうに15キロも走ってるようにお顔に見えないよね。
っていうか、見せないんですか?

談笑
基本、二日酔いで走ってますから。

室井
真面目なの?真面目じゃないの?わかんない(笑)

大竹
大学行って、落語家になっちゃった?

談笑
そうです、「学歴無駄遣い」と言われてますね。

大竹
弁護士になろうと思ってたんですか?

談笑
はい、早稲田大学法学部ですから。
お勉強は出来たんです。
で、もう私の周りは基本的に一族みんな職人なんですね。
とび職だとかそういう・・。

大竹
お父様は?

談笑
親父、とび職です。で、お袋看護婦で。
周りにサラリーマンすらいないんですよ。
うちの親父の夢は「サラリーマンになること」だったらしいんですけどね(笑)

そんな中で早稲田大学に行って、・・どころか法学部。
「もうちょっと待ってりゃ弁護士か警察官になるよ」ってもう一族のホープですよ。

それがいきなり「落語家になります!」って言ったんで、
全員「万歳なしよ!」でドドドドドって総崩れ(笑)

大竹
お母様は?

談笑
泣きました(笑)
普通に泣いてましたね。

室井
なんでですか?

談笑
やりたい仕事を探したんですね。
司法試験って今よりまだ難しい試験で30過ぎて
40になってもう引っ込みが付かない人たちっていっぱい居たんですよ。

大竹
ミスター梅介を先頭にね。


談笑
はいはい、そうです。
あの人、予備校で教えているんですよ。
司法試験の予備校で。



大竹
俺と一緒の時はあれですよ、
「じゃあ、やっときましょう学習です」って
「トイレットペーパー全42種類やっときましょう」とか言うの。
トイレットペーパーの種類語ってましたけど。

室井
本当?嘘でしょ?

大竹
「ネピア」とかはじめていろいろ・・


談笑
インスタントラーメンとか・・

大竹
司法試験だから、暗記得意ですもんね?

談笑
それで一旦、司法試験は棚上げしようと。
もしやりたかったらまた戻ってくればいいしということで。
しばらく半年くらい「やりたい仕事無いかなぁ?」って完全フリーの状態で見てたら
「そう言えば、ガキの頃から落語が好きだったぞ!」というのを思い出して、
見てみたら立川談志という凄い人がいるし、
「これはちょっと試してみようか?」・・。

大竹
いやいやいや、ちょっと待って下さい。
もともと正義感が強くて、柔道もやってらっしゃるわけですよね?

室井
あ、そうだ。
一浪していた時にはプロレスラーになろうと・・本当に?

談笑
そうです、本当に。
だから、中央・慶応・早稲田と法学部だけ受けたんですね。
現役の時に・・それでダメで。
で、一浪の時にもそれしか受けなかったんです。
滑り止めだとかっていうのは、発想になかったですね。

大竹
なんかその辺も正義感が強そうですね(笑)
一つしか受けないって言うのもね。

談笑
もしダメだったら、もう頭じゃなくて体で行け!と。

室井
それうちの教えと似てます!
うちの息子、中学受験全滅したら相撲部屋に入れるつもりなんです(笑)

談笑
それですよ!まさに。
一浪の時に中央・慶応ダメだったんですよ。
残るは早稲田・法学部しかない、
中央・慶応ダメだったら受かってるはずがないんですよ。
だからもう家でスクワットですよ、延々!

もう「頭じゃなくて体の方だ!」って思ったら
たまたま受かってたんで、「良かった!」と。

大竹
それで落語って言ったって談志一門もあれば
落語協会もあれば、いろいろある中でどうして談志さんの方に傾いていくんですか?


談笑
面白かったし、内容もあったし、一番上手いというのと、格好良かったし。
あともう一つ実利的なところでは、私その時は26,7だったんですね。
年齢がいってたので・・。

立川談志は遅く入ってきても要件を満たせば、
すぐ翌日にでも「二つ目」に昇進させるって言い切ってたんですよ。

大竹
遅く行った人間にとっては、願ったり叶ったりだ!

談笑
そうです。3年4年かかってようやく二つ目さんっていう独立じゃなくて。

大竹
でもあれでしょ?
なんかお囃子とか踊りとか簡単に出来ないでしょ?

談笑
ですから、「古典落語50席やればいい」っていうふうに書いてあったんですね、著書に。
「古典落語50席だ!」って入門してみたら、増えてるんです科目が!
寄席の太鼓、太鼓は前座が叩くんですが。

大竹
今、苦労してるやつ知ってますけどね、ひとり。
太鼓が叩けないで。

談笑
太鼓があって、唄。小唄・端唄・都々逸といった・・。
あと講釈が出来て、踊りも出来て。

大竹
大変じゃないですか!

談笑
ですから、びっくりしちゃって!
それで基本的には司法試験で培った・・
後は予備校で勉強も教えてましたから。
何かスキルを身につけるというのはお手の物なんですね。

室井
普通の人って1年半で出来るようになるんですか?

談笑
出来ないですよ。

室井
どのくらいで出来るんですか?

談笑
うちの師匠は3年って言ってましたね。
「3年かければ出来る」って。
「3年かけて出来なければ、辞めろ!」っていう・・。

大竹
いやでも、それだけだったら何人かごぼう抜きにしたってことですよね?

談笑
そうですね。
皆びっくりしましたよ、その当時は。
「どんな手を使ったんだ!」って(笑)

「立川談志 傾向と対策」というのをですね(笑)
完全にうちの師匠を調べ上げて。
でね、師匠と私ってけっこうセンスが近いんですよ。
「これはわざと強がって言ってる」とか、
「これは本心で言ってる」だとかっていうのを汲み取って
師匠の間借りだとか国立演芸場だとかにある資料室に足繁く通って、
色んな音源を探したりだとか映像を探したりして。

唄に関していうと、二十いくつですから、「上手くなるわけがない!」と、質的には。
ということで「量」で攻めようっていうことで200曲だか300曲くらい覚えたんです。
昔のいろんな唄を、特に狙い目はうちの師匠が好きなんだけど、うろ覚えの唄だとか。

大竹
あっ!痛いところ突きますねー。

談志
「白頭山節」なんていうね。
それをフルコーラス、うちの師匠に聞かせたりとか。
そこまでやるとマニア化するんですね、自分自身が。
受験勉強でもそうですけど、英単語覚えようと思ったら、
まずはその英単語の単語集を愛することから始めるんです。


一緒に添い寝したりだとか・・そうです!
なるんです!愛するんです。
そりゃはじめは冗談ですよ!そんなの。

でも単語をバッと思い出せない時に
「あ、ごめんね。次こそ思い出してあげるよ」
「君はいつもこのページの下の方にいるんだよね?」
「ごめんね、今日は忘れてて」
っていうふうにちょっと倒錯愛みたいなふりをして
遊んでやってるとそのうち本当に好きになってくるんです。

室井
ちょっと私それ本当にやってみる。

大竹
っていうか、それおかしいです。
どう考えたっておかしいじゃないですか?
「君はこの下にあった単語だね、覚えられなくてごめんね」なんて
「今日は添い寝してあげるよ」ってそういう話ですよね?
それ普通の人やらないでしょ?

談笑
でも好きになると、
例えばプロレスが好きになるとプロレスラーの名前だとか、
どんな技があるだとか・・
ジャズでもそうじゃないですか?

室井
全ページ、パウチッコして風呂も一緒に入るくらい(笑)
そしたら覚えられるかも!

大竹
外国語はどこ語をしゃべれるんですか?

談笑
英語とスペイン語ですね。
ガマの油の口上ってあるじゃないですか?
「さぁさぁお立ち会い!お立ち会い!ご用でお急ぎじゃない方はゆっくりと見ておいで・・」
あれを私はスペイン語でやるんですよ。
馬鹿馬鹿しい無駄遣いなんですけどね(笑)


大竹
本当に無駄ですね。

談笑
これをやったんですよ、むかし新大久保にね。
道ばたに綺麗なお姉さんたちが南米のお姉さんたち。
あの人たちスペイン語話しますから、それでやったら
ワーッと20人くらい集まりまして、
「私たちもそのガマの油を買いたい」って・・売ってない(笑)

大竹
いや、やっぱ無駄ってすごいね!
無駄なことが一番面白いねー!
こののりしろみたいなところが本当に人生の楽しみのあるところなんだね。
「ガマの油売り」をスペイン語!!

談笑
それはね、談志に勧められたんですよ・・

大竹
お姉ちゃん集まって来ちゃった!
俺もちょっと覚えて新大久保行きたくなって来ちゃったね。
「ちょろっと塗れば、ピタリと止まる!」って。

室井
「買いたい」って言い出したんだ!

大竹
「買いたい」って、お前買いたいわ!

談笑
ハハハ(笑)
そう、談志が「お前、何が外国語出来るんだ?」って
「スペイン語出来ます」「じゃあスペイン語で『ガマの油』やってみな」って

「スペイン語みたいな・・じゃなくてスペイン語でやってみろ」って
「いけるぞ!」何て言って実際私が高座でやってウケるんですよ。

そうすると、うちの師匠が羨ましくなっちゃったのか、
韓国語で覚えて韓国語で「ガマの油」をやるようになって・・、
「何て大人げない人なんだ!」って(笑)


大竹
大人げないですね、それ。
いやでも、それは談志さんが一瞬のうちにその下らなさを
見抜かなければ韓国語でやろうなんてことにはならない・・。

室井
大人げないって今さっき自分でやろうとしてたじゃない!(笑)

大竹
もうちょっとね・・、ちょっと別の国の言葉でこれやったら・・、
ばっからしいねー。そんなことをなさってたんだ!

談笑
あと談志の持論というのは、
ポンとまず売れるために最初に出て行くのは、
「リズム」と「メロディー」でウケるのがいいんだって。

大竹
談志さんの落語はテンポがもう・・!
切れ味がいいというか何というか・・。
刀で切られているような気がしますもんね。

談笑
聞いてて本当に心地がいい・・。
今うちの一門だと談春という兄弟子が似た切り口ですよね。
いい切れ味です、スパッスパッスパっと。

大竹
今、談志さん一門って何人いらっしゃるんですか?

談笑
直弟子で23人くらいいるんじゃないですかね?
で、孫弟子も含めると50人、60人くらいいるのかな?

大竹
それは談笑さんがやっぱし談志を継ぐんですか?

談笑
ええ、私が継ぐことになって・・、嘘です!嘘ですー!
大問題になりますからね、そんなの。

大竹
ちょっと波風立てましょうよ!

談笑
ただ、面白いな!とは思うんですよ。

大竹
志の輔なんかちょっと放っておいて・・。

談笑
ええ、そういう抗争みたいな争いがあるっていうとみんな好きじゃないですか?

室井
でも、やるなら自分って感じがする?

談笑
えっ?何を本当に・・!
いやそういう嘘の戦いみたいなふうにやるとお客さんは嬉しいんじゃないかな?って・・。

大竹
いやでも心の中じゃ狙ってるでしょ?

談笑
やめて下さいよ・・。
談笑っていう名前は談志より古いんですよ、この名前は。
2代目の談笑っていうのが、初代の談志です。

初代の談志が後に談笑を継いだんです。
談志の師匠の名前なんですね、談笑というのは。

大竹
あ、かなり大きな名前を頂いた?

談笑
実はそうなんです。
ずーっと長い間使われてなかったんですけどね。

大竹
やっぱ談志継ぐのは・・。

談笑
やっぱり談笑・・・やめてくださいよ!
4回も5回もその話、差し障り有りすぎですよ!!

室井
そういうこと言うのが談志さんっぽい!
やっぱ跡継ぎって感じがする!

大竹
それ言わなくちゃ!
「俺が継いでやるからよ!こんなものはさ。お前ら向こう行ってな。」って
こう言わないと!!

談笑
こんな気まずい・・・・。

大竹
さぁ今回は弔い合戦ですけども、いろいろ談志さんには
面白い話がたくさんあってお近くでご覧になってて如何ですか?
その談志さんの生前の凄さというか面白さというか?

談笑
やっぱり優しい人だったんですね、とっても。
厳しい所はありながらも。
特に酔っぱらうと本人の本性が出るっていうじゃないですか?

うちの師匠は、酔っぱらうほどに弟子に対しても丁寧になるんです。
前座相手に「それじゃあ私はそろそろ寝てしまいますので」とか言って(笑)

あの普段の強気なのは、この人は自分を作ってるんだ!と思って。
で、ぬいぐるみが大好きで!
練馬に家がありましてね、一軒家が。あと、上野にもあったりとか。

その練馬の家に「ライ坊」っていうライオンのぬいぐるみがあって、
それがうちに師匠がお気に入りではじめて入った弟子には、
「これ『ライ坊』って言って俺の唯一の友達だから」って真顔で言うんですよ(笑)
「あ、この人本当に変なんだな」っていうふうに弟子は納得する。

大竹
「大事にしろよ!」とかって言われるわけ?

談笑
そうです、そうです。
だから弟子が辞める時は腹いせでその『ライ坊』にひどいことをしていくんですよ!
首ねじ切ったりだとか、はらわたえぐり返したりだとか。
『ライ坊』っていうのはものすごく辛い思いをして。

お棺の中に大切なものを入れてゆくって中で
ぬいぐるみも一つ入れたっていう情報がありまして、
あの報道になった11月23日ですね、当日。
私たちも実際知らないので、新聞紙上の情報だけですから。

それで翌日、朝の情報番組で私が呼ばれて、
その中に入れたのは「『ライ坊』っていうぬいぐるみだと思います」
これこれこういうぬいぐるみでって言ったら・・

後日、ご遺族に聞いたら、違うんですって。
「えっ!一番のお気に入りだったんですよね?」で、「そう」って。
で、あの家族もおかしいんですよ。

「うん、その『ライ坊』をお棺に入れるかについて一晩家族で議論をしたんです」って(笑)
結果は止めようと。理由は「『ライ坊』が可哀想だから」(笑)


大竹
家族って・・普通入れるでしょ!だって!

談笑
その次にうちの師匠が大事にしていたちょっと大きめの
熊のぬいぐるみを入れたらしいんですけれども。
うちの師匠はぬいぐるみ好きでしたから、いっぱいまだまだあるんですよ。

「これも好きだったわよね」「あ、これも」
「まだまだお棺に入るから、これもいらない、これもいらない」って処分になっちゃって(笑)

大竹
要らないもの入れて・・

談笑
「燃しちゃえ!燃しちゃえ!」だって(笑)

大竹
棺桶の中で談志さんが言ってるかもよ
「ちょっと息しづれぇからちょっとよけろ!」とか「重てぇ!」とか言ってるよ。

談笑
追悼とはいっても落語家ですからね、
悲しい話ばっかりじゃなくて絶対面白い話ばっかりするんですよ。

大竹
一緒に飲みに銀座を連れてって頂いたみたいな事はないんですか?

談笑
私は、前座の時は基本的にはずっと立ってるんですね。
店の中にも入れなかったり。
練馬のお宅で二つ目の試験というのにたまたまそういうふうになって
「じゃあOKお前二つ目になって」って言われた時に
「いい、そこ座れ!」ってそのソファーの前に師匠の前に座って
「お祝いだ!」って言ってくれてうちの師匠がビールをついでくれて、
それで飲んだビールというのが忘れられませんね。

大竹
厳しいねー。

談笑
「お祝いだ!これやる」って言って
「飲め!」って睡眠薬を一緒に混ぜてベロベロになって(笑)

大竹
薬好きなんですよね?談志さん。
色んな薬、試して飲んだりねぇ。
ビールと睡眠薬と一緒に飲んじゃうんですか?

談笑
はい。
「睡眠薬は寝るために飲むんじゃない」と。

室井
落語の世界ってやっぱり上下関係がすごい厳しいんですね。

談笑
厳しいですね。

大竹
そんな中で談笑さんは今お話しを伺っていたら、
弁護士に・・法律をやりたかったとか、柔道が出来るだとか・・

談志さんもとっても多彩な方で、議員にはなるわ、色んな事してて。
なんか変な言い方だけど、談笑さんが一番近い感じが・・。

談笑
バリエーションですか?
でも結局のところはあれだけの多面体でしたからね。
色んな事が素晴らしく出来てしまう人でしたから、
弟子はその一面を受け継ぐぐらいなんですよね。

よく言われるのが、志の輔は談志の「有名なところ」
一般に広く受け入れられるところを受け継いだと。
談春は「落語の技術」を受け継いだと。志らくは「狂気」を受け継いだと言われて。
で、談笑は?って言われて、「政治家になればいい」って言われた・・
落語じゃないじゃん!それ!(笑)

大竹
いやでも、談志さんもこれだけのお弟子さんに囲まれて、
でモリエールでライブやる方は?

談笑
志らく。

大竹
志らくさんもいて、あれも追悼の意味も込めて
蛭子能収さんとあういう方が出て、追悼公演。
で、モリエールには談志さんが見た席があるわけでしょ?
そこに誰が座るんだろう?みたいな。

室井
何か幸せな一瞬だね、ゲラゲラ笑いながらこうだったって話されてさ。
幸せな一生だと思わない?

大竹
そうだよねー。


(了)

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