2012/05/10

元・週刊朝日編集長 山口一臣が語る「ガレキで日本人の国民性を試すのはおかしい」

今回は、2012年3月27日放送・大竹まことゴールデンラジオ!
「大竹紳士交友録」山口一臣さんの回
を起こしたいと思います。

音声は配信期限を過ぎているため、ありません。


山口
今日はですね、最近話題のガレキの広域処理の問題について
お話しをしたいと思うんですけれども。

あのまぁ「絆」とか「助け合い」とかいう言葉が語られてるんですけども、
何となくこの言葉がですね、世の中に歪みを生んでしまっているような
気がしてちょっと気になってるんですね。

広域処理っていうのはご存じのようにですね、
被災地で処理しきれないガレキをですね、他の自治体に受け入れてもらって、
そこで処理をしてもらおうという考えなんですけれども。

これに対して異論っていうか反対を唱える人たちがいてですね、
ひとつは放射能に汚れた汚染のものを税金を使って
ばらまいてしまってどうするんだ!っていう意見とかですね、

あるいは、ガレキの処理っていうのは地元でやった方が
雇用を生んでいいんじゃないか?とかですね。

あるいは、受け入れる側の住民たちっていうのは
「大丈夫だ」って言われながらも、「本当に大丈夫なんだろうか?」という不安
それから風評被害が起きやしないか?というような声が上がったりしています。

それでも正式にガレキの受け入れを拒否するっていうような
自治体も生まれているんですけれども。

そういうものに対して、「自分たちだけ良ければいいのか!」とかですね、
「血も涙のない人たちだ!」とかですね。
あるいは、そういう地域で「今度被災地になった時に応援しないぞ!」みたいなですね。
自治体に脅迫めいたメールが届くような事も起きているんですね。

これはやっぱり非常に悲しいことでですね、
何でこうなってしまったか?ということをちょっと冷静に考えたいと思うんですけど。

そもそもですね、震災から1年も経っているのに
ガレキの処理が5%とか7%ぐらいしか進んでいないという現実があるんですね。
これに対して、野田首相がですね
「ガレキの広域処理は日本人の国民性が試されている」っていうような
言い方をしてですね・・


大竹
言ってましたねー。



山口
そうなんですよ!
でね私、「これ、ふざけるな!」って思ったんですね。

そもそも何でガレキの処理が進んでいないのか?って
よく考えてみましょう!っていう話なんですけども。

例えば宮城県の場合は、仮設の処理施設っていうのを作ってですね
順次ガレキの処理をしていこうっていう計画を立てているんですけれども、
この処理施設が実際、国の手続きが煩雑で交付金が下りなかったために、
着工したのが去年の暮れぐらいなんですよ。

それが稼働を始めるのが今月くらいなので、
これから処理が始まるという感じなんですね。

仙台っていうのは政令指定都市ですよね?
もともと財政が豊かだというものあるのと、政令指定都市だってことで
直接国とのやりとりが出来るんでですね・・

仙台市に限っていうと9月中にはその処理施設が動き始めていて、
実際処理が進んでいるという状況があるんですね。

つまり、どういうことか?というと、
そういうその政府や行政の対応の不手際っていうのが
そもそもガレキの処理が進んでいない原因であってですね、
受け入れない自治体があるからでは、全然無いっていうふうに私は思うんですけど。

それともう一つは、一口に被災地と言っても
地域によって事情や条件が全然バラバラなんですね。
で、大竹さんいらっしゃったのは石巻でしたっけ?

大竹
はい、そうです。

山口
石巻、ガレキどうでした?

大竹
うーんあのガレキというより、
僕が行ったのは、積まれてるところもあるけども
それはよけて積んであるというのがひとつと。

もうひとつはちゃんとした産業廃棄物になってて、
木は木、鉄くずは鉄くず。
それはもう業者が一生懸命やってるわけよ!
何故か?って言えば、それは産業だからね。

山口
そこで仕事が生まれているわけですよね。

大竹
そうなんですよ!
そういうのを僕は観てきたけど、
その場所に・・僕の観てきた場所が悪いのか・・
これが大きな邪魔になっているというようなふうには僕は感じなかったんだけど。

山口
大竹さん、臭いはどうでした、臭いは?

大竹
しませんでした。

山口
ああ、そうですか!
私が行ったのは震災の直後だったので、
写真とかテレビでは全然わかんないなと思ったんですが、
かなりの悪臭・異臭がしてたんですね。

でまぁ被災地の人に聞くと、
これから夏に向かって気温が上がって行くんで、
積んであるガレキの腐敗とかですね、そういう溶けてくる状況っていうのは
非常に心配だっていう話があるんですね。

大竹
いやでもね、北上川の横にところ行って観たんだけど、
畳は畳、臼は臼、鉄は鉄、網は網でそこは綺麗に分けてあったよ。

そこも降りたけど、それでもっと言えばね、
ハサミみたいなので挟んでね工事やるんだけど、
遠くから遊んでるように見えたんだけど、そうじゃないんだよ!

あれは、ハサミの先っちょでビール瓶のお酌も出来るぐらい精巧に運転出来るのね。
それをとっても腕のいい業者が綺麗に分けてるのね、俺の観たい現場はね。
はい、続けて下さい。

山口
ゴミがね、確かにきちんと分別すると資源になるし、
混ぜるとゴミになると言われているんですね。
そういう意味で、分別が進んでいる大竹さんが見てきた様な地域もあるしですね。

例えば、岩手県の岩泉町などではですね。
元々使ってないと土地がいっぱいあるんで、
そこに積んどいても全く困らないと。

政府は早く片付けろと言うけれども、
ゆっくり処理した方がいいんじゃないか?っていう
意見があったりとかですね。

大竹
っていうのは、その中にランドセルがあったり
写真があったりするわけでね。
そういう意味でゆっくり仕分けしたいっていう気持ちも
勿論あると思いますよ。

山口
そうですよね。そういう意見があったり。
岩手県の陸前高田市の市長さんとかですね。
例えば、市内にガレキ処理の専門の大きなプラントを作ればですね。
自分たちの手で処理が出来て、スピードも上がってくるというのを
考えてですね、その事を県に相談したんですけれども、
今の法律では許可が下りても建設までに2年くらいかかるという事でですね。
門前払いされてしまったってことがあって。

大竹
その話知ってます。
確かね、「前例がない」って言って断られたって言いましたね。

山口
要するにね、震災ガレキっていうのは
国にとっては一時的な事業として捉え方をしているので。
さっき言ったみたいな仮設の処理施設を作るのなら交付金が下りるんですけど。

恒久的な施設に対してはですね、交付金が下りないというような状況があって。
そんなもの、言ってる場合じゃない!と僕は思うんですけども。

こういう話もあるんですよ、「これもひどいな!」と思ったんですけれども。
福島県の南相馬市の場合だとね、
震災ガレキを使って護岸工事に使いたい。
だけども市内のガレキが実はここは少ないんで、宮城県から持ってきたいという
要望を出しているんだけれども、その被災地の3県の中で
ガレキを動かすようなことはしないということで、
これも門前払いになってしまって、そこの市長さんが仰るには
「税金を使ってガレキを県外に持ち出して、自分たちはまた税金を使って、
なんでコンクリートを買わなきゃ行けないんだ?」っていうようなことを仰っていて。

何が言いたいか?っていうと、
国や行政の対応がちぐはぐであるが故に、
私はガレキの処理が進んでないんじゃないかな?っていうような気がするんです。

大竹
それを野田さんが、「日本人の絆が試される」みたいな言い方してるわけだよね?
ちょっと違うと僕も思いますよ、そこは。


山口
そうですよね?
それから、いわゆる反対派の住民の人たちに対して「住民エゴ」みたいな声も
あがってるんですけども、これ何で不安か?っていうとね、
国が信用出来ないからじゃないですか!
一概に焼却灰の放射能のレベルが8,000ベクレルまでOKだって言い出すわけですよ。

震災前までは、100ベクレル以上のものは、
ちゃんと資格のある管理者が処理しなければいけないと言っていたのを
いきなり80倍になってですね、「これ信用して下さい!」っていう方が
僕は難しいと思うんですよね。

大竹
でもしかも、灰になってもガレキの量から出て来る灰ってけっこう膨大なんだよね?

山口
特に、震災は砂とかいろんなものが混ざっているんで、
かなりの膨大な量になってしまうっていう現実があって。

そういう中でですね、本当にガレキの処理を進めていくには、
何をやったらいいのか?というと、
やっぱり不安を取り除くことが大事なのであって、
さっき言ったように「絆」とか「国民性」とか「人間性」みたいな
情緒的なことを言っても始まらない気がするんです。

大竹
もっと仕事に徹したクールな発言が欲しいよね。

山口
例えばね、不安は不安なんですけど。
岩手県の北の方の地域っていうのは原発からの距離を考えたら、
東京と大して変わらないわけじゃないですか?二百何十キロも離れていて。

じゃあそこのゴミは「あなた不安ですか?」って言ったら、
「じゃあ、東京のゴミとどう違うんですか?」っていう話になるわけですよ。

そういうことを冷静に説明したり、さっき言った8,000ベクレルって
どうやって説明したか僕は分かりませんけども。
本当に8,000ベクレルで大丈夫だと思っているんだったら、
「何故8,000ベクレルで大丈夫なのか?」っていうことを
きちんと冷静に説明してですね、不安を解いていくのが大事なのであって。

「住民エゴ」だとか、「自分たちだけ良ければいいんだ」みたいな
国民の対立を煽るような物の言い方だけ是非止めて頂きたいなと思うんですけども。

大竹
ただね、僕もこの問題この番組で随分やったんだけど、
もうね・・ちょっとね・・随分山口さんの意見に同調するんだけどもね。

ただね、ちょっと分かんなくなってきちゃってるっていうのはね、
例えば神奈川県の黒岩知事とか、その葛藤はあって
住民の反対を押し切って、それでもガレキを受け入れるって発言をしているわけだよね。
その辺のことを、それもやっぱしさ神奈川県の知事じゃない?

知事が言ってるわけでさ、そういうところなんか温度差が
反対・賛成含めてすごいんだよ!!
それでね、随分俺も迷ってきちゃってるのは、
もちろん山口さんの仰る通りだと思うんだよ!!

山口
いやいやだから、地域の中で処理出来ない量のガレキがあるのは事実なので、
それは処理能力のあるところに運んで処理しなければいけないとは思うんですけども。

どういう運び方がいいのか?どこに運んだらいいのか?とかですね、
それから、たぶん汚染のレベルもだいぶ違うとお思うんですけども、
それどうやって測って、どういうものを県外に持ち出すのか?っていうのが、
見えないから不安だと思うんですよ。

大竹
他の方の発言でも、二木さんは「持ち出すことは超ナンセンスだ」って仰ってますし、
それから田中康夫さんは、「利権だ!」というふうに仰ってますね。

山口
その辺は、何て言うのかな?
僕が言いたいのは、感情的にならないで冷静なデータ、
それから一口に被災地と言っても土地が余ってるところとか
土地が無いところとか、いろいろあるわけですよ。

ガレキの量も多いところ、少ないところもあるんで、
地域地域にあったキメの細かい対応をしながらですね、
一番大切なことはガレキをなるべく早く減らして、復興を進ませるっていう事なので
それに対して知恵を出して行かなきゃ行けないと思うんですよね。

例えばその・・一番に言いたいのは・・気になってることはですね、
ガレキの広域処理を進めるべきだ!って人たちは、
反対する人たちに対して感情的な攻撃を加えている。

反対の人は、田中康夫さんが答えられてたように「利権じゃないか?」とかですね、
そういうことを声高に言うばかりじゃなくて、そうではなくて、
「本当にどうしたらいいか?」っていう事を第一に考えなければいけないかな?
っていうふうに私は思っています。

大竹
少なくとも一国の首相が、「日本人の絆が試される」みたいな
そういう感情論で処理しちゃいけないよね?

山口
ってか、そういう情緒的な話じゃ全くないんで!

大竹
無いって事だよね?
はい、わかりました。


(了)

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