2012/04/05

ライムスター宇多丸が語る「『Documentary of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』は日本アイドル史の金字塔だ」

今回は、ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル
2012年2月18日放送分 ザ・シネマハスラー
『Documentary of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』

を起こしたいと思います。

音声はこちらから


宇多丸
はい、行って参りましたー。
AKBドキュメンタリー第2弾、評判は前から聞いてたんですが、
ようやく今回当たって行って参りました。


で、ちなみにですね。
メールでちょうどその現場にいたという人のメールも頂いてるんですけど
僕ね、2回見たんですけどね。

1回目、新宿バルト9で見てたんですけど。
前の回を見た直後のAKBオタ同士がですね、ちょっといい風景。
ロビーで取っ組み合いのケンカしてた(笑)

「ぶっ殺すぞてめぇ!」みたいなことやってて、
結構いい風景が見れて・・

でね、確かにそういう風になんかファンなら感情が
穏やかじゃ無くなっちゃうっていう映画かもしれない。
なんか迂闊なこと言った奴に対して、
「てめぇ、これ見て何も感じないのか!これ!(怒)」
みたいな風になっちゃいかねない・・それも分かるタイプの映画でもありました。



でも本当・・何で揉めてるのか知りたくて少しずつにじり寄ってたんだけど(笑)
何だかよくわかんなかったんですけどね。
なんか、「お前がじゃあセンターでなんとか・・」みたいなのが聞こえました。
多分、「あっちゃんの事を悪く言う奴は俺が殺す」的な事なんかじゃないかな?
と思うんですけどね。


でこの映画、事前に聞いた感想で「あーー!」って
トップ5でお馴染みジェーン・スーさん曰く、
「戦争ドキュメンタリーみたいだった!」っていうね。
っていう風に言ってたんですけど、いざ見てみれば・・
本当に誇張でも何でもなかった!!っていうね。

あるいは、ヤコペッティ幻の遺作!みたいな、
「アイドル残酷大陸」みたいなそういう感じ!


でね、僕なりの結論を最初に言わせてもらいますと、
これねちょっと大げさに聞こえるかもしれませんけど、
日本アイドル映画史、もっと言えば日本アイドル史上に残る大問題作ですよね。

「何が問題なのか?」ってのは後ほど言いますけど、
大問題作にして、少なくとも僕とかですね僕の仲間たち、
コンバットRECとか、まぁBUBKAチームですよ。
BUBKAチームとかが長年、ここ10年くらい考え続けてきた
「こういうのがアイドルとしてのエンターテイメントとしての
可能性があるんじゃないか?」って言っていた
日本型アイドルの進化史のひとつの到達点、
別の言い方をすれば臨界点ですね。と言ってもいいかもしれない。
とにかくひとつの金字塔って断言しちゃってもいいんじゃねぇかな?と思うんですよね。


で、念のため言っとくと僕は・・・これ何度も言いますよ。
僕はAKBのファンでは無いですよ!
一部の曲とかイベントの試みとかを高く評価してたりとかはします。
それを面白く思ったりはしてるけど、
普段そこまで入れ込んでいるっていうわけじゃないです。僕は。

むしろ、曲の評価とかに関しては多くの場合は結構批判的なぐらいです。
AKBは何で試みは面白いのに曲はこんなに普通なんだ!くらいのそういう立場です。
一部の曲は高く評価してるだけ。

なので言っておきたいのは、今回の劇場用ドキュメンタリー第2弾
先入観がない人に言いたいのは、決してファン限定もの作品じゃないです!
ってことはくれぐれも言っておきたいと思います。

むしろ、ファンだからお気楽な気持ちで見ていくと、
小学生の少女が見ると、「ハッ!」つって、顔面蒼白で出て来る。
そういうのがいっぱい目撃されていると言うくらいで。

ファン限定ものとは言えないという証拠に、例えば歌とかパフォーマンスとか
曲単位でキッチリ見せるような作りじゃないわけですね。

じゃあ何が映っているのか?
例えば、メンバーの素顔的なものが映っているのか?っていうと、
それはどっちかって言うとこの前の去年のドキュメンタリー1作目ですね。
前の奴は、どっちかっていうとメンバーの素顔的な方向。


要は、各人の素の人間性っていうのはインタビューで迫りつつ、
AKBの内部での立ち位置とか関係性、
チーム感みたいなのがふんわり浮き上がってくる。
で、最終的には「みんなええ子や!」と。
「みんな幸せになって欲しい!」と心底思える。

逆に、2作目見てから1作目さかのぼると、
「あれはあれで良かったよな!」と
「こんな2作目みたいなのばっかじゃたまったもんじゃねぇよ!」っていうねって思ったりする。

今回の第2弾は、1作目を「陽」とするならば、明らかに「陰」
ダークサイドっていうのを全面に打ち出すっていう意図がはっきりあると。

でまぁAKBというもの、
更に言えばアイドルというものが背負った業っていうんですかね?
宿命みたいなものをおそらく見たことがない皆さんの想像以上に
結構真正面からとらえる作りになっていると。

でそれは同時に、「それでもアイドルやりますか?」
「何のためにアイドルなんかやるの、じゃあ?」とかね。
あるいは、「ここまで彼女たちにさせてまで、
アイドルファンって何よ!アイドルのファンって何だよ!」
っていう結構重たい問いっていうのが真正面が突きつけてくる作品であると僕は思いました。

でですね、もちろんアイドルのオフィシャルな作品ですよ!
アイドルみたいなものを批判するとかそういうのじゃなくて、オフィシャルな作品、
映像でここまで踏み込んだ例はないし、
アイドルのエンターテイメントとしてのその枠の中でですね。

逆に言えば、これ以上踏み込むと
アイドル映画とかアイドルというエンターテイメントとしては、
成立しなくなる「これがギリのバランス」っていうところだと思います。
だからさっき僕は「臨界点」という表現を使ったんですけど。
これ以上進むともう壊れる!ちょっとどう壊れるのか?というのは後で言いますけど。

単純に面白いところはあるんですよ!面白いです!面白いよ!
面白いけど、無類に面白いけど・・
以前僕がAKB総選挙、第3回目の総選挙について
この番組のオープニングで語ったときのように
その時僕のテンションこうでしたね、
「最高だ!!最低だ!!最高だ!!最低だ!!・・・」ってね(笑)

(オープニングの当ブログの文字起こし)
ライムスター宇多丸が語る「AKB48選抜総選挙」と「アイドルの表裏一体な構造」

つまりもう残酷ショーで、面白いけど残酷すぎ!
「ヒドい!最高!ヒドい!最高!・・・」っていうこの間で
アンビバレントな気持ちで引き裂かれるような気持ちになるような映画です。

でもそこに対してこの映画、ギリギリの答えみたいな感じのものも
作品内で提示しようとはしていると思うっていう感じだと思います。

で、具体的に中身に触れる前に実際のところは、
「あそこはああだったよね!」「あそこの前田すげーよな!」みたいな
具体的に話せば「あそこ見た??」みたいなこういう話をして楽しむ映画なんですけど、

その前に、僕がこの映画を先程言ったように、
「日本アイドル史とか日本アイドル映画史の中での一つの到達点・金字塔」っていう
言うに至る前提としてやっぱし日本アイドル史というのをどう捉えてるか?
ちょっと話しとかないといけない!ざぁーっとね、もう超駆け足ですよ!!

ライムスター宇多丸が語る「10分で説明する日本アイドル史・日本アイドル映画史」
に続きます。

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