2012/01/31

三宅隆太に聞く「スクリプト・ドクターの仕事に関するあれこれ」(2)

今回は、TBSラジオ・ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル
2011年8月20日放送分サタデーナイトラボ
「<脚本のお医者さん>イズ・バック!
スクリプトドクターとは何か特集 リターンズ!」


を起こしたいと思います。
前後編にて配信されているうち、今回はその後編を起こしたいと思います。
前編はこちらから


前編は「スクリプト・ドクター」の概略とそのお仕事についての質問に
映画監督でもあり、スクリプト・ドクターの三宅隆太監督が答えられています。
これまで話してきたことを意識して制作された「七つまでは神のうち」のことに
ついても語られています。

音声はこちらから


ライムスター宇多丸(以下、宇多丸)
ええじゃあね、こっちいってみようかな。
「日本人のスクリプト・ドクターが海外の映画の脚本を診たり、
またその逆もあったりするんでしょうか?」

日本の映画を海外のスクリプト・ドクターが扱ったりとかもあるんでしょうか?

三宅隆太監督(以下、三宅)
はい、えーと日本人が海外の脚本をドクターするのは、
僕に関してはわりとしょっちゅうです。何度もやってます。
海外のってのは色々ありますけど、韓国だったりもしますけど、
アメリカのハリウッドのものも何本かやってます。

宇多丸
それってどういうルートで話が来るんですか?

三宅
えーとですね、あ、そうなんですよね!
すごく不思議がられるんですけど、しかも僕英語喋れないっていう問題もある(笑)

宇多丸
そんな事が有り得るのか!ってね。
それこそ今の話からすると、だってかなり密に色々やらなきゃいけないのに。

三宅
結局のところ、実際に完成した映画の情報として一般の方に届いているものは、
色んな数多ある企画の氷山の一角の先っちょの氷の結晶くらいの情報なんですよ。

宇多丸
ハリウッドはそうみたいですね・・。

三宅
うん、日本もそうなんですよ。
実際は今こうしている間もどんどん色んな企画が進んでいるんですね。
要するにハリウッドの映画で日本で制作に関わっていたり、
出資したりしている日本側のプロジェクトっていうのは
一般の方がご存じな量の何十倍ってあるんですよね。

そういう時に向こうの脚本家と向こうのプロデューサーがアメリカでずっと進めてて
上手くいかない場合に、例えば日本の出資サイドに意見を求めて来るっていう・・。

宇多丸
日本の企業なりがお金を出している場合があって、そういう場合?



三宅
そうですね。
でそうなった時に、日本側で誰かいいドクターいますか?付けて下さいって言われた時に
呼ばれて入ることはありますね。

宇多丸
すごいですね。
やっぱそのハリウッドのさ、プラスになりそうなことだったら
何でも試すみたいなところがすごくたくましいですよね。

三宅
そういう時は日本の会社に送って来られた段階で日本語に翻訳する人がいるんですよ。
その翻訳されたシナリオを僕が分析したりするんですよね。

宇多丸
じゃあそれはもう必然、脚本上だけのカウンセリングになりますよね?

三宅
・・なんですけど、やっぱりその脚本家さんの個性が上手くいってなくて、
リライトが出来てない場合もあるんです。
そのまぁあんまり言えないんですけど、契約期間が切れたものとか、
完全に企画がストップしたものだったらあれなんですけど、

えーと、ニコラス・ピレッジさんっていう脚本家、グッドフェローズとか、
アメリカンギャングスターの制作総指揮とかやられてて、
ピレッジさんってノーラ・エフロンさんの旦那さんですよね。



そのピレッジさんの本がリライトで苦しまれてた時に、
僕が入ったことがあって、で、その時におそらく要素としては結構当初の予定より
群像劇になってきてたんですよね。
ニコラス・ペイジさんの得意なジャンルってやっぱりそのギャングものであったりっていう
組織を描いたものが多いと思うんですけど、組織の中での孤立とかですけど。

そのシナリオの方向性が段々群像でバランスがちょっと違う方向に行ってた時に、
おそらく1回群像劇が得意な人に1回リライトさせて、
それからニコラスさんに戻した方がいいんじゃないか?
って思ったんですよね。そのまぁ提示もしたんですけど。

そしたらジェイソン・ケーヒルさんっていうテレビの脚本をたくさん書いてらっしゃる方がいらして、
この人は「ER」とかも書かれてる人なんです。
ですから大勢人がいて色んなドラマが短く紡がれていくっていうのが得意な人なので、
ジェイソン・ケーヒルさんに入ってもらって、
それからまたニコラスさんに戻したという様な事はありましたよね。



宇多丸
なるほど、まぁでもそれは作品としては実らなかったと言うことですか・・。

三宅
そういうことですね、今喋れるということは(笑)

宇多丸
結構何個かやられてますか?そういうハリウッドもの。

三宅
は、やってますね。

宇多丸
はー、そうですかー。
ということで、あ、逆はあるんですか?ちなみに。

三宅
逆は聞いたこと無いですね。
それは多分日本語の映画っていうもののマーケットの量の問題かもしれませんね。
日本語で作る映画がどれくらい海外で市場があるのか?っていうことですかね。
英語で作るものとはやっぱり違うんで。

宇多丸
やっぱそれくらいハリウッドの規模というか、懐の広さというか・・。
っていう部分のところなんですね。

えー、次にいきましょうかね?
どれがいいですか?じゃあこれいきましょうか。
「三宅監督がスクリプト・ドクターを目指す人に
アドバイスするならどんな勉強をしておけと言いますか?」

三宅
うーん、これね。
このタマフルでドクターの話をさせて頂いたおかげで、
たまに映画館とかでリスナーの方から声かけられる事あるんですよ(笑)

で、「僕ドクターやりたいんですけど」とか言われる事も結構あるんですけど。
どうしたらいいかな?っていつも思うんですよ。
何しろ7人とか8人しかいない世界なので(笑)

そういう質問だと思うんですけど。
よく言うのは、ものごとの悪い面ばっかりを見ないようにする事が大事かなぁと思います。

その要するに、シナリオ読んで「ここ面白くない!」とか「ここつまんない」とか
悪い部分を見つけて指摘するって事はそんなに難しいことでは無いと思うんですよね、実は。

どちらかというと良い所を見つけてそこ伸ばしてくっていう方が、
僕はリライトには必要だと思って、その方が実際早いんですよね。

宇多丸
そうかそうか。
悪い所を良い方に持っていったり切ったりするよりも、
元々持ってる良い所を伸ばしてあげる方が・・。

三宅
そうですよね、見落としがち・・、
悪いものの方が派手なんですよね、どうしても。

宇多丸
それはわかります。
見てて何が悪いかは分かるけど。

三宅
だからここに実は魅力があるかも知れない、
可能性があるかもしれないっていうものを見つけるっていうことです。
それとあと基本的に脚本家として売り込みたいのなら
スクリプト・ドクターにならない方が良いんじゃないかと思うんですよ。

宇多丸
それは何故?

三宅
えーと、それはリライターになってしまうからでしょうね。
脚本家とスクリプト・ドクターの仕事って僕は違うと思ってるんですよね全然。
資質として、「俺ならこう書くね」っていうことは別に誰でも出来て、
みんなチャンス狙ってるので「あわよくばそれ書きたいです」って言う人はいっぱいいるので。

そうじゃなくてそのプロジェクトが幸福になるようにどう力を注ぐか?
っていうのが僕はドクターの仕事だと思ってるんですよね。

宇多丸
あと脚本を書くという、言わばゼロを1にする作業と、
それをより良いものにしていくという作業が違うっていう感じですかね?

要するにゼロを1にするっていうのは、
そのやっぱり正しい・間違ってるとか、綺麗・汚いとかじゃなくて、
そこはクリエイトする側の仕事じゃないですか!
ある種の情念だったり、こだわりだったりまぁコンプレックスでもいいですけど、
その人の作家として止むに止まれぬ何かがあるから、ゼロが1になるわけで。
それとやっぱり診断することはまた別だっていうこと・・。

三宅
そう思います。
特に作家性の強い「ソフトストーリー」の企画なんかは正にそうだと思いますね。

で、まぁ勉強したい方にって話なんですけど。
実はそのそういう教育が日本にないって言うのも日本に問題だなぁと思っていて・・。

宇多丸
まぁだってね職業としてもそれほど認知されていないから。
ましてねそれをどう教えるか?なんてのは・・。

三宅
そうなんですよね。
ですからスクリプト・ドクターの考え方と脚本家のクリエイティブっていうのを、
両立させる授業ってあっていいんじゃないかな?って思ってて、
実は今度やることになったんですよ。

それが「映画美学校」っていう黒沢清さんとか高橋洋さんがやられている学校で、
脚本コースっていうのが今年5月から出来て、僕そこの担任をやってるんですけれども。


まぁ前からやってる大学の授業をやってるんですけど、
それとは別に美学校でも脚本コース始めてて。

でその後期コースっていうのが10月から始まるんですけど、
ここの中でその僕のドクターとしての目線とかですねっていうものを
実際の脚本に活かしていこうっていうやり方を多分日本で始めて(笑)

宇多丸
はじめてのスクリプト・ドクターの授業を、「映画美学校」でやる?

三宅
はい、ドクター専門って事じゃないですけどね。
ドクターの要素も入れた授業をと思っているので、
もしこの質問をされた方、ご興味お有りでしたら、
映画美学校のホームページ言って頂けると多分ガイダンスの日程とか書いてあると思うんで、
参加して頂ければいいと思いますけどね。

宇多丸
ちなみにぶっちゃけスクリプト・ ドクターっておすすめの仕事ですか?
若者に対して。

三宅
うーーん。
本格的にやろうとすると結構大変だと思いますね。
例えば映画を観て映画仲間とか映研の友達とかと一緒に映画を観て、
その後居酒屋行って「あの映画のここつまんないよなー」とか
「俺ならこうするぜ」っていう話の延長だと思うと、
結構痛い目に遭うかもしれないですよね(笑)

宇多丸
やっぱりその元からある企画を活かさなければいけない、
要するに患者だから、切って捨てれば済む話じゃないってことですね?

三宅
そうですね、結構あのそれこそ「背負う気あんの?」じゃないですけど(笑)
去年の新耳袋じゃないですけど・・。結構覚悟がいると思います。

宇多丸
責任もあるし、受けるからには医者として責任もあるし。
あれですね、さっきから伺ってると、
患者が来ました、まぁ患部は大体こんなだなと。
でも出来ればその手術とかあんまり、大きく切ったりとか、
それこそ片足無くなっちゃいますみたいな手術あんまりしたくない!ってことですよね。
三宅さんとしては。

三宅
僕の考え方ではそうですね。

宇多丸
出来る限り患者の元の状態を活かしたまま健康になって頂きたいと。

三宅
それが一番良いと思うんです。
だからもちろん場合によっては、僕がリライトではいる場合もありますよ。

宇多丸
それはその・・。
リライターっていうのは正に手術を本当にする場合なんですかね?

三宅
そうですね、それはありますけど。
まぁ「ハイコンセプト」の場合はいいんですけど、
「ソフトストーリー」の場合はやっぱりちょっとね・・。

宇多丸
それこそ本当の本筋がズレちゃうよというね。
はい、わかりました。どうかなもう一個意見のか?いけないのか?
もう一個いくとしたらどれですかね?

三宅
えーと、そうですね・・。
じゃあ、どれでしょうかね・・。あ、7番・・。

宇多丸
じゃあこれいきましょうか。
「1つの作品に関わるドクターは1人という決まりはあるのですか?
また派遣されたドクターが相手先で何かあり、
違うドクターが派遣され直されたりすることがありますか?」
ということなんですけど。

三宅
一つの作品に1人という決まりは全然ないです。
何しろ7人か8人しかいないので、
全然決まりはその都度作ってってしまえばいいと思うんですね。
決まりはあってないようなものです。

実際僕の場合も、僕が提示した問題点の指摘とか修正方法が納得いかないっていうふうに
クライアントさんがおっしゃることもあります。
そういう場合は、セカンド・オピニオンですよね。それこそ。
で別の僕の知り合いのドクターを紹介する場合もありますね。

ただそれはその企画とその考え方のマッチングの問題もありますし、
逆に僕が脚本家であるから気づく事とか、脚本家だから言える指摘もあるわけで、
コンサルタント然とした脚本を実は書いたことないドクターが行って、上手くいくこともあれば、
逆に彼らがやって上手くいかなくて、僕が呼ばれることもあるという事ですね。

宇多丸
やっぱり向き不向きタイミングとかがあるという?

三宅
そうですねー。
本当に変な言い方ですけど、ご縁のものなので・・。
その人対人なんですよね。
どうしても何か構造の話とかをしてると何か工業製品の話をしてるような・・。
「この部品とこの部品が・・」みたいな話にもなるんですけど、
やっぱ脚本って人の心から出て来るものなので・・。

宇多丸
脚本は心霊ですね!

三宅
そうなんですよ!本当にそうで。
「脚本は心霊」理論っていう(笑)

・・だと思うのでやっぱそこに興味があったり、
そこにこう触れていく気持ちがないと実は結構冷たい仕事に
なりかねないなっていうのは思いますね。

宇多丸
その中で、ああじゃあちょっとこの質問をね、もう一個付け足しちゃいますけど。
「スクリプト・ドクターっていう仕事をしていて一番充実感のある瞬間は?」
要するにどういう時に「やった!」って仕事としての喜びがあるのか?

三宅
これはですね、綺麗事言ってるように思われると嫌なんですけど。
僕が提案したアイデアによって、その脚本家さんが「え、それ違うよ!」ってなって
それ違うってなって「こうかもしれない!」ってその人のフタがパカッと開いて、
いきなり風通しがよくなってその人の中から、こうワクワクしながら
どんどん良くなってしまうことがあるんですよ。

あるいは僕の指摘が引き金になって、シンプルに
「なるほど!じゃあこうじゃない?」って言って加わっていく、
プロデューサーも乗ってきてっていうふうになって、
こう本当に僕は風通しっていう言い方をするんですけどね。

風どおしの良くなる瞬間があるので、それがやってて一番充実する・・。

宇多丸
それが最終的に作品に結実するか・・。
面白いですね、指摘に対して直接その指摘が生きなくても、
「いやそれは違うよ!」ってその「違うよ!」って言ってるってことは!ってことが
有りうるんだ!

三宅
「逆に!」みたいな。
それは結構あるんですよね。

宇多丸
「何で違うかって言うと・・、ん!」っていう・・。

三宅
発想がグレーゾーンに入っちゃう時があるんですよね、悩みすぎて。

宇多丸
さっき言った何が問題かも分かんないみたいなのになってる中で、
「それは違う!」と断言できるみたいな。

三宅
そうなんです。
例えば、「白じゃない?」って言ったら、
「いやー、白でしょう!あ、黒なのか!」っていうそれがグレーの間にいると
見つからなくなる事があるんですよね、簡単に言うと。

宇多丸
やっぱ一つの基準がバンッと入ることで何かが見えるってこともあるし。

三宅
あります!あります!
本当に些細なことで見ることもありますしね。

宇多丸
それだけでも患者さんがとりあえず良くなった!って
なってるから良かったってことですかね。

逆に、「つらい!」って・・。

三宅
辛い時っていうのは、
やっぱり対象になってる脚本家さんがすごい悩んでらっしゃる脚本家さんが、
逆にドクターが入ったことによって
「ああ、俺今信頼されてないんだ!プロデューサーから!」
で、自意識が立ち上がってしまって僕をリライターだと思ってしまう。

宇多丸
逆に殻が濃くなっちゃう。

三宅
「取られんじゃないか?」みたいになって、
ご自分でどんどん自意識が高くなって本来持ってる力が発揮できなくなる。
こちらはもちろんそんなつもりは無いんですけど。

最終的に「僕がこう直します」って言って
その方が僕らとは関係無い論理で直してきた時に
やっぱりなんて言うんですかねぇ・・、意固地になってるものなので、
目的がズレてるので、やっぱり良いものになんないんですよ、大抵そういう時は。

宇多丸
あーー、これはねぇ。
もの作ってたりする時にちょっと耳が痛い話ですね。
ありがちな時ですね。ありがち!ありがち!すげーありがち!

三宅
そうなってその人が自分から「降りる!」って言って降りちゃったり、
「ちょっとご遠慮頂きます!」って言って降ろされちゃったりっていうのが
一番辛い時ですね。

宇多丸
なるほど、ということはじゃあやっぱりこうやって
スクリプト・ドクターはリライターとは違いますよ!とか、
本当にカウンセリングしまっせ!とかそういう概念がちゃんと伝わって
浸透すればそういう無用のトラブルというか
無用の悲劇も防げるようになるという感じですかね?

三宅
もっと何かもしかしたら「ドクター」っていう名前が
良く無いのかもしれないんですけど、なんか大仰で。

宇多丸
スクリプト・カウンセラーとか・・。

三宅
あの・・、シナリオ相談係とか(笑)

宇多丸
スクリプト・・おじさん(笑)

三宅
ブルボン三宅みたいな(笑)

宇多丸
ハハハ。
ブルボンがどう絡むのか?わかんないですけど(笑)
ブルボンをお土産に持ったスクリプトおじさん・・。


三宅
そうそうそう。
「困ったなぁ」と思ったらちょっと違う風を入れてみればいいっていうことだと思うんですけど。

宇多丸
これ映画の脚本とかにも限らず全体にもの作りの現場に
起こりがちな現象なので・・、はいわかりました。

といったあたりで結構時間が来てしまったんですけど、
でですね、ちょっとスクリプト・ドクターの話、質問はここまでにしたいんですけど。

今日から公開の「七つまでは神のうち」なんですけど、
これあの三宅さんが今までタマフルに何度も出演して頂きましたけれども、
結構そこで話してることの実践編みたいな面があるという・・。



三宅
そうなんですよ!実は!
やる時にやっぱタマフルで話してきたことをやってみよう!実際に。

宇多丸
例えば?

三宅
まぁもちろんJホラーの方法論もやりました。
一番最初に出させて頂いた時のその「予兆・ファーストコンタクト・アタック」
これはもうずっとやってきたことなので、もう一回再挑戦って事なんですけど。


あとやっぱり一番大きかったのは「カニと修造」を、
あれだけこうネット上とかで広まったので「カニと修造」を活かしたシナリオにしよう!とか。


宇多丸
あの観客がね、どちらに感情移入させるかによって、
全くそのね、視点の問題が全く変わるっていう。

まさにちょっとネタバレにならないように言うのが難しいですけど。
大きな枠で見ると、「なるほどこれは『カニと修造』理論の最も意地悪な使い方だ!」っていうね。
感じが悪いぞ!(笑)
ぐらいの感じでしたね。

三宅
それとか、あとそのフィクションラインの設定。
まぁ英語ではリアリティラインって言いますけど。
日本の打ち合わせで「リアリティ」って言うと、「リアリティ」という言葉のすごく誤解とか
話が厄介になることがあるので「フィクションライン」ってつい言うんですけども。
その世界観のリアリズム・・。

宇多丸
要は、どこまで嘘をついていい世界か?という決めごとっていうことですかね?

三宅
はい、現実をどこまでとするかっていうことを設定してどう崩すか?みたいな話とか。

宇多丸
これは崩すっていうのも、含めてですか?
設定はするけども、それは崩す?

三宅
はい、含めてですね。
崩すって言うことも含めて。
それからまぁあと、「4,5特集」の時か、「モンスター特集」の時でしたかね?
「主観ショット」問題、日本で何で出来ないのか?っていう様な事とか。


宇多丸
心霊というか、Jホラー方法論で言うと、お化けの主観は無しだって言われてるけど。
モンスターは有りだよ!っていうね。
今回も出てきますよね!まぁ若干反則・・。

三宅
それとかですね、何度か出来ていた「ジャンルミックス」の問題ですね。
ジャンル映画に対する愛がなくてジャンルミックスすると、酷いことになると言うような話を
「メガピラニア」とかを例に出しましたけど(笑)
これを敢えてジャンル映画とされているものの中でやったらどうなるか?っていう。



宇多丸
今回はすごいジャンルミックス的ではありますよね。
結構観るに従ってジャンルが変わっていく感覚すらありましたね。

三宅
うんうん、そうなんですよね。
その辺は結構意識しましたね。

それからもちろん、心霊っていうのは「お化けだぞおい!幽霊だぞおい!」じゃなくて
心なんじゃないか?っていう、これはノルウェイの話の時にも出たことよね。

宇多丸
もうずばり「脚本は心霊だ!」説まで出ましたからね(笑)
あの僕そのテーマ的な部分で三宅さんの本当にそれは集大成だと思いましたね。

三宅
ありがとうございます!

宇多丸
あとこれね、どこまで言っていいのかわからないですけど。
ちょっとビックリするくらいのお金で作った映画なんですよね?
「ウソでしょ!」っていう。

三宅
流石に放送上で金額は言えないんですけど。
まぁ簡単に言うと「呪怨 白い老女」の1/3以下ですよ。



これに関して言えば、何でこれがタマフルなんだ!っていうのがあるんですけど、
入江監督が「自主映画はつらいよ」特集で仰っていた、
あのジャンル映画がすごく安い環境で3日で撮らなきゃいけないっていう。
3日じゃ好きなモノ撮れないよっていうのは、全く仰る通りで!完全に同感なんですけど。
「3日にしない方法を考えればいいんじゃないのか?」っていう思いも同時にあったりして、
でその予算の中でなんとか日数を増やしたりアプローチをしてその予算以上に見えるようにするのは、
映画の外側としての今回のアプローチとしてはありましたね。

宇多丸
戦略って事ですよね?
低予算なのは避けられないことだとして、
環境が日本では恵まれないのは自明のことだとして、
戦略を持って臨めば戦いようもあるのではないか?という・・。

三宅
本の作り方も含めてですね。

宇多丸
もうその段階から当然やんないと。
計算して書いていくというか・・。

三宅
だからこそ狭い世界の脚本にするのではなくてですね。
動きのある脚本でもやれる方法が僕はあると思ってて。

宇多丸
普通読んだら「これこのお金で出来るわけ無いだろ!」っていうんだけど・・。

三宅
もう言われました。
提出した瞬間にプロデューサー陣から「げっ!」って言われましたけど。

宇多丸
言われましたけど「いや、ここをこうすれば出来るんです!」という戦略を持って、
その場合やっぱ監督と脚本が同じ人じゃないと、ちょっと出来ない。

三宅
と思いますね。
今回はそこはプラスに働いてたと思います。

(了)

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